秘書艦 瑞鶴の日常   作:一枝光真

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遅くなってしまい大変申し訳ありません…


3日目:艤装と鹵獲

歓迎会の翌日、龍鳳率いる第三艦隊は早速演習場に向かい錬成した。

 

*演習には各鎮守府内で勝手に行われるもの以外に他の鎮守府と行う対外演習も存在する。一年に一度各管区の代表が集まり演習大会も行われている。演習はすべて模擬弾で行われる。

 

「瑞鶴、第三艦隊はどんな感じだ?」

 

提督も気になってはいたのだろう、昼食時に演習を見に行っていた瑞鶴に聞いてきた。

 

「うん、今のところ第四~七艦隊とやって全勝だよ」

 

「そうか。なら午後からは第一、第二艦隊とやらせてみよう」

 

「分かった、みんなに伝えてくるね」

 

ちょうど食べ終わった瑞鶴は食器を下げ食堂を出ていった。

 

第一艦隊は瑞鶴、赤城、金剛、比叡、榛名、霧島。

 

第二艦隊は扶桑、山城、飛鷹、隼鷹、北上、大井。

 

対して第三艦隊は龍鳳、祥鳳、瑞鳳、龍驤、青葉、衣笠。

 

どう考えても龍鳳たちは負けるだろう。

 

提督には負けの味を覚えさせる以外に劣勢時に龍鳳がどのように反撃するか見るという目的があった。

 

午後、最初に第二艦隊と第三艦隊が演習を行った。

 

龍鳳たちは四人を大破させたが北上、大井の雷撃により撃沈判定を受け敗北した。

 

一時間後、次に第一艦隊との演習が行われた。

 

提督はそれを演習場で見ることにした。

 

演習場は大体150キロ四方の広さだ。

 

そこに毎回妖精がランダムに障害物を配置する。

 

今回は小高い山があり相手を攻撃するには空母の艦載機による攻撃か山を回り込むしかない。

 

まず龍鳳たちは戦闘機隊と彩雲を送った。

 

続いて青葉と衣笠が東から山を回り込みに向かった。

 

その頃、第一艦隊も同じく彩雲を送った。

 

さらに本隊から離れて金剛が西から榛名が東から回り込むことにした。

 

「…あれは」

 

あと二分ほどで山のふもとまでつくというところで榛名が何かに気付いた。

 

青葉と衣笠だ。

 

二人は既に山を回り込んでいる。

 

「こちら榛名。青葉、衣笠を発見。これより交戦します。攻撃隊を送ってください」

 

「了解、すぐ送るわ」

 

瑞鶴は通信を終えるとすぐに発艦させた。

 

送るのは震電の一部と流星改。

 

赤城の攻撃隊は龍鳳たちを発見したときのために残しておく。

 

「あれ?」

 

突然震電の半数が急上昇した。

 

瑞鶴が上空を見ると戦闘機の一群が飛んでくるところだった。

 

「赤城さん、相手に位置を発見された。直衛を出してくれる?」

 

「ええ。任せて」

 

赤城が発艦を始める前に比叡と霧島が三式弾を放ち戦闘機隊の一部を落としていた。

 

流星から離れて迎撃に向かった震電はわずか15機だったが30機以上はいる敵戦闘機隊を苦も無く撃墜していた。

 

偵察中の戦闘機が全機落とされたことを知った龍鳳たちは次の行動に移った。

 

四人は彗星一二甲、流星、爆戦を発艦させた。

 

全部で80機ほどのこの攻撃隊が今回龍鳳たちのもつ戦力のすべてだ。

 

そしてまだ残っている戦闘機隊も発艦させた。

 

発艦したのは烈風改25機だ。

 

自分たちの直衛にはつけず彼らを飛び立たせた。

 

発艦を終える少し前に青葉と衣笠も榛名を発見した。

 

しかしすでに榛名に発見されていて次々と砲弾を撃ち込まれてしまう。

 

「衣笠、二人で挟みますよ。3…2…1…GO!」

 

即座に青葉と衣笠は離れた。

 

榛名は一瞬迷うそぶりを見せたがすぐに青葉に狙いを定めた。

 

青葉と榛名の距離はおよそ500メートル。

 

回避は困難と判断し青葉は魚雷を放ち榛名に詰め寄る。

 

魚雷を回避するため一瞬榛名の砲撃が止んだ。

 

その間に青葉と衣笠に砲撃を至近距離から受けた。

 

「榛名、撃沈」

 

審判の妖精から全員に連絡が入った。

 

榛名は撃沈したが青葉は大破で速力低下していた。

 

二人が一息ついたとき上空からエンジン音が聞こえてきた。

 

「衣笠、ばらばらに敵本陣を目指しますよ!」

 

「了解!」

 

二人が分かれるのを見て攻撃隊も二手に分かれた。

 

流星改が二人に次々と魚雷を放った。

 

衣笠は多少の損傷で済んだが速力が落ちていた青葉はよけることができなかった。

 

「青葉、撃沈」

 

衣笠は当初の予定通り敵本隊を目指すことにした。

 

「WOW!やりましたネ!」

 

西から回り込もうとしている金剛はこの報告で戦意が高揚した。

 

榛名はやられたが青葉は撃沈し衣笠は逆方向に居る。ということは金剛がこれから向かう先には空母しかいない。接近すれば金剛は四人を一気に追いつめることができる。

 

まさに山を回り込み再び視界が開けた瞬間砲声が聞こえ金剛に命中した。

 

「衣笠はいないはずじゃ…」

 

目の前にいたのは瑞鳳と祥鳳だった。

 

「あれは…!」

 

二人は砲を持っていた。

 

15.5㎝三連装副砲。

 

空母が持てる砲の一つ。

 

次々と砲弾が襲いくる中を金剛は潜り抜け砲撃しようとした。

 

一瞬静止したその時エンジン音が聞こえてきて次の瞬間には金剛の周りに次々と爆弾が投下された。

 

「金剛、撃沈」

 

「NO~!」

 

金剛が悔しそうに地団太を踏んだ。

 

しかし金剛を責めることはできない。まさか空母が砲を持って戦艦に挑んでくるなんて考えてる方がおかしいだろう。

 

金剛撃沈の報を受けて固まって行動することを第一艦隊は選んだ。

 

第二次攻撃で衣笠を撃沈させた瑞鶴と赤城は残った空母四人に備えるためかなりの数の直衛機を出していた。

 

実はその直衛機のさらに上空、高高度には龍鳳たちの攻撃隊が潜み第一艦隊の行動を知らせていた。

 

その情報を基に龍鳳たち四人が囲み徐々に距離を縮めていた。

 

しばらくすると瑞鶴の彩雲から報告があり龍驤、祥鳳を見つけたということだった。

 

すぐに瑞鶴と赤城は攻撃機の発艦準備に入った。

 

そして攻撃隊を守るために震電が降下したとき、雲の上に隠れていた龍鳳たちの戦闘機隊が現れ次々と震電を落としていった。

 

そして発艦した瑞鶴たちの攻撃隊も落とされていった。

 

さらに流星たち攻撃隊が次々に爆弾、魚雷を投下した。

 

「赤城、比叡撃沈」

 

瑞鶴と霧島はなんとか躱し対空砲で次々と落としていった。

 

もちろん瑞鶴たちは知らなかったがこの時龍鳳たちは全攻撃機を失った。

 

烈風が飛び去るのを見て瑞鶴は霧島に龍驤、祥鳳撃破を任せた。

 

そして霧島が十分離れてから瑞鶴は風が強くなるのを見計らった。

 

瑞鶴が放ったのは四機の爆撃機。そう、富嶽改だ。

 

反乱が起きたときにこっそり回収しなんとか修理できた機体だ。

 

瑞鶴は龍驤、祥鳳のいる位置から瑞鳳と龍鳳の大体の位置を予測した。

 

そして二機の富嶽を瑞鳳撃破に向かわせ自分は龍鳳のもとへ向かった。

 

その道中に祥鳳、瑞鳳撃沈の報が入った。じきに龍驤も撃破されるだろう。

 

龍鳳が見えてきたとき龍驤撃沈の報告が入った。これで残すところは龍鳳のみ。

 

烈風が向かってくるがやはり富嶽を落とせない。

 

「自ら来てくださるとは嬉しいですね。何か用ですか」

 

先に口を開いたのは龍鳳だった。

 

「用?う~ん、まあ久しぶりに楽しませてもらったからそのお礼?」

 

「お礼にそんなでかい爆撃機連れてこないでください。でもこちらも楽しかったですよ。次は負けませんから」

 

龍鳳の撃破で第一艦隊の勝利となった。




…大変お待たせして申し訳ありません。

さて、今後についてですが最新話を投稿しつつ改訂を進めてまいります。

しばらくは一週間で一話投稿して一話改訂となります。

現在、改訂対象は二話から二十話を予定しています。

今後もなにとぞよろしくお願いします
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