別れ   作:主義

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『認めない』


博衣こより編

これからもずっと…どんな時もこよりとキミは一緒だと思ってた。

 

―――――――

 

 

急だった。その言葉しかこよりは言えない。その日はいつものようにデートをして…こよりも有頂天になっていたんだと思う。今が幸せ過ぎて忘れていたんだ。

 

 

こよりがクレープを買いに行って帰ってきたら…人だかりが出来ていた。そして人混みをかき分けているとそこには倒れているキミの姿があった。

 

こよりも先に来た人が救急車を呼んでくれていてそれほど時間の掛からず、救急車は到着をした。

 

 

 

 

 

元々、キミは体が弱い体質で2日や3日の間、寝込んでしまうことも少なくない人でこよりもそこはずっと心配していた。でも、キミはいつも「大丈夫だからあんまり深刻に考えないで」とこよりに言っていた。さすがにこよりもそれを鵜呑みにしていた訳じゃないけど、最近は寝込むことも少なくなっていたからちょっと楽観的に思っていたかもしれない。

 

 

そして今は病院のベッドに横たわっている、彼の姿をこよりは見ることしかできない。

 

「も、もっとこよりが気を付けていればキミはこんなことに……」

 

こうなる前に何度か…助けられるタイミングはあったはず。もっとこよりがキミの顔色の変化とかに敏感だったら…。

 

 

「ごめんね…ごめんね……ごめんね」

 

謝っても…何も出来ることではないのに…。

 

 

 

それからこよりはずっと…キミの側からずっと離れない。ずっとキミの手を握って。本当は病院に泊まるなんて許されなかった。だけど、お医者さんが側が配慮してくれたんだと思う。

 

 

彼が目覚めたのは病院に運ばれて3日間だった。この3日間、もしかしたらもうキミが目覚めないかもと頭によぎる時もあった。お医者さんも目覚める可能性は50%ぐらいだと言っていた。だけどずっとこよりは離れずに…キミが目覚めるの待った。

 

今のキミは口を利けるような状況じゃなくて…顔もかなりやつれている。それでもこよりにとってはキミが生きていてくれることに意味があった。話せなくても。

 

 

キミが目覚めて少しした日にこよりはお医者さんに呼ばれた。お医者さんは「彼はいつ亡くなってもおかしくない状況です」と言っていた。正直、こよりは茫然としちゃってその後も病気の説明をしていたと思うけど、何も覚えていない。

 

 

 

 

 

 

 

そして今日もこよりは…キミの病室でお花の入れ替えをしている。

 

「退院したら旅行にでもいこうね。今度はこよりも色々と気を付けるしさ。まだ新婚旅行行ってなかったしね」

 

こよりとキミが結婚してまだ…2週間。こよりの方から告白した。普通は男性の方から告白かもしれないけど、こよりがどうしてもこの人がよかった。初めて…運命の人だと思った人だから。

 

これからなんだから…これから楽しい思い出を一緒に作って、10年後とかに…「こんな時もあったね」って笑い合えたら。

 

「行きたい場所とかがあったら…あの紙に書いてね」

 

何か意思疎通を図るためにこよりが選んだのは筆談だった。色々他にも意思疎通の手段はあるけど…それが一番キミの想いをくみ取りやすいし。

 

 

「仙台とかもいいし、京都とかもいいよね…」

 

そんな話をしているとキミは…紙に自分の想いを書いてこよりに紙を差し出した。そこには…『こよりの好きなところだったらどんなところでもいいよ』と書かれていた。

 

 

「え~~こよりはキミの行きたいところでいいのに~」

 

 

 

 

 

それから程なくして…キミは腕も動かせないような状況になっていた。

 

「…大丈夫だからね。こよりはずっと側に居ますから」

 

声だけは掛けるようにした。キミには聞こえていないかもしれないけど…声を掛けていないとこより自身が壊れちゃいそうだから。

 

それ以外にもずっと自分に暗示を掛けるように…「大丈夫」「大丈夫」と呟くようにしている。そうしてないと……。

 

 

 

こよりの想いとは裏腹にキミの病状は悪化して…こよりが駆け付けた時にはもう引き取っていた。それからこよりは人目もはばからず、泣いた。しばらくは抜け殻のように何も出来なかった。何をするにしても手に付かなくて……だけど、数日してこよりはあることを決めた。

 

 

 

 

こよりとキミはこれからもずっと一緒なんだ。キミがこの世から居なくなっても絶対に…こよりはキミの死を認めない。絶対にこよりが諦めなければ…キミは死なないから。

どんなことがあってもキミのことを――――――

 

 

 

生き返らせてみせるよ。だから待っててね

 

 




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