リンバスアーカイブっ!!!!!   作:粉末蜜柑

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この一か月、友達から頼まれてのDVD作成だったりテスト期間にインフルかかって補修が確定したりと色々ありました。待ってくれた方がいるかは知りませんがどうぞ最新話です。


1-8 愛するを知る

「みなさん、お疲れ様です。」

 

23時。アヤネがそう笑顔で5人を出迎えた。

短くも濃密な救出作戦は幕を引き、攫われたセリカ含めたアビドスの四人とロージャは無事学園へと帰還。カタカタヘルメット団のアジトに保管されていた書類数枚と兵器のサンプル、そして少しの物資を『いただいて』、眠い目をこすりながら数キロメートルの道のりを歩いてきた。

 

「セリカちゃん、けがはない?」

 

「うん、私は大丈夫。見てよ、ちゃんとピンピンし...て...」

 

アヤネの心配そうな表情を見て、セリカは少し強がりを言う。が、強がりは所詮強がり。言葉が途切れると、セリカの身体は振り子の様に数回揺れたかと思えば、やがて地面へと落下していった。

 

ガシッ

 

「っとと、危なかった。」

 

倒れるセリカの身体を寸でのところで抱きとめたロージャは、そう言ってゆっくりと眠る彼女を持ち上げた。

 

「セリカちゃん!!」

 

「大丈夫よノノミ。ちょっと気絶してるだけみたいだから。きっと、いろんなことが一斉に起こったせいで疲れちゃったんだと思うわ。シロコ、保健室まで案内してもらえる?」

 

「ん…わかった。ついてきて。」

 

三人が教室から出ていったタイミングで、ホシノが口を開く。

 

「まぁ、Flak41の対空砲を喰らったんだもん、歩ける方がおかしいって。ゆっくり休ませてあげよー。」

 

「ん、ただいま。」

 

「うわぁー、はやいねシロコちゃん。」

 

 

ロージャとセリカを保健室に送り届け戻ってきたシロコが、親指を立てながら教室へ滑り込んでくる。ちなみに、まだ行ってから30秒も経っていない。

 

 

「………大変なことになるところでしたね。先生がいなかったら。」

 

今日という一日を振り返って、アヤネがそんな言葉をこぼした。

 

 

『先生が居なかったらーー』

 

  

それは、考えたくもない未来の結末で、すぐ目の前まで迫っていた絶望だった。

それはみんな分かっている。だからこそ、彼女たちは一切の疑問なく頷いた。

 

きっとこの先の未来。彼女たちは何度も何度も彼女とあの管理人に助けられ、そのたびにこの最悪のもしもを想像するのだろう。そして何度だって、目の前の幸運を噛みしめるのだ。  

 

「うんうん、ロージャ先生のおかげでセリカちゃんの居場所を逃さず追跡できました。やっぱりすごいです☆」

 

「確かに、ただの迷子じゃなかったってことだねー。時計先生にも今度お礼言わなきゃだ。」

 

「………ところでみなさん、これを見てください。」

 

アヤネがそう言って、テーブルの上に先ほどの作戦で回収した兵器のサンプルを並べた。

 

「これ、さっきの戦車のパーツだよね。やっぱり何かあった?」

 

シロコがそう言ってアヤネを見つめると、彼女の表情がいつになく真剣なものになった。それはすなわち、今から大事な事を言うという合図だ。その場にいた三人は彼女の言葉に耳を傾ける。

 

「戦闘中に回収した、散らばった戦車の部品を確認したところ、キヴォトスでは使用が禁止されている違法機種と判明しました。」

 

「…ちょっと待ってアヤネちゃん。それってつまりあいつらは…」

 

「はい、もう少し調べる必要はありますが...ヘルメット団は、自分たちでは入手できない武器まで保有しているそうです。」

 

「この部品の流通ルートを分析すれば、ヘルメット団の裏にいる存在を探し出せますね!!」

 

「あんなやつらが、こんなにしつこく私たちの学校を狙っているのかもそのうちわかるかも。うん、調べてみる価値はありそう。」

 

机の上で円滑に流れていく意見を聞いて、ホシノは少し考えた後に口を開いた。

 

 

「……うんわかった。それじゃ、じっくり調べてみよっかー。」 

 

 

まぁもっとも。

その暁の瞳が何を考えているのかは、彼女たちにとって知る由もないけれど。

 

 

 

~高層オフィスビル~

 

キヴォトスのどこかにある超高層ビル。

その摩天楼の頂点で、一人の機械(にんげん)が不満げに顎を撫でる。彼が見つめているのは足元で輝くネオンではなく、その奥に広がる灰色の砂漠。月明りを受け色を失った砂漠を求め、彼がどれほどの苦労を要したのかは筆舌に尽くしがたいだろう。

 

「…………格下のチンピラ如きでは、あの程度が限界か。主力戦車まで送り出したというのに、このザマとは。」

 

数時間前、襲撃によって自身の支援していたチンピラ不良集団が壊滅したという情報を聞き、彼は次の策を考えなければならなかった。そして少し考えた後、

 

「…………ふむ、やはりこうなれば…目には目を、生徒には生徒を...か。専門家に依頼するとしよう。」

 

彼は事前に用意していたサブプランを実行することを決め受話器を手に取る。

 

プルルル プルルルル 

 

ガチャ 

 

「はい、どんなことでも解決します。便利屋68です。」

 

 

数回の呼び出し音の後、受話器の奥から聞こえてきたのは若い女性の声。少し大人びながらもまだ未熟さが抜け切れていない、そんな生徒(こども)の声だ。

 

「仕事を頼みたい、便利屋。」

 

そんなテンプレートな文言から始まる『仕事の依頼』

受話器の向こうにいる少女はその依頼を拒むことなく受け入れ、そして...

 

 

ドォォォォォォンッ!!!!

 

「う、うわあああああ!!!!!!」

 

既に壊滅状態のヘルメット団のアジトに、悲痛な断末魔が虚しく響く。背後を気にしながら必死に走る少女は。幸運なことにアビドス一行の襲撃の被害を免れた残党、生き残りであった。だが、胸を撫でおろすほどの幸運には鳴くほどの絶望がついて出る。

 

「ひっ!!」

 

ダダダダッ!!

 

少し長いMGの銃声がして、少女は成すすべなく床へと倒れた。

 

「あーあー、こっちは終わったよー。」

 

「こっちも制圧完了だ、ボス。」

 

暗闇に溶け込むようにして現れたのは、月光の如き白い髪を持つ二人の少女。

 

「う、うう...何者だ、貴様らは……。」

 

既に満身創痍のヘルメット団の少女に、2人の背後から現れた便利屋の長は質問には答えずゆっくりと近づいていく。

 

「ぐああああ!!な、なんだお前ら!!まさかアビドスの!?こんなところま……ガッ!!」

 

ぐりっと何かを捩じるような音がして、少女の腕がミシミシと音を鳴らす。この状況ではどちらが上か。立場と、口の利き方をわからせるためのそれなりに効率的な手段だ。

 

「はぁ……こんな不潔で変なにおいのする場所がアジトだなんて、あなた達も冴えないわね。」

 

そう目の前の人間が溜息を吐くのを見て、ヘルメット団の少女にの目に涙が浮かぶ。自分の立場が理解できてしまったのと、虚勢で武装していた心が崩れていったからだ。

 

「…………いいわ。あなた達を、労働から解放してあげる。」

 

「な、なんだって!?」

 

意味をいまいち理解できていないような少女に、その人物は続ける。

 

「要するにクビってこと。現時刻を以て、アビドスは私たちが引き受けるわ。」

 

「ふ、ふざけた真似を!!貴様らは一体……。」

 

ガンッ!!

 

「あ……?」

 

敗者に質問の権利などない。

銃床による打撃が彼女の脳を揺らし、細い体が弱弱しく地面へと倒れる。

そして一人も地面に立っているヘルメット団のメンバーが居なくなった時、漸く彼女たちは名乗りを上げた。

 

「私たちは、便利屋68。」

 

誰も見ていなくとも、役割を失った哀れな者達へ向けて。

紅のマントを優雅に揺らして。

 

「裏社会のありとあらゆる問題ごとを、金さえもらえればなんだって解決するーー」

 

 

ーー『何でも屋』よ。

 

 

「ん…」

 

布団からセリカが起き上がった。

まだ頭がぼーっとしているのだろうか。半開きの目で、ベッドの横にいた私に気づくと「うわっ!!」と驚いたような声を上げる。そこまで驚く必要あるー?

 

 

「私、気絶して...?先生が運んできてくれたの?」

 

「えぇ、まるで花みたいに軽かったわね。育ち盛りなんだからもっといっぱいご飯食べなきゃじゃない?」

 

「ちゃんと食べてるわよ。…うん、私なら大丈夫。いつまでもこうしちゃいられないしね。」

 

 

そういってどこか、窓の外の遠くを見るセリカ。私もなんとなく目を向けると、その先にはまだ微かにネオンが輝くアビドスの街が見えた。

 

 

(あぁそっか...) 

 

(自分たちの街を、見てたんだ。)

 

 

おファウが最初に言ってた。

 

【この世界では、学園が各自治区を運営しています。私たちの世界に例えると、自治区内を『巣』、各学園が『翼』に該当するのでしょう。その学園に通う子供たちが、その町の行政、経済、司法の全てを担っているのです。】

 

町の全てを子供たちがやるということは、その町の……学園側の責任すべてを追うのも子供たちっていう事。

 

過去の5人で背負うには重すぎる責任をどうにか果たそうとセリカたちは今日みたいにずっと身を粉にして働いてきた。

ヘルメット団みたいな変な奴らから、過去に近寄ってきた悪い大人たち。今日の今日まであらゆる敵からこの学園を守ってきた彼女たちにとって、この学校を守ること自体が一つのプライドみたいなものになっていたんだと思う。

 

アビドスを守るって言うのは、自分たちと、自分たちの(エゴ)を守ることだから。

 

だからこそ、私たちみたいな大人(そんざい)が許せなかった。

自分の心に別の誰かが入り込んでくるのなんて、そう簡単に許せるものでもないから。 

 

 

「………セリカ。」

 

「何よ?」

 

「借金の事について、私にも教えてくれないかしら。結局、私に話してくれなかったでしょ?」

 

 

そう言うと、セリカの耳がピクッと動いた。解り易く動揺してるみたい。

 

 

 

きっと彼女も怖いんでしょう。自分の意思で、大人と手を取るのは。

でも、そのうえで彼女に信用される。それがきっと私たちの始まりになるって今確信してる。だからセリカ。

 

 

「お願い。」

 

 

真っすぐ彼女の目を見つめると、セリカはしばらく目を見開いて、そのあとで諦めた様に溜息を吐いた。

 

 

「先生には……その…助けてもらった恩もあるし…観念したわ。今アビドスに何が起こってるのか話してあげる。」

 

 

そう言って、セリカはどこか吹っ切れたような微笑みを浮かべ話し始めた。

このアビドスが抱える9億の借金。どうしてそうなったのかの過去の話と、自分たちを狙う勢力と守るべき場所の、未来の話。そして、他愛のない現在(いま)の話を。

 

 

「ありがとうセリカ、話してくれて。」

 

「ちょっと、いきなり撫でないでよ!!」

 

「相変わらずツンデレねー、セリカは。それじゃあ、私は先に向こう戻るわね。お大事に、ゆっくり寝るのよー。」

 

 

私は保健室の扉に手をかけて開いた。暗い廊下に張られた窓の奥で、星の光を受け煌めく砂が見える。

 

 

「………っ先生!!」

 

 

セリカから呼び止められ、振り向いた。

 

 

「いや、その……助けてもらって、ちゃんとしたお礼、言ってなかった気がして……その……」

 

 

「…ありがとう。助けてくれたり...その、色々と。」

 

 

ベッドから立ち上がったセリカは、そう言ってまっすぐこちらを見つめていた。

顔はまるで火が出そうなほど真っ赤になっていて、私はそんな彼女がどうしてもかわいく見えて...

 

 

「~~~!!あーもう可愛すぎるわセリカー!!」

 

 

力いっぱい、彼女を抱きしめた。

 

 

「わわっ!!先生大げさ...って力つよ!?はーなーしてーー!!」

 

 

月が砂漠を照らす、24時。ようやく先生としての資格を得て、私はこの世界での一歩を踏み出した。

 

 

(……あぁ、今日はなんか、あったかいな。) 

 

 

こうして、私のアビドスでの初日が終わった。

 

 

 

 




そんなわけで最新話です。予想通り一カ月もかかりましたね。え?三週間?しーらね。

リンバスは囚人視点で物語が進むことがあんまりないので今回のロージャ視点結構難しかったですね。違和感とか誤字とかあったりしたらこっそり教えてください。

それじゃあ読んでくれてありがとうございました!!リンバス六章もアビドス三章も楽しみっすね!!!!!!!!!!!!!!この作品ストーリーの進み遅すぎだろ殺すぞ


お疲れさまでしたーーーーーーー感想とかくれると励みになったりしますはい頑張ります


次の更新は一か月以内にはします絶対です
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