別れ   作:主義

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外伝はオリジナルの過去話です。なのでオリジナルを読んだ後の方が楽しめると思います。


『いずれ隣り合う二人』


兎田ぺこら編

 

ぺこーらにとって大切な人。

 

あんたに出会って恋を知って、愛を知った。

 

今まで自分中心に生きてきたのにあんた中心に考えるようになった。

 

もっと惚れて欲しいと思っちゃった。

 

初めてもっと触れたいし、触れて欲しい。

 

 

 

 

 

あんたと出会ってからの毎日、知らない感情を知っていった。最初はそれが怖かったりもしたかったけど、今では怖いよりも楽しいという気持ちの方が上になっているぐらいにぺこーらはあんたのことが好きになっちゃった。

 

 

 

だけど、あんたはぺこーらに対してどう思っているのかを聞けないでいる。もしそれを聞いてぺこーらと同じ気持ちじゃなかったらどうすればいいのか分からないから。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

今日は久し振りに二人きりで会う約束している。人との待ち合わせは遅れないようにいつもするけど、今日だけはどうしても遅れるわけにいかないので集合場所に2時間前に着いていた。

 

もちろん、まだあんたの姿はなかった。

 

 

「ちょっと切り過ぎちゃったかな」

 

ぺこーらは前髪を触りながらちょっと確認する。

 

 

「…ちゃんと気付いてくれるかな」

 

今まで何度か髪を切っていったこともあったけど、まるで気付いてくれなかった。正直少し期待していたので何も触れられなかったことが、ショックだった。何よりも気付かれていないということよりも…興味がないと言われているようでそこがぺこーらにとって一番辛かった。

ぺこーらはあんたのことが好きだから、髪を少し切っただけでも分かるという自負もある。

 

でも、それはぺこーらがあんたに対して興味津々だから。

 

 

「今回も気付かれなかったら……ってだめだめ。だめな方向にばっかり考えちゃうとそっちにしか思考がないぺこ」

 

それにこれはぺこーらが勝手にやっていること。ぺこーらとあんたはまだ恋人関係というわけでもないんだから気付かれなくても仕方ない。

 

 

 

 

 

2時間も待つなんて普段のぺこーらだったら絶対に嫌だけど、あんたのことを待っている2時間は心臓の鼓動がうるさくて…何よりも楽しみだった。誰かと会うことがこんなに楽しみだなんて。

 

 

 

そして2時間経って、あんたが来てくれた。

 

「…ぺこらさん、ちょっと早過ぎませんか?」

 

 

「あ…ち、ちょっと近くまで来ていたから早く来ちゃったぺこ」

 

 

「そうなんですね。それなら言ってくれれば自分も早く来たのに」

 

 

「いいぺこ。ぺこーらが勝手に早くちゃっただけだし」

 

本当はすっごく前から来てたけど…。

 

そしてぺこらとあんたは隣り合って目的の場所へと向かう。今日の目的地は映画館。ぺこらが見たい映画があって、あんたに対して少し遠回しな言い方で誘ったら二つ返事でOKしてくれた。

 

誘うのも本当に勇気がいるし、返事が来るまでの時間も生きた心地がしなかった。

 

 

 

 

そして今も隣を歩いているあんたの顔を見たり逸らしたりを繰り返しながら話し掛けるタイミングを探っている。するとあんたの方から話を振ってくれた。

 

「ぺこらさんの配信は面白いですね」

 

 

「え…みてるぺこ?」

 

 

「たまに見てますよ。さすがに仕事とかで忙しい時もあるので、土曜日とか日曜日の配信とかに限られちゃいますけど」

 

 

「それ初耳ぺこよ!?」

 

 

「そうですね。今までは言ってなかったので」

 

まじ…ぺこか。見られて困るようなことは……言ってるぺこ!

 

かなり口が悪いし、汚い言葉だったりと色々言っちゃってるし。

 

 

「ぺこーらのこと嫌いになった?」

 

 

「なりませんよ。僕の前だとぺこらさんはあんまりあんな風になってくれないので新鮮でした」

 

そりゃそうぺこ。あんなところを見せちゃったらあんたに嫌われちゃうかもしれない。あんたに映る、ぺこーらはとっても清楚で可愛い子にしたいから。

 

汚い言葉を普通に吐いているような女の子を好きになってくれる人はあんまりいないこともぺこーらは分かっているし。だから今までちゃんと隠していたのに…。

 

 

「ほ、ほんと?あんな風に暴言を吐くような兎のことなんか嫌いになっちゃったとか…」

 

 

「大丈夫ですよ。僕の目の前でいつもお淑やかなぺこらさんもあんな風に感情を表に出すぺこらさんはどっちもぺこらさんですから。僕はどっちのぺこらさんも良いと思ったので」

 

 

「…それならよかったぺこ」

 

 

 

 

 

 

 

「でも、ぺこらさんは僕の前だとあんな風に笑ったりしてくれないですね」

 

少し悲しそうな顔であんたが言うようでさすがに反論する。

 

 

「い、いや…ぺこーらはあんたといる時はちゃんと清楚な女の子でいようと頑張っていただけ!」

 

ぺこーらだってあんたが全てを受け入れてくれるかもしれないということぐらいは分かってる。でも、もし受け入れてもらえない時が怖くて本当の自分を隠してた。

 

 

「あんたに…き、きらわれたくなくて…」

 

 

「嫌われる?」

 

 

「配信の時みたいに高笑いをしたり、暴言を吐いたりしたらあんたがぺこーらのことを嫌いになっちゃうんじゃないかと思ってセーブしてた」

 

だってそうじゃん。普通に考えてもあんな暴言を吐く子よりも優しくてお淑やかな人の方がいいに決まってる。だから、ぺこーらも頑張ってそうなろうと…。

 

 

「あ、そうなんですね。僕は別にあのぺこらさんのことも好きですよ」

 

 

「……え………」

 

さっき…好きって言った?

 

ぺこーらのことが好きって…。

 

 

「そろそろ映画館に着きますけど、ぺこらさんはなにを見たいんですか?」

 

 

「…あ、えっと…これぺこ!」

 

ぺこーらは携帯に表示されているポスターを見せた。

 

 

「へぇ~これですか!」

 

キミが色々と反応してくれているけど、今のぺこーらの脳はもうパニックだ。だってあんたがぺこーらのことをすきって!それにあの配信の時のぺこーらのことを!!

 

 

 

そ、それに…さっき「僕は別にあのぺこらさんのこと『も』好きですよ」って言ってたぺこ。『も』ってことは今までのぺこーらのことも好きだってことかな…。

 

 

 

 

今すぐにでも「ぺこーらのこと好き!?」とか聞きたいけど、その勇気がやっぱりない。

 

 

 

 

あんたの方に視線を移すとぺこーらと見る映画のことを話していたので、今はぺこーらの気持ちはしっかりと心の奥底に置いておいて映画をあんたと一緒に楽しむことにした。

 

 

 

いつかぺこーらの気持ちを正直に伝えられたら……。

 

 

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