Monster Hunter:Wind Ark   作:カリオロス亜種

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ここからは第二章となります。拙い文章ですがよろしくお願いします!


第二章〜狩人として。
狩人として。①


 

雌火竜、リオレイア。

"陸の女王"と称されるそのモンスターは、強靭な脚力で地を駆け、その口から放たれる強力な炎やしなやかな身体を駆使した尻尾による毒棘の攻撃で、多くのハンターを苦しめてきた。だがその反面、多くのハンターに分析、共有され、狩猟のノウハウが蓄積されているモンスターでもある。リオレイアの狩猟とは、知識との勝負でもあるのだ。

 

「解毒薬に、閃光玉。出来る準備は全て終えた。後は狩るだけだ」

 

シウニは、リオレイアが確認されたという水没林へと向かった。

 

タンジアと程近い距離にあり、一年中雨が降り注ぐその地は、地面が水没し、鬱蒼と生い茂る木々が乾くこともなく、まるで天に見放されたかのような印象を受ける。しかし、そこには確かな生態系が築かれていた。

 

「聞いていたよりも降水量は少ないようだな、足場として利用出来る場所が多いのは助かるな」

 

この時期の水没林は乾季で水嵩が浅く、雨季のように潜ってしまえるような大きな水溜まりも発生していないようだった。

濡れた林の中を、視覚を頼りに進む。

この大雨の中では、足跡やフンの匂いなどの痕跡、臭跡は水に流されて消えてしまう。

聴覚も雨音によってあまり役に立ちそうもなかった。

つまり、リオレイアを発見するには彼女自らが能動的につけた痕跡、例えば、縄張りを誇示するために木の幹に付けられた爪痕などを探す必要があった。

 

しばらく探索していると、見晴らしの良い場所に到達した。

この地特有の遺跡、ピラミッドのようなものが良く見える。

 

「……この地のどこかに必ずいるはずだけど、中々見つかりそうにないな」

 

シウニはそう独り言ち、携帯食料を口にする。

久方ぶりの一人での狩り、しかも相手は飛竜種、リオレイア。少しばかり焦りがあるのかもしれない……

 

次の地点へ探索へ向かおうとしたその時、遠くの景色に飛翔する影が見えた。

望遠鏡を構えて確認する。

 

「あれは……リオレイアだ……!だが何か様子がおかしい」

 

そのリオレイアは吠えていた。それも何もない空に向かって。

ただひたすらその方角に向かって、なにかに怯えるかのように。

 

「何を……しているんだ……?」

 

しばらくその様を観察していると、リオレイアが鳴き疲れたかのように地面に降り立った。

 

「……エリア7番。急ごう」

 

一連の行動の意味を考える事は一旦後回しにして、リオレイアの元に走った。

 

「狩猟開始だ……!」

 

気付かれない距離から毒投げナイフを投げ、翼に着弾。

命の削り合いの火蓋が切って落とされた。

 

今回はパーティでの狩りのように不意をついて拘束し、一気に削るといった戦法は出来ない。真正面で立ち回り、隙を突いて着実に弱らせていく必要があった。

 

「……!」

 

まずは馬鹿正直に走る。兎にも角にも距離を詰める。

当然雌火竜は応戦し、火球を三連放った。

シウニはそれを余裕を持って右に躱し、後隙に合わせて甲殻の薄い首元に二撃、即座に離脱し、息継ぎをする。

狩猟においては、如何に呼吸を怠らないかが何よりも重要と言える。

 

追いかけるように繰り出してきた突進噛みつきを回転回避でやりすごし、すぐさま体制を整え、脚に向かって三撃。まずは機動力を削ぐ。

続けざまに向かってくる回転する尻尾を盾でいなしつつ回避し、再び距離を取る。

この基本に忠実な戦い方こそが、シウニが訓練で培ってきた成果だ。だが、それだけでは足りない。

 

「このままこの応戦を続けても先に力尽きるのはこっちだ……!」

 

中々獲物を捕えられない状況に、リオレイアは苛立ちを募らせ軽く唸る。

正面に獲物を捉え、力強く走り込み一回転。

リオレイアの代名詞、サマーソルトだ。

 

「……!これだけは喰らえない……!」

 

間一髪でこれを避け、背筋がひやりとするのを感じる。しかし好機だ。

リオレイアは、火竜の雄個体、リオレウスとは違い空中における攻撃は得意では無い場合が多い。火球を繰り出す頻度も減少し、一度の滞空で繰り出すサマーソルトはどれほど強靭な個体でも二連続までだということが過去に対峙したハンター達によって判明している。

それも、一発目とは違い突進の勢いを乗せないゆったりとした狙いの定め方をする事が多く、この個体もそれは例外ではなかった。

 

「タイミングさえ間違えなければ、躱せる……!」

 

二発目のサマーソルトを今度は余裕を持って回避し、すぐさまリオレイアの前方に向けて閃光玉を放った。

堪らず墜落し、悶絶。絶好の好機だ。

 

「……よし!」

 

片手剣を下段に構え、連続攻撃を脚と翼に叩き込む。リオレイアは苦悩の鳴き声を上げた。

ハイドラナイフの刃を滑らせ、できるだけ腱にダメージが行くように、切りつける。

リオレイアが起き上がろうとしたその時、足元から強力な電流が流れ、体の自由を奪う。

足元にシビレ罠を設置したのだ。

 

「ハアァッ……!」

 

リオレイアの首目掛けてブレイドダンスを繰り出す。傷口はそれなりに深く刻まれた。

シビレ罠の効果が切れる前に離脱、距離を取る。ここまでは順調だ。

 

「はぁ、はぁ……」

 

シビレ罠の効果が切れ、身体の自由を取り戻した雌火竜は、忌々しい火竜を睨みつけ、咆哮を上げた。口からは炎が漏れ出し、まさしく怒髪天といった様相である。

 

「ここからは、失血を狙う……!」

 

シウニの獲物、ハイドラナイフには、刃の腹の部分に裂傷を起こさせる棘があった。

このまま開かれた傷を放置したまま戦い続ければ、シウニにも勝機が見えてくる。

 

「……!?逃げる……?」

 

苛烈な攻撃を畳み掛けてくるものと身構えたが、リオレイアは一転、空に飛び上がり別の場所へ移動した。──かのように見えた。

 

「どこに……」

 

後を追う為にリオレイアを注視するシウニ、しかし、かの竜の挙動は移動のそれでは無かった。

 

「!?」

 

なんと、そのまま上空から突進し攻撃を仕掛けてきた。

慌ててガードをするも、落下の勢いを乗せた回転尻尾攻撃によって吹き飛ばされ、硬く濡れた岩に激闘してしまう。

 

「あがッ……!!!」

 

凄まじい衝撃がシウニを襲う。

 

「まずい、追撃が来る……体が動かない……!

視界が揺れる、息が出来ない……

意識が、混濁する………」

 

………

 

リオレイアの足音は聞こえない。羽ばたく音も。雨音だけが強くなる……。

雨に溶けた雪が冷たく頬を叩く……いや、違う、ここは雪国では無い。これは……記憶………?

 

どうしてこんな時に、何を思い出してるんだ?

 

あれ?

 

俺は……

 

どうしてハンターになろうとしたんだっけ……?

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