Monster Hunter:Wind Ark   作:カリオロス亜種

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新たなる任務③

「レイさん、あれって……」

「うん?っておいおい、ありゃダレン・モーランじゃねぇか、バルバレの真横を通り過ぎてやがるが、まさかギリギリで撃退したってのか…?」

 

豪山龍の巻き上げた砂塵の先に、複数の砂上船が走っているのが見えた。

 

「どうやら、彼らが撃退したようですね」

「間一髪だね……」

 

巨大龍の撃退。そんな大事が今まさに果たされたと言うことか。

 

「こりゃ、バルバレは大変な騒ぎになってんじゃねぇか?」

「あれだけ接近されたとなると、被害が出ていてもおかしくない。俺達も向かいましょう」

 

船を停め、キャラバンが集まる市場へ足を進める。

人々の話題はやはり先程の豪山龍の事でもちきりだったが、その雰囲気は明るく活気に満ちていた。

 

「俺はてっきり、もっと戦々恐々とした雰囲気になってるもんだと思ったんだがな」

 

荒涼たる炎天下の大砂漠を移動し、拠点を構える彼らにとってこれは日常なのかもしれない。人が住むにはあまりにも厳しいこの地で、力強く生きる。例え巨大龍が迫り来ようとも、億さず日々の営みを崩さない。そんな人々が集まる地だからこそ、世界各地から人や情報が集まり、それがまた活気を呼ぶ。ここはそういう場所だった。

 

「そんじゃあ、各自自由行動だな。俺とブルームは酒場を見てくる、ここでしか飲めない美味い酒があるって話だぜ」

「私はご飯!さっきアイルーさんの屋台から美味しそうな匂いがしてきてたんだよね〜」

「俺は適当に市場を見て回ろうかな」

「俺もそうしようかなぁ、一緒に回ろうぜ」

 

ラムと共に市場を巡る。市場はとても広く、様々なものが売買されている。心が踊る風景だ。

 

「ん?おっちゃん、何だこれ?」

「コイツはメゼポルタで秘伝書と呼ばれる代物だぜ、狩人が未開の新天地で戦う為の技術やらなんやらが記されてるらしい。あんた見たとこハンターさんだね?それならコイツはオススメだ」

「秘伝書……何種類かあるみたいだけど、なんか違うのか?」

「あぁ、扱う武器毎に別れてる。ここにあるのは、『大剣』『片手剣』『ハンマー』『スラッシュアックス』『穿龍棍』の5つだな 」

「穿龍棍……?」

「メゼポルタで運用されている武器……だった筈だ。前にジォ・ワンドレオで耳にした事がある」

「へぇ〜、そんな武器もあるんだな」

「『穿龍棍』と言えばお客さん、それにちなんだ素材がここにあるぜ、その名も『バモート鋼』。穿龍棍の複雑な機構を成立させる為に必要不可欠だとかなんとかで、その秘伝書と共に手に入れたものさ」

「……この素材を加工屋に持っていけばもしかして」

「そう、穿龍棍が作成できるってわけだ。どうだい、買ってくかい?」

「うーん………俺の得物はスラッシュアックスだからなぁ、それにもし作って貰えたとしても使い方がわかんねぇよ」

「ラム、秘伝書の中には穿龍棍の扱い方も記されてるようだ。悪くは無い買い物かもしれないぞ」

「そうか…まぁ、お金はギルドから支給されてるし買って損はないか。おっちゃん、『スラッシュアックス』と『穿龍棍』の秘伝書を売ってくれ。それとそのバモート鋼?も」

「俺も、『片手剣』の秘伝書を買いたい」

「まいどあり!少々重いから気をつけな!」

 

そういうとおじさんは大量のバモート鋼を袋から出した。秘伝書も無い状態だと売りようがないから全部持っていけ、との事だった。

 

「お、重てぇ!多すぎだろ!これ!」

「とりあえず船に戻ろうか、これじゃ買い物どころじゃない……」

 

やっとの思いで運び、船室で穿龍棍の秘伝書を読んでみる。

 

「ふむふむ、杭を射出……龍気穿撃……?」

「基本は双剣のような連撃で攻める武器みたいだな」

「絶え間なく攻撃を重ねる事で機構内の龍気を増幅させ、攻撃の威力を増す……つまり攻めれば攻めるほど強力な一撃を浴びせられるようになるってことか」

「反面、一度守りに出ると龍気は減少してしまう……防御を捨ててリスクの高い接近戦を繰り出す必要があるという事になる、狩人の武器というのは、まず第一に防御や回避が十全に行えるように設計されているものだけど、この武器は前提から、危険を犯し続ける事で活路を見出すような設計に感じられる……最初から"龍を穿つ"、その為に設計された武器というわけか」

「……俺達が追っているあの竜を相手取るにはおあつらえ向きだ。俺は、この武器を使ってみたい。加工屋に行って取り合ってみるよ」

 

そう言ってラムは船室を出た。

 

「……おあつらえ向き、か」

 

シウニも、購入した片手剣の秘伝書を読み始める。

 

「地の型、天の型、嵐の型……なるほど、状況や相手によって扱う技を絞るのか。そしてそれらを臨機応変に使い分けられるようになったら、極の型の習得に入っていく……」

 

地の型は、基本戦術、立ち回り、特殊な体重移動による攻撃や回避の術。

 

天の型は、隙の少ない相手に対応する為の攻撃的な立ち回り、息切れしてしまわない為の呼吸法。

 

嵐の型は、特に対象の武器種の長所を活かすために特化した立ち回りが記されており、片手剣の場合は、属性効果によるダメージを効率的に与える為の突き技に関する技法、各筋肉の使い方等の高度な技術に関する事柄が記されていた。

 

「いずれも訓練所時代に習ったものとは全く異なる、最前線で戦っている狩人達の知識だ。すごい、こんなものが手に入るなんて……」

 

その日は、秘伝書を読み進めた。べろべろに酔っ払ったレイがブルームに担がれながら帰ってきた頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。

 

「シウニ、その本はなんだい?」

「秘伝書と呼ばれる物です、これは片手剣のものなんですけど、狩猟に役立つ事柄が沢山書いてました。ガンナーのブルームさんには参考にならない部分が多いかもしれ無いけど、読んでみますか?」

「ぉおぃ、俺にも読ませろぉ!」

「酔っ払いに理解できるかどうか……」

「あんだとおめぇ!」

「確か大剣の秘伝書も売りに出されてたハズなので、明日おじさんの所に案内しますよ」

「ぅん、、、?なんの事??」

「……」

 

完全に出来上がっている。会話がままならない

 

「そういえば、シャナさんはまだ帰ってないんですか?」

「あぁ、彼女ならクエストを受注していたようだ。屋台で知り合ったハンターと意気投合したらしい」

「それじゃあ、今頃狩場って事ですね。初日から凄いな……」

 

そうこうしている内に、ラムが帰ってきた。

 

「よぅ、ただいま」

「おかえり、穿龍棍、どうだった?」

「それが、加工屋のおっちゃん達に聞いて回ったんだけど誰も作れなくてさ。当分は後回しだな」

「そうだったのか、それは残念だな」

 

そう口では言いつつも、何処かで安心している自分が居た。

 

「その代わりになんだけどな、竜人の無口なおっちゃんが、バモート鋼を使ってスラッシュアックスを作ってくれるって言うんだ。メゼポルタで運用されてるタイプで、一般的に使われてる剣斧よりも性能が良くて使い勝手も違うらしい」

「メゼポルタで運用されているタイプ………もしかして、秘伝書にも運用方法が記されてるんじゃないかな」

「お?そうだな、読んでみるか」

 

スラッシュアックスの秘伝書を開く。

『第一として、本書に記されるスラッシュアックスの仕様はメゼポルタで研究開発された形式のものであり、従来のタイプとは異なるものである。』

 

「使い方が書いてるどころか、これ普通のスラッシュアックスの秘伝書じゃないぞ!あのおっちゃんさては知らなかったな?」

「ははは……」

「それにしても、よく見たら随分分厚い本だなこれ。俺こういうの読むの苦手なんだけどなぁ」

「あぁ、だけど本当に有益な情報が載ってるよ、読む価値はある」

 

その夜は、3人で秘伝書の内容について話し合った。

 

「そういえば、おっちゃんはこんなものどこから仕入れたんだろうな」

「秘伝というぐらいだ、そう易々と手に入るものとも思えんが……」

「穿龍棍の制作に必要なバモート鋼まで一緒に市場に流れていたという事は、誰かしらが穿龍棍を作る事を望んでいた……のかもしれない」

 

どこから流れて来たかわからない秘伝書、穿龍棍の素材……

色々な仮説を立ててみるものの、そのどれもが要領を得なかった。

次第に睡眠に入ったレイのいびきがうるさすぎて、その日はお開きとなった……

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