俺様勇者と武闘家日記   作:星海月

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ロマリア〜シャンパーニの塔
旅の扉の向こうに


 濡れた草の匂い。ひんやりとした土が頬に心地よい。

 

 時折吹く涼風が、髪をくすぐってくる。

 

「っくしゅん!!」

 

 自分のくしゃみで、ようやく私は目を覚ました。

 

 ずるずると鼻をすする音が夜空に響き渡る。

 

「ここは……?」

 

 見上げると、空には無数の星がちりばめられていた。

 

 私はゆっくりと体を起こし、寝ぼけ眼で辺りをきょろきょろと見回してみる。旅の扉を通ったからか、なんとなくぼーっとしている。

 

「ユウリ、シーラ、ナギ、みんな大丈夫?」

 

「おーい、オレは無事だぞー」

 

 ナギの間延びした声が聞こえる。姿は見えないが、それほど遠くにいるわけではないようだ。

 

「ナギ、いつから起きてたの?」

 

「んあ? ああ、たった今、あんたのくしゃみの音で目が覚めた。つーかここどこだ?」

 

 言われて私は、改めて辺りを見回した。洞窟ではない。どうやら私たちは、草原のど真ん中にいるらしい。

 

「さあ……。わかんない」

 

 私は立ち上がり、ナギのところまで歩いた。ナギはその場に座り込んでいた。

 

「洞窟じゃないってことは、旅の扉を無事に通ったってことだよな? てことは、ここは別の大陸ってことか?」

「ん~……。たぶん、そうなんじゃない? ただ、どこの大陸にいるのか良くわからないんだけど」

 

 私も村の外に出たことなんてほとんどなかったし、地理の勉強だって、全くしてこなかった。こんなことなら、旅に出る前にちゃんと勉強しとけばよかったと改めて後悔した。

 

「あ、そうだ! シーラとユウリは!?」

 

「さあ? オレが倒れたところには二人ともいなかったけど」

 

 って、シーラはともかく、ユウリはナギが突き落としてしまったんじゃなかったっけ? 少しは責任を感じないのだろうか。

 

 それどころかナギは、懐からなにやら紙のようなものを出して、私に目もくれず、その紙をじっと見つめている。

 

 私はひとまず、後の二人を探すことにした。すると、いくらもたたないうちに、横に寝転がっているバニーガールの姿を見つけた。

 

「シーラ!!」

 

 シーラは、すやすやと安らかな寝息を立てて寝ていた。とりあえず起こすのは後回しにして、ユウリを見つけるのを最優先にした。

 

「ゆぅーりぃー!! どこにいるのぉーっ!!??」

 

 私は力の限り大声で叫んだ。だが、夜で視界が暗いせいで、なかなか見つけることができない。

 

 一人だけ変な落ち方しちゃったからかなぁ……?

 

 そう思うと、どんどん不安が膨らみ始めてきた。昔の人が使ってたんだし、おそらく命にかかわるようなことはないとは思うんだけど、姿が見えないとなるとやっぱり心配になってくる。

 

 さらに先のほうに進もうと、再び歩き始めたそのとき。

 

ぐにゅっ、という感触が私の足に伝わってきた。

 

「イヤ―――ッッ!!! なにこれ!!??」

 

 澄んだ夜空を切り裂くような叫び声。

 

 私はわけもわからず、ただただ喚いていた。

 

「どーした!?」

 

 ナギが驚いた様子でこちらに向かって走ってくる。

 

 私は恐る恐る下を見た。それは、大きな黒いわだかまりに見えた。

 

 けど良く見てみると――。

 

「って、ユウリ!!??」

 

 私が踏んでいたのは、探していた張本人、ユウリであった。とたんに顔がさっと青くなる。

 

 私は慌ててふんづけていた足を離し、しゃがみこんで彼の胸に耳を当て安否を確認した。

 

「よかった……。生きてる……」

 

 何しろ仰向けで寝ている人を思い切り踏みつけてしまったのだ。危うく人を殺めるところだったと、心の底から安堵した。

 

 だけど、なぜかユウリはぴくりとも動かない。あれだけの衝撃と悲鳴を受けて、声ひとつ上げないのもおかしい。

 

「ゆ、ユウリ、しっかりして!!」

 

 急いで揺り起こし、頬を叩いてユウリを起こす。闇夜の中なのではっきりとは見えないが、近づいてみると彼の顔は生気を失っているように見えた。まさか――。

 

「もしかして、踏みどころが悪かったとか!?」

 

「いやそれは違うと思うぜ」

 

 ナギが冷静に分析する。

 

「こいつのこの顔、さっきあんたが毒受けたときと同じような顔してるぜ。それに、何か必死に堪えてるような感じだ」

 

 ナギの言うとおり、ユウリは青ざめた顔で、うつろな目をしながら、何かを必死に我慢している。まるで、吐き気を抑えているような……。

 

「もしかしてユウリ、旅の扉に酔っちゃったの!?」

 

 私の言葉に、ユウリは一瞬ピクリと反応したが、すぐに元の具合が悪そうな顔に戻る。

 

 確かに旅の扉に入った途端、上下左右ひっきりなしに揺さぶられたような感覚だったし、私も少しくらくらしていた。

 

 ……ひょっとして、さっきユウリを起こすときに揺さぶったから、ますますひどくなったんだろうか?

 

 そうなると、こんなところでいつまでも寝かせておくわけにも行かない。責任を感じた私は急いでシーラを起こし、近くに町がないか探し回ることにした。

 

「とは言ってもなぁ……。ここがどこだかわかんないことにはうかつに動き回るわけにも行かないし、ユウリがこんな状態じゃ、あんまり遠くにはいけないし……」

 

 私は焦りつつも、何かいい考えはないかと考えあぐねていた。ふと目をやると、隣にいるナギの手に持っている一枚の紙に気づく。

 

「ねえ、ナギ。さっきから気になってたんだけど、その紙いったい何?」

 

「さあ? よくわかんねえけど、さっき洞窟の入り口を通るときに、途中で宝箱が置いてあってさ、ついつい開けちゃったんだよな。そしたらその中に、こいつが入ってた」

 

 そう言って、私にそれを見せる。見た瞬間、私は目を丸くした。

 

「こ、これってまさか……!!」

 

 私は声を震わせながら叫んだ。叫ばずにはいられなかった。

 

「そ、地図。しかも大きさから見て世界地図だぜ」

 

「えぇっ!? 世界地図!?」

 

 そう、ナギが持っていたのは、なぜか『世界地図』だったのだ。

 

 なんでいざないの洞窟に世界地図が入っていたのかはこの際置いといて、とにかくこの地図があれば、ここがどこなのかわかるかもしれない。

 

「あ、もしかしてここって、ロマリアの近くじゃない?」

 

「 『じゃない?』って言われても、オレは大陸から出たことねーからわかんねーよ。あんた知ってんの?」

 

「行った事はないけどアリアハンに向かうとき通ったことあるから知ってる。たぶんここからそんなに遠くないよ確か」

 

 と思って、じっと見ていたら、またまたあることに気づいた。

 

 なぜか、一点だけ地図上にぽつんとあり、それが常に点滅しているのだ。

 

 ためしに何歩か歩いてみると、点滅している点もほんのちょっと動いた。

 

 つまりこの世界地図、所有者(つまり私たち)の現在地が自動で表示されるのだ。しかも、地図を持っている者が移動するたびに、地図の印も連動されるようだ。なんて便利な地図なのだろう。

 

「すごい!! この地図、ものすごく便利だよ!! 私たちが今どこにいるのかとか、近くに何があるかとか、すごく良くわかるもの!!」

 

「へぇぇ。よくわかんねーけど、とにかくすげーんだな?」

 

「うん!! そうとわかれば、早速ユウリが休める場所を探そう!!」

 

 善は急げだ。私たちは地図と現在地を確認し、近くに町がないか必死に探した。そして、意外とすぐ近くにロマリアの城下町があることに気づき、早速全員で町へと向かうことにした。

 

 

 

 旅の扉を通り、見知らぬ土地に放り出されて路頭に迷いそうになった私たちは、ナギのおかげもあり、なんとかロマリアの町にたどり着くことが出来た。

 

 ユウリはナギに負ぶわれている間ものすごく具合が悪そうだったし、眠そうだったシーラも、私に手を引っ張られなんとか歩かされている状態だったが、幸いにも魔物に遭遇することもなく、大きなアクシデントに見舞われることもなかった。

 

 それから宵闇の町の中を何十分歩いただろうか。初めて宿屋を見つけたときは、夜明け前にもかかわらず、ナギと二人で歓声を上げずにはいられなかった 。

 

 宿を取って二人をそれぞれ別の部屋に寝かせたあと、疲労困憊だった私はそのままベッドに突っ伏す。もう朝日が昇る時間帯ではあったが、泥のように眠り込んだ。

 

 やがて、太陽が真上に差し掛かろうとしたとき、ようやく私は重いまぶたを開けた。

 

「……………………?」

 

 熟睡してたせいか、寝る前の出来事をほとんど覚えていない。ぼんやりした頭を二、三度振って、ようやく今の状況を把握した。

 

 私はのろのろと支度をし、いまだに寝ているシーラを起こした。さんざん身体を揺らしても全く起きてくれなかったが、急に跳ね起きて叫んだ。

 

「そのテキーラあたしのなんだからねっっ!!」

 

 がばっと布団をはねのけて、朝一番に放った言葉がこれだった。いったいどんな夢を見てたんだろう。

 

「お、おはよう、シーラ。私これから下に下りて朝食食べるんだけど、シーラはどうする?」

 

「ん~……。さきにお風呂入りたい……」

 

 目を擦りながら、さっきとは打って変わって低いテンションで答えるシーラ。

 

 そういえば私も昨日そのまま寝ちゃったんだよな……。ま、ご飯食べてからでもいっか。

 

 私は寝ぼけ眼のシーラとともに部屋を出た。すると、ちょうど隣の部屋の扉が開いて、中から人が出てきた。

 

「あ、ユウリ!! もう起きて大丈夫なの!?」

 

「…………」

 

 寝起きが悪いのか、ものすごく不機嫌な顔で私をにらみつけてくる。昨日の弱々しい姿とは180度違う。でも、こんなことで怯むわけには行かない。

 

「ゆ、ユウリも朝食食べに行くの? だったら一緒に行かない?」

 

 断られるだろうとは思いつつ、私はあえて聞いてみた。

 

「…………」

 

 やっぱり無言。特に答えを期待していたわけでもないので、気まずい空気は続きつつも、私は彼の返事を待たないまま階段を下りる。

 

 すると、階段を5、6段下りたところで、ユウリが私の後をついてくるではないか。

 

 これってどういう意思表示なんだろう。OKってことでいいんだろうか? ひとまずこちらも黙って一緒に歩く。

 

 1階に下りて、先に風呂場に向かうシーラと別れたあと、カウンターにいるおかみさんに頼んで、かなり遅めの朝食……いや昼食を作ってもらうことにした。

 

とりあえず全員分の食事を頼んだのだが、まだ起きてない仲間がいることに気付いた。

 

「そういえば、ナギはまだ寝てるの?」

 

「…………」

 

 シーラと同じで寝起きが悪いのか、こちらの呼び掛けにまともに答えようとしない。もうこれは彼の平常運転ということにして、とりあえず落ち着いて座れる場所を探すことにした。

 

 カウンターの奥には食堂があり、四人掛けの木製のテーブルがいくつか並んでいる。私は一番陽当たりの良い窓際のテーブルを選ぶと、ユウリと向かい合わせに座る。時間帯のせいか、私たちのほかにお客さんは誰一人いない。窓の外を眺めると、眩しいくらいの真っ白な雲と真っ青な空が見事なコントラストを描いている。

 

 ………………………………。

 

 うーん、会話がない。

 

 ナジミの塔に行くときなんか、さんざん人の文句ばっかり言ってたくせに、なんでこんなときに限って何も喋らないんだろう。

 

お互い視線を合わすことなく、時間だけが過ぎていく。

 

 さすがにこの空気に耐え切れなくなった私は、意を決して行動に出ることにした。

 

「えーと、ユウリ、好きな食べ物って何?」

 

「それを聞いてどうする」

 

「いや、あの、えと、言いたくないなら別にいいんだけど」

 

 思わぬ反論で、急にどもる私。いや、これは私の質問のチョイスが間違ってたんだろうか。ハラハラしながら次の言葉を待ってみる。

 

「……甘いもの以外なら大体食える」

 

 たっぷり間が空いたあと、ぼそっと、近くにいなければ聞き取れないほどの小さな声で、確かにユウリは答えた。

 

「え!? あ、じゃあ今度、料理作ってあげるよ。こう見えても料理は結構得意なんだよ」

 

私はぱっと顔を上げ、思わずそんな約束をしてしまった。

 

「お前が料理だと? ふん、お前ごときでも何かひとつぐらいとりえがあるんだな」

 

 ……やっぱ約束するんじゃなかった。私は5秒前の自分を呪った。

 

 私が項垂れていると、急にユウリが声をかけてきた。

 

「……おい」

 

「へ?」

 

 けれど、何をためらっているのか、なかなか続きを言おうとしない。

 

 変に口を出したら怒られること必至なので、私は彼の顔をじっと見つつ次の言葉を待った。

 

「……なんでもない」

 

 私は心の中で思わずずっこけた。ユウリの「なんでもない」は良くも悪くも心臓に悪い。

 

 詳しく聞こうと思ったが、タイミングが悪いのか、急に上からものすごい勢いで階段を下りていく音が聞こえてきたので、話は中断されてしまった。

 

「あっ、何だよお前ら、こんなとこにいたのかよ!!」

 

 場違いなくらい大きな声で私たちに近づいてきたのは、言うまでもなくナギだ。

 

 寝起きなのか、寝癖がものすごくひどいことになっている。子供に悪戯でもされたんだろうかってくらいの有り様だ。

 

「ナギも朝食食べる? 一応四人分頼んどいたんだけど」

 

「もちろん!! 丸一日メシ食ってねえから腹減って死にそうだぜ!!」

 

そういうと、すぐに私の隣にどかっと座り、テーブルに突っ伏した。

 

「そのまま永遠に寝てろサル」

 

 ユウリの口撃に、ナギの眉がひときわつり上がる。

 

「ぁあ!? 何だと!! 昨日あんだけヘタレだったくせに、よくそんなえらそーなこと言えるよな!! つーか助けてやったんだから礼ぐらい言えっつーの!!」

 

「俺はお前みたいな野性のサルと違って繊細なんだ。それにお前あのジジイに言われたじゃないか。勇者である俺の手助けをしろと。俺を助けることはすなわち義務。よってお前に礼を言ういわれはない」

 

「だーっ!! なんなんだよ、めんどくせえよ!! 義務とかマジわかんねーんだけど!!」

 

「まあまあナギ、怒ったところでお腹減るだけだし、とりあえずご飯がくるまで待ってようよ。ユウリも病み上がりなんだしさ」

 

「はあ? お前はそれでいいのか? そんな甘いこと言ってると、こいつどんどんつけあがるぞ!」

 

「今はそんなことで揉めてもしょうがないって。それよりご飯だよ、ご飯」

 

「そんなことってなんだよ、重要なことだぞそこは!」

 

 それでも腑に落ちないナギをなんとかなだめて、私たちは朝食が来るまでとりとめのない会話をして時間をつぶした。といっても、ほとんどナギとしか話してないけど。

 

「そーいやミオってさ、この近くの村に住んでたんだろ? どの辺なんだ?」

 

 ナギがぼさぼさの髪の毛を手ぐしで整えながら尋ねた。

 

「そんなに近いわけじゃないけど……。ここから北にずっと行ったところにあるカザーブって村だよ」

 

「カザーブ……? ああ、あの山に囲まれた田舎くささ満開の村か。まさにお前にぴったりな村だな」

 

 いきなり横からユウリが口を挟んできた。いろいろ突っ込みたかったが、ふとある疑問がわいた。

 

「ユウリ、私の住んでた村知ってるの?」

 

「当然だ。世界を回るためには世界のことを知る必要がある。これでも世界各国の村や町、遺跡などの情報は前もって頭の中に入れてある」

 

「つーか頭でっかちなだけだろ」

 

 得意げに言うユウリ。横にいるナギはかなり不愉快そうにしている。

 

「お~い、おまたせ~♪」

 

 かわいらしい声でやってきたのは、お風呂から上がった金髪の美少女だった。お風呂上がりの彼女は上気して、白い肌がほんのりピンク色に染まり、ますますかわいらしさがアップしていた。けれど、違和感を覚えて、すぐそれに気づく。

 

「ねえ、シーラって本当は髪の毛ストレートだったの? 一瞬誰かわからなかったよ」

  

 いつもはボリュームのある巻き髪の彼女だが、レーベの村で泊まったときは、シーラはすぐに寝てしまったので、髪の毛を濡らしたシーラの姿を見たのはこれが初めてだったのだ。

 

「えへへ。本当はこの後乾かしながら髪の毛巻くんだけど、今はご飯中だから後回しにするんだ♪」

 

 まっすぐになったシーラの金髪は、愛らしい顔立ちによく似合い、その姿はまるでおとぎ話に出てくる泉の妖精のようだった。

 

 正直、普段の巻き髪よりも、こっちのほうが似合っていた。でも今はナイトドレスを着ているから、バニーガール姿になったら、またイメージが違って見えるんだろうか。

 

 そんなこんなでやっと朝食が来た。空腹だった私たち4人は、食事がテーブルに置かれるや否や、瞬く間に胃袋の中に食べ物を収めていった。

 

 あのユウリでさえ、掻き込むようにクリームシチューを平らげていたのだから、みんな相当空腹だったに違いない。

 

 気づけば、4人同時に空になったお皿をきれいに重ねていた。

 

 こういうところだけは、みんな気が合うのかもしれない。

 

 食後のデザートを頼んだところで、ユウリが三人を見回しながらこういった。

 

「食事が済んだらロマリア王に会いに行くぞ」

 

『へ?』

 

 三人そろって間の抜けた声を出す。ユウリは眉間にしわを寄せた。

 

「お前ら、この俺を誰だと思っている? この世界を救う勇者だぞ! 他国にたどり着いたからにはその国の代表に会うのが、世界を救う勇者としての礼儀というものだろうが」

 

「そ、そういうものなの?」

 

「あたしに聞かれてもわかんな~い」

 

「つーかただ単に目立ちたいだけなんだろ」

 

 ナギの一言で、ユウリの周りの温度が20度くらい下がったような気がした。

 

「ベギラ……」

 

「だめだよユウリ!! こんなところで呪文なんか……」

 

「そうだよぉ!! まだ食後のデザートが来てないのに!!」

 

「そういう問題かよ!?」

 

 シーラの言葉に、ナギが突っ込みを入れる。というかシーラのデザートって、さっき頼んだウイスキー8本のこと?

 

「あのさ、前から気になってたんだけど、シーラっていくつなの……?」

 

「ふふふ♪ ナイショだよ☆」

 

 私の問いに、意味深な笑みを浮かべるシーラ。私より年下に見えるのに、こんなにお酒飲めるなんて不思議だ。というか体は大丈夫なのだろうか?

 

「そんなことより、早く支度するぞ。日が傾く前には用事を済ませるからな」

 

 シーラの年齢に全く興味がないのか、すぐに席を立つユウリ。もっとのんびりしたかったのに、という気持ちが私の腰を重くしていた。

 

 けれど『王様に会う』と言う一般人には到底縁のない出来事が待っていると気づいた途端、私の考えは真逆になったのだった。

 

 

 

 

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