ガガギゴに転生した俺氏、何故かエリアたん含めた霊使い達に激重感情向けられてるんだが…   作:生牡蠣

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やりたい事全部詰め込んだら1万字超えてて草も生えぬ……
そしてそれを分けずに全部載せするという暴挙よ…
あっ、今回ウィンたん視点だゾ


風霊術ー「雅」

“ワイワイ…!” “ガヤガヤ…!”

 

人混みから聞こえてくる話し声や、生活の営みから流れてくる環境音が五月蠅く響いている。

しかし、不思議なことに今のあたしはそんな音など聞こえてないかの様に頭がクリアな状態であった。

あたしの視線の先には、自分の左手。その薬指には先程まではなかった指輪がはめられていた。

これはさっきギゴ君が……あたしの夫がはめてくれたものだ。

何も言わずに薬指にはめたということは…きっとそういう事なんだろう。

 

「……フフッ♡」

 

いけない。抑えようとしても自然と笑みがこぼれてしまう。

感覚で分かる。きっとそれは少女の年相応の笑みではなく、獲物を捕らえて歓喜している獅子の様な獰猛な笑みなのだろう。

 

「ヒィッ!?」

 

あたしの顔を見て、雑貨商人さんが短い悲鳴を上げるのが分かった。

失礼な人だ……でも、今のあたしは機嫌がいい。特に咎める気にもなれないので大目に見よう。

それにしても、この指輪に彫られている彫刻のトカゲ…ギゴ君にそっくりだ。

これでは、あたしがギゴ君の女だと周りに見せびらかしているようではないか。

 

周りの雌共に、夫の愛の証を見せつけることが出来る。

あぁ――――――

 

 

 

 

 

 

なんて最高なんだろう♡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしの人生は、生まれた時から決まっていた。

あたしはガスタという風の一族の族長の娘として生まれた。

ガスタの里の民、鳥獣たちは風と共に生き、風と共に死ぬという一族だ。

ガスタの民達は外からの刺激をあまり好まない、閉鎖的な大人たちが多かった。

お父さん曰く、ここにはとある悪魔と神様が封印されているから、なるべく外との関りを絶って、里の人々で守っていかなければならない為、外との交流を最小限にしているとのことだ。

小さい頃のあたしはその事について何の疑問に思わなかったが、成長していくにつれその考えは変わっていった。

 

ガスタの里には不定期で旅の行商人が来ることがあり、里の者と取引をを行っている。

あたしは、姉であるウィンダお姉ちゃんと一緒に商人から外の話を聞くことが好きであった。

商人の話では、この世界にはここでは見られないすばらしい場所があるというのだ。

 

海底にある伝説の都

大量のデータで作られた遊園地のような島

かわいいおばけ達が毎晩のようにパレードを行っている街

 

あたし達はその話を聞いて、実際にそこで冒険をしているような空想に浸り、お互いに語り合ったり、ごっこ遊びでまるで本当に冒険しているかのような気分を味わった。

しかし段々時が経つにつれ、それだけでは満足できなくなり、実際に外の世界を見てみたいと思うようになった。

 

『外には危険がいっぱいだ!お前はずっとここに居ればいいんだ!』

『次世代のガスタを代表する巫女がそんな考えでどうする!?』

里の大人たちは、あたしの考えを聞いて怒った。

ガスタは古の風習を大切にする一族だ。それを破ろうとする者がいたら過剰なまでに反応するのも、今思えば仕方ないことだと思う。

さらに、あたしが族長の娘でガスタに伝わる様々な術の才能があり、お姉ちゃんと同じく次の族長候補だったというのもそれに拍車をかけていた。

その頃は、外への羨望が抑えきれず毎日のようにお父さんと喧嘩してたっけ…。

そんな日々が続き、ここに居るとあたしの人生がレールの敷かれたもので終わってしまうという恐怖を感じた。

だからあたしは、現実から逃げるように家出をしたのだ。

 

夜中にみんなが寝静まった時に家を抜け出した。

里を離れて行くと、段々涙が出てくるのを感じた。

それが大人たちの反対を押し切り自分が正しいことをしているのか不安になったからなのか、何も言わずに両親に黙って里を逃げ出した後悔からなのか、大好きなお姉ちゃんにガスタの未来を押し付けてしまったからなのか……その時は、よくわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

里を抜け出してからあたしは、とある霊術使いの先生に拾ってもらい、住み込みで修行した。

修行は厳しいものであったが、一緒に頑張る仲間たちも居たのでそんなにつらいとは思わなかった。

あの時のあたしは、何者にも縛られない自由のすばらしさを感じていた。

しかし、その自由を心の底から喜ぶことはできなかった。

あたしが自由を感じる度にお父さんやお姉ちゃん、里の人々の失望したような顔が浮かぶのだ。

本当にこれで良かったのだろうか?

族長の娘として里の為に生きた方が良いのではないか?

そんな考えがずっと頭の中にあった。

今、こうして仲間たちと自由に駆け回るのは楽しい。しかし、里に居た時よりも息苦しいという奇妙な感覚がずっとあたしに纏わりついていた。

仲間たちには心配させまいと、いつも気丈に振るっていたが、内心では潰れてしまいそうだった。

誰かに助けて欲しかった。でも、故郷を捨てたあたしは助けを求めてはいけないのだ。この気持ちはきっとあたしへの罰なのだ。

 

 

 

そんなあたしを、彼が救ってくれたのだ。

 

 

 

『ウィン、元気なさそうだけど、何かあったのか?』

 

言葉を掛けてくれたのは、親友のパートナーであるトカゲ君だった。

この小さいトカゲ君は、あたし達の冒険についてきてくれて、凶暴なモンスターや危険な罠からあたし達を守ってくれている。その姿に、あたし達も信頼と尊敬を抱いていた。

その言葉に、あたしはドキリとした。

誰にも悟られぬよう、いつも元気な感じで周りに接していたのに何故バレてしまったのか、うまく笑えていなかったのか、心臓の音が速くなったのを感じた。

 

『えっ……ど、どうして!別にいつも通りだよ!!』

 

『いつも通りじゃない。ここ数日歩幅がいつもより小さいし、声のトーンも低い』

 

『ほ、歩幅ッ!?声のトーン!?…そ、そんなの気のせいじゃ……』

 

『それにため息も先週から多くなってし、ボーッとしてる時間も数時間単位で長くなっている』

 

『なんでわかるの!?怖いんだけど!?』

 

そのトカゲ君の指摘に、あたしは恐怖を感じながらも『こんなあたしでも、誰かは気にかけてくれている』という謎の安心感も覚えた。

 

『ウィン、悩み事なら、オレにも教えて欲しい。言うだけでも気持ちが楽になるかもしれない』

 

トカゲ君は心配そうにあたしの顔を覗き込んでいる。

……そっか、心配させちゃってたかー…

気にしてもらって悪いなーと思いながら、その純粋な思いを裏切れないと感じあたしは“ポツポツ”と思っていることを喋り出した。

故郷での決まりや、それから逃げるようにして故郷を出て行ってしまったことを。

今思うと、あたし自身も、己だけで背負うことに限界を感じていたのかもしれない。

 

『そういうことがあったんだ……だからさ、あたしは自由になっていいのかなーって時々思うんだよね……』

 

トカゲ君に話したら、不思議と胸の中がスカッとした気がした。

でも、こうして故郷を捨てた女ってバレちゃったなぁ…軽蔑、されちゃうかもなー……

あたしは少しの不安を覚えながら、トカゲ君の顔を見ようとした。

 

しかし、それより先にトカゲ君があたしのことを抱きしめていた。

 

……ふぇ!?/////

な、なななななななんであたし、トカゲ君に抱き着かれてるのぉ!?

相手はあたしとは種族の違う爬虫類だが、異性に抱き着かれるなんて初めての経験だったから、すごくドギマギしたのを覚えている。

 

『辛かったなぁ…!ずっと、苦しかったんだよなぁ……!頑張った、ウィンは頑張ったよぉ…!!』

 

トカゲ君は、そんなことをかすれた声で呟いた。

なにが起こっているのか把握できないあたしの頬に、一滴の熱い水滴が落ちた。

これはなんだろう?そう思って上を見たら、トカゲ君が涙を流していた。

……意味が、分からなかった。

なんで?なんで泣いてるの?

あたし、逃げたんだよ?役割から、里から、家族から……全部から逃げた悪い子だよ?

それなのに、君はあたしを咎めないの?あたしの為に涙を流すの?

………意味わかんない……わかんないよ…ッ!

 

『なに…それ……!意味、分かんない……ッ!わかんないよぉ……!!』

 

気が付けば、あたしも涙を流していた。

逃げたことを間違いだと言われなかったから?辛い気持ちに寄り添ってもらえたから?

それは今でもわからない。

ただ、その時はなんだか救われた気持ちになっていた。

 

 

 

 

 

『オレ、ウィンは風のような女の子だと思う』

 

2人でひとしきり泣いて、落ち着いた後トカゲ君はそう呟いた。

 

『風……?』

 

『あぁ、風は誰にも邪魔されず自由気ままに吹くんだ。そして、その風の自由で救われる奴もいるんだ。風に乗って飛ぶモモンガとか、風の力で電気を発電する機械族達とか』

 

トカゲ君は語り始める。

そっか……風って色々と役に立つんだなぁ……でも、あたしが風って?

 

『オレはウィンの笑顔が大好きだ。オレだけじゃない、エリアも、プチリュウも、他の霊使い達だってウィンの笑顔が大好きだ。ウィンが自由に外を走って、みんなと話して、魔法の研究して、成功したり失敗したり……その時に見せてくれる笑顔が、オレ達に元気をくれる、暗い気持ちから救われるんだ』

 

だから、ウィンは風なんだと思う。トカゲ君はそう続けた。

……よくわからなかったけど、その時は『あたしは自由でいていいんだよ』と許された気持ちになった。

 

『ウィン、もし君が自由になることを許されないなら、オレに任せて欲しい。どんなに偉い奴でも、強い奴でも、この世界の理にだって、オレは立ち向かえる』

 

 

 

『だから、ウィンは自由になってくれ(笑顔でいてくれ)

 

その後の事は、あたしはよく覚えていない。

急に顔が熱くなって、心臓がドキドキして、トカゲ君の前から走って逃げたような気がするが、記憶が曖昧だ。

ただ、一つ確かなことがある。

 

その日からあたしは、トカゲ君……ギゴ君を意識するようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくの月日が流れた。

あたし達は霊術の研究や素材集めの冒険を何度も行い、日々成長していた。

そんなあたし達を見て先生も安心したのか『霊術の境地を見てくるわ』と言って何処かへ行き、家の管理もあたし達に任された。

特に、成長が顕著に見られたのがギゴ君であった。

最初に出会った時は小さいトカゲ君だったのに、いつの間にかあたし達の背を追い越して大人の男の人の様な身体つきになっていた。

あたしはギゴ君を意識するようになってから、その思いは日を追うごとに大きくなっていくのを感じていた。

考えてもみて欲しい。あたし達がピンチの時に颯爽を現れて敵を倒したり、身を挺して守ってくれる男。しかも、爬虫類とはいえイケメンだ。

そんな存在がずっと近くに居るのだ。思いが枯れることなんてありえないことだ。

 

……でも、あたしはこの思いをずっと仕舞っておくつもりだ。

ギゴ君はエリアちゃんのパートナーだ。それに、エリアちゃんがギゴ君にそれ以上の感情を抱いていることなんて、仲間内ではみんな知っている。

ギゴ君もエリアちゃんのことを大切に思っているのは日常を共にしていればわかることであった。

きっと、あたしがこの思いを告げたらギゴ君との関係も、親友との関係も壊れてしまう。

あたしを救ってくれたギゴ君にも、迷惑をかけてしまうだろう。

だから、あたしはずっと見ているだけでいいのだ。2人の幸せを。

 

 

 

 

 

 

 

『リチュアが、ガスタに毒を撒いた』

 

 

 

 

 

 

そう自分に言い聞かせていた頃、行商人からその話を聞いて頭が真っ白になった。

……えっ…………毒?…どこに?……あたしの故郷に…?

なんで?……お父さんは?お姉ちゃんは?…みんなは無事なの?

おかしいよ……ガスタのみんなは悪い人たちじゃないんだよ?昔の戦争を憎んで、平和を愛する人たちなんだよ?

なんで……こんなことするの?

 

あたしは言葉の意味を飲み込むのに時間が掛かった。

そして、行商人の言葉にあった1つのワードに気が付いた。

 

『リチュア』

 

それは確か、辺境の地にひっそりと暮らす水属性の一族の総称だったか…

でも、その他にも最近どこかで聞いたことがある。あれは確か―――

 

 

 

『私の故郷?うーん、言ってもわかるかなぁ……“リチュア”は辺境にあるからなぁ…』

 

 

 

思い出されるのは、困り顔で答えた親友の顔。

あたしは居てもたってもいられず、家へと走った。

 

 

『あっ、ウィンちゃんお帰r“ドンッ!!”痛ッ!?』

 

家に戻ったあたしは、庭先に出ていたエリアちゃんを突き飛ばした。

突然のことに、理解が出来ないという顔をするエリアちゃん。

でも、あたしは止まることが出来なかった。

 

『どうしてっ!!……ガスタに…あたしの故郷にリチュアが攻め込んでるの!?なんで……っ!』

 

『えっ……お母さんが…………?』

 

あたしの言葉を理解できないという様な顔をするエリアちゃん。

しかし、あたしは止まることが出来なかった。

あたしはエリアちゃんに色々なひどいことを言った。

心では、エリアちゃんが悪いわけではないと理解していた。でも、止められなかった。

故郷を捨てて、自由に手を伸ばしたあたしが怒る資格なんてないのに……。

 

『エリア~、この間手に入れたハンバーガーのレシピなんだが……なっ!?ど、どうしたんだ2人とも!?落ち着いてくれ!!』

 

あたしがエリアちゃんに組み付いていると、家の中からギゴ君が出てきた。

 

『ふーーーー……ウィン、何があったのかはわからないけど、まずは落ちついて、何があったのか聞かれてくれ』

 

ギゴ君はエリアちゃんからあたしを離れさせると、目線を合わせて落ち着いた様子で語り掛けてきた。

あたしはその優しい声色で少し落ち着きを取り戻すことが出来た。

 

『あ、あたしの故郷が……ガスタが……リチュアに毒を撒かれて、お父さんやお姉ちゃん、里のみんなが大変で…………それで、それで……!』

 

『がすた……?それにりちゅあって…………ッ!?』

 

あたしは上手く言葉を繋げられなかったが、ギゴ君はあたしの言葉を聞いて何かを思い出した様な深刻な表情になった。

ギゴ君は少し考えこむように下を向き、そしてあたしにもう一度視線を合わせ、優しく語り掛けてきた。

 

『ウィン、心配するな。オレに任せてくれ』

 

ギゴ君は短く、そう言った。

あたしは、そのなんの保証もない言葉にひどく安心した気持ちになった。

 

 

 

それからギゴ君はエリアちゃんとも何かを話し、大きなカバンにパンパンの荷物を詰め込んで風の様に走って行った。

ギゴ君が何処かへ行った後、ギゴ君から大体の話を聞いたライナちゃん達に連れられて家に戻った。

その夜あたしはエリアちゃんに謝り、許してくれたエリアちゃんと一緒に一晩中泣いた。

エリアちゃんもお母さんが心配なはずなのに、八つ当たりしたあたしを許してくれるなんて……本当にいい親友を持った。

泣き合った夜が明け、また夜が来てもギゴ君は帰ってこなかった。

2日、3日経ってもギゴ君が帰って来る気配はなかった。

ギゴ君がいない間、あたしは心の中にぽっかり穴が開いた感覚が強くなるのを感じた。

自分の中で、ギゴ君の存在がここまで大きかったなんてと驚いた。

 

ギゴ君、早く帰って来てよ……ギゴ君まで失ったらあたしは…………!!

 

そんなことを想い続けて、1週間がたった頃の出来事であった。

 

“バサッ!バサッ!”

 

早朝に大きな鳥が羽ばたくような、どこか懐かしい音が聞こえた。

何事かと思い、あたし達は外に出た。

外に出てまず目に入ったのは猛々しく、白くて美しい翼を持った巨大な鷹。

あれは……お父さんのイグルス!?

まさかと思いつつ、あたしはイグルスの足元に視線を移す。

そこには、色々な人たちがいた

 

地面に大の字になって伸びている、ずっと帰りを待ち望んでいたトカゲ君。

赤く、美しい髪をもった憑き物が落ちたような女性。

そして、今まで思い出さない日はなかった、ウィンダお姉ちゃんとお父さんがいた。

 

 

『えっ…なんd『ウィン!』わっぷ!』

 

あたしが言葉を発する前に、ウィンダおねえちゃんに抱きしめられる。

 

『ウィン!あんたって娘はッ!勝手にいなくなって…本当に!ほんとに……!心配したんだからぁ……!』

 

“ぎゅううぅぅぅ…!”と力強くあたしを抱きしめるお姉ちゃん。

少し痛みを感じるほど強いが、その痛みがどうしようもなく心地よかった。

 

『ウィン』

 

お姉ちゃんに抱きしめられていると、今度はお父さんが近づいてきて、お姉ちゃんの上からあたしを抱きしめる。

 

『お、お父さ『すまなかった』……えっ?』

 

『俺は…族長として里の皆を守ること、大切な娘達を失うことが怖かったんだ。だが、それが結果としてお前をひどく苦しめていたようだ……父親として、背中を押してやるべきだったのに…“自由にしなさい”という言葉が言えなかった。今まで辛い思いをさせて、すまなかった』

 

お父さんは消え入りそうな声で呟く。

お父さんの抱きしめる強さは、お姉ちゃんよりも加減されたものであったが、大切な物をもう離さないという強い意志が感じ取れた。

 

『お、お父さん……お姉ちゃん…!』

 

あたしは、また涙を抑えることが出来なかった。

しかし、今度は辛いから泣いているのではない。

家族が無事だったこと、自由になることを認められていたことが嬉しくて、自然と涙が流れたのであった。

ひとしきり泣いて落ち着いた時、お父さんが地面で寝ているギゴ君を見ながら思い出すように語り始めた。

 

『まったく……父親としてわかっているべきことを、トカゲに教えられるとはな……』

 

『えっ……ギゴ君が?』

 

『あぁ……「ウィンは仲間たちと出会って、とても眩しい笑顔を見せてくれるんだ。オレは、その笑顔を守るためならなんだってするさ」だそうだ…ふっ、大した男だよ、彼は』

 

お父さんの言葉を聞いて、あたしは胸の中から何かが湧き上がってくるのを感じた。

なんだろう、この気持ち……抑えられない………いや、抑えたくない…!

 

『うっ…ここは……?』

 

そんな事をしていたら、久しぶりの愛おしい声が聞こえた。

ギゴ君が目を覚ました様だ。

その姿を見た瞬間、あたし()はギゴ君に抱き着いた。

 

『『ギゴくーーーーん!!!!!』』

 

『……えっ、何ここ?天国?天使がオレに抱き着いて柔らかい感触が全身を包んで……!?!?!?!?!?な、なにがくぁwせdrftgyふじこlp……ぶはぁ!?』

 

ギゴ君は、鼻血を出して再び気を失った。

どうしたんだろう…?顔が幸せそうだから大丈夫だとは思うけど……

 

『急に起きたり鼻血を出したり…忙しいトカゲだな……里を救った時との落差がすごいぞ……』

 

お父さんがギゴ君の顔を覗き込みながら呟く。

それは……うん、あたしもそう思う。

ギゴ君、かっこいい時と可愛い時のギャップ凄いもんね……。

 

『……そう言えばウィン、あのトカゲ君が貴方のパートナーなの?ご主人様の故郷を救う為に奔走するなんて、あんた愛されてるね~』

 

お姉ちゃんが茶化すように言ってくる。

……?パートナー?

……あぁ、そうか。お姉ちゃん、ギゴ君があたしのパートナーと勘違いしているな…。

それもそうか。いくら親しい仲でも、故郷まで救っちゃうなんてありえないよね。

でも、それは違う。ギゴ君はあたしじゃなく、エリアちゃんの大切な人だ。訂正しなくては……。

 

『ううん、パートナーじゃないよ――――――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしの、旦那様だよ

 

 

 

『……えぇ!?』

 

あたしの言葉に、お姉ちゃんとお父さんは目を見開いて驚く。

でも、一番驚いているのはあたし自身だ。

そんな事、言うつもりなんてないのにどうして……?

 

『旦那さまって……どういうことなのウィン!?』

 

『そのまんまの意味。あたし達は将来を誓い合う、ラブラブな関係なの。結婚もちゃんと考えてるよ?』

 

やめて

 

『結婚って……相手はトカゲ君だよ!?いいの!?』

 

『うん。種族なんて関係ない、あたしはギゴ君がいい。ギゴ君じゃないと、嫌なの』

 

止まって

 

『う、ウィン!自分が何言ってるかわかってるの!?』

 

『わかるよ。あたし、軽々しくこんなこと言わないよ』

 

あたしの口は勝手に動く。

驚愕の色に染まっていく家族たち。しかし、あたしは止まらない。

子どもは10人以上を考えてるとか、結婚式には呼ぶとか、どんどん勝手に話していく。

やめて、これ以上は関係が壊れちゃう…大切な場所(仲間たち)に居られなくなっちゃう……!

 

なのに、なのにどうして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あたし、今とっても自由で幸せなの♡』

 

どうして、こんなに満たされているんだろう

 

ギゴ君との理想の未来を話していると、胸の奥が“キュンキュン♡”する。

もっと欲を出せと脳が、心が、全身が指示を出している。

全身が、ギゴ君を求めている。

 

………………………………あぁ、そっか――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

あたし、ギゴ君を諦められないんだ♡♡♡♡♡♡♡

 

 

 

その日、あたしはずっと抱えていた黒い感情を晴らすことが出来た。

しかし、それとは別の黒い感情が心の中を支配したのだ。

でも、心配することはない。

 

 

 

だって、あたしはこんなにも笑顔なんだもの♡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でへへ……ギゴくぅ~ん♡……はっ!?」

 

危ない!あの頃を思い出して夢中になりすぎていた。

……でも、仕方ないよね♡思い出の中のギゴ君があたしをかき乱すんだもの♡

だから、これはギゴ君のせい♡後でお仕置きの名目で目一杯愛してもらわないと♡

……あっ、そうだ♡

 

「雑貨商人さーん、ちょっといいですかー?」

 

「ひゃ、ひゃい……なんでしょう…?」

 

雑貨商人さんは何かに怯えている様子で答える。

なんでそんなにびくびくしてるんだろう……へんなの。

あたしは疑問に思いながらも、左手にある指輪を雑貨商人さんに見せる。

 

「この指輪の商品名、さっきみたんだけど…()()()()()()()()なんだよね?ペアになるリングを貰いたいんだけど」

 

そう、ギゴ君がさっきあたしにくれた指輪はエンゲージリング……婚約指輪なのだ。

こんな街中でプロポーズするなんて、ギゴ君ったら大胆♡

 

「え、えぇ!それならこちらの……」

 

「あっ、ちょっと待って。ペアにするならこっちの方がいいかな」

 

商人さんがもう一つのトカゲの指輪を差し出して来るが、あたしはそれの近くに並んでいる別のリングを指さした。

 

「えっ……い、いいんですか?それ、こっちよりだいぶお安くなっちゃいますけど…」

 

「いいのいいの!その分のお金も返金しなくていいからさ!」

 

「は、はい……ウィンさんがそう言うなら…」

 

困惑しながらも、商人さんはあたしに別のリングを手渡した。

その指輪には、魔法使いを表すトンガリ帽と風を表す紋章が刻まれていた。

これはギゴ君の分のリングだ。

あたしがギゴ君の象徴のリングを、ギゴ君があたしを象徴するリングを身に着けて、お互いがお互いの物だと主張する。

控えめに言って最高過ぎる……!

あぁ~早くギゴ君を里のみんなに正式に紹介したいな~♡

お父さんったら、あたしとギゴ君が恋仲だって聞いてから張り切っちゃって、里のみんなに自慢しまくってるらしいからなぁ~♡

里のみんなも『あの英雄が婿入りするならガスタも安泰だ!』と喜んで、あたし達の家まで建てちゃったらしい。気が早いよぉ~♡

でも、ギゴ君がガスタに婿入りするなら巫女を継ぐっていうのも悪くないなぁ……ふふっ、おかしいよね♡自由を求めて里を飛び出したのに、今度は里に縛られるのも悪くないなんて思ってる自分が居るんだもの♡

あたしをこんな風にしたのはギゴ君なんだから、ギゴ君は責任を取ってガスタに永久就職してもらわないと♡

いや~、それにしても早くこの指輪を着けたギゴ君の姿を見たいな~♡早く帰ってこないかな~♡

 

「はぁ…はぁ…ウィン!お待たせ~!」

 

あたしがリングに見惚れていると、そんな声が聞こえた。

振り向くと、そこには人間の様な見た目のトカゲ男が走って来る光景があった。

 

「あっ!ガガギゴさんが戻ってきたようですよ!!」

 

商人さんが「助かった!」という表情で叫ぶ。

…………ふーん。

 

「……2回でいいか」

 

「えっ?何がですか?」

 

あたしが“ボソッ”と漏らした言葉の意味を聞いてくる商人さん。

あぁ、貴方は気にしなくていいよ。

 

すぐに終わるから。

 

 

 

 

 

 

「ウィン、お待たs「ふんっ!」おぶえぇぇぇ!?!?

 

 

あたしは走ってきたトカゲ人間の顔面に右ストレートを放った。

 

“ドンッ”と大きな音を立てて近くの壁に激突するトカゲ人間。

あれ?手加減して『破天荒な風』2積みで様子を見たつもりなのに、結構飛んだな~。

 

「ちょ!?ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?な、何やってるんですかウィンさん!?」

 

あたしの行動に驚愕の声を上げる商人さん。

何って……

 

「ギゴ君の偽物を成敗しただけだよ?」

 

「…へっ?偽物?」

 

「ギゴ君はあんな走り方しない。もっと歩幅は大きく、地面を蹴る様に走るよ。あたしを呼ぶ時のイントネーションも違うし、表面の鱗の数も7枚足りないし、牙も3mm長いし…………他の個所も指摘するのもバカバカしくなるくらい違うよ。よくそれでギゴ君名乗れたよね?そんなんじゃギゴ君検定10級も取れないよ?」

 

あたしは偽物君にどの辺が間違っていたか指摘する。

まったく、ギゴ君を真似るなら最低限調べてきて欲しいものだ。

すると、壁にぶつかったトカゲ人間は段々と小さくなり始め、その姿をもふもふの小動物―――きつね火の姿に変わっていく。

………あの子ならもっとギゴ君を真似るのが上手いはずだから別個体の子だね。

きつね火は「こ、こぉーん!」と怯えた声を上げると、そのまま逃げるように街の中へ消えていった。

帰りの遅いギゴ君に、きつね火の偽物かぁ……。

 

「あの女狐がぁ……!」

 

あたしは怒りのあまり声が震えた。

状況から見て、ギゴ君は彼女に攫われてしまったのだろう。

彼女も大切な親友の一人だが、あたしからギゴ君を奪おうだなんて舐めた真似をしてくれるじゃないか……!

正妻があたしなら、親友たちもお妾さんとして迎え入れるのもやぶさかではなかったんだけどなぁ……こうなると考え直さないといけないかなぁ…。

まぁ、今はその事については考えなくてもいいや。今はギゴ君を取り戻すことを考えよう。

幸い、ギゴ君を探す手段はいくつかあるのだ。それを駆使すればすぐに見つかるだろう。

早くギゴ君を見つけ出して、この指輪を着けて実家に挨拶へ行きたい。

……いや、その前にリチューアル・チャーチに立ち寄るのも悪くないなぁ♡

あぁ、どんどん夢が広がっていく……♡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一緒に自由(幸せ)になろうね、ギゴ君♡♡♡♡♡♡」

 




この作品書き始めたから私の遊戯王熱が再発したゾ
久々にニューロンでカード検索したら、可愛い女の子いっぱい増えててたまげたなぁ…
遊戯王はいつから美少女カードゲームになったんですか!?もっとやって下さいお願いします!!

遊戯王のえちえちな女の子もっと書きたい…
でもギゴ君は霊使いちゃん達で精いっぱいだからなぁ…
気が向いたら短編でも書くかぁ…

ここまでご拝読ありがとうございました
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