どうも、今まで名前が出ることが一切ないまま亡き者とされてしまった提督です。
自分は瑞鶴たち第一艦隊が目の前で蒸発させられた時に大きな精神ダメージを受けてしまいました。
もともと人間にはそういう機能でもついていたのでしょうか、よくわかりませんがとにかく自分は肉体から追い出されてしまいました。
世間ではこれを幽体離脱と呼ぶのでしょうか。
しかし今自分が認識していることとしては肉体に戻る術がまったくないということです。
分かりやすくまとめると
①精神ダメージを受ける
②発狂しそうになる
③肉体が自らの危機を察知
④使い物にならなくなった魂を肉体から射出
⑤肉体は心臓を動かす以外には特にできなくなった
⑥魂は漂流
⑦できることなにもなくてヒマ
うん、状況がよく呑み込めました。
漂流していると書きましたが自分の意志で移動することはできます。
おかげで海軍慰霊祭にも気づかれていないけど参加できました。
大本営もどうやら攻撃を受けたみたいですね。
建物もかなり減っていました。
だからってあんな暑い日に慰霊祭を外でやらなくてもいいのにね。
久しぶりに肉体を見たけどもう戻れないかもなあ。
あんなに痩せていたら戻ってもすぐに死んでしまうよ。
赤城を見たよ。
久しぶりだから声をかけたかったけど声帯がないから話せなかったよ、でも赤城はなんとなく僕の気配を感じたみたいだね。
彼女もいろいろ考えているみたいだし少将君の後ろでもついて行ってみようか。
この前の襲撃で上層部はかなりやられたみたいだね。
さすがに直属の艦娘を揃えている人たちは健在みたいだ。
彼らが全員消えてしまったらこの国はすぐに深海棲艦に潰されるからね、よかったよかった。
神通・・・なにか深刻そうな顔してるね。
彼女にはもうちょっと肩の力を抜いてほしいんだけどな。
ん、赤城と話してるね。
なになに・・・いやなに言ってるの君たち。
勝手に人を死人みたいに言わないでよ、確かにほとんど死んでいるようなものだけどさ。
正直特攻なんてやめてほしい。
ただ、僕が彼女の立場だったとしてもやっぱり同じ決断をしていただろう。
・・・僕は彼女たちの最後を見届けなければならない。
3日後ついに出航した。
60人の艦娘に工廠長たちもついていくようだ。
神通や鳳翔たちの肩に乗っている。
レ級は見つかるのだろうか、いや見つからないと彼女たちは無駄死にだ。
見つかる。
5時間ほど航海したとき艦隊に動きがあった。
輪形陣を解き3つのグループに分かれた。
彩雲から連絡があったのだろう。
開発には執心しておいてよかった。
神通のグループについていくことにした。
艦隊のはるか先にいた。
多数の深海棲艦を引き連れ彼女は水面に浮かんでいた。
戦艦レ級改flagship
既に艦載機は上空で待機していた。
こちらも艦載機を発艦させた。
しかし今回の出撃では空母は鳳翔、龍驤、瑞鳳の3人しかいない。
そして各グループに1人空母を配置している。
つまりこの艦隊にはいま鳳翔しか空母はいない。
鳳翔が発艦させたのは烈風改30機と流星改12機。
そしてこれはただの流星改ではない。
今回のために本来天山に乗っている腕利きの友永隊に搭乗してもらっている。
鳳翔はすべての機体を敵艦隊へ向かわせた。
直衛隊すら残さないのか。
艦載機が目標に向かうのと同時に20人はバラバラに散り突撃していった。
わずか5分で決着はついた。
戦いとすら呼べるものではなかった。
レ級たちは自軍の艦載機のうち1/3を送ってきた。
流星改はおろか烈風改ですら軽々と食い破られてしまった。
そして艦爆、艦攻が次々と投弾していった。
1人の艦娘に対し約50機の敵艦載機が相手となった。
よけきれるはずもなく次々に被弾していった。
奇跡的に突破できたのは神通、時雨、夕立、鳳翔の4人。
鳳翔は壁となるつもりなのだろうか、先頭を走っている。
彼女たちの眼前にはすでに戦艦棲姫や装甲空母姫が迫っている。
時雨と夕立がホーミング魚雷を放ったがすぐさまイ級が身を挺して庇ったためにダメージを与えることはできなかった。
「・・・少しだけ時間を稼いでください」
神通を守るべく3人が突撃した。
神通が顔を上げた時にはもう3人の姿はなかった。
残されていたのは夕立がいつもつけていたマフラーだけだった。
「まだ・・・まだこの神通は沈みません!」
神通はハープーン対艦ミサイルをすべて放った。
その直後彼女の意識は暗転した。
・・・。
手塩にかけて育ててきた娘たちの沈む姿を見るのはやはり辛い。
三方向から突撃し少しでも敵艦載機を分散させようとしたのだろうが数があまりに多すぎた。
神通のハープーンは全弾命中。
戦艦棲姫3体、装甲空母姫1体を撃沈という大戦果をあげた。
しかしもう意味はない。
その戦果を伝える者ももういないのだから。
60人の撃沈を確認し深海棲艦は引き揚げていった。
戻ろう。
そう思い鎮守府へ向かうことにした。
鎮守府からおよそ5キロ離れた海上で煙が確認できた。
煙は鎮守府の方角から立ち昇っていた。
まさかな・・・。
鎮守府に辿りつくと待っていたのは劫火だった。
鎮守府のすべての建物から火の手が上がっていた。
全てが消えるのに3日かかった。
建物は一切残っていなかった。
原因はすぐに分かった。
神通たちが時限爆弾を仕掛けていたのだ。
よく考えればすぐに分かったことだ。
彼女たちが沈んだ後誰が自分の肉体の面倒を見るのか?
恐らく大本営の人間に渡したくなかったんだろう。
彼女たちの最後の優しさを感じることができた。
気が付けば涙が出ていた。
肉体なんかもうないのに。
戻ることにした。
自分のもとで育った艦娘はもう赤城しか残っていない。
彼女を見届けることにしよう。
そうして大本営に戻り赤城を見守ること半年。
異変が起きた。
突然体が引っ張られる感覚を覚えた。
次の瞬間には魂は吸収されていた。
提督の魂が吸収されてから6時間後、1人の新たな艦娘が誕生した。
「五航戦、瑞鶴出撃よ!」
う~ん、やっぱりいらなかったかな?
どうでしょうか、これ。
まあ、書いちゃったものは仕方ないですね。
さて、これで完結となります。
まだこの話を読んでやろうという素晴らしいお方は3月くらいまでお待ちください。
もしかしたら戻って来るかもしれませんから。
ほんとうに今までありがとうございました
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