三日後、赤城は少将と共に港にいた。
もちろん一般の船が停泊しているところだ。
相変わらず提督は車いすに座ったままだ。
今日は今年一番の暑さと言われていて立っている2人も汗ばんできた。
15分経った頃だろうか、船が見えてきた。
船から1人の艦娘が船から降りてきた。
その艦娘は赤城ももちろん会ったことがあった。
「お久しぶりです、赤城さん」
赤城がいた頃は駆逐艦たちを率いて水雷戦隊として活躍していた神通だ。
彼女は赤城がいたころからすでに軽巡とは思えない力を持っていてなぜ第一艦隊にいないのかとさえ思ったことがある。
確かいまは生き残った艦娘を束ねトラック近海の深海棲艦を追い払っているらしい。
「はい、お久しぶりです。神通さん、こちらが少将です」
「・・・少将さんでしたか。初めまして」
「ああ、初めまして」
挨拶もそこそこに神通が提督は引き取り少将も戻っていった。
「神通さん、なにか困ってることとかない?できることなら何でもやるよ?」
離れたとはいっても赤城は鎮守府の面々を気にかけていた。
神通は少し考え込んだがやがて首を横に振った。
「いえ、こちらで対処可能なことしかありませんから」
「そう・・・」
そう言われると赤城も引き下がるしかない。
数分の沈黙の後、思い出したように赤城が口を開いた。
「神通さん」
「なんでしょうか」
神通の声が少し硬い気がするが赤城はそれに気付かなかった。
「私たち大本営はあのレ級を必ず見つけ出して始末するつもりです」
「・・・」
「もしよろしければその際に攻撃隊に加わっていただけませんか」
「・・・それは私たちの鎮守府にいる艦娘が全員参加できるのですか?」
「?はい、参加できると思いますよ」
「それでそのレ級をどういう方法で探しているんですか」
神通の迫力に思わず赤城は後ろずさってしまう。
「えっとですね、わたしは詳しくは知らないんですがレーダーで探しているみたいですね。艦娘が捜索するとしても単騎で立ち向かえない以上大艦隊を形成しなければいけませんが常時そんなものを置いておく余裕はありませんし」
「・・・そうですか」
神通は一度口を閉じ周囲を見回した。あたりには人影は特に見当たらない。
神通が声を抑えて赤城に話した。
「・・・赤城さん、実を言うとですね。私たちはあのレ級を探し出して自ら葬ろうと決めていました」
この一言は赤城の表情を崩すのに十分な威力を秘めていた。
赤城の顔はいま苦悶に満ちていた。
「それは鎮守府全員での特攻、いえ自殺ですか?」
「そう見てもらっても構いません。私たちは提督に率いてもらったおかげで今日ここまで来ることができました。あの人を失ったことで全員が精神的に大きなダメージを受けました」
いったん神通が話を切った。
赤城は聞くことに苦痛を感じすらしたが続けさせた。
神通は一度深呼吸すると再び話し出した。
「昨日鎮守府全体で会議を行いました。なにがなんでもあのレ級を見つけ出したとえ自分たちが沈むことになってもアレを沈める。それが総意です」
赤城は不思議に思った。「なぜ彼女はそれを自分に話しているのか?」と。
そして気づいた。
彼女は自分にもこの戦に参加するかどうか聞いているのだ。
赤城は自分の考えを話すことにした。
「自分はもう大本営所属です。たとえ以前の鎮守府であっても命令に従う必要はありません。聞きたいのですが鎮守府も大本営もレ級を沈めたいんですよね?それなら合同でやればいいじゃないですか」
「いえ、私たちと大本営の目的は合致してはいません。私たちは単独でやらせていただきます」
そういわれてもう赤城は諦めた。
確かに彼女たちは飛び抜けて優秀だが今回生き残ったおかげで他の艦娘もかなりの力をつけている。
失っても諦めがつくだろう。
「わかりました。ではいつ出発するのかだけ教えてもらえますか。補給船も止めねばなりませんので。あと提督はどうするんですか?」
「出発は1週間後を予定しています。・・・提督は私たちが連れていきます」
「そうですか。・・・上層部の連中には黙っておきますね」
「ありがとうございます、赤城さん。今までありがとうございました。では、さようなら」
神通は提督が座る車いすを押して船に乗り込んだ。
赤城が最後にみた神通の表情にはどこか吹っ切れたものがあった。
船を見送り赤城もその場を離れた。
大本営がトラック第一泊地がもぬけの殻であることに気が付いたのはそれから3か月たってからのことだった。
神通たちがどうなったか赤城は知ることはなかった。
最後に蛇足かもしれませんが「最終日+1」を投稿してこの作品を終わらせようと思います。
今まで読んでいただきありがとうございました。
時間は空きますが来年3月下旬にもしまだ書く気力が自分に残っていたらその際には最終日までの空白期間と赤城対レ級を書いていきたいと思います。
本当にいままで読んでいただきありがとうございました。
注:この話が最終話と思っていただいて構いません