ガガギゴに転生した俺氏、何故かエリアたん含めた霊使い達に激重感情向けられてるんだが… 作:生牡蠣
エリアたんも霊媒師が出たし、そろそろ頑張るか…
※前話にてリチュア関係の時系列の誤りがあった事が発覚した為修正しています
多分これで大丈夫だと思う…駄目だったらすまん……
「うぅ…ごめんよ姐さん…」
「あー…ええんよ、あれはしゃーないわ。でも、まぁ助かったわ。また今度美味い油揚げ手に入ったら持ってくさかい、みんなによろしゅう言っといてなぁ~♪」
「アブラゲッ!よっしゃ流石姐さんや!ほな、楽しみに待ってまっせー!!」
そう言いながら上機嫌な様子で帰路に就く雄のきつね火君の背中を見送る。
相変わらず現金な奴っちゃなぁ……でも、急な呼び出しにも応えてくれるいい子だ。今度帰ったら可愛がってやらなあかんなぁ♪
「……にしても、あの子でもダメやったんか…」
そう言ってきつね火は“ハァ…”とため息をつく。
『時間が…時間が足りない……コンちゃん、何とかできない?』
脳裏に浮かぶ光景は、自分の主の困り顔。
昔っから変わらない、目をうるうるとさせて、神様か何かに懇願するような顔。
そんな顔を見て、毎回何とかしようと奮闘してしまう。つくづくうちも
そんなわけで、ウィンちゃんからガガギゴを引き離した後の足止めを頼まれたうちは、昔住んでいた“バーニングブラッド”の同族たちに頼み込み、偽ガガギゴ作戦を決行した。
その時に偽ギゴ君役を買って出た雄のきつね火は勤勉な子で、一族に伝わる化け学の他にも“
(なんやねん匂いや仕草が違うって!?怖いわッ!!)
結果は惨敗。秒で看破されてしまった。
きつね火目線では完璧に近い変化の術だったのに、ウィンから見たら全然違かったらしい。
まさかミリ単位の歩幅の差異まで指摘されるとは思わなんだ。というかそこまで把握してるのはもはや純愛じゃなくてホラー映画の世界だろ……
おまけに匂いという変化ではどうしようもない箇所まで指摘されてはもうお手上げである。犬かな?
ちなみに、予行練習でヒータにも変化を確認して貰ったのだが『う~ん…色々違う点が多いなぁ……指摘する時間もないし…まぁ、ないよりはマシ?』という微妙な評価だった。
その後も、ウィンを足止めするために色々裏工作をしていたのだが、全てことごとく突破されてしまった。
作戦も全て終わり、協力してくれた同胞たちに元の住処へ帰って貰い、先程の彼が最後のメンバ―であったというわけだ。
今思えば、失敗続きだった作戦の数々…あまりにもすぐにバレてしまって、思い出すだけで自信を失いそうだ。
だが、その作戦は全て無駄ではなかった。
だって、ヒータの望みは、もう少しで叶うのだから。
きつね火は昔を懐かしむように優しく微笑む。
思い出される光景は、一人の少女と過ごした記憶。
炎を司る名門一族に生まれ、その在り方に葛藤し、悩んだ末に一族からの破門の道を選んだ少女。
まだ幼い少女には酷すぎる選択は、彼女の心に重くのしかかっているはずなのに、周りに悟られぬよう明るく振舞っている少女はどこか痛々しく映っていたのをきつね火は覚えていた。
しかし、いち契約精霊の自分では彼女の重荷を背負うこともできず、せめて少女が暗い道を歩くお供しかできなかった。
そんな彼女を、明るい道に戻したのは1匹の爬虫類。
正直、本来自分が行うべき役目を代わりにやられてしまった悔しさもあるが、ずっと応援してきた少女が救われた時は、まるで我が子の努力が報われたような嬉しさだったのは忘れないし、一生分の恩義だとも思っている。
…まぁ、その代償として彼女の性癖は完全に壊れてしまった事については文句の一つも言いたいが……
だからこそ、少女があのトカゲに惚れう理由もわかるし、なんとか結ばれて欲しいというのも本心だ。
……仮に、それがどんなに後ろ暗い行いや非道とも取れる行動を伴っていたとしても、同僚たちと対峙したとしても、
それが、彼女を救えなかった自分にできるせめてもの償いだ。
「……さて!予定ではそろそろ堕ちる頃やろなぁ…」
暗い気持ちになりそうだった自分をなんとか奮い立たせるようにワザとらしく言う。
攪乱作戦は全て終わったが、彼女が潜伏先に着くまでの時間は十分に稼いだ。
もし、他の女達が彼女とトカゲの居場所を見つけたとしても、その頃には全ての計画が完遂しているはずだ。
勝機は、こちらにある…!
そう思いながら、きつね火は頭に葉っぱを乗せ、呪文を唱えた。
するときつね火は煙に包まれ、そこには白いうさぎの様なモンスター『バニーラ』の姿が現れた。
自分の居場所も悟られてはならない、移動の際も変化しておかななければならなかった。
「……絶対、うちが幸せにしたるんや…!」
きつね火は再び決意を固め、少女と落ち合う集合場所まで走った。
その顔は、まるで実の我が子を守る母親の様に鬼気迫った様な、必死な表情であった。
そう、彼女は必死だったのだ。
彼女の遥か後ろに、茶髪の少女がメガネを光らせながら満面の笑みを浮かべながら見ていることに全く気が付かないくらいには…
「書いてほしい書類がある?」
ヒータに言われた言葉を、俺は聞き返す。
「うん。ここも十分いい所なんだけど…やっぱりちゃんとした住居に引っ越ししたほうがいいかなって思って。ほら、今後も2人だけで居るとか限らないし…////」
ヒータは顔を真っ赤にしながら顔を伏せてしまった。
2人だけじゃなくなるかもしれない?……その意味は分からないが、この家も老朽化している様だし、ヒータが怪我や病気をする心配もあるし、もっと衛生面の良い場所に引っ越すことは俺も賛成だ。
……だが、何故だろう?俺の胸の中から引っ越しをやめろと言うような訴えが聞こえてくるような気がする。
引っ越しをやめろ……いや、違う。上手くは表現できないが……自分のいるべき場所へ帰りたがっている様な、そんな感覚だ。
これは、帰巣本能という奴か?…爬虫類にもあるんだな~。
でも、おかしいよなぁ~
「そうだな。ここからだと街も遠いし、買い物も大変だ。2人の今後の為にも引っ越した方がいいよな」
「そうだよね!それで次の引っ越し先なんだけど―――」
ヒータが嬉々として次の引っ越し先の候補を挙げてくる。
ふふっ、俺にとってはヒータと一緒ならどこだって天国さ。
彼女の太陽の様な眩しい笑顔。それが見れるだけでも、俺は幸せだ。
最初の頃からは、こんな光景は考えられなかったなぁ…
出会った当初も笑顔は見せてくれていたのだが、どこか張り付いたような、無理をしている様な印象を受ける彼女の表情だった。
気にはなっていたのだが、あまり触れられたくないようだったので様子を見ていたのだが、一緒にいるうちに信頼関係を順調に築けていたある日、ヒータ本人からその理由を打ち明けられたのだ。
ヒータは元々、炎属性の霊術を扱う名門家庭の生まれで、その身体の内に秘められた魔法力も生まれつき高く、名門期待の新星と期待されて育てられてきたらしい。
おまけに、彼女自身もそれに対して威張ったりするでもなく、誰にでも優しく接することが出来るという聖人のような態度で周りの人間からの評価も高かったそうだ。
誰にでも優しい彼女の将来は明るい。誰もがそう信じて疑わなかった。
しかし、優しさゆえに彼女の未来は暗くなってしまった
なんでも、炎の霊術というのは媒体となるモンスターの命も奪ってしまうものらしいのだ。
あぁ…火霊術のリリース要員って事ね…こっちでは生贄って扱いなんだ……
ヒータは優しいから、モンスターをリリースする火霊術を使うことが出来ずに、結局実家を出てしまったらしいのだ。
ヒータのご両親は仕方がないと言ってくれたらしいのだが、ご両親の期待を裏切ってしまったの事を今でも後悔し、なんとか火霊術のリリースをなくして使えるように研究を続けているらしいのだ。
な、なんて健気な子なんだ…!きっと聖女か何かに違いないっ!!
そんな話を聞いた俺は、なんとか彼女の抱える悩みを解決できないかと考え続けていたのだが、中々妙案を思いつかなかった。
そんな事を考えながら、ラヴァルやらジェムナイトやらに絡まれる等大変な日々を送っていた。
俺はヒータに集中したいんだよっ!俺に構うなっ!!
おいっ!聞いてんのか!?あぁ!俺を融合素材にしようとすんな!ジェムナイト+ガガギゴじゃ何も生まれねぇよ!!
あっ、こらっ!ラヴァルトークンばら撒くんじゃねぇよ!家燃えんだろっ!!わかったわかった!勝負してやるから落ち着け!!
まったく、ろくでもない奴らだ……ん?トークン…?
そう思っていた時、とある事が頭によぎった。
火霊術って、トークン使えばよくね?
トークン
それは空気中や大地に漂う微弱な精霊の力をモンスターの効果や魔法によって集め、一時的に肉体を与えたり物質として召喚したりするものだ。
基本的にその力は弱く、すぐに消えてしまうのがほとんどであるが、彼らは基本的に精霊の力の集合体の為、破壊されたりリリースされたとしても死ぬわけではなく、元の目に見えないものに戻るだけなのだ。
つまり、火霊術のリリース素材に使っても命が奪われることはないのだ。
そう考えた俺は早速ヒータにトークンを使った霊術を提案。
「そんなこと出来るの!?」とヒータは驚いていたが、問題ない。ルール上可能だって遊戯王wikiに書いてあったから。
俺はヒータにトークンの扱いを教えてもらえるようラヴァル達に頼み込み、ほぼ住み込みでの修業が始まった。
修行の見返りに俺は毎日ラヴァル達とガチバトルする羽目になったのだが、ヒータの為だ。これくらい安いものだ。
その他にも、攻撃力0のラヴァルトークンでは火力が出せないからと言う理由で『フォトン・サンクチュアリ』の魔法を一緒に勉強したり『DNA移植手術』のカードをプレゼントして炎属性のトークン以外も霊術に使用できるようにしたりと色々とヒータの手伝いをした。
その結果、彼女は念願だった犠牲を出さない火霊術を完成させたのであるっ!
『ありがとう…本当にありがとう、ギゴ君…!!』
ずっと悩んでいた事が解決し、嬉しさからか涙ながらにお礼を言ってくれるヒータ。
彼女が頑張ってきた場面を近くで見てきた俺も、まるで自分の事の様にもらい泣きしてしまって一緒に子どものように涙を流したのはいい思い出だ。
そしてヒータと過ごす中で、俺は彼女へと抱いていた好意を抑えることが出来ずに、玉砕覚悟で告白した。
ヒータはこんな俺の思いを受け止めてくれて、現在に至るというわけだ。
ヒータと両想いになり、結婚生活を送るまでに至った。
きっと俺は世界一の幸せ者だろうな!!
――――ギゴ君!
「……」
突然、俺の頭の中に声が響いた。
またか……たま~に聞こえるんだよな~この謎の声…
声の感じ的に、ヒータと同世代の女の子の声だろうか。
食事をしている時も、風呂に入っている時も、ヒータと憑依装着(意味深)している時まで聞こえてくる謎の声。
おまけに顔が陰で隠れて見えないが、水色の髪の少女の幻覚まで見えて来る時まであるのだ。
突然聞こえてくる謎の声なんて不気味で気持ち悪いものに決まっている。
なのに……
(なんで、心が安らぐんだろうなぁ…)
そう、この声が聞こえると、不思議なことに心が安らぐのだ。
それだけではなく、全身に力が沸いてくるように元気になり、なんでもやれてしまいそうな気までしてくる。
そして、それはなんとなく水色の髪の少女に向けられたものであると自然と思えてしまうのだ。
……否、水色の少女だけではない。
ヒータと……あと数人にこの感情を向けるべきだと本能的なものが訴えてくるような、そんな感じがするのだ。
(本当に、なんだ……この感覚は…)
この声が聞こえると、決まって俺の心は少し不安定になってしまう。
あの少女
ヒータと同じように大切な存在だと感じてしまうのは何故だ?
俺はヒータと結ばれたのに……いや、本当に結ばれていいのか?
ヒータ
……というかヒータ
―――ギゴ君♡
再び脳に響く謎の声。
今度は顔の影が消え、一瞬だけ表情が見えたような気がした。
あぁ、彼女は―――
「ギゴ君?大丈夫?」
「ッ!?」
ヒータに声を掛けられ、俺は思考の海から脱出する。
あ、危ない危ない…変な方向に思考が飛んでたわ……
「……あぁ、問題ない。それで、何の話だっけ?」
俺はヒータに心配させまいと何事もないように振舞う。
まさか妄想の中の少女が気になっていたなんて言えないよなぁ…
「そう……それでね、引っ越しの為にこの書類に私達の名前が欲しいから、ギゴ君のサインも欲しいの!」
ヒータは一瞬だけ怪訝そうな顔をしたが、すぐにいつもの調子に戻り、俺に一枚の紙を差し出してきた。
……なんだこれ?
俺はその紙を見て、首を傾げた。
文字が、読めないのだ。何かが書いてあるというのはわかるが、それが何の文字でどのような内容が書かれているかがまったくわからない、今まで見た事のない文字だ。
「えっと…これは……?」
「あぁ、文字に関してはここの管理人さんの故郷の文字なんだって。結構辺境の一族出身みたいで、この辺では珍しい文字だよね!」
「書いてある内容は問題ないから大丈夫だよ!」と付け加えるヒータ。
珍しい文字の自覚があるなら公用語で書けばいいのに……まぁ、いいか。
俺は筆を手に取り、ヒータの名前が書かれている隣に自分の名前を書いた。
“ガガギゴ”っと…相変わらず変な名ま“ピカッ!”え……あん?
俺が名前を書いた瞬間、紙が一瞬だけ光輝いたような気がした。
な……なんだ…?
「な、なぁヒータ、この紙おかし「ギゴ君ッ!」くなぁぁ!?」
おかしくないか、この言葉を最後まで続けることは出来なかった。
何故なら、ヒータが心底嬉しそうしながら俺にダイブしてきたからだ。
ふ、ふおおぉぉぉ!ヒータのお腹すべすべで気持ちいいのおぉぉぉぉ!!!
「ありがとうギゴ君!あたい、本っ当に嬉しい!!」
ヒータが心底嬉しそうな様子で俺に身体をすり寄らせる。
な、なんなんだ…ただ引っ越し用の書類にサインしただけなのに……でもヒータのプニプニお腹を堪能出来て嬉しいです!ありがとうございます!ありがとうございますぅ!!
「よし!善は急げって言うし、早速あたい、この書類出して来るね~♪」
そう言って出かける支度をするヒータ。
あぁ…もう少しヒータたんのお腹堪能したかった……って俺流石にキモくないか?どうかしちまったのか俺は……
「……ギゴ君」
俺が自分の気持ち悪さに頭を抱えていると、急にヒータが手を握ってきた。
いつもなら、手を握られただけで昇天してしまいそうなくらいの喜びを感じるはず俺。しかし、ヒータの手が震えているのを感じ、その興奮は鳴りを潜めていた。
「あたい、絶対にギゴ君を幸せにするから」
そう言ったヒータの目には、後ろめたさみたいなものや、決意のようなもの等の色々な感情な混ざっている様な、複雑な様に見えた。
……何に対しての後ろめたいと思っているのか、何を決意しているのか分からないが、これだけは言える。
「ヒータ」ぐいぃ!
「きゃっ」
ヒータが小さい悲鳴を漏らすが、俺は構わずに彼女を抱き寄せ、顔を至近距離まで近づける。
「それは違う。オレはヒータと一緒にいるだけで世界一の幸せ者。だから、オレがヒータを世界一幸せにするんだ」
……安いメロドラマやラブコメ携帯小説で使い古された臭いセリフ。おまけにこれを言ったのがトカゲ面のバケモノというホラー要素付きの不気味としか言いようのないシチュエーションだ。
でも、ボキャブラリーがあまりない俺には気のきいたセリフは思いつかなかったし、これが俺の本心なんだ。
その姿を見れるだけでも幸せを感じるのに、彼女は俺と一緒にいてくれるとまで言ってくれているのだ。そんな彼女に報いたいと思うのは当然だ。
仮に、ヒータとこうして結ばれなかったとしても、俺はヒータの幸せを願っている。
たとえ、その先に自分の終わりがあろうとも、俺は彼女
「……ッ!?////」グィ!
ヒータは最初、俺の言っている意味が分からない様に“キョトン”としていたが、顔がみるみるうちに紅く染まり、やがて俺の腕から力づくで離れた。
あっ…!や、やばい、流石にキモすぎて引かれたか!?
「ご、ごめんヒータ!少し…いや、めちゃくちゃキモかったな……」
「ち、違う!違うの!……気持ち悪くなんてない、むしろ嬉しいの////でも、その…」
ヒータは何かを言いよどみ、色々な場所に視線を向けたり指をしきりに動かしたり十市茎がない様子になる。
やがて、消え入りそうな声でぽつりと呟いた。
「あの…あんまりにもカッコよすぎると、その……シたくなっちゃうから////////」
その言葉に、俺も気まずくなり視線を逸らす。
そ、そっかー…な、なんかごめんね……
お互いに何もしゃべらない時間が続く。しかし、そこに流れる場の空気はとんでもなく甘ったるいものであった。
甘すぎて、竜宮のツガイですらブラックコーヒーをがぶ飲みしてしまうだろう。
こ、この空気はこしょばい…なんとか場の空気を変えなけば……!
「……その、帰ってきたら……ね♡」
……ヒータ、そんな可愛い顔でトドメを刺さないでおくれ…
ヒータが部屋から出て行って数十分の時が流れた。
俺はベッドに寝転がりながら天井を見つめ、ヒータの帰りを待っていた。
「……」
ふと、視線がドアの方へ向く
ここに来たばかりの時は、何とか外に出ようと藻掻いていた記憶があるが、不思議と今は外に出ようという気は起きない。
この部屋にも慣れてしまったのだろうか……慣れって怖い。
だが、このままでは完全に俺はヒータのヒモだ。
ヒータの事だから、それでもいいと言ってくれるだろう。というかヒモ彼氏に毎日パチンコ代を貢くらいには尽くしてくれるまである。
しかし、雄として産まれたからには惚れた雌に苦労は掛けたくないと本能で思ってしまう。
「……ヒータが帰ってきたら、次の引っ越し先で仕事させて貰えるよう交渉するかぁ…ん?」
そんなことを呟いていると、こちらに何かが近づいてくるような音が聞こえた。
“カツカツ…”という高い音、おそらく靴を履いている2足歩行の生物……人間タイプの生物だろう。
足音からしてヒータの物ではない、別の誰かの足音だというのが分かる。
ここに来てから、俺はヒータ以外の人間……いや、生物に会ったことはない。
まさか…野盗の類か?それならば、留守を任されている俺が対処しなくてはならない。ヒータとの愛の巣は俺が守らなくては…!
「……」
しかし、何故だろうか。
その足音が近づくにつれ、俺の心は不思議とざわついた。
まるで、長年あっていなかった親に再開するような、そんなワクワク感が全身に走る。
何故、どこの馬の骨とも分からない奴の足音なんかに……否―――
俺は、
やがて足音は止まり“ギィィ…”とドアが音をたてながら開く。
そこにいたのは――――
「やっと、見つけた」
メガネをかけた、茶髪の少女が立っていた。
「ッ!?」
見た事のない人間……そのはずなのに、俺の心は揺れる。
『目の前の少女を愛でたい!愛したい!!』という思いが俺の頭を支配しようとするのを感じた。
それは、ヒータに対する感情に似ていることに、俺は驚いた。
なんだ、この感覚…誰なんだこの娘はっ!?
「き、君は……?」
俺は戸惑いながら、やっとの思いで目の前の少女に疑問をぶつけた。
少女は一瞬「ッ!」と悲しそうな表情を浮かべる。
彼女が悲しそうな顔をした瞬間、胸が張り裂けそうに痛んだが……マジでなんなんだ…!?
「…………………………うん、聞いてた通り。待ってて、すぐにその術を解いてあげる」
少女はそう言うと、俺に向かって杖を向け、呪文を唱え始めた。
………術?何のことだ?
「――――発動せよ」
俺が戸惑っていると、少女が呪文を唱え終える。
瞬間、杖から鍵のような形の光が放たれ、その光が俺に向かって飛んできた。
俺は咄嗟に防御の姿勢を取るが、光が当たる前に俺の前に錠前の様なものが現れ、鍵はその穴に吸い込まれていった。
この構図は……『魔法除去』?
やがて鍵が回り、錠前のロックが解除された瞬間―――
「ッッッッッ!?!?!?」
俺の頭に激しい痛みが走った。
ぐああぁぁぁ!!な、なんだこれ…!?頭が割れるように痛い!?前に○○たん脳天直撃『ハンマーシュート』より痛いぞ!?‥○○って誰だ!?
激痛に苦しむ俺。痛みと共に急な吐き気が襲い、そのまま口から何かを吐き出してしまう。
俺の口から出たものは、四角い、緑色のカードであった。
カードの中心には絵が描かれていた。なんだか、趣味の悪い絵だな。
屈強そうな男が絶望に顔染め頭を抱えている、状況はよくわからないが鬱要素満載の絵だ。
でも、この絵はどっかで見たことがある……あぁ、そうだ。これは――――
「あー……やっぱりこれだったか」
「『記憶抹消』」
それを認識した瞬間、俺の頭を駆け抜ける
『ギゴ君のエッチ♡』
『ギゴ君…ホテル、行こっか♡』
『ギゴ君、メガネ買い替えたんだけど、どうかな……に、似合ってる?…あ、ありがと////』
『……ギゴ、俺なんかと一緒にいて楽しいの?……そう…♪』
『ギゴしゃん!いつもありがとうごじゃいますぅ!!……か、噛んじゃいましたぁ////』
今まで存在していたはずの記憶。
あ、あああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!
ウィンたん!アウスたん!ダルクきゅん!ライナたん!エリアたああぁぁぁぁぁぁん!!!
思い出した!霊使いちゃん達の……
俺は頭の中にかかっていたモヤが晴れたような。清々しい気分になった。
そうだ…俺はガガギゴ!
今までの事を思い出し、本当の
その心を占める物は幸福と興奮――――そして絶望。
「ギゴ君、思い出し「死のう」ちょ!?なんでいきなり壁に頭ぶつけ始めてるの!?」
記憶が戻った瞬間に俺が最初に取った行動、それは自責の念から来る自傷行為であった。
記憶喪失だったとしても、推しちゃん達の事を一時でも忘れてしまうなんて…ッ!情けないッ!ファン失格だ!!
おまけに記憶を失っていた事をいいことに、ヒータたんとの同棲までしてしまうなんて……推しに手ぇ出すのはご法度だろッ!?全国の霊使いちゃん使い……否ッ!全デュエリストの皆様に申し訳が立たんッ!
こんな罪深いことをしてしまうなんて…まだマキュラ(エラッタ前)やダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)の方が罪が軽いッ!!
おいは恥ずかしかッ!生きておられん(ガガギ)ゴッ!!
「これからはアンデットワールドで静かに
「意味わかんないよギゴ君!?あぁ、もうッ……まずは落ち着けぇぇぇ!!」
後悔と自責の念から自傷を続けるガガギゴ。
そんなガガギゴを必死で止めるメガネの少女――――アウスなのであった。
今日の最強カード!
〇記憶抹消
条件が厳し目、相手限定の打ち出の小槌みたいなカードだ!
相手の増Gやうららをデッキ戻せるかもしれないカードだけど、これの為にデッキの枠を割くのはかなり勇気がいるな!
こんな使い勝手の悪いカードも難なく使いこなすなんて、やっぱヒータたんはすげーよな!!
真面目な話、記憶抹消使ってる決闘者いるん?
昔ヴェーラー対策で入れてたけど、サモプリのコストでしか使ってなかったから上手に使える人尊敬するわ…
きつね火のくだりは前話で入れようとして忘れたやつ。
その結果9000字超えとかこれもうわかんねぇなぁ…
次回はヒータたん視点やって、アウスたん編突入すると思う…頑張る。
ここまでご拝読ありがとうございました