Monster Hunter:Wind Ark   作:カリオロス亜種

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狩人として。④

 

タンジアギルドによる全依頼中断、及び緊急招集の報せが発せられ、ハンター達の間で困惑と不安が渦巻くギルドに、観測の任に付いていたブルームが帰還する。

 

「古龍観測隊からの報せが届いた。巨大な蛇のような姿に特徴的な一対の牙……。体色に違いはあるようだが、あのモンスターはほぼ間違いなく大巌竜 ラヴィエンテと断定していいとの事だ」

「本当にラヴィエンテだったなんて……」

「資料によると、ラヴィエンテは"絶島"でしかその姿を確認された例は無いはず……今回現れた個体は異例と言えます」

「つまりあの馬鹿でかい竜も"彷徨個体"……って事になる。前回の異変と同じくこのタンジアに向かってきている辺り、関連性はあると見ていいだろうな」

 

"彷徨個体"ラヴィエンテ──

調査隊にとっての最重要調査対象であり、目下タンジアにとっての最大の脅威。

立ち向かわずに逃げる……という事は出来なかった。

 

「奴はどうやら地下龍脈に沿って移動しているらしく、ある程度の進行経路が予測できる。そしてその経路には……」

「タンジアがある……」

「そうだ、俺達の勝ち筋は奴がタンジアに辿り着く直前に立ちはだかり、その侵攻経路を逸らす、或いは討伐……というわけだ」

「討伐は、難しいでしょうね。メゼポルタに所属する凄腕のハンター達と、パローネ=キャラバンの連携、なにより"絶島"で行われた戦闘は、あくまでもラヴィエンテが『捕食する』事に執着した結果、潰されずに済んだだけだったと聞いています。」

「今回は捕食と言うよりは何処かに向かっているようだしな。無策で突っ込んでも囲まれりゃあ締め潰されて終わりだぜ。」

「かといって空からの攻撃だけじゃ無視して進まれたらどうしようも無いもんね、うーん……」

 

 

こうして考えている間にも、ラヴィエンテは龍脈を辿り、直線的ではないにしろ着実にタンジアの方向へと近付いている。ギルドによって集められたハンター達に説明の場を設けるためにも、残された時間はあまり多くはなかった。

 

「……それに関してなんですが、一つ思いついた案があります」

「シウニさん、それは一体……?」

 

シウニが語ったその内容は、およそ正気とは思えないが、現状最も有効であると考えられる策だった。

 

「……確かにタンジアであればそれは用意できます、飛空船を用いればそれ自体は可能ではあると考えられますが……しかし……」

「はははっ、そいつはあまりに突飛な発想だな、シウニ」

「そう、ですかね。でも、これが俺の思いつく最善です。」

「どうせ時間もねぇ、それで行こうぜ!」

「わかりました……。すぐに手配します……!

後に、ハンター達に向けて説明の場を設けます。シウニさん、その作戦の説明をお願い出来ますか……?」

「わかりました。」

 

古龍観測隊による情報の確定を受け、タンジアギルドのギルドマスターが壇上に上がる。

集まったハンターは、ドンドルマ、ロックラックからの増援も含まれており、タンジア周辺ではあまり見かけない装備の者も多かったが、一目見てわかるほどにそれらの防具は強敵から作られたであろう物がほとんどであった。

 

カウンターの銅鑼が響き渡る。ハンター達はいよいよかといった面持ちで目線を向ける。

 

「ハンターの諸君。今この場に集まってくれていること、心より感謝する。ワシが、このタンジアハンターズギルドを任されておるギルドマスターじゃ。今回の大巌竜迎撃作戦の説明を執り行う。」

「大巌竜だって……?確かそいつはとある島でしか目撃された事がないって話じゃ……」

「バカでかい巨大な竜って聞いた事があるぜ。そんな奴と戦うってのかよ……」

 

「そう、大巌竜ラヴィエンテ。かの老山龍をも遥かに超える体躯を持ち、まるで蛇のように大地を滑る。正真正銘の化け物じゃ。そいつが、今このタンジアに迫ってきておる。」

 

ハンター達の間に動揺が走る。伝え聞いた話でしか知らない者、文献で名前だけは知っている者、または全く知らないハンターも居るようだが、彼らの反応は同じだった。

老山龍、それは圧倒的な巨躯で知られる古龍。そんな存在をも遥かに上回る巨体と聞いて、たじろがない人間は居ないだろう。

 

「そんな奴がここに向かってきてるって言うのかよ……それで、そいつはどのぐらいでこの港まで辿り着くんだ!?」

 

「古龍観測隊の観測によれば、二日後の朝にでもこのタンジアに辿り着く計算じゃな。我々はそれを前もって迎撃し、その行く手を阻み進路を変えさせる。それが目的じゃ。作戦の説明を行う前に、紹介せねばならん組織がある。先のタンジアでの異変、"彷徨個体"の出現を受けて編成された組織、彷徨調査隊じゃ。今回現れたラヴィエンテも同じ"彷徨個体"だとして、救援に駆けつけてくれおった」

 

代表としてシウニ達が前に立つ。

 

「彼等こそが、先の異変とほぼ同時期に発生したジォ・ワンドレオにて"彷徨個体"の騒動を沈めたハンター達じゃ。彼らのうちの一人が、今回の作戦を立案した。説明を頼む。」

「シウニ・フリューリンです。今回の作戦は、正直言って命の保証が出来ない。ただし、俺達にとっての明確な命綱となる。」

 

シウニが今回の作戦を淡々と語る。

その作戦を聞いたハンター達の表情は様々だった。

 

「イカれてやがる。もっといい方法は無いのか……?」

「だが、それをしなければ皆纏めて圧死だろう。この作戦に命を預けるとしよう」

 

「俺達は一時期、過去にラヴィエンテと退治したパローネ=キャラバンと交流した事がある。その時に聞いた話では、『奴は前にしか進まない、一度外敵だと認識されれば、対象を屠るまでその執着は続く』だそうです。つまり、立ち向かい続ければタンジアへの進行は阻止出来る。ここには多数の人間が住んでいる。避難の為の時間も何もかもが足りていない。だからこそ、共に立ち向かって欲しい。お願いします……!」

 

シウニの必死の演説に、やはりハンター達の反応は様々であった。

 

「この若造は、先の"彷徨個体"の出現の際も、実力不足を自覚してなお立ち向かい見事討伐を果たしたそうじゃ。そして、今回もまた立ち向かおうとしている。そんなハンターからの必死の頼みじゃ。ワシからも重ねて頼む。どうかこのタンジアを救ってはくれまいか」

 

見るからに若手の、ハンター装備の片手剣使い。その彼が先陣を切って立ち向かおうとしているのに、自分だけ背を向けて逃げる事を許せるハンターはこの中には居なかった。

 

「やってやるぜ畜生!」

「一度討伐された事のある相手だ、やってやろうじゃないか」

 

かくして、"彷徨個体"ラヴィエンテとの戦闘の火蓋が切って落とされた。




今回は自分が誰に影響を受けているのかがわかりやすい回だったと思います。ハズカシイ
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