姫森ルーナ編
半世紀に一度だけ奇跡が起こる。これはただの御伽噺のようなこと。
これはある街に伝わる御伽噺。
その日の決まった時間にお願い事をするとその望みを叶えてくれる。ずっと昔からの言い伝え。知らない人が聞けば、そんなわけないと一蹴してしまうようなこと。
でもこの言い伝えは長い年月が経ってもずっと語り継がれている。
これは人や人ならずるものが奇跡に願う。
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ルーナイトが亡くなってから数年が経った。未だにルーナ姫の傷が癒えることなく、一日のほとんどを暗い部屋の中で過ごす。王様もさすがにこのままではいけないと思って、どうにかしようとしたこともありました。でも、ルーナ姫の傷は誰もが思うよりも酷くて、王様は諦めることになる。
それにたまにルーナ姫を見た時も…抜け殻のようで周りのような明るさが全くない。
誰もがルーナ姫が前のように戻ることを望んではいる。今のままではほど遠い未来かもしれない。
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るーなはどうすればいいのら…。
どうすれば…
あの日からずっとこうなのら。
一度だけでいいから…あいたい。
『姫様、顔を上げてください』
ついに幻聴が聞こえてきちゃったのら。
『もういつまで落ち込んでいるんですか』
またルーナイトの声が聞こえて来る。こんなにルーナイトのことばっかり考えちゃうのはルーナが大好きだったから。
『顔を見せてくださいよ。姫様』
もう嫌だと思いつつも…顔を上げるとそこには…『ルーナイト』がいた。
「え…る、るーないと…?」
『はい、姫様』
そこにはいつものような笑顔。もう二度と見ることが出来ないと思っていた、笑顔。
ルーナはすぐに立ち上がってルーナイトを抱きしめる。
『元気でしたか、姫様』
「たのしくなかったのら。るーないとがちかくにいてくれないとだめなのら…っ」
なんでルーナイトがここにいるのか、生きているのかなんて今は気にならない。
『それは申し訳ないです。本当はもっと姫様の近くにいたかったんですけどね』
ルーナイトを抱きしめていると幻じゃないと再確認できる。今ここにルーナイトはいるのら。
『ルーナ姫に伝えなくちゃいけないことがありました』
「伝えたいこと?」
『はい、僕という呪縛が姫様のことを縛ってしまっていました。僕のことを忘れてこれからを歩んでください』
「…むりのら。るーないとといっしょじゃないと…っ…」
『そう言ってくださるのは嬉しいですが、僕はもう死んでしまいました。今もほんの数分だけ『奇跡』で現代に降り立っているだけなんです。だから僕としては姫様にはこれからの人生を楽しんでください』
「いやだ、るーないとはるなたんのちかくじゃないと…」
『悲しいですが、僕はもう姫様の近くにはいられません。』
ルーナイトはるなたんのことを優しく撫でてくれてる。
『それに僕はいつまでも姫様のことを見守っています。だから僕が羨むぐらい幸せになってください。好きなお菓子を食べたり、恋をしたり、ゲームをしたり、なんでもいいいです。今を謳歌してください』
「…むりのら。るーないとがいたから…」
『無理じゃないです。それに僕は姫様が笑う時の顔が何よりも好きなんです。だから…笑ってください。これからは僕のことで悲しい顔をしないでください』
「も、もう…どこにもいかないのら?」
『いいえ、僕が今ここに存在できるのは『奇跡』のお陰なので、もう少しすれば僕は消えます。なので今のうちにしっかりと姫様に伝えておきたいんです』
本当にルーナイトは変わらなくて…いつも笑顔。
『姫様と一緒の時間を生きれて、ルーナイトは幸せでしたよ。姫様が自分のことをどう思っているのかは分かりませんが、僕は姫様と出会えたことを後悔してません。僕は死んだけど姫様のために死ねたことを誇りに思っているんです』
ルーナイトの目は透き通って綺麗で思わず、見惚れちゃう。
『僕はずっと自分の存在意義が分かりませんでした。なんで僕は生きているんだろうと…そんな時に僕の目の前に現れたのが姫様でした。姫様と出会った後はまるで灰色だった世界がカラフルになったぐらいの衝撃を受けましたよ。僕の世界を変えてくれたのは『姫様』なんです。だからそんな姫様にはいつまでも笑顔でいて欲しいんです。これは僕、個人としての願いです』
すると急にルーナイトが薄くなっていく。まるで消えちゃうみたいに。
『あ、そろそろ時間のようですね』
「ま、まだ…たくさんはなしたことがあるのら!!」
『そうですね。でも時間が来てしまった以上は仕方ありません』
「…ま、まだ!」
ルーナイトに行って欲しくて強く抱きしめる。
『姫様、幸せになってくださいね』
すると抱きしめていたはずのルーナイトが…急に消えた。さっきまで抱きしめていたぬくもりはあるのに…。
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ある兵士
ある日を境にルーナ姫は少しずつ明るさを取り戻していった。周りの人たちは急に変わったルーナ姫に驚きはしたものの、嬉しい変化だ。今までずっと塞ぎ込んでいたルーナ姫が人と話したり、お菓子を食べたりと少しずつでも前のルーナ姫に戻りつつあるのはこの国の国民にとっても、近くでルーナ姫のことを見てきた者にとっても嬉しいことだ。
「ルーナイトさん…。姫様はあなたの死を乗り越えようとしておられます。我々もあなたの意思を次いで姫様のことを必ずお守りしますので、あなたは天から見ていてください」
一人の兵士がルーナイトの銅像の前でそう誓ったのだった。
感想があれば