ガガギゴに転生した俺氏、何故かエリアたん含めた霊使い達に激重感情向けられてるんだが… 作:生牡蠣
悪魔族。
それはデュエルモンスターズにおいてトップ3に入る程に数の多い種族であり、原作漫画やアニメで主人公やライバルが使用し人気も高いカード達だ。おまけにそもそものカードパワーが強いモンスターが多く、サポートも充実している事から現実世界でも大会などでその姿を多く見ることが出来るだろう。
そんな多種多様な悪魔族達だが、ここ精霊世界では一枚岩ではない。数が多いからこそ、それに合わせてコミュニティが生まれ、今でも多くの派閥や国家に別れている。
かつてこの地に封印されていた混沌を望む邪悪な神々―――【魔轟神】
悪魔の名を持つ竜を主とする調律師の集団―――【リゾネーター】
無限の煉獄より現れ“己の満足”の為に戦い続ける軍勢―――【インフェルニティ】
他にもここに記し切らない程数多くの派閥が存在し、時に牽制し合い、時に手を組むなど互いの思惑が交わり合う混沌とした情勢が日々繰り返されている種族なのだ。
そんな悪魔族達の中でどの集団が一番強大な力を持つのか?
この問いに答えられる者はおそらくいないであろう。
しかし、限りなく頂点に近い集団と聞かれればこう答える者も多いだろうーーー―――――【暗黒界】と
暗黒界。
それは
かつて現実世界では
その実力は精霊世界でも変わらない。『暗黒界の狂王 ブロン』を中心とし、彼に仕える強力な悪魔たちの軍団の恐ろしさは有名であり、同じ悪魔族はもちろん、他の種族からも一目を置かれているのであった。
―――そして今日、その暗黒界ではとある悪魔の祭典が行われようとしていた。
「クックック…!家臣たちよ、大いに喜べ。ついに待ちに待った時が来たのだ」
悪魔たちが集う街の中。
その中心で狂王・ブロンは邪悪に笑いながら宣言した。
そんなブロンを取り囲むように、ブロンに仕える家臣たちは並んでいる。彼らもまた、王と同じように見る者を凍り付かせるような凶悪な笑みを浮かべていた。
「あぁ、本当に長かった。そして険しい道のりでもあった。途中であの憎き光に邪魔をされ、計画が失敗に終わるかもしれない状況に陥ったこともあったなぁ……だが、余の忠実で最強の家臣であるお前たちのお陰でその脅威を打ち払い、ついにこの日を迎えることが出来たッ!本当に大儀であったッ!!」
「「「おぉーーーーー!!!」」」
王の言葉に応えるように声を上げる家臣たち。その声は、まさに地獄からの呼び声。リビングデッドの呼び声で蘇った死者も思わず墓地へと戻ってしまうくらいに不気味であり、本能の底から恐怖を掻き立てられる声であった。
この強大な力を持つ悪魔たちがここまで喜ぶ祭典とはなんなのか?
多くの生命を生贄とした邪神復活の儀式?
争っていた他種族を蹂躙し、根絶やしにした後の祝いの席?
それとも平和な村を襲い、そこの民たちを肴に酒盛でもしようというのか?
いや、どれも違う。そんな事ではこの悪魔たちは喜ばない。
今から行われる祭典は、もっと悪魔たちの血を沸かせ、肉踊らせる狂気の祭典だ。
「前置きはこれくらいでいいだろうッ!さぁ、始めようぞ―――」
その祭典とは―――
「―――毎年恒例『ジェノサイドキングサーモン』のいくら食べ放題祭りをッ!!!」
―――漁獲祭であるッ!!!
「毎回思うけど、結構反応がオーバーではないか?うちの王」
「あん?何がよ」
祭りの為に用意されていたベンチに座っていた『暗黒界の軍神 シルバ』がポツリと漏らす。
その言葉に反応し、隣で大口を開けながらいくら丼を美味そうに頬張っていた『暗黒界の武神 ゴルド』は手を止めた。
「いや、何かしら言って盛り上げて下さるのはいいんだが……毎回言い方が悪の親玉のソレすぎて温度差が激しいと思ってな。先程も“憎き光”と表現していたが、あれではまるで光属性と争っているようではないか。実際はただ単に『今年は日光の影響でサーモンの影響が危惧されてたけど大丈夫だった!』というだけなのに……ブフォッ!?」
「がははっ!シルバは細かい所気にしすぎなんだよッ!こういう祭り事で重要なのは内容。言葉はノリと勢いさえあればいいんだよっ!」バシッ!バシッ!
「いきなり叩くのはやめろといつも言ってるだろッ!お前にとっては軽いノリなのだろうが、
大口を開けて笑いながら肩を叩くゴルドの手を、シルバは払いのけながら言った。
ちなみにシルバの
「だとしても、だッ!ただでさえ我々暗黒界の一派は見た目から他種族に恐れられているのだッ!………ただ何気なく言った一言が誤解され、最悪敵対種族が増えたら我らが王も不本意であろう」
シルバは長年連れ添った相棒を諫める。
そう、暗黒界に属する悪魔たちは見た目は凶悪そのもので、平気で人の肉とか食ったり、他種族の村を遊び半分で滅ぼしそうな者たちであるが、実際にはそんなに過激な集団ではない。むしろ周辺地域に住む者たちから親しまれる心優しい集団だったりする。
誇り高い騎士道精神を持った騎士もいれば鉄壁の二つ名で慕われてる番兵もいるという、なんか近所の気の良いおっさんみたいな悪魔たちなのだ。
光との争い?ないよ、そんなの。何なら
「敵対種族、ねぇ。………お前、ちゃんと今のこの光景見て言ってるんだよな?」
ゴルドはそう言うと顎を動かして「周りを見ろ」と促す。
その動きに合わせてシルバは周りを見渡した。
彼らの周りにはこの
「で、感想は?」
「………今年も多いな、人間種」
「だろぉ?確かに一昔前にゃあ俺らは最強最悪の悪魔族軍団って恐れられてたぜ。だが、今じゃ御覧の通り『ただの見た目がおっかない気の良い悪魔さん集団』で有名になっちまったもんな~」
「………あのトカゲ人間の影響で、な」
そう言ったシルバの脳裏に思い出される光景は、とある爬虫類族との出来事。
『暗黒海で取れる素材を使って新たな霊術を生み出す』という名目でやってきた魔法使い族たち。その魔法使いの一人の契約精霊だったのが件のトカゲ人間だ。
当時は見た目と強大な闇の力から悪魔族以外の者から一方的に敵視される事が多かった我々であったが、不思議な事にあのトカゲ人間は最初から我々に対して友好的であった。
最初は何か裏があると疑っていたが、彼と接している内に心の底から我らが噂の様な邪悪な存在ではないと思ってくれている事が読み取れ、最終的に我々も絆されたのだった。特に王の気の入り様は半端ではなく『おぬしを名誉悪魔族として暗黒界への永住権を与えようッ!』と宣言するくらいだ。
思い出話は良いけど、そのトカゲ人間とこの状況は関係なくないかって?―――――関係なくない。というか原因の7割があいつまである。
暗黒界に滞在している時、あのトカゲは暗黒海で採れる海鮮を大層気に入ったらしくその後もちょくちょく飯目的で来ていたのだが、その時に『友達連れてきた!』という軽いノリで色々な者たちを同伴してくるのだ。
ある時は某王国の戦士長と兵団の隊長
ある時は
ある時は『全速前進DA☆』とやたらテンションの高いコスプレイヤー
………分かる人には分かる通り、軽い感じで結構どえらい者たちを連れてくるのである。
そしてその者たちも暗黒界の住民の人の良さや地元グルメに感嘆し、そこから他の者たちに噂が広がる。そんな事が続き、今では暗黒界は割と有名な観光地となっていたのだ。
「まぁ、色々とツッコみ処はあっけど俺は今の暗黒界も結構好きだぜ。お前どうよ?」
「………あの王を近くで見てきた私が、今の在り方を否定できると思うか?」
シルバの言葉は遠回しであるが今の暗黒界を肯定するものであった。
思い出されるのは、自分たちが心から慕う王の姿。
「悪魔としての感覚が狂っている。まさに狂王」と思わず言われてしまうくらいのお人好しで心優しい王。本当はもっと他種族と交流をしたいはずなのに、自分が他種族からどう思われているのかを一番に理解し、感情を抑え込み苦しんでいる姿を何度も見ていた。
そんな王が今ではどうだ?他種族に混じって祭りを盛り上げ、満面の…それこそ狂ったように楽しそうな笑みを浮かべている。
それは悪魔としては間違った姿かもしれない。しかし、シルバにとっては
「ははっ、俺も出来ねぇ!」
「………だが、この光景を良く思ってない同族たちが居るのも分かるだろう?」
「あ~、確かにこの前もハ・デス様陣営から書状来てたよなぁ……まぁ、ハ・デス様だけじゃねぇけど、ただ単にうちの王を気に入らないって理由が強いだろ。ただでさえ悪魔としては異端だし」
ゴルドは少し苦い顔をしながら言った。
直属の家臣からもこの評価。ブロンは色々と大丈夫なのか?
「でもまぁ、こっちに……王に危害加える様な―――分かってんだろ?」
「………そうだな」
ゴルドは自慢の大斧を、シルバは共に戦ってきた愛刀をチラつかせて言いあった。
長年共に肩を並べて戦ってきた2人だ。言葉はなくとも、思いは通じ合っていた。
………何はともあれ、どうやらブロンは色々と大丈夫な様だ。
「―――おどれら何時まで休憩しとんじゃい!さっさとこっち手伝わんかッ!!」
そんな2人の悪魔に向けて、咎める様な声が響いた。
2人が声の方向に振り向くと、そこにはゴルド達よりも二回りほど小さい悪魔―――『暗黒界の導師 セルリ』がこちらを睨みつけていた。………何故か頭にハチマキを巻きながら。
「せ、セルリ殿ッ!?すみません!!」
「そう堅ぇ事いうなよセルリのじっちゃ~ん。俺ら休憩入ったばっかりだぜぇ~?」
「じゃかましいッ!!おまんらが休憩してる間もお客は止まらんのじゃい!もうサーモンの在庫が切れそうじゃき戻って来い!もてなしが不十分であったと王の顔に泥塗る気かッ!!」
そう言いながらキレ散らかすセルリの手には刺身包丁が握られていた。どうやらこの祭りの出店を任されているらしい。………暗黒界は今日も平和なようで何よりです。
「わ、分かった分かったって!戻るから待ってろよぉ!」
「今いくら丼流し込みますのでもう少々お待ちを……!」
そう言いながら2人はどんぶりをかき込み、セルリに着いていく。
そんな2人の様子を見て鼻を鳴らすセルリ。
「………そういえばお前ら、あのトカゲの話をしてたよな?」
そんな彼が、ふと思い出したかのように言った。
「は、はい。しておりましたが…何か?」
「いや、そういえばあやつと共に居た魔法使い族が先日から書物庫に入り浸っているなと思い出してな…」
「まじで!?あのトカゲは来てないん久々に腕試ししてぇや!」
ゴルドは嬉々として言うが、セルリはすぐに首を横に振るう。
「いや、魔法使いだけじゃ。……しかし、何故あの子が…見間違いかのぉ」
「……何か、気になる事でも?」
「確かに悪魔の魔法を学びたいって希有な奴は珍しいが、全くいないわけじゃないだろ」
顎を手に乗せて考え込むセルリを見て2人はそんな反応をした。
確かに悪魔族の魔法は蘇生や破壊、洗脳といった強力な魔法が多い。しかし、求められる条件が厳しいものが多く、それを悪魔族以外が学ぼうとすること自体は珍しい。
だが、確かに過去前例は数件程度あり、そんなに気にする事でもないのだ。
現実世界で例えるならば、自販機で当たりが出た位の珍しさである。
「確かに学びに来る者については珍しくないんじゃが……」
―――――――何故、
「………光の?闇の子ではなく?」
シルバは思わずそう呟いた。
『暗黒界の魔法を学びに来た』と聞いて、シルバはとっさにあのトカゲの関係者である闇の魔法使いを思い浮かべていた。それならば珍しくはない、と。
しかし、光属性の魔法使いと言うならば話は別だ。光と闇は相反する存在、言わば水と油だ。その両者を操れる者など
「あぁ、腐っても儂は導師。相手の魔法属性を測る事など造作もない。………だからこそ不思議じゃ。何故、あんな子が悪魔の、闇の魔術を学ぶと言うのか」
『無駄なのに』
その言葉をセルリは飲み込んだ。確かに光の魔法使いが闇を扱うのはまず不可能だろう。しかし、その学ぶ姿勢自体を否定するという残酷な事は、セルリには出来なかったのだ。
「……そんな事より出店ッ!客が待ってんだろ!!」
重苦しい空気になりかけた時、ゴルドがわざとらしく言い放った。
「………そうだな、客人を待たせては暗黒界の名に廃る」
「お、おう!そうじゃったっ!行くぞお前らぁ!!」
そんなゴルドの行動を察したシルバとセルリは同調する。
あのトカゲには思う所はあるが、暗黒界の住民たちは少なからず恩を感じているのも事実だ。だからこそ、トカゲの関係者である光の魔法使いの事は気がかりだ。
しかし、現時点で自分たちに出来る事はないだろう。ならば、今は目の前の
「よっしゃぁ!暗黒界悪魔の総力を挙げて午後も盛り上げていくぞぉ!!」
ゴルドは気合いを入れるように、拳を突き上げて宣言した。
「あっ、コバルが全身タイツの集団と化石発掘に行ってるから正確には総力戦じゃないぞ」
「コバルェ…」
………………何はともあれ、暗黒界は今日も平和である。
ガガギゴ「おっ、暗黒界やん。見た目怖いけど公式でいい人(?)認定されてるし、普通に接してもええやろ」
霊使いちゃんs「あんな恐ろしい悪魔達にも臆さないギゴ君素敵!抱いて!!」(好感度がUPする音)
隊長&他の友人たち「なんかガガギゴに誘われて海鮮食いに来たら暗黒界に連れてかれた件wwwそれはそうと結構いい悪魔達っぽいし、友好関係築いたろ」
こんな感じでまたギゴ君が変な事やった模様。
GXなんてなかった。いいね?
今日の最強カード!
『暗黒界の発掘師 コバル』
暗黒界には珍しい、手札から捨てる系の効果を持たないモンスターだ!
まだOCG化はしてないけど、正直カラレスOCG化のタイミングでやらなかったから多分公式に忘れられてるぞ!
いつの日かカード化されるといいな!
久々の投稿なのに霊使いちゃん達が影も形もなくて笑えん…
次はなるべく早く投稿したいなりねぇ…
ここまでご拝読ありがとうございました