俺様勇者と武闘家日記   作:星海月

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サマンオサの夜明け

 

『ギャアアアアアアッッッッ!!!!』

 

 魔物の断末魔が、お城の最上階にある寝室に響き渡る。それは魔物に支配され、長年闇に覆われたサマンオサの空を打ち破るかのようでもあった。

 

「おい見ろ! ボストロールが……」

 

 近くにいたナギが、視線の先にいる一匹の魔物を指差す。ユウリの放った閃光の斬撃によって斬り伏せられたボストロールの身体が、紫色の血飛沫を上げながらその場に崩れるように倒れた。それきりボストロールは動かなくなり、やがて魔物の身体は禍々しい障気を放ちながら、みるみるうちに溶けて行く。

 

「やった……!! ボストロールを倒した!!」

 

 今度こそ本当に、ボストロールを倒したんだ!!

 

 私は嬉しさのあまりナギと抱き合いながら、戦闘に勝利したことに歓喜した。

 

「やったあぁぁ!! 私たち、魔王軍の四天王ってやつに勝ったんだ!!」

 

「そーだぞ!! 四天王がどんなのか知らねえけど、勝ったんだぞオレたち!!」

 

 四天王の情報が曖昧なままだが、私たちはおそらく今まで出会った中で一番強いと思われる魔物に勝つことが出来た。この例えようもない喜びに、私とナギはお互いを誉め称えた。

 

「自らの無知さをひけらかして恥ずかしくないのかお前らは」

 

「いたたたた!!」

 

「いててて!! 髪を引っ張んな!!」

 

 いつの間にかユウリが、私とナギの髪の毛を引っ張りながら私たちの間に現れた。けど今は彼のそんな行動に目くじら立てるより、一緒に喜びを分かち合いたい気持ちの方が強かった。

 

「ユウリも最後の攻撃、かっこよかったよ!!」

 

「……ふん。当然だ」

 

 そっけない態度ではあるが、照れているように見えるのは気のせいではないはずだ。

 

「そういや、ルークの奴は無事なのか?」

 

「そうだ、シーラ!!」

 

 ナギの言葉に、私は部屋の端でずっとルークの治療を続けているシーラに目を向けた。彼女は横たわるルークの前で何やら祈りを捧げている。

 

「シーラ!!」

 

 私が駆け寄ると、目を瞑っていたシーラは近づいてきた私に反応し、目を開けてこちらを向いた。その表情には、疲れの色が滲んでいる。

ま、まさか……。

 

「ミオちん……。とりあえずるーたんは無事だよ。傷はふさがったから、あとは意識が戻れば大丈夫」

 

「ホント!? よかった!!」

 

 ルークが無事だとわかり、私はほっと胸をなでおろす。後から来たナギとユウリも、ルークの容態を見て一安心したようだ。

 

「それにしても皆、すごかったね!! まさか三人であの魔物を倒すなんて、びっくりしたよ!!」

 

「へへ。シーラもルークのことを看てくれてありがとう。シーラがいたから、私も安心して戦うことが出来たよ」

 

「賢者だもん。そのくらいのことはしないと、お祖父様に怒られちゃうよ♪」

 

 そう言ってシーラはぺろっと舌を出した。そんなシーラのいつも通りの仕草に、私はつい笑みをこぼす。

 

「う……」

 

 そのとき、ルークの目蓋がピクリと動いた。

 

「あ、気が付いたみたい!」

 

 シーラの声に反応したのか、そのままルークは目を開けた。起きたばかりだからか、視線だけをキョロキョロと動かしている。

 

「ルーク!! 無事でよかった!!」

 

 私はルークに詰め寄ると、彼の手を両手で握りしめた。凍ってるのかと思うくらい冷たくなっていた彼の手に驚きつつも、無事に生きていてくれたことに安堵する。

 

「あれ……、ボストロールは……?」

 

「あいつなら、私たちが倒したよ!!」

 

「え……!?」

 

 私の言葉に半信半疑なのか、ルークは何度も部屋の中を見渡す。それでやっと納得したのか、私に向き直り大きく息を吐いた。

 

「本当に……、君たちだけで倒したんだ……。すごいね……」

 

 茫然とするルークに、私は鼻を高くする。あんな強い魔物を倒したんだ、きっとルークもこれ以上私のことを子供扱いしないだろう。

 

 だが、私の期待していた反応とは裏腹に、ルークはがっかりした様子でため息をついた。

 

「はあ、せっかくミオを守るって決めたのに、自分だけやられるなんて、情けないなあ」

 

「何言ってんの! ルークがシーラを守ってくれたから、危険な目に遭わずに済んだんだよ?」

 

「そうそう、るーたんはあたしの命の恩人なんだからね! ちょっとお腹が千切れかかってたけど!!」

 

『そうだったの!?』

 

 シーラの衝撃発言に、私のルークの声が見事にハモった。

 

「あー、ごめんごめん。ちょっと盛ってた」

 

 そうは言うが、けして軽い怪我ではなかったはずだ。そんな状態だったのに、シーラはルークが動けるほどにまで回復させたのだ。改めて、彼女の賢者としてのすごさが理解できた。

 

「ふん、結局一般人がここに来るべきじゃなかったってことだ」

 

 せっかくの和やかな雰囲気に横槍を入れたのは、言うまでもなくユウリだ。トゲのある彼の言い方に、温厚なルークの眉根がぴくりと上がる。

 

「ユウリ!! そんな言い方するなんて酷いよ!! ルークだってあいつを倒すために……」

 

「いいんだミオ。彼の言うとおりだ」

 

 そう言って、ふらつきながらもルークはその場から立ち上がる。

 

「僕がもっと強ければ、怪我なんてすることもなかった。君を守ると言っておいてこんな有り様じゃあ、これ以上言い訳なんて出来ないよ」

 

「るーたん、まだあんまり無理しないで。完全に傷が塞がったわけじゃないんだから」

 

 シーラが制するも、ルークは一人この場から離れようと歩き出す。

 

「治してくれてありがとう。僕は一足先に家に帰ることにするよ。ミオ、もしこの国を出るときは、一度僕の家に寄って欲しい。それじゃ」

 

「待ってルーク!!」

 

 彼の背中越しに呼び止めるが、彼が歩みを止めることはなかった。広い寝室に残された私たちの間に、微妙な沈黙が流れる。

 

「あーあ、陰険勇者のせいで拗ねちゃったぜ、あいつ」

 

 重い沈黙をぶち壊すかのように、ナギが皮肉交じりに言い放つ。そんな彼の皮肉にも、ユウリは全く動じてないようだった。

 

「ふん、どうでもいいな。それより鈍足、変化の杖はどうした?」

 

『どうでもいい』という言葉にカチンとしつつも、私はいつの間にか手に何も持っていないことに気づく。

 

「あれ? どこに置いたっけ?」

 

 辺りを見回すと、すぐ近くに杖は落ちていた。そういえばルークの手を握るときに、一度手放したんだっけ。

 

「この杖、きっとエドが作ったアイテムなんだよね。元の姿に戻りたいって言ってたし、返さないといけないね」

 

 三賢者でありこの杖の元々の持ち主であるエドは昔、ボストロールにその杖を奪われてしまい、さらにその杖で馬に変化させられてしまったのだ。以来ずっと馬の姿のまま、半ば人間に戻ることを諦めていた様子であったが、この杖を渡せばきっと喜ぶに違いない。

 

「ああ。この件が落ち着いたら、一度スーに行こう」

 

「ねえねえ! 一件落着したんだから、そのエドって子のこと教えてよ!」

 

 シーラが興味津々で尋ねてくるので、私は端的に説明した。三賢者と聞いたとたん、シーラの鼻息が急に荒くなった。

 

「ええっ!? お祖父様のほかにも三賢者が!? しかも馬!? 何それ超会いたい!!」

 

 どうやらシーラも乗り気のようだ。ジョナスにも久々に会いたいし、サマンオサを出たらすぐにスーに向かおう。

 

「なあ、ところでいつまでここにいるつもりだ? 早く本物の王様のところに行こうぜ」

 

 そうだった! ナギの言う通り、ボストロールを倒したことを、王様に伝えなければ!

 

 かくして、深夜の戦いは私たちの勝利で、幕を閉じた。まだ夜明けにはほど遠い時間だが、ようやくこの国に光が射すようになったのだ。

 

 

 

「陛下を騙る魔物は倒しました。もうあなたを苦しめる者はいません」

 

 私たちは、再び本物の王様がいる牢屋まで戻り、ボストロールを倒したことを伝えた。その知らせを受けた王様はベッドから起き上がると、歓喜のあまり咽び泣いた。

 

「そうか……。魔物を倒してくれて、本当にありがとう……。そなたたちのおかげで、再び玉座に就くことが出来た。……改めて礼を言わせてくれ」

 

 長年暗く不衛生な牢の中にいたせいで手足は痩せ細り、顔も土気色に染まっていた王様だったが、その瞳には一筋の光が灯っていた。

 

「陛下。玉座にお戻りになるのならば、私どもが最大限の手助けをいたします。何なりとお申し付け下さい」

 

「いや、これ以上そなたたちの手を借りるわけには行かない。このことは私自ら国民に説明する。魔物との戦いで疲れただろう、今日はゆっくりと休み、また城に来て礼をさせてくれ。本来なら我が城に招いて手厚く歓迎すべきところなのだが、このような状況下故、許してくれぬか」

 

「私共には身に余るお言葉です。それに私たちはいつでも陛下の味方です。何かあればすぐに馳せ参じます」

 

「うむ。その気持ちが何よりも心に響いてくる。我が国を救ったそなたたちは真の勇者だ。そなたたちのことは、私や子孫が後世まで語り継ぐだろう」

 

「ありがたきお言葉、恐れ入ります。ですが今は、私たちの名を広めるよりも、まずは国のことをお考えになった方が良いかと。この国には、魔物によって心身ともに苦痛を強いられた者が大勢いると聞きます」

 

「ああ、そうであったな。直近の課題は我が国を豊かにすること。それは国民に対しても同じであった」

 

「まずはお身体の方をご自愛なさってください。それと、このラーの鏡はお返し致します」

 

 ユウリはナギから渡されたラーの鏡を、王様に手渡した。

 

「何から何まですまない。この鏡も、もとは城の宝物庫にあったものだ。無事に帰ってくれて何よりだ」

 

「では、私どもはこれで失礼致します」

 

 そう言って恭しく一礼すると、ユウリはこの場から退出した。私たちもそれに倣って後にする。

 

 その後私たちはナギの案内で、もと来た地下通路へと向かった。

 

 外に出るといつの間にか空が白み始めており、東の空から太陽が顔を出していた。

 

 私たちは一先ず一度宿に戻って身体を休めることにした。

 

 余りにも早いチェックインに、私たちに叩き起こされた宿の主人は苦い顔をしたが、無理を承知で頼み込み、何とか四人分の部屋を取ることが出来た。

 

そして部屋に入って早々にベッドに潜り込むと、シーラと共にあっという間に眠りについた。隣の部屋の男二人も、物音ひとつしなかったところを見ると、こちらと同じような状態だったのかもしれない。とにかくお出掛け日和とも言える晴天の中、私たち四人はただひたすら眠り続けていたのだった。

 

 

 

「お~い、ミオち~ん。そろそろ起きよう~?」

 

 延々と身体が揺さぶられる感覚を心地よいと感じながら、私はゆるゆると目蓋を開けた。

 

「おはよ~、ミオちん。よく眠れた?」

 

 起きて最初に目に飛び込んできたのは、シーラの顔だった。ぼんやりした頭で目を擦るも、なかなか夢と現実の区別がつかない。

 

「あれぇ……? シーラって黒髪ショートじゃなかったっけ……?」

 

「何言ってんのミオちん!! そろそろごはん食べに行こうよ!! もう皆起きて待ってるよ!!」

 

 先程よりも強く揺り起こしながら、シーラが強い口調で叫ぶ。そこでようやく、私のお腹が鳴った。

 

「あ、確かにお腹空いたかも……」

 

 間抜けなことを言い放つ私にすっかり呆れた様子のシーラは、お手上げと言わんばかりに私から離れた。

 

「もう!! 先に皆で下の食堂に行ってるからね!!」

 

 珍しく怒った口調のシーラに、私はようやく夢の世界から離脱した。

 

 寝癖でぐしゃぐしゃになった髪の毛を手ぐしで整えながら、私はベッドから起き出した。

 

「うわあ……。もう空が赤いんだけど」

 

 それはつまり、丸一日寝てしまったということだ。こんなにたくさん寝たのは生まれて初めてだ。

 

 それはそうと、先ほどからしきりにお腹が鳴っている。ここ数日あまり食事らしい食事も取っていなかったので、空腹が限界状態に達してしまっている。これはまずいと思い、すぐに身支度を整え、食事をすませる準備をした。

 

 部屋を出て階段を降りると、すぐ傍に食堂が見える。食堂を覗くとシーラたちの他に客はいなかった。

 

「おはよう、もう皆ごはん食べた?」

 

 食堂に入り、丸テーブルに向かい合うように座っているシーラたちにまっすぐ向かうと、私は皆に声をかけた。

 

「何がおはようだ、寝坊女。もう夕方だぞ」

 

「ごめん、久々に皆がいて安心したから、たくさん寝ちゃったよ」

 

「久々っつっても、この国に来てから数日しか経ってねえけどな」

 

 言われてみればナギの言うとおりだ。けれど、体感的には一ヶ月くらい経っているように感じる。

 

「あたしたちはもう注文を済ませたから、ミオちんは好きなだけ料理を頼みなよ」

 

「え? そんなに贅沢して大丈夫なの?」

 

 好きなだけ料理を頼むなんて、旅がらすの私たちには滅多に出来ることじゃないはずだ。

 

 私の問いに、ナギは豪快に骨付き肉にかぶりつきながら答えた。

 

「ここの宿代と食事代は、全部王様が払ってくれるらしいぜ」

 

「そうなの!?」

 

「お前が惰眠を貪ってる間に、城からの使者が来て伝えてくれた。あと、明日の昼には城に行くからな」

 

「わ、わかった」

 

 さらにユウリがぴしゃりと言い放ったので、私はなるべく急いで食べることにした。

 

 その後、食事が来るまで皆でとりとめのない会話をしつつ、寝起きでボーッとしていた頭を少しずつ動かした。先に起きていたユウリとナギが町の様子を見に行ったとき、どうやらお城の方が騒がしかったらしい。きっと王様が国を建て直すために動いたのだろう。

 

「あの王様なら、きっとこの国も良くなるだろうね」

 

「おめでたい女だな。そうなるまでにどれだけの時間と労力がかかると思ってるんだ」

 

 私が上機嫌でそう言うと、水を差すようにユウリが答えた。相変わらず一言多い勇者である。

 

 そんな会話をしていると、何やら外が騒然としていることに気がついた。席を立ち、食堂の窓から外を覗いてみると、いつの間にか人だかりが出来ていた。

 

「宿屋の前に沢山人が集まってるよ!?」

 

「何?」

 

 私の言葉に、他の三人も窓の周りにやって来て窓越しに外を眺める。

 

「うわあ、ホントだ~☆ なんかのイベントかな?」

 

 などと他人事のように言っていた私たちだったが、次第に集まる人の視線が皆私たちに向けられていることに気が付いた。

 

「ねえ、もしかしてこの人たちって、私たちのこと見てない?」

 

「……もしかしなくても、そうだろう」

 

 すると、勢いよく扉が開かれるとともに、食堂に宿屋の主人が駆け込んできた。

 

「すみません!! ひょっとして皆様、先日王様に化けた魔物を退治してくださった方々ですか!?」

 

 あまりにも血相を変えてやってきたので、私たちは少し引き気味ながらも小さく頷いた。

 

「やはりそうでしたか!! いやあ、さっきお城の方で王様から発表がありまして、今まで玉座に座っていたのは自分に化けた魔物だとおっしゃってたんですよ。その魔物を倒したのがこの宿屋に泊まっているお客さんだと聞きまして、急いで確認しに参ったのです」

 

「あのー……、じゃあ外にいるあの人だかりは……」

 

「ええ、王様の話を聞いたこの町の人たちが、あなたたちのことを聞きつけてここにやってきたんでしょう。きっと魔物を倒してくれたあなたたちにお礼を伝えたいのだと思います」

 

 主人の言葉に、私たちは顔を見合わせた。どうやら私たちが眠っている間に、色んな事が起きていたらしい。

 

「随分と早い展開だな」

 

「ユウリちゃんの予想以上に、あの王様は国民思いなのかもね☆」

 

 王様の迅速な行動に、ユウリやシーラも感嘆の声を上げている。それだけサマンオサという国を元の平和な国に戻したいのだという、王様の強い願いを感じた。

 

「お礼を言いたいって言ってるけど、どうする?」

 

「そりゃあ、これだけの人が待っててくれてるんだし、行かないとダメじゃない?」

 

 ナギの問いに、私は当然のように答える。ユウリの意見も知りたいと視線を移すと、彼も目で頷いた。

 

 外に出ると、さらに人だかりは増していた。そして私たちの姿を見た途端、町の人たちは一斉にこちらに集まってきた。

 

「おお、あなた方が王様を救っていただいたのですね!!」

 

「ありがとうございます!! これで私たちの暮らしは良くなります!!」

 

「王様に化けた魔物を倒すなんて……、あなたたちはわが町を救った勇者です!!」

 

 皆疲れたような顔をしているが、どこか希望に満ち溢れた瞳をこちらに向けている。私たちがボストロールを倒したことで、町の人たちに希望の光を灯すことができたと考えると、本当に良かったと心底思えた。

 

「ふん。お前たちには俺が勇者だと名乗らなくともちゃんとわかっているようだな」

 

 相手から勇者だと称えられたユウリは、いつも以上に上機嫌になっている。

 

「へっ。別に一人で倒したわけじゃねえだろうが。調子のいい野郎だぜ」

 

 そんなユウリに対し、彼の見えないところでナギが一人ぶつぶつ文句を言っている。気持ちはわからなくもないが、ここはユウリの顔を立ててもいいんじゃないかな、と思う。

 

 すると、数人の子供がナギの方へと駆け寄ってきた。そして一列に並び、一人の子の合図で一斉に息を吸うと、大きく口を開けた。

 

『おにいちゃんたち。このくにをたすけてくれて、ありがとう!』

 

「へ!? え……、お、おう」

 

 たどたどしい声が重なる感謝の言葉に、柄にもなくナギが動揺している。もちろんナギだけではなく、傍にいた私やシーラにも同じ言葉を掛けてくれた。

 

「おねえちゃんたちも、ありがとう!!」

 

「ふふ、どういたしまして」

 

 こんなにかわいい子供たちに感謝されるなんて、なんて気持ちがいいんだろう。隣にいたシーラもまた、いとおしむような笑みを子供たちに向けている。

 

「良かったじゃない。ナギも勇者扱いされて」

 

 からかうように言うと、ナギは気まずそうに目を逸らした。

 

「ま、まあ、今回は全員で倒したようなもんだからな! 当然だろ!」

 

「あー、ナギちん照れてるー♪」

 

「うるせえ!!」

 

 ナギの言うとおり、今回はルークも含め、私たち皆の力で魔物を倒したのだ。ジパングのときのような後味の悪さもない。強くなるために努力したことが、やっと今実を結んだのだ。町の人たちの安堵した表情を眺めつつ、私は戦いに勝利した喜びを今更ながらに噛み締めたのだった。

 

 

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