『あなたの側に』
ボクの飼い主はとても優しい人。おばあちゃんが亡くなっちゃってどこも引き取り手が見つからなかった、ボクのことを受け入れてくれた人。一番可愛がってくれて…どんな時でもボクのことを分かってくれる人。
この日常が幸せで…一生続いてくれればいいなぁなんて淡い願いを抱くようになってボクは忘れていた。大切な人はいつもボクを置いてどこかに行っちゃうんだ。
動物って勘が良いから分からなくてもいいことも分かっちゃうんだ。キミがちょっとしか生きれないことも。多分、動物の勘だけじゃなくて…ボクがキミのことが大好きでいつも見ているから分かっちゃったんだと思う。
「どこにもいかないで」
ボクが急に抱き着いたことにキミは驚いているのが顔を見なくても分かる。
「…え…?」
「ボクを置いてどこか遠くに行かないで…」
こんなことを言ったとしても何も変わらないのは分かっているんだよ、ボクも。それでもキミを近くに感じたくて…キミから離れたくなくて。
「…………」
「ボクはずっとキミがいい」
「…………」
「迷惑だよね。それでもボクはキミのことが…大好きなの」
「……やっぱり分かったのか。なるべく顔にはでないようにしていたつもりなんだけどな」
「わかるよ、ボクはキミの事なら全て分かっちゃうの」
どれだけボクがキミの事を好きかをキミは分かっていないよ。キミのことで知らない事なんてボクはないよ。
「そっか……でも、大丈夫だよ。キミの引き取り手はなるべく早く見つけるから。さすがに早いうちに決めておかないと安心して…いけないし」
「やだ!」
急にボクが大声を出したからキミはかなり驚いている。
「やだよ!ボクはキミから離れないよ!!絶対に離れないもん!」
「…おかゆ」
「ボクはキミが居なくちゃ生きていけないの!」
おばあちゃんが亡くなっちゃって傷心していたボクにキミ手を差し伸べてくれて…ボクが回復するのを待っくれた。決してガツガツ来なくて…本当に居心地が良かったんだよ。
「ご、ごめんね」
「謝らないでよ。ボクはずっとキミと一緒。キミ以外の人が飼い主なんていやだ。ボクの飼い主はキミとおばあちゃんだけなの!」
キミ以外の飼い主さんがどれだけ優しくて良い人だったしてもボクは絶対に懐けない。それぐらいにキミは最高の飼い主で……ボクの心を奪ったんだ。
「で、でも…それだと」
「ボクは絶対に譲らないよ!キミと一緒がいいの!!」
キミのことをかなり困らせちゃっているのは分かっているけど、それでもこれだけは譲れないの。もし、キミの命が尽きる日が来るのなら………。
「だめだよ。おかゆには生きていて欲しいんだ!」
まるでボクの心を読んだかのようだ。ボクがキミのことを読めるようにキミもボクのことを…読めるのかな。
「……うん…」
そしてそれから少しして…キミは亡くなった。
ボクはずっとキミのお墓の前にいる。少しでもキミを感じられるような場所がいいから。
「ボクはずっとキミの近くに居るよ」
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