Monster Hunter:Wind Ark   作:カリオロス亜種

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第四章〜新たなる任務
新たなる任務①


──まだ、認識が甘かった。

強大な存在に立ち向かうという事。ハンターという職業の過酷さ。人と竜の力の差。そして何より、先頭に立ち人の命を預かる責任の重さ……

 

「一体……それで何人死んだ……!?」

 

怪我人が大勢運び込まれた病室の天井を睨みつけては、重々しく呟く。身体が、心が、鉛のように重い。

 

 

 

彷徨調査隊にとっての初任務、ラヴィエンテ迎撃作戦は成功した。しかし、それを喜ぶにはあまりに被害が大きすぎる。

調査隊のメンバー、タンジアのハンター、救援に駆けつけてくれた狩人達はいずれも重軽傷を負い、中には治療中に命を落としてしまう者も居た。そして、狩人達の中にはあの戦場から帰って来ていない者が大勢居る。

彼ら全ての尽力によりタンジアは守られた。それは紛れもない事実であり、そこに住まう人達や作戦成功の報せを受けた各ギルドの人間は大いに沸き立った。しかし、実際に地獄を見てきたもの達の心中は計り知れない……

 

「なぁ、シウニ。これがハンターの仕事ってやつなんだよな。知恵と力を振り絞って、全力で大自然と向き合う。実際それでこの街は守られた。大手柄だ。だけど、さ。俺は……」

 

「……ラム?」

 

「……だけど俺は、奴を許せない。何も悪くないハンター達が、あんなに無残に殺されて良かった理由がわからないんだ。あいつらはこの街を守ろうとただ必死で、自分の命をかけてまで戦ってた。なのに俺は、村のヤツらを見返す為のチャンスだとしか考えずに奴と対峙してた。そんな俺が死ぬならともかく、あいつらがあんな死に方するなんて……俺は、今はこの戦いで死んでいった奴らの仇を討ちたい。奴を……殺したい」

 

「ラム……」

 

「はは、……ハンター失格、だよな。俺が狩人として果たそうと考えてる事はいつも独り善がりだ」

 

「『モンスターを恨むなとは言わない。仕方のないことだと飲み込もうとしなくてもいい。ただ、生き残ったならばその全てを背に、歩み続ける事だ。それが、倒れた者たちに対する弔いになる』 ……受け売りの受け売りだけど、俺はこの言葉が忘れられない……。進もう。今はそのままでいい、俺たちと各地を廻って、色々なものを見て、それから決めよう。ラム、彷徨調査隊に入ってくれ」

 

「……わかった。ついて行くよ」

 

病室のベッドで二人、拳を天井に突き立てる。悔しさ、怒り、やりきれなさ。それら全てを背に、固く決意する。

 

 

──あれから一ヶ月が経過し、ようやく自力で立って歩く事が出来始めて来た頃

砕氷飛空船、アルカの修繕が完了したとの報せが入った。

 

「……なんか、前よりもイカついような」

「あぁ、爺さんが設計を見直したらしくてな。以前より乗り込める人数も増してるってよ」

 

比較的軽傷だったシウニ以外の三人は、もう既に狩りに赴けるほど回復していた。

 

「イカつくなったのは飛空船だけじゃねぇ、共に戦ったハンター達がな、俺たちと一緒に行きたいんだと」

「ラヴィエンテを追う為……」

「そうだろうな、故郷から一緒だった友人をこの戦いで亡くしたって奴もいた。思う事はラムのやつと一緒ってことだろう。そこで、だ」

 

レイが懐から取り出した紙を広げる。

 

「二番船、アーシェ。アルカと同じ砕氷飛空船だと。"彷徨個体"の報告は何も一件づつとは限らないからな、ラムのフクズクで連絡を取りつつ、手分けして対処に当たるってわけだ。」

 

ラヴィエンテは戦いの後消息を絶っており、各ギルドが捜索中である。

 

「各地に出現した"彷徨個体"を調査することで、いずれラヴィエンテの行先も判明するかもしれない。だけどレイさん、俺はこのままじゃダメだ。もっと強くならなきゃ」

「あぁ、シャナの奴も同じ事を言っていた。ブルームも俺も、その気持ちは同じだ。俺たち彷徨調査隊には現在、"彷徨個体"の報告が上がるまで各地の依頼を受けて回るよう指令が出ている。しばらくは修行ってこったな」

 

シウニの現在の実力は、リオレイアに苦戦してしまう程度でしかない。精神状態による振れ幅が大きいとは言え、"彷徨個体"を相手取るには実力不足と言わざるを得ない。

今はとにかく、技量を上げなくては。

 

 

 

自分達が守った街、タンジアを後にする。未だ癒えぬ傷の痛みを戒めに、飛空船は進む。

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