『隣』
今にも泣きそう。ぺこーらはただ見ていることしかできなくて何もできない。自分の無力さを…見せつけられている気分。
目の前であんたは苦しそうな顔をしているのにぺこーらはただ声を掛けて手を握ってあげることしかできない。
「だ、だいじょうぶぺこ!!ぺこーらは近くに居るから!」
彼の痛さはぺこーらと繋いでいる手にも反映されていて…とてつもない痛さなのはそこからも分かった。それにあんたがそんなに苦しんでいる顔は今まで一度も見たことないもん。
そしてそんなことが8時間以上も続いて…さすがにぺこーらも目を逸らしたくなっちゃうような。少しずつ脈が弱くなっているのは分かってるし、あんたも全てを覚悟をしたような顔をしていて…泣きそうになった。もっと未練を口にするようなことをしてくれればぺこーらもまだ…。
だけど、彼はそんなことをせずに静かだった。まるで自分の未来を悟っているかのように。
そしてそれから少しして…やっとあんたの容体は落ち着いてきて話せるようになった。
「兎は寂しいと死んじゃうぺこ」
「…大丈夫ですよ。ぺこらさんってかなり強い人ですから」
「全然強くないペコよ。あんたが近くに居たから……強くいられただけぺこ」
ぺこーらはかなり小心者ぺこよ。あんたといる時だけではぺこーらは強くいられた。安心安全でどんな時でもぺこーらのことを守ってくれてぺこーらの側に居てくれる…あんたがいたから。
「ごめんね。ぺこーらは我儘であんたに迷惑ばっかり掛けちゃったよね。こんな兎のことなんか嫌いかもしれないけど……それでもぺこーらはあんたのことが…だ、だいすき!」
「…ありがとうございます。僕もぺこらさんのことは大好きだよ」
「そ、そんなこと言われたら…涙が止まらなくな…っちゃうよ……っ…」
今まで我慢していた涙が一斉に溢れ出て来る。
「も、もっと……たのしいことを…い、いっしょに…」
まだ一緒にやりたいことだっであるし、チャレンジしたいことも数えきれないほどあるぺこ。ぺこーらとあんたの物語はこれから始まるのに…。これからたくさん笑いあっりして…たまには喧嘩ともしちゃって…そして仲直りして…デートをしたり…一緒に記念日を祝ったりさ…。やりたいことはたくさんあるんだよ…。
「ぺこーらはいやだ!!」
「…ぺこらさん」
「まだあんたといきたいもん!あんたじゃなきゃぺこーらはいきていけない!」
ぺこーらみたいな我儘な兎のことを愛してくれて、いつもぺこーらのことを第一に考えてくれて、甘えさせてくれるのはあんただけなの。
「いや、僕の方がぺこらさんに支えられていましたよ。ぺこーらさんお陰で病気のことで辛くてもここまで生きてこれたんです。ぺこらさんが居なかったらもっと前に白旗を上げることになっていたと思いますし」
「そんなことないぺこよ。ぺこーらはあんたに何も出来なかった。そ、それにまだあんたが死んじゃうって決まったわけじゃないぺこ!」
「そうですね」
そ、そう……まだ…大丈夫ぺこ。必ず…あんたは助かる。そう自分に暗示を掛けていないとぺこーらも精神状態を保っていられなくなっちゃいそう。
それから数時間後に…あんたは息を引き取った。ぺこーらはずっと泣いた……。たぶん、お医者さんにはすごく迷惑を掛けちゃった。理不尽なことをたくさん言っちゃたと思う。
少し時間がすると…ぺこーらの精神は落ち着き………それと同時にあんたの存在の大きさを思い知らされた。あんたがいた時はどんなことでもとっても楽しかったのに…あんたが居なくなっちゃったら何をしても楽しくなくなっちゃった。
「やっぱり…ぺこーらは……あんたと一緒じゃないと。あんたはあんなことを言ってたけど、ぺこーらは強くないぺこよ」
でも、これでやっと全てが終わりそうぺこ。
「やっぱり…ぺこーらはあんたのことが大好き!」
感想があれば