「!?」
上を見上げると彗星の編隊がいた。
「敵機直上!迎撃して!」
すぐさま震電が撃ち落とす。
爆撃に向かうところだったのだろうか。提督たちがいることに気づいていた様子はまるでなかった。
「各機は引き続き警戒を怠らないで!」
瑞鶴が震電に呼びかける。
再び走り出した提督たちは幸い攻撃を受けることなく港湾管制室に着くことができた。
扉を開けるとそこには大将がいた。
「大将?なぜここに?」
「大佐こそなんでここにいるんだ?私は元帥に現地で指揮を執るように言われたからだが」
「爆撃の音が聞こえてきて地下にいると生き埋めになるかもしれないと思いまして。それで横須賀から脱出したいんですが船を一隻出してもらえませんか?」
「出せるわけないだろ、この状況で!大体、船で行ったら的になるだけだ!」
「ではそこにいる艦娘に護衛してもらってはダメでしょうか?」
「少し待て。調整をかけねばならん」
「調整?」
管制室から艦娘待機場を見ると床に大きな穴が開いていた。天井に穴が開いた形跡はないにも関わらず。
「大将、この穴はなんでしょうか?」
「すぐわかる」
二分ほどして地下からうなるような音が聞こえてきた。
やがて穴から艦娘たちから出てきた。穴も埋まっていた。
「驚いたか?これは地下に待機している艦娘用のエレベーターだ。それより見覚えないか、あの娘らに?私の直属の艦娘だぞ?」
よく見ると見覚えがある艦娘がちらほらといる。
その中の一人、雷がこちらに近づいてきた。
「司令官!全員揃ったわ!あれ?あなた訓練生No.33?確かブルネイ泊地に配属されたんじゃ…?」
「ああ、ちょうど挨拶に来ているところだったんだ。さてお前たち、もう気づいているかもしれないが大本営が攻撃を受けている」
大将の一言で艦娘の顔つきが一気に引き締まったものになった。
「いいかお前たち!ここにいるもの以外は全員敵だ!徹底的に潰してこい!」
「ちょっ大将!まだ味方が残っているのでは…」
提督の抗議(?)は待機場中に響き渡った雄叫びで打ち消された。どこからこんなに大きな声が出ているのか不思議なくらいだ。
「了解!」
大将直属の艦娘は雷を先頭に次々と敵を駆逐するために待機場から洋上へと出ていった。
大将が残った大本営配属の艦娘に向かった。
「さて、君たちの任務だがそこにいる大佐とその秘書艦たちを呉鎮守府まで護衛してもらう」
「大将、一ついいですか?」
「なんだ?」
「なぜ呉なのですか?」
「横須賀鎮守府と連絡が取れない」
「え?」
「正確には横須賀第一鎮守府と、だが。彼らはすでに壊滅しているか、もしくは反乱を率いているとみられている。だから呉だ。あそこから船を出してもらってブルネイへ帰れ。続報は教えてやるから」
「…わかりました」
提督が了承すると大将は再び艦娘に視線を戻した。
「君たちは大佐を護衛したのち呉で二日ほど休養せよ」
「な、なぜですか!?私たちも戦います!」
榛名が全員の気持ちを代弁して問いかけた。
「手を出すまでもないからだ」
「えっ?」
「私の艦隊は君たちとは別次元の練度を誇る。出した以上敗北はありえないだろう。下手に君たちが参戦して沈んでしまったら困るんだよ」
「…」
全員が黙ってしまった。
それを命令を了解したと捉えた大将は提督に大きな袋に入ったものを渡してきた。
「ほら、大佐。これを使うといい」
「これは…なんですか?」
「開発部はコクーンとか呼んでたな。その中に入っていたら水中でも四日は生きていられるそうだ」
「でもこれエンジンありませんよ?」
「当たり前だろ?そんなものにエンジンなんかつけたらショックで分解してしまうよ」
「ではどうやって移動するのですか?」
「ほら、ここに紐があるだろう?これを引っ張ってもらって移動するんだよ」
「なんか前世紀の避難器具のほうが立派なんですけど…」
「つべこべ言わず乗れ!よし、じゃあ瑞鶴くんあとはコイツを任せたよ」
「は、はいっ!気を付けて運びます!」
「うむ。では横須賀を脱出する際の航路だが…」
提督はしばらく気を失っていてなにが話されていたか知らない。
「提督さん、起きた~?」
通信機から瑞鶴の声がした。
「ああ、なんだ?」
「う~んと見てもらったほうが早いと思うからいったんロック解除するね」
「?ああ…」
一時的にコクーンから解放された提督の眼に入ってきたのは廃墟だった。
双眼鏡で見るとそこには「横須賀第二鎮守府」と書かれていた。
1日に2話投稿するのは疲れます。
やっぱり1日1話が限度かな