人間失格呪霊合格堕胎信仰グッドバイ 作:血屋
吉野順平にとって世界とは虚像の塊である。
授業で習う一般道徳、インターネットで調べたら出てくる世の中の理、全ては彼女の前では嘘っぱちだと純平は思考する。
始まりは高校に入った時のこと、自己紹介の時間でそれは起きた。
「カエデです。よろしくお願いします」
美しい少女の自己紹介、クラスの男子がざわついているのを横目に順平は帰ってから見る映画について考えていた。
その時だった、大きな音が教卓の方から聞こえたのだ。
見ればカエデと名乗った少女が教師の頭を教卓に打ち付けているではないか、あまりにイカれたその光景に順平は失禁してしまいそうになった。
だが、彼自身何故かわからなかったが───あとから考えればこれもカエデさんの力なんだろう──何故か落ち着いてしまったのだ、目の前で人が殺されかけているというのに。
怖かった、恐ろしかった、そんな非道ができるカエデさんが恐ろしかった。だから逃げてしまいたかった、だから急いで駆け出したんだ、上履きは脱げるのも気にしないで。
だけど、その瞬間ある事を疑問に思ってしまった。
「どうしたんじゃ?吉野も見ていかんのか?」
「は、え、は?───って早く警察を呼ばないと!天内さん携帯持ってる⁉︎」
それは一種の現実逃避だった、なんでもないことのように人殺しを見物しているあ天内さんという現実を受け入れずに僕は警察を呼ぼうと提案してしまったのだ。
「警察?なんでそんなもの呼ばなきゃいかんのじゃ。それより見よ、『教卓叩きつけゲーム』もいよいよ終盤だぞ。今度こそハイスコアが出せると良いと妾は思うのじゃ」
意味がわからなかった。
いきなり始まった人殺しをゲームだという天内さんも、ぐちゃぐちゃになった教師の頭蓋骨を変わらず叩きつけるカエデさんも
なにもかもが。
訳がわからなくなって、とにかく逃げたくて教室のドアを開けようとしたけれど、どうしても開かなかった。
順平はとにかく怖くなって、ふらふらと歩いて、窓から外に逃げた。
ここが三階だということを思い出したのは飛び降りた後だった。
「あ、死んっ」
死んだと思ったのだけれど、何かが僕のクッションになっていたので平気だった、
よく見ればそれはクラゲのような物体だった。
キャパオーバー、順平は混乱のあまり倒れた。
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あの日から。クラゲだけが僕の味方だ。
母も友人も全てはカエデさんの思うがままにおかしくなってしまった。
だから、僕は…………
「やぁ、吉野くん。私は羂索と言うんだけど……」
その日、僕は運命に出会った。