「赤城にですか。よく聞き入れてくれましたね」
「ああ、さすがに駆逐艦と同じ量じゃかわいそうだと思ってこっそり私の部屋で飯を食わせてたんだよ。アイツは飯が足りなかったら意地でも動かないしな」
「それで結局資材が回復しないうちに赤城はうちに配属になったんですか…」
「いや、それは違う」
「え?」
「配属になるちょっと前には資源は回復していた。けどあの赤城は小食だというイメージが定着してしまっていて…」
「それは赤城には災難でしたね…」
「あの、本人の前で言うの止めてもらえません?」
赤城が話に割り込んできた。
「まあ、ここで立ち話もあれだし、中に入るとするか」
「そうですね」
赤城は少し不満そうに提督と瑞鶴の後ろをついて行った。
~大本営第一会議室~
提督と大将が行くとすでに小将以上の位の方々が集まっていた。
*この世界の海軍の組織については後日説明します。
「大佐、長旅ご苦労だったな。道中でもいろいろあったらしいが」
元帥が口を開いた。
「いえ、それほどでもありません。そちらから蒼龍と飛龍が救援に来てくださったのですぐに対処できました」
「まあ君の顔が見れて安心したよ。普通は1か月に1度は来てくれるのに君ときたらもうかれこれ3か月も顔を見せに来ないじゃないか。てっきり死んだのかと思ったよ」
さきほどとは別の大将が言った。
「ご心配おかけして申し訳ありません。この通りピンピンしてますので」
「ところでだ、大佐。君のところの工廠が震電の開発に成功したと聞いたんだが現物をお持ちではないかな?」
中将が興味深そうに聞いてきた。
「ああそうですか。瑞鶴1機出してくれ」
「あ、うん。…はい」
「これが震電です」
提督が机の中央に置くとその場にいた全員が身をのりだして震電を見た。
「確かにどこから見ても震電だな…」
「大佐、君のところに震電は今何機ある?」
元帥が問いかけてきた。
「今は50機です」
「ふむ、大佐、金は出すから震電を売ってくれはしないだろうか」
「それは無理な話です」
提督は即答した。
「理由を聞いてもいいかな?」
「勿論です。まず現在震電はここにいる瑞鶴と赤城に40機搭載されています。震電は無敵ではないので撃墜されてしまったときに備えて予備が必要なのです」
「まあそれは確かにそうだが…」
元帥は考え込んでしまった。
その時別のところから声が上がった。
「震電と烈風を交換するというのはどうだ?」
「残念ながら震電開発に失敗したときに烈風が出ることもあるので烈風は不足しておりません」
「せめてレシピを教えてくれないか?」
同じ人から質問が飛んできた。
「?レシピならもう教えましたよ?」
「え?」
「最初に開発に成功したときに報告書を送らせて頂きました、開発部宛に。まあ、まったく信じてもらえなかったみたいですけど」
「開発部?なにか言うことはないかい?」
周囲の眼がすべて開発部トップの少将に注がれた。
「た、確かに受け取りましたし、信じられませんでしたが、私はちゃんと上にその報告書を送りましたよ」
一時的に少将が視線攻撃から解放された。
次に犠牲となったのは事務のトップである少将だった。
「わ、私も報告書は確認しましたが、突拍子もない報告だったので判断できず上に回しました」
少将も解放された。
「ではいったい誰が最後にその報告書を見たんだ?」
元帥が言った。
「誰か震電の開発を望ましく思わないヤツが握りつぶしたのでは?」
大将の返答に元帥は
「バカな!海軍の中にそんなヤツがいるはずがない!大体戦いを好まないというのはわかるがなぜ戦力拡充を妨げようとするんだ!しかも震電級の戦力ならば明確な悪意を持って握りつぶしたはずだ」
と言った。
「調査委員会を設置しましょう。賛成のものは?」
大将の問いに全員が手を挙げた。
「では私と元帥の監督のもとで調査委員会を設立する。後ほどメンバーを発表する。解散してくれ。ああ、大佐たちは少し残ってくれ」
大将の号令で元帥と大将を除く他のメンバーは全員会議室を出た。
最近1話を今後どうするか決めかねています。
残すか、消すか、書き換えるか…難問です。
あと次の話は以前没にした別の11話目を投稿します。