Monster Hunter:Wind Ark   作:カリオロス亜種

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出航⑦

「おヌシら、風を船で泳いでみる気は無いかね?」

 

門前に立つ研究者らしき人物が開口一番発した言葉。

風を船で泳ぐ……?気球にでも乗せられてしまうのだろうか。

 

「えっと、どういうことですか…?」

「おぉ、おヌシが例の暴鋸竜の素材を求めているという青年じゃな?」

「は、はい、故郷の交易ギルドからの依頼で、フラヒヤ近辺とシュレイド地方を結ぶ海路を開く為の砕氷船、その竜骨にアノルパティスの素材が最適なのだとか……」

「そう、その砕氷船の事なのじゃが、ワシが素材を提供しよう。ざっと二頭分じゃな」

「本当ですか……?でも、なぜそんな事を……」

 

砕氷船の竜骨に用いる素材の量は、一頭分もあれば充分だった。

 

「一頭分は交易の為の砕氷船に使えば良い。

もう一隻の事についてワシから一つ依頼があるのじゃ。ついてきたまえ」

 

そう言って歩き出した彼について行きつつ、説明を受ける。

 

「実はな、おヌシらが先の"彷徨個体"を退けた頃とほぼ同時期にな、別の地方からも同じような個体の報告がこのドンドルマにも入ってきておったのじゃ」

「おいおい、あんな個体が同時に別の箇所で現れてたってのかよ」

「その通りじゃ。そちらの方はタンジアの辣腕が対処したようじゃのう」

「タンジア……孤島と呼ばれる狩場に近い位置にある大きな港町ですね」

「ドンドルマからは結構な距離だな。つまり、ジォ・ワンドレオよりも早い時期に現れ、対処されたという訳か」

「タンジアでの見慣れない強力な個体の報告、そして今回の"彷徨個体"の報告……ワシは、こヤツらに何らかの関連性があると踏んでいる。そこでコイツじゃ」

 

竜人の学者が机の上の設計図を広げる。

簡易的に描かれたそれは大きな方舟のように見えた。

 

「これは……?」

「フラヒヤの氷河を砕き、険しい山河をも飛び越える、砕氷飛空船と名付けた代物じゃ」

「砕氷飛空船……」

「おヌシらにはこれに乗り、各地の"彷徨個体"を調査、追跡、狩猟してもらいたいのじゃ」

 

"彷徨個体"の情報を集め、調査して、場合によっては狩猟を行う。それ専門のハンターという事か。

 

「既に"彷徨個体"の存在はジォ・ワンドレオの交易商から口づてに広まりつつある。船が完成する頃には、各地から似たような個体の報告が上がるやもしれん」

 

──"彷徨個体"がなぜ現れ、どのような旅を経るのか……それを知るまたとない機会だ。シウニは少し考えた後に、この依頼を承諾した。

 

「俺達もいいぜ、元々各地をフラフラと移動しながら狩人やってたんだ、目的がある方がやる気も湧くってもんだ」

「あぁ、なんの宛もなく動き続けるよりもその方が良いだろう。」

「私もいいよ!強くて珍しいモンスターと戦えるなんて、腕が鳴るよ!」

 

この四人と、また一緒に戦える。それが何よりも嬉しかった。

 

 

 

「ここが武具工房か、大きいな」

 

シウニは、片手剣の整備の為にドンドルマの武具工房へと足を踏み入れていた。

 

「おっと、狩人さん、珍しい片手剣の組み合わせをしているな?」

「はい、色々あってこんな形に」

「なるほどな、盾と剣でそれぞれ種類が違うと、整備の勝手もわからんだろう。そういう事なら狩人さん!このドンドルマ工房長にまかせておきな!!元々はどっちの武器を使ってたんだぃ?」

「赤色の方、ハイドラナイフです。盾の方が壊れてしまって」

「そうかい、それじゃあ盾の方を貸しな、ハイドラナイフの盾に近い形にカスタマイズしてやるぜ」

「そんな事が出来るんですか…?」

「おうよ、その方が狩人さんも扱いやすいだろう?」

「助かります。ありがとう」

「それじゃあ、盾の加工に一日ほどかかるからな。また来るんだぜい!!」

 

武具工房を後にして広場に出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。階段に沿う形で設置された松明が、まるで光の道のように輝いている。

 

「ん?おぉ、シウニ君。どうだい、武具の整備は終わったか?」

「盾を加工してもらえる事になりました。元のハイドラナイフの形状に近い形にして貰えると」

「そいつは気前のいい事だ、幸運だったな」

 

ブルームさんがそう言って微笑む。

確かに気前がいい。加工屋の人達には昔から恵まれてばかりいる。

 

「それじゃあ、私は宿に戻るとするよ、また明日」

「おやすみなさい」

 

盾の整備が終わり次第、砕氷船及び、砕氷飛空船の制作に取り掛かるために、自分の故郷に向けて出立する。アノルパティスの素材のみならず、こんな大仕事まで持って帰ってきたらきっとビックリさせてしまうだろうな、と苦笑いする。

 

宿に入り、身支度を済ませて眠りにつく。

アノルパティスの素材は集まり、新たな目標も出来た。今夜は久しぶりによく眠れそうだった。

 

 

 

「よう、狩人さん。盾の加工、出来てるぜ!」

 

楕円の形状に、上に伸びる5つの赤い爪。

まさしく、蒼色のハイドラナイフといった見た目の仕上がりになっていた。

 

「凄い……ありがとうございます」

「いいってことよ、あの"彷徨の狩人"の獲物だってんだから、気合いも入るってもんだぜい」

「彷徨の、狩人……?」

「あぁ、最近噂の"彷徨個体"、奴を打ち倒したってハンターってのはあんたの事だろう?」

「……そうですね、ただ、一人で狩った訳じゃないですよ。自分一人では到底勝てなかったと思います」

 

なんとも大層な肩書きが付いてしまったものだ、と微笑した。

 

「それじゃあな、応援してるぜ。また来るんだぜい!」

 

新たなる獲物、DBハイドラナイフを装備し、シウニは古龍観測所へと向かった。

 

「おヌシら、フラヒヤまで行くと言っていたな。それならば宛がある。ついてきたまえ」

 

そう言われついて行くと、開放的な衣装を身に纏った女性の姿が見えた。

 

「パローネ=キャラバンのカシラ、キエルじゃ」

「やぁ、君達がフラヒヤ近辺まで運んで欲しいってハンター達だね?宜しく!このキャラバンの"カシラ"を取り仕切っているキエル=アルバーロだ」

 

パローネ=キャラバン。優れた気球操船技術を有しており、「より良い土地」を求めて各地を放浪しているというキャラバンである。

 

「じぃさんのよしみだ、モンスターの素材も纏めて送り届けてあげるよ!」

「本当に助かります、ありがとうございます」

「私、気球は初めて乗るよ!」

「君達はいずれ空を回るんだろう?それならば船の基本的なあれこれをこの航海で身につけるといいさ。操縦ならばうちの弟、オリオールが詳しい。当たってみな!」

 

かくして、一行はパローネ=キャラバンの一団と合流し、シウニの故郷、フラヒヤへ向けて出立することとなる。




この小説の第一章、出航なのですが、当初の予定の数倍の長さになってしまっているので別の名前にして分けようかなぁ、なんて考えています……
小説ってムズカシイ
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