Monster Hunter:Wind Ark 作:カリオロス亜種
シウニ・フリューリン
19歳
武器は片手剣、ハイドラナイフ
防具はハンター一式
狩人としての経験は浅いが、確かな訓練により堅実な立ち回りを身につけている。
「あ、ハンターさん!……縄張りの調査に参加したい、ですか?……正直に言うと助かります、今は一人でも人手が欲しいので。ですが、ハンターさんのランクは現在2です。現在の狩場の狩猟環境は非常に不安定で、はっきりいって危険すぎます」
「承知の上です、ここで何もせず待ち続けるのは時間が惜しい」
「……わかりました、ギルドマネージャーに申請の後に、調査グループに参加して頂きます。ありがとうございます、くれぐれもお気をつけて…!」
シウニ達ハンターは基本的に最大四人のパーティで狩猟に赴く。今回も例外ではなく、既に調査を行っていた三名からなるパーティに入る形となった。
「よろしくお願いします。シウニ・フリューリンです。使う武器は見ての通り片手剣、ハンターランクは2です」
「よろしく!そのハンターランクで名乗り出てくれるとは、中々見上げた根性してやがる。俺はレイ、大剣使いだ。宜しくな!」
「ブルームだ。使用している武器は主にボウガン。よろしく頼む」
「私はシャナ!使ってる武器は太刀だよ」
「俺たち三人は既に何回か周辺の調査で同行している。シウニ、お前には全体的なサポートを頼みたい」
「サポート……ですか?」
「あぁ、前衛をいきなり任せるのは酷だからな。しばらくは補助に徹して慣れてくれ」
「わかりました」
「レイさん、すぐ一人で突っ走ろうとするからサポートできる人が居ないと危なっかしいもんねぇ、ブルームさんも自由に動きやすくなると思うよ!」
「あぁ、何が起こるかわからない狩場だ、後衛としての役割に集中出来るのはありがたいよ」
こうして集まった四人の狩人は、酒場で様々な事を話した。
狩人を目指した経緯、狩場に身を投じた年数、好きな食べ物、嫌いな食べ物、好きなモンスター、嫌いなギルドマスターなど……
「それじゃあ、明日に酒場に来てくれ、四人とも揃ったら出発だ」
「えぇ、それじゃあ」
シウニは宿に戻り、狩猟の準備を進めた。
「モンスターの活動領域をメモした地図に、羽根ペン……後は緊急用の救難信号」
今回ジォ・ワンドレオ周辺環境が置かれた状況は、通常の狩場とは異なる。モンスターの縄張りは大きく変化し、遭遇するモンスターは総じて気がたっている。
常に不測の事態に対応できるように、ハンターズギルドには常に救援の為の人員が待機している。
「レイさん達から預かった荷物はこれで全部か、残りは……なんだこれ、シャナさんが好きな飴玉だ……」
とりあえず寝る事にした。睡眠は大事だ。
ハイドラナイフの盾を抱えて眠りにつく、いつもの匂いだ。
「────おはようございます」
「おはよう!お前が一番乗りだぜ」
「レイさんもとても早いですね」
「おう、こんな俺でも今回はパーティリーダーを任されている身だ、少しでも多く情報を得たくてな」
「ところで、その武器が例の?」
「あぁ、俺の相棒、ディフェンダーだ」
ディフェンダー、大きな盾のような防御に重きを置いた形状の大剣だ。
重量も相当なものであり、これを扱うレイの技量の高さが伺える。
「シウニの相棒はハイドラナイフだな。使い込まれているが、整備は行き届いているようだ」
「ずっとこいつで狩ってきたんです。こいつを握って重さを感じる度に、自分の原点を思い出す」
「俺も同じさ、このバカみてぇな重さが俺達の牙であり生命線だ。」
「生命線…確かにそうですね」
きっと彼はこの巨大な鉄塊によって自身や他者を幾度も守り抜いてきたのだろう、彼にとってその重量は誇りなのだ。
「レイさん!シウニさん!おはよう!」
「遅くなってしまったな、おはよう」
「よし、二人とも集まったな それじゃあ、行くか」
四人組のパーティ一行は狩場に足を踏み入れる。ギルドの情報によると、再びモンスターの動向が活発になってきたとの事らしい。
狩場が近付くのを実感するにつれ、気が引き締まる。
「俺たちが担当しているのは森林地帯の一角だ。昨日預けた地図は持っているな?」
「はい、地図によると、最初にモンスターの活発化の兆候が見られたのがこの辺りだと」
「あぁ、最も今回の騒動の原因に近いと予想されている場所といえる」
「なるほど、だからレイさん達が」
「まぁ、そういう事になるな。上位ハンターなんて大層な肩書きではあるが、俺もこんな環境での狩りは初めてだ」
これほどの生態系の乱れの要因だ、相応の実力を持つものが当たらなくては危険ということだろう
「あ、シャナさんこれ」
「えっ?私の好きな飴玉じゃん!なんであるの??」
「昨日レイさんから預かった袋に入ってました」
「なんだって?なんで入ってたんだ…?」
「まぁいいじゃん!ラッキー!」
「緊張感ねぇ……」
シャナはこのパーティの最年少だが、堅実な功績をいくつも上げている所謂天才である。
状況判断に優れ、パーティでの狩りに適性がある彼女は今回の騒動に適任であるとして、ドンドルマより派遣された。
「じゃあ、まずは森林地帯のマップを開いてくれ。俺とシウニ、ブルームとシャナで別れてそれぞれ北部と南部の調査を行う、なにかあっても基本戦わず、応戦が必要な場合はまず黄色の救難信号をあげろ、すぐに駆けつける。」
「俺たちは南部の調査ですね」
「あぁ、まずはモンスター探しだ」
鬱蒼と生い茂る木々を掻き分け、慎重に歩を進めていく。
縄張りを誇示する為にモンスターが能動的に付けた痕跡や、足跡、抜け落ちた甲殻などの痕跡も見落とさないように五感を活用する。
「こういう時にアイルーが居てくれりゃあな……」
オトモアイルー、ハンター見習いの獣人種。
彼らは語感が鋭く、モンスターの探知に大いに貢献してくれる。
「弟子を取れる程の実力も財力も到底足りないですから、仕方ないですね」
「……!? 待て、シウニ。モンスターの痕跡だ なんのモンスターだこりゃ……」
「大きい……飛竜の痕跡ですかね」
「恐らくそうだが……この足跡は火竜じゃねぇな、もっと別の何かだ」
「比較的新しいように見えます」
「シウニ、この場所をマップに記してくれ。このクラスの竜となると手分けしている場合じゃねぇ、一旦合流を──」
その瞬間、巨大な咆哮が辺りに響き渡る
「シウニ!クソ、合流は後回しだ。この威圧感、距離も近い。姿だけでも見ておく必要がある、立てるか?」
「は、はい!」
耳を塞がずには居られない程の咆哮だった。
今まで出会ったどのモンスターよりも、或いは。
「あの方角だ、向かうぞ。救難信号の用意をしておけ!」
咆哮のした方角へ走る。
盾の金属部分がカチャカチャと音を立てているのは、走っているからか、それとも震えから来るものか。
「居たぞ、モンスターだ!」
木々の隙間に隠れつつ、その姿を観る。
だが直感でわかる、咆哮の主では無い。
「あれは、ハープスエイルか…?」
紅霞鳥(こうかちょう)ハープスエイル
普段は一年中紅葉している地に生息する鳥竜種であり、本来青々とした草木が生い茂る地には生息していない。
「どうしてこんな所に…奴はそもそもこの大陸にすら居ないはずだ。海を飛んでわざわざこんな所まで来たって言うのか…?」
「かなり気が立っているようにも見えます。……いや、あれは──」
「……!まずい、シウ……」
その瞬間、ハープスエイルが此方に気が付き、飛翔し攻撃を仕掛けてきた。
「……!!! 大丈夫か!シウニ!」
「ぐ……!!」
辛うじて盾で防いだが、鳥竜種の一撃とは思えない程の衝撃で吹き飛ばされた。
右手が痺れ、思うように動かない。盾を見やると、巨大な亀裂が入っていた。
「バカな、どんな威力だよ……!シウニ、一度撤退する、コイツは何か異常だ!」
思うように動かない身体に鞭を入れながら、ポーチに備えておいた閃光玉を取り出し、投げた。
「よし、閃光玉は効いている、今のうちに森へ逃げ込め!」
「ぐっ……!ハァッ、ハァ」
通常のサイズよりも一回り大きいハープスエイルは、視界を奪われ一時的にもがいている。
「ありゃ鳥竜種の繰り出していい威力じゃねぇな、大丈夫かシウニ……!」
「……なんとか大丈夫です、ただ右手に力が入らない」
「わかった、このまま北に走って撤退する。赤の救難信号は撃てるか、森を出たら発射してくれ」
「わかりました!」
森の中を走る、走る。相手は飛翔能力に優れている。しばらくは森の外には出られない。
ふと葉の隙間から空を見る。今のところ補足はされていないようだった。
「このまま行けば逃げ切れる。もう少しだ頑張れ!」
森を抜け、赤色の救難信号を発射する。
ハンターズギルドに対する救難要請だ。
「これでギルドの連中と、あいつら2人も自体が把握出来るだろう」
「あの鳥竜の声、もしかして……」
「あぁ、あの咆哮の主だ まさかあれ程の咆哮を鳥竜種が発するとは、恐らく普通の個体じゃない、ギルドに報告しよう」
二人と合流し、手当を受けつつジォ・ワンドレオに帰還する。
シウニの耳からは未だあの咆哮が離れずにいた。