Monster Hunter:Wind Ark   作:カリオロス亜種

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リュウを屠る剣②

 

 

「なんだったんだ、さっきの閃光は……?」

「まて、誰かがこの場所に近付いてくるぞ」

 

狩場に残され、シウニの安否を見失ったラム、イザナ、ベラータの三人は、一人のハンターの接近に気付いていた。千里眼の薬の効果だろう。

 

「ん、シャナじゃんか、おーい!」

「ラムくん!状況は!?」

「イャンガルルガと戦闘になって、シウニが持ってかれた」

「!?? 今すぐ助けに行かなきゃ!」

「そうしたいんだがな、遺跡の上だし、さっきの赤い閃光のこともある」

「無事で居て欲しいけど……」

「少なくとも彼が遺跡にたどり着くまでは無事だったはずだ、千里眼の薬の効果で閃光の直前までは気配を感じていた。ただ、今はより異質な何かの気配に塗りつぶされて感知できない」

 

イザナが歯痒そうに舌打ちする。彼の経験を以ってしても、現在の状況は理解の外側にある。

 

「とりあえず登るしかないね、上まで道が通じてるかはわからないけど……」

「俺とベラータはギルドに報告と救援要請を出してくる。気配からして古龍種自体は居ないようだが、気をつけろよ」

「ベースキャンプに新米の子が準備して待ってると思うから、頼んだよ」

「頼んだおっさん!」

「後でしばくからなお前」

 

遺跡は谷を挟んだ向こう側にあり、こちらから向かうとなると相当な距離だが……

 

「とりあえず何か信号を送れるもの、音響弾か信号弾を持ってれば返事してくれるかも」

「いや、多分掴まれてる時に使ってた音響弾で最後だと思う」

「そうなんだ……」

 

考える時間も惜しいため、狩猟区域から外れた遺跡への道を進む。支給品の地図はあくまでも狩猟用の物なので、遺跡近辺はあまり詳細に記されていない。

谷を下り、遺跡の外周を回り入口を探す必要がある。今の所モンスターの気配はないが……

 

「イザナがギルドに報告して、気球を飛ばして捜索開始するまで、わりとかかるよな」

「そうだね、だから登れるなら登って捜したいんだけど……」

 

遺跡は大きく、一周するだけでも相当な時間がかかりそうだ。

二手に分かれて巨大な構造物に入り込める箇所を探す事にした。

空気の通り道すら殆ど無い、外界を拒絶するような巨大な壁面を伝い、裏面を目指す。

こちらも先程と同じような壁面が続くかと思えたが、しばらく進むと入口に当たる場所を見つけた。信号弾でラム君に知らせ、自身は一足先に内部へと入り込む。

 

「上がれる場所は……」

 

空間は広く、薄暗さはあるものの見えない程では無い。外の音はこちらからは聞こえない代わりに、自身の足音や息遣いが反響する。

しばらく歩き回り、上へ向かう為の階段を探している最中に、明らかに自分ではない何かが発している乾いた音が近付いてくる。

 

「まさか、モンスターが……?」

 

警戒しつつ振り向いた先に見えるのは、モンスターの類ではなく、人影のようだった。

 

「まさか、シウニくん!?」

 

近付き姿を確認する。やはり彼で間違いない、明らかに重症で、荒い息を吐きながらやっとの思いでここまで歩いてきたようだ。

 

「シャナさん……? なぜここに?」

 

「生きてて良かった……! 近場に居たラム君達と合流して、捜しに来たんだよ。もうすぐラム君も来るはずだから、まずは明るい場所で応急処置を」

「そう、か。ありがとう……」

 

辛うじて意識を保つ事で精一杯な彼を支えつつ、入口付近に向かう。

 

──外の光が差し込んできた辺りで気付いた、彼の持つ武器が以前とは異なっている。

激戦を繰り広げたにしては、返り血の量が少ない。異様な雰囲気を纏うそれを握る彼の右手は、不自然な程に震えていた………

 

 

 

その後、応急処置を済ませラム君と合流し、捜索隊の気球に乗せてバルバレへと帰還した。彼の意識は応急処置を済ませた少し後で限界を迎えてしまい、目を覚ましたのはバルバレに帰還して数時間後の事だった。

 

「どうだ、話せそうか?」

「まだ、少し気分が……」

「それはそうだろう……傷は浅いが出血が酷かったって話だ。だが、不可解な事が多すぎる。あの後、あの場で何があったのか、少しづつでいいから話してくれ」

 

船室に居るのは一緒に狩りに向かった面々と、ギルド関係者、そして事情を知らず困惑しているレイさんと、机に置かれたあの剣を静かに見つめているシャナさん。

……何から話すべきか。正直、自分自身も何が起こったのか理解しきれていない。

 

「あの高さから、どうやって生き残ったんだ?」

「剣を、ハイドラナイフを遺跡の壁面に突き立てて落下の衝撃を和らげたんだ。」

「……おまえって大概無茶するよな」

 

ラムにそう言われるのも無理は無かったが、あれ以外に手立ては無かった。火事場の馬鹿力にしたって奇跡だが。

 

「ハイドラナイフはその時ダメにしてしまった。盾はそれより前、イャンガルルガに掴まれた時に砕けてそのまま落ちたと思う」

「なるほどな、じゃああの剣は遺跡の上で見つけたって事だよな?片手剣を長らく愛用しているが、あんな獲物は見た事が無いが……」

「見つけた……と言うよりも、気付くと手に持っていました。あの時、俺は瀕死のイャンガルルガに剥ぎ取り用のハンターナイフで止めを刺そうとしたんです。その瞬間、強烈な光に包まれて、俺の手からハンターナイフが消えた。そして、何も持ってない筈の左手にアレが握られていた…… これが俺の認識の全てです」

 

あまりに現実味のない証言だが、こう話すしかない。

 

「頭でも打ったのかとでも言いたくなるような話だが、現地に居た俺達も赤い光はハッキリと見たぜ。そしてあの剣だ、遺跡に落ちてたにしては綺麗すぎる」

「祀導器……だと思います。俺の故郷の村に似た形の祭具があった」

「シウニの故郷にあった祭具に似た剣が、赤い光と共に現れたってのか……少し、出来すぎてねぇか」

 

得体が知れなさすぎる、翠緑の剣……

ハイドラナイフを失った直後に、まるで何者かに渡されたかのようだ。

使用するべきか、否か。

 

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