Monster Hunter:Wind Ark   作:カリオロス亜種

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新たなる任務②

「俺の故郷には優秀なハンターが居てな、俺の兄ちゃんなんだけど……」

 

彷徨調査隊に参加することになった少年、ラムがタンジアチップスをムシャムシャしながら話し始める。

 

「兄ちゃんはどんな武器でも扱えるんだ。複雑な機構もすぐに理解しては扱いこなしてた。俺なんてひとつの武器の整備方法を覚えるのに何ヶ月もかかったのにな」

「複数の武器を扱える狩人か……それは凄いな、とても真似出来る気がしない」

「私も真似出来ないかな……手に馴染んだ武器じゃないと、戦える気がしないよ」

「俺が見てきた限りでも、それができる奴は片手で数える程しか見た事がねぇな」

「普通は一種類の武器を使い続けて練度を高めるのが一般的だ。下手に扱い慣れていない獲物でモンスターと対峙するなど、自殺行為に等しいからな」

「あぁ、だが兄ちゃんはそれが出来ちまう、俺の村の護りは兄ちゃんが要だ」

「そんな腕前を持っているハンターだったなら、今回の戦いにも参加して欲しかったもんだが」

「昔に色々あったらしくて、村を守ることを第一に動いてるんだ。だから多分誘っても来なかったと思う」

 

だから村の護りは大丈夫だ、とラムは語る。

 

「水没林付近の環境も落ち着いてきたようだし、そんなハンターが居るならお前が自由に行動しても大丈夫……ってわけか。それは少し寂しいような気もするがな……」

「ん……?村は水没林の付近にあるのか?」

「?そうだぞ」

「……そうか」

「………?」

「いや、すまない なんでもないんだ」

「しかし俺たちの初仕事があんな化け物になるとはな……」

「正直、生きてるだけでも奇跡だと思う、俺は直前にリオレイアにやられて手負いだったし」

「私の太刀もまるで通用しなかった……あんな竜を倒した人達が居るなんて、想像もつかないよ。」

「ラヴィエンテは、活動する時期によって体色や行動が異なるらしい。メゼポルタのハンターとパローネ=キャラバンの一団は、繰り返し調査を行うことで動きや生態を把握し、充分な準備のもと執り行われた作戦の末に討伐を果たしたようだ。今回現れた個体はその際に確認されたどの形態とも異なる蒼色の体色をしていた。ろくな準備も情報も無い中、タンジアを護りきれた事を今は誇ろう」

「怪我人もぼちぼち食欲が戻ってきた頃だって事で、今夜はシー・タンジニャが腕を振るってくれるらしいぜ。」

「うぉ〜、そりゃ楽しみだ!」

 

 

 

日が落ちてもなお明るく活気のあるタンジアの商店通りを、仲間に支えてもらいながら松葉杖で歩く。

人の喧騒と、柔らかく吹き抜ける潮風が心地いい。

海に聳える黒龍払いの灯台が、タンジアの日常を照らし出す。

 

「シウニよ、この場所は紛れもなく俺たちが護ったんだぜ。だからもう、落ち込むな」

「わかってます、俺もラムも、下を向いてばかりは居られない」

「お前の考えた策がなければ、この宴会に参加出来なかった奴らも居ただろう。お前にはどんな状況でも折れない心、思考を放棄してしまわない冷静さがある、向いてるんだと思うぜ、そういうの」

「俺にはまだ、人の命を背負う覚悟が足りてない。でも、少しでも犠牲を減らせるなら、やってみようと思います。」

「おう!今日はたらふく喰わせるからな、覚悟しろよ?」

 

シウニ自身がハンターを目指した理由。それがどうしても思い出すことが出来ない。

ただ、自身が今ハンターを続けている理由は明確だ。

仲間や、関わりのある人間達が少しでも明るい未来を歩めるように、その為に策を巡らせ刃を振るう。ただそれだけの純粋な想いが、固い決意となっていた。

 

 

 

──時は現在に戻り、タンジアを出立してから二ヶ月後の事──

 

「調査隊の制服?」

「おぅよ。その名も、ジェクトリーシリーズだ」

 

 

【挿絵表示】

 

 

ドンドルマギルドより、彷徨調査隊の専用防具が支給された。

動きやすさと耐水性能、防寒性能に優れた造りで、装甲を敢えて簡易的なものにする事で、各々が好きなように改良を施すことが出来るように設計されている。

 

「空の旅は冷えるってんで、爺さんが用意してくれたんだと。ドンドルマの加工屋のおやっさんに要望と一緒にモンスターの素材を持っていけばオーダーメイドに加工してくれるらしいぜ」

「なるほど、この防具なら整備も簡単そうですね」

「まぁ今は暑いからな、マフラーはとっておこうぜ」

 

新たなる装備を纏い、砕氷飛空船、アルカに乗って新たな地を目指す。目的地は、現在は大砂漠に拠点を構えているという、太陽の集落 バルバレ

 

砂の海とも言えるほど、流動性の高い砂で構成された大砂漠は、さながら海上のように船を進ませることが出来る。砕氷飛空船、アルカは、まさにその砂の海を泳いでいた。

 

「バルバレには色んな地方からの情報や依頼が集まるからな、"彷徨個体"の情報を集めつつ依頼をこなすにはうってつけってわけだ」

「バルバレ……『知りたいことがあったらバルバレに行け』と言われる事がある場所ですね。俺も暴鋸竜の素材を追い求めてた時に向かう先の候補として考えてました」

「二人とも、バルバレ見えたよ!」

 

大砂漠の揺れる地平線に、巨大な船や飛行船、キャラバンの集落が見え始める。

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