俺様勇者と武闘家日記   作:星海月

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2023/10/20 文の見やすさ等、修正しました。


第1部 アリアハン〜いざないの洞窟
勇者との出会い


 

 ここは、アリアハンの城下町にある酒場。

 

 冒険者たちの間ではけっこう有名で、「ルイーダ」という女の人が一人で切り盛りしていることから、仲間内では「ルイーダの酒場」と呼んでいる。

 

 いつもこの時間は閑散としている店内なのだけれど、今日は昼間なのにもかかわらず、多くの人でごった返している。

 

 それもそのはず、実は今日、勇者が旅立ちの許可をもらう日なのだった。

 

「はぁ……。まだ来ないのかな……」

 

 ひときわ目立たないカウンターの一番隅のほうで、すっかりぬるくなってしまったホットミルクをちびちびと飲みながら、私は一人ポツリとつぶやいた。

 

 別に好きでホットミルクを飲んでるわけではない。カウンターに座った途端、酒場の女主人さんからサービスってことでご馳走された。

 

 やっぱり髪を二つわけにして三つ編みにしてるからだろうか。もともと年齢よりも幼く見えるため、余計子供っぽく見られるらしい。

 

 自己紹介が遅くなってしまったけれど、私の名前はミオ=ファブエル。なぜ私がこんなところにいるのかと言うと、『勇者』に会って彼の仲間にしてもらうのが目的なのだ。

 

 もちろん何の力もないただの女の子が『勇者』の仲間になれるわけがない。そのために私は、「武闘家」として今まで毎日修行を続けていた。ただ、服装もそれなりに武闘家っぽい格好をしてきたんだけど、やっぱり普段の稽古着とは違って着慣れない。それが返って幼さを引き立たせているのかもしれない。

 

 ともあれ今の私の心情は、暢気にミルクを飲んでいられるほど穏やかではなかった。

 

 半月前、アリアハンとは遠く離れたカザーブから、はるばるここルイーダの酒場に来たのだけれど、ここに来るまでも戸惑いばかりで、さっきからあたりを挙動不審気味に見回しているのが自分でもわかる。

 

 なにしろ今まで修行のほとんどを自身の能力を高めるための武術に費やしてきて、旅に必要な知識や土地勘、魔物との戦い方などをまったくといっていいほど知らなかったのだ。

 

 しかし酒場にいるほとんどの冒険者……要するに私以外の冒険者は、あちこちを旅して手ごわい魔物と戦ってきた、歴戦のベテラン冒険者ばかり。私は思わずため息をついた。

 

 そもそもなぜ私を含め大勢の冒険者がこの酒場に集まっているのかというと、つい先日、ここアリアハンより世界を滅ぼそうとたくらむ魔王を倒すため、一人の勇者が旅に出るという噂が広まったからだ。

 

 噂はやがて真実となり、それを聞いて共に魔王を打ち滅ぼそうと決起する歴戦の冒険者たちがここに集まるようになったのだ。

 

 だが魔王は仮にも世界を滅ぼそうと計画しているだけあって、その強さは計り知れない。

 

 現に十数年前、オルテガと言う一人の屈強な男が、無謀にも単身魔王に挑んでいった。だが死闘の末、彼は魔王の城に程近いネクロゴンドの火山で消息を絶ち、今も行方知れずとなっている。

 

 そしてそのオルテガの一人息子が、何を隠そうアリアハンの勇者なのである。

 

 噂では剣術はもちろん、魔法の使い手としても相当の実力者だと聞いている。ルイーダさんの話によると、レベルは30をとうに越えてるとか。父であるオルテガが成し得なかった偉業も、彼なら達成できるのではとさえ言われている。

 

 だがたとえレベル30の勇者でも、単身外に出てしまってはさすがに危険だと配慮し、ここルイーダの酒場で仲間を集めよと、数日前に命じたのだ。

 

 その影響は予想以上にすさまじく、自分も是非勇者とともにパーティーを組みたいと、たくさんの冒険者が酒場に集まってきた。

 

 もともとアリアハンは鎖国状態が続いており、他国との交流はほとんどないといっても過言ではないのだが、今回は特別に冒険者のみの立ち入りを一日だけ許可したのだ。

 

 かく言う私もポルトガに来ていたアリアハン行きの船に、ちゃっかり乗ることができた。もう本当に、奇跡のタイミングとしか言いようがない。

 

 そもそも勇者の仲間になるためにはまず、カウンターにいるルイーダにいまのレベルと職業を登録してもらうのだが、ここにいるほとんどの人がレベル10以上。

 

 そして私のレベルは「1」。……誰が見ても、私をパーティーに入れるなんて足手まといの何物でもない。

 もちろん自分でも、勇者のパーティーに入れてもらえるなんて無謀なことだとはわかっている。

 

 でも、足手まといだろうと何だろうと、私は勇者の仲間になりたいのだ。

 

 村にいたとき、遠いアリアハンから勇者のうわさを聞いて、私はすぐにその人に憧れを抱いた。

 

 少しでもその人に近づきたくて、武術を習い始めた。

 けど、いくら努力しても才能には勝てなくて、結局最後まで師匠にほめられることはなかった。

 

 家族の反対もあったが、私の熱意に根負けしたのか、最後には皆笑顔で見送ってくれた。

 

 ここまででもかなり無謀なことをしてきたんだから、もしかしたらなんとかなるかもしれない。私はそういう性格なのだ。

 

 そんなことを考えていると、戦士風の男の人が勢いよく酒場に入ってきて、他の仲間に向かって大声で叫んだ。

 

「おい! とうとうあの勇者が旅立つことになったらしいぞ!!」

 

 その一声に、店内の空気は一瞬にして期待と緊張の入り混じった高揚した雰囲気に包まれた。

 

 これ以上の奇跡はないだろう、いやでももしかしたら本当に仲間になれるかも、と頭の中で何度も考えを巡らせながらコップに入っているミルクを無意識に揺らしていたとき、次第に酒場の外が騒がしくなった。

 

「勇者だ! 勇者がやってきたぞ!!」

 

「いよいよ旅立つのね!!」

 

「絶対魔王を倒してこいよ!! でも無理すんじゃねーぞ?」

 

「バーカ。ユウリに限ってそんなことあるかよ。なんたってあいつは、この世界を救う英雄なんだぜ!!」

 

 酒場の外から、次々と歓声が聞こえてくる。

 

 町の人々も、勇者の旅立ちを今か今かと待ち望んでいたらしく、次々と声援を送っている。

 

 私は我に返り、その反動で持っていたコップをひっくり返してしまった。それでも心臓の鼓動は早くなるばかりだ。

 

 そして酒場にいた冒険者たちも、一気に色めき立つ。

 

「いよいよ、勇者とともに旅立つときが来たようだな!!」

 

「へっ、なに図々しいことぬかしてんだよ。レベル8のくせに生意気なんじゃねーの? 入るのはレベル12であるこの俺が……」

 

「そりゃこっちのセリフだ!! 俺なんかザオラル覚えてるんだぜ」

 

「なんだとっ!!?? オレなんか会心の一撃が……」

 

 と皆がざわめく中、ふいに、扉を開ける音が聞こえた。

 

 音のした方へ振り向くと、そこには扉の前で悠然と立っている、一人の少年の姿。

 

 黒い髪に鳶色の瞳。細身だが体つきはしっかりしており、戦士風の装備を身に着けている。私と同じ16歳の男の子らしいが、その立ち姿からしてとても同い年とは思えないほど落ち着いた雰囲気を醸し出している。鼻筋の通った端正な顔立ちをしているが、よく見れば年相応に見えなくもない。

 

 そして額には、蒼く輝くブルーサファイアを埋め込んだ、サークレットが飾られていた。

 

 まちがいない、彼こそが勇者だ、と誰もが思った。

 

 彼は、一通り辺りを見回したあと、正面を向いて言った。

 

「これから旅に出るんだが、誰か仲間になってくれないか?」

 

 あっさりと、だがきっぱりとした言い方だった。表情はまったく動いていない。

 

 しかしその言葉を聞いた途端、酒場にいた冒険者たちが、まるで海岸に寄せる波のように、一斉に勇者に詰め寄ってきた。

 

「君があの有名なオルテガの息子さんか~。いやあ噂には聞いているよ。この年でレベル30なんだって?」

 

「勇者様には及ばないが、実はオレも武闘家の道を極めててさ、グリズリーなんか一発で気絶させるぐらいのことは出来るぜ」

 

「私これでも炎の上級魔法とか覚えてるから、仲間にするにはうってつけよ!」

 

「何言ってるんだ。旅に必要なのは特殊技能を持つ盗賊だ。怪しい所は必ずチェックして見せるぜ」

 

 などと、口々に自分をアピールしながら詰め寄る冒険者達。その迫力に圧倒された私は、いまだにこぼれたミルクのそばでぼーっと突っ立っていた。一方勇者の方はというと、これだけの人々にもみくちゃにされながらも、顔色一つ変えず平然と構えている。

 

 無表情でいることしばし。やがて、初めて勇者の口が開いた。

 

「とりあえず、俺よりレベルの低いやつは今すぐ消えろ。あと金のないやつも消えろ。見た目が暑苦しいやつは問題外だ。それでも自分に自信があるやつだけ残れ」

 

 …………………………。

 

 一瞬にして沈黙。そしてとどめの一言がさらに場を凍りつかせた。

 

「聞こえなかったのか? どいつもこいつも頭の悪いバカばっかりじゃないか。そんな奴らしかいないのなら、全員俺の仲間になる資格なしだな」

 

『……………………』

 

 それはまるで水を打ったかのような静けさだった。

 

「……ユウリ。そんな厳しい条件、誰も飲めないよ」

 

「ふん、勇者の仲間になるやつならそれくらいの条件が飲めるやつでないと認めん」

 

 隅のカウンターで、あきれたようにため息をつくルイーダさん。

 

 その言葉が口火を切ったのか、途端に店内の空気が爆発した。

 

「ふ、ふざけるな!! 俺たちを馬鹿にしてるのか!!??」

 

「勇者だからって、ちょっと生意気じゃない!?」

 

「ホントにこんな性格悪いのが勇者なのかよ!!」

 

 さっきとはうって変わって、怒号と罵声に包まれる店内。中にはいままで酒を飲んでいたのか、酔ってテーブルをひっくり返したりする人も出てきた。

 

「ふん、急に手のひら返したように態度変えやがって。だから口先だけの奴は嫌いなんだ。もうここにいるやつら全員まとめて国へ帰った方がいいだろ」

 

 その言葉に完全にぶちきれる冒険者一同。

 

「誰がテメーの仲間になんかなるか!!」

 

「だったらてめえ一人で魔王の城に行けや!!」

 

「俺たちを誰だと思ってんだ!! 泣く子も黙る疾風の……」

 

「くっ……私を仲間にして置けばよかったと後悔すればいいわ!!」

 

 わけのわからないことを口々に叫びながら、冒険者たちは怒り心頭で酒場のドアをくぐり出て行った。

 

 店に残ったのは、勇者―――ユウリさんと酒場のルイーダさんと……私のみ。

 

 というか、あまりにも突然の言動で、あっけに取られていて動けなかっただけなんだけど。

 

「ふう……。やっぱりああいうレベルの高い冒険者様には、ユウリの態度は耐えられないみたいね。せっかくの王様のご好意を無碍にして、どうするつもり?」

 

「ふん、知るか。あいつらが俺のペースに合わせられないようならかえって足手まといなだけだ」

 

 ルイーダさんはあきれたようにため息をついた。すると、私の姿が視界に入ったらしく、少し驚きながらも声をかけてきた。

 

「あなたは、どうするの?」

 

「あ、えーと、その」

 

 私が返答に困っていると、にらみを利かせた勇者がこちらに近づいてきた。

 

 どうしよう。ものすごくにらんでる。

 

 私はびくびくしながらも、へんな対抗意識が芽生えて思わず睨み返した。だが、相手はまったく意に介することなく私を物珍しそうに眺め回した。そして、なぜかため息をついてつぶやいた。

 

「……残念な奴」

 

 残念!? 残念って何!!?? ほかの人と明らかに呼び名が違うんだけど!? それ見た目のこと言ってんの!? あるいは冒険者として残念ってこと!?

 

 私が心の中で軽くテンパっていると、相手はくるりと背を向けて、女主人さんとなにやら話し始めた。

 

 うわ、すっごい感じ悪い。

 

 私は、今までの勇者像とあまりにかけ離れた現実の勇者に、軽いショックを受けていた。

 

 同時に、故郷であるカザーブからポルトガを経由して、はるばるアリアハンまで来るまでの自分を、走馬灯のように思い返していた。

 

 すると、奥のテーブルの物陰から、かたん、と物音が聞こえた。

 

 ユウリさんもそれに気がついたらしく、再びこちらに向き直る。

 

「ルイーダ。この鈍くさい女のほかにもまだ人はいるのか?」

 

 鈍くさい……。私は心に10のダメージを受けた。

 

 ルイーダさんも、首をかしげる。

 

「さあ……。何しろ今まで店が埋まるほど人がいたから。……あ」

 

 何か思いついたように、ルイーダさんは声を上げた。と同時に、がたーん!!と、例のテーブルがひっくり返された。

 

 ひっくり返したのは、顔中真っ赤にしたバニーガール姿の金髪の女の子。

 

 たぶん酔っていなければ、かなりかわいい部類に入ると思う。色白で華奢なその身体は、バニーガールよりは白いドレスのほうが似合う気がする。

 

「ねー、ルイーダのおばちゃーん!! お酒もうないのー?」

 

 小柄な身体に似合わずかなり大きな声で、その子はルイーダさんにお酒を要求した。

 

「だれがお○ちゃんよ、だれが!! てーかなんであんたまだここにいるのよ!! とっくにツケ払ってこの国出たのかと思ったわよ!!」

 

「……なんだあいつは」

 

 ユウリさんが横で静かにつぶやいたのが聞こえた。

 

 バニーガールの女の子は女の子で、マイペースに歌なんか歌っちゃってる。この子よっぽどお酒が好きみたい。私より年下に見えるけど。

 

「……このウサギ耳も俺の仲間になりたいと思ってここに来たのか?」

 

「いーえまったく無関係。あの子3日前にここにふらりとやってきては、毎日朝から晩までお酒飲んで店に入りびたり。しまいには店中のお酒飲みまくるもんだから一回強制退去させたんだけど、まさか忍び込んでくるとはね……」

 

 そこまでして飲みたいんだ、お酒。しかもまだ飲み足りてないみたいだし。

 

「あ、そうだユウリ、あなたあのバニーガール連れて行きなさいよ。たぶんあの子戦力になると思」

 

「ふざけるな。なんでよりによってあんな悪酔い女をつれて魔王を倒さなきゃならないんだ。結局厄介払いだろそれ」

 

 ルイーダさんの提案をコンマ一秒で一蹴するユウリさん。だがルイーダさんも負けていない。

 

「何言ってるの! 昔からバニーガールはいずれ立派な戦力となる、ってどこかの誰かが言ってたような気がしないでもなくもないわ」

 

「結局どっちだ! 冗談じゃない、こんな奴連れてくんだったらまだこいつのほうがましだ!!」

 

 といって、私のほうを指差す勇者。

 

「なーんだ、それなら安心ね。なんかその子ならあのバニーガールの面倒見てくれそうだし、ちょうどいいじゃない。両方仲間にすれば、両手に花よ♪」

 

「な、ちが……」

 

「ねえ、そこのおチビちゃーん! ここにいる勇者様があなたの酒代全部おごってくれるってー!!」

 

「え!? ホント!!??」

 

「ふざけるな!! そんな約束俺は……」

 

「わーい、わーい!! ありがとー!! やったぁ超ラッキー!!!!!!」

 

 そういうと、ユウリさんに近づき、彼の周りをぴょんぴょん跳びはじめた。けれど彼は、それをうっとうしそうに追い払おうとしている。

 

「あーもう、邪魔だ!! こんな奴ら連れて行くんだったら俺は一人で行く!!」

 

「だめよ、お城の兵士に言われたんでしょ!? 『あなたのようなひねくれものの性格の人は仲間が必要ですよ』って」

 

 ルイーダさんがぴしゃりと言い放つ。今の言葉はユウリにも堪えたらしい。

 

「……お前、その情報どこから……」

 

「ふ、酒場のルイーダを侮らないでよね。これでも王室御用達なんだから」

 

「まったく理由になってないだろうが!!」

 

 ぎろっとルイーダさんをにらむユウリさん。そこで、再び彼と目が合ってしまった。

 

「なんだお前。まだいたのか。武闘家の格好をしてるがどうせレベル1か2なんだろ? そんな奴に用はない。とっとと自分の国に帰れ」

 

 うっ……。レベルまであたってる……。

 

 でも、そこまで言われて、はいそうですかと帰れるほど、私は大人じゃない。性格はどうあれ、この人は本物の勇者なのだ。ここで食い下がらなければ、もう二度とチャンスはない。

 

「あの!! 私、本当に戦力外だし、たぶんここにいるのも場違いだと思うけど、ユウリさんの仲間になるためにここまでやってきたんです!! お願いです!! ユウリさんの足手まといにならないようにがんばるんで、仲間にしてください!!」

 

 そういって、私は頭を思い切り下げた。

 

 ユウリさんはさすがに面食らったような顔をしていた。私なりに精一杯の誠意を表したつもりだったんだけど、かえって逆効果だったかもしれない。

 

「あなたも隅に置けないわね。こんなかわいい女の子からアプローチされるなんて」

 

 隣でルイーダさんがひやかすように言った。そういうつもりで言ってるわけじゃないのに……。

 

 なんとなく気まずい雰囲気が流れるのを感じて私は俯いてしまった。すると急に、

 

「……お前、変な奴だな」

 

「え?」

 

 ユウリさんが、無表情のままぽつりと言った。

 

 私ははじかれるように顔を上げる。

 

「自分から『戦力外』だの『足手まといにならないように』だの言って、どんだけレベル低いんだお前は」

 

「えー、あ、いや、だって事実だし……」

 

「お前、名前は?」

 

 いきなり言われたので、しばらく思考が回らなかった。

 

「なまえ……。あ、えっと、ミオです。ミオ=ファブエル」

 

「ふん、俺はユウリだ。ユウリ=ゼパス」

 

 それっきり沈黙。

 

「あ、あのー……?」

 

 もしかして、仲間として認めてくれたってこと……かな?

 

「早速だが、お前の仕事だ」

 

 そういっておもむろに私のところに何かを差し出した。よくみたらいままでユウリの周りを飛び跳ねていた女の子だった。私は驚いて思わず後ずさる。

 

 なにしろ、女の子の首根っこをつかんでいるのだ。普通女の子には絶対やらない行為だと思う。

 

「えーと、仕事って?」

 

「お前さっきの話聞いてなかったのか。こいつの世話がお前の仕事だ」

 

 せ、世話って……!! 人を犬か猫みたいに……!!

 

「む~っ。『こいつ』じゃなくて、シーラだよぅ!」

 

 ユウリさんの性格は、『ひねくれもの』だけでくくってはいけないような気がする。

 

 ともあれ私は、バニーガール(?)のシーラちゃんとともに勇者の仲間になるという悲願がかなったのであった。

 

 叶ったのはいいんだけど、これでよかったのかなぁ……?

 

 ふとシーラちゃんと目が合う。彼女はきょとんとして私を見たが、すぐに笑顔で返し、

 

「あなたもお酒代払ってくれるの?」

 

 と、キラキラした笑顔でいきなり問題発言を浴びせてくれた。

 

 こ、この二人と一緒に魔王を倒すってこと……?

 

 ……私は早々と、この先の旅の未来を不安に思った。

 

 

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