Monster Hunter:Wind Ark 作:カリオロス亜種
出航①
───重すぎると、そう感じた。
産まれて始めて手に取ったそれは、獲物を穿つ牙というよりは、まるで自分達人類に掛けられた枷のような重さだと。
まだ残暑が消えきらない秋の日、自分は狩人としての一歩を踏み出した。
「お、重すぎる……」
「そいつはハンターの扱う武具の中でも最軽量の獲物だぞ?」
「こんなの振れないよ」
殆どのハンターが最初に手をつけるであろう最も基本的な武器、片手剣を手に取った少年、シウニはそう弱音を吐いた。
「そりゃお前さん、見るからに腕力がねぇもんな、しばらくは基礎訓練の日々だろうよ」
昔から面倒を見てくれる村の鍛冶屋はそう笑いながら告げる。
少年は無謀にも狩人を夢見ていた。
交易商一行の操るアプトノスの荷車に乗り、愛用のハイドラナイフを整備しているハンターは、ジォ・クルーク海と外洋との海峡、ドンドルマの南に位置する交易の街、ジォ・ワンドレオを目指していた。
「ときにハンターの旦那、旦那はどうしてジォ・ワンドレオに?」
「とあるモンスターの素材を探しているんです。あそこなら東西様々な情報が集まると聞いたので」
「なるほどねぇ、この大陸では手に入らないような素材なんかも流れてくる事もあるから、きっと旦那の捜し物も見つかるぜ、それじゃあ引き続き護衛の任務よろしく頼むよ」
「はい、頑張ります」
探しているモンスターとは、暴鋸竜アノルパティス、その素材だ。大陸北部、フラヒヤ山脈の近辺とシュレイド地方を結ぶ砕氷船、その製作に素材を用いるためである。
「……シュレイド地方との海路が確立されれば、フラヒヤ周辺はきっと豊かになる」
青年はその任を託され、この地に赴いていた。
一行の旅路は順調で、辺りも虫の声が響くような穏やさがあり、荷車のアプトノス達も特段変わった様子は無く、空も雲ひとつ無い星空で、視界は良好である。辺りに驚異となるモンスターは居ないようだ。
荷車の車輪がゴロゴロと回転する振動と音が眠気を誘うが、現在自分が請け負っている任務は一行の護衛である。不測の事態に備えて居眠りは許されない。
「このまま何も無ければいいのだが……」
いつ何が起こっても対処できるよう、ハイドラナイフの整備を進める。
この片手剣は自分が初めて狩猟したドスジャギィから製作されたものであり、以来ずっと使い続けている。今ではなめし皮が手に馴染むようだ。
青年、シウニのハンターランクは現在2であり、極海の帝王とも称されるアノルパティスを直接狩猟する事は出来ない。そもそも出現する地域が大陸から遠く離れた場所らしく、今回ジォ・ワンドレオに赴いたのはそのアノルパティスの狩猟許可が降りたことのある地方の同業者、或いはその素材を取り扱ったことのある商人を見つける為でもある。
取引の為のゼニーはそれなりに持たされているが、宛のない旅路であるため路銀を稼ぎつつの長旅となっている。
「ワンドレオまではあとどのぐらいかかりそうですか?」
「何事も無ければ明日には見えてくると思うぜ、もうひと踏ん張りだな旦那!」
彼ら行商人はこのルートを通るのに慣れているのだろう、数日に及ぶ移動であるにも関わらず疲労の色を見せないのは流石だ。
ふと、別の荷車に乗っているもう一人のハンターが合図を出した。見張りの交代の合図だ。
「おつかれさん旦那、ゆっくり休んでくれ」
ニッコリと笑いながらそう言ってくれた商人に感謝しつつ、シウニは眠りにつくことにした。
初めまして、カリオロスです
モンスターハンターシリーズの二次創作小説を書いていこうと思います、こういうのは初めてですが頑張ります!