時間殺人時間のボス。あいつめんどくさすぎやしませんか?そこそこつええし。おかげで周回がしずらいったらありゃしない。
あと三日後のアビドス三章更新楽しみっすね。
「それでは、これよりアビドス定例会議を始めます。本日はロージャ先生に加えてダンテ先生も居るのでいつもより真面目な議論ができると思うのですが……」
照り付ける太陽が窓から差し込む対策委員会の部室。
先日のサンクトゥムタワー奪取の任務を終えた私は、今日から正式にシャーレの活動としてこの対策委員会を訪れていた。ホワイトボードの前に立ったアヤネが、書記らしくペンを持ち今日の議題を書き始める。もちろん議題は...
「本日の議題はもちろん、【学校の負債をどう返済するか】について、具体的な方法を議論します。何か意見をお持ちの方はいらっしゃいますか?」
「はいはい!!」
真っ先に手を挙げたのはセリカだった。セリカは手を挙げた時の元気な様子から一転して表情が険しくなり、机を叩きながら演説でもするかのような様子で口を開いた。
「対策委員会の会計担当としては、現在我が校の財政状況は破産の寸前としか言いようがないわっ!!」
『……………まぁ、そりゃあね。九億も借金があるわけだし...』
「毎月の返済額は、利息だけで788万円!私たちも頑張って稼いではいるけど、正直利息の返済も追いつかない。これまで通り、指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したりボランティア活動だけじゃ埒が明かないわ‼︎」
「何か一発、どーんっとでっかくぶち当てないと‼︎」
……バイトの様子などを見るに、セリカはアビドスの中でも特に健気で頑張り屋さんだ。きっと毎日毎日アビドスのためになるようにと頑張っているのだろうが、現実は非情でやはり今やっていることだけでは限界があると踏んだのだろう。
少し無理矢理ではあるが、やる事を変えるという意味では確かに彼女の意見は合理的だ。
「そこで!!」
...なんて思っていた矢先、セリカが取り出したのは一枚のチラシ。チラシの中心には何か怪しい雰囲気を放ったブレスレットの写真が掲載されており、大きな文字で『ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金!!』と、どう見ても詐欺としか思えない文章が掲載されていた。
「こないだ町でこのチラシ配ってるのを見かけて、ついでに説明会にも行ってきたの。身に着けるだけで運気が上がるんだって!で、これを周りの人に三人に売れば...」
「ハーイ却下。アヤネ―?進めちゃっていいわよー?」
「えぇっ⁉ちょっ、なんでよ先生!!みんなもどうしてそんな微妙そうな反応してるの⁉」
「セリカちゃん……それ、マルチ商法だから……。」
「えぇっ⁉そうなの⁉」
あわや犯罪行為に加担するところだったセリカは、驚愕の表情を浮かべチラシと私たちを交互に見ていた。そしてチラシを持つセリカの腕で不意に何かが煌めくのを、私は見逃さなかった。
『………セリカ、その腕に着けてるのもしかして..』
「………あ、えっと…その…私、これ二個も買っちゃったんだけど...」
「セリカちゃん騙されちゃいましたねー。可愛いです☆」
「はははは!!セリカは本当に素直ね~!!可愛い~。」
「そ、そんなに笑わなくてもいいでしょ⁉うぅ...結構高かったのに...」
「まったく、セリカちゃんは世間知らずだねー。気をつけないと、悪い大人に騙されて、人生取り返しのつかないことになっちゃうかもよー?」
「お昼抜いて溜めたお金だったのに...」
「大丈夫ですよセリカちゃん。お昼、一緒に食べましょう?私がご馳走しますから。」
「ぐすっ、ノノミせんぱぁい...」
泣きついてきたセリカの頭を優しくなでるノノミを横目に、アヤネは困ったような表情で会議を進める。
「えっと…じゃあ他にご意見のある方...」
「はい!はい!!」
「えっと…はい、三年の小鳥遊委員長。ちょっと嫌な予感がしますが…。」
次に手を挙げたのはホシノだった。何やら自信ありげと言った様子で、数度咳ばらいをしてから口を開く。
「我が校の一番の問題は、全校生徒がここに居る数人だけってことなんだよねー。生徒の数イコール学校の力。トリニティやゲヘナみたいに、生徒数を桁違いに増やせれば、毎月のお金だけでもかなりの金額になるはずー。」
「え、そうなんですか?鋭い指摘ですが...でもどうやって...」
「えー?簡単だよー。他行のスクールバスをジャックしちゃえばいいんだよー。」
「はい!?」
「登校中のスクールバスをじゃっくして、うちの学校下の転入学書類にハンコを押さなきゃバスから降りられないようにするのー。これで生徒数がグンと増えること間違いなーし!!」
「あ、それいいわねホシノ―。一番手っ取り早いんじゃない?」
「ん、それ興味深いね。ターゲットはどうするの?」
「お?えーっと、うーん…そうだなぁ、トリニティ?いや、ゲヘナにしよーっと!!」
ロージャとシロコも加わって、堂々とした犯行会議が私の目の前で行われている。というかその計画...生徒がハンコをもってなかったらどうするつもりなんだろうか。いろいろと不明瞭だし穴が多すぎる。
『他の学校に迷惑をかける案は却下ね。』
「えーーー?おじさんいい案だと思ったんだけどなぁー。」
ぶーぶーと文句垂れるホシノとロージャ、無言で頬を膨らませるシロコを無視して、私はアヤネに次に行こうと目くばせをした。(とはいっても、頭の炎が揺れた程度だけど。)
この会議………ほんとにまともな意見が出るのか?
「ん。それならいい考えがある。」
「………はい、二年の砂狼シロコさん。」
「銀行を襲うの。」
『「はっ!?」』
「確実かつ簡単な方法。ターゲットも選定済み。市街地にある第一中央銀行。五分で一億は稼げる。はい、覆面も準備して置いた。」
どうしてそんなに準備がいいのか。シロコは唐突に取り出した紙袋からそれぞれ異なる色の覆面を取り出して机に広げた。無駄に手が凝っていて、2番の青い覆面と4番の赤い覆面は頭部穴と出っ張りが付いており、セリカとシロコ用のものだということが即座にわかる。
「いつの間にこんなものまで...」
「すごいねこれ。シロコちゃんの手作りー?」
「わぁ!!見てください!レスラーみたいです!」
「いいわねー。やっぱり、人生は一発ドカンとどでかく決めないとね?シロコ―、私の分の覆面も今度作っておいてよ♪」
「ん、後で作っておく。」
覆面を被って遊び始めるロージャと先輩たち。この学校はどうして上に行けば行くほど精神年齢が下がっていくんだろうか。鋭く教室に響くセリカの「却下―!!」の声を聴いて、私は重々しい溜息を吐いた...。
「いやぁー、悪かったってば、アヤネちゃーん。ラーメン奢ってあげるからさ、怒らないで、ねっ?」
「怒ってません……。」
あったかい店内でラーメンを口へと運びながら、ふくれっ面でアヤネはそう呟く。
あの後、各人アイドルだの他校のカジノでぶち当てるだのろくな意見が出なかった会議は、アヤネによる怒りのちゃぶ台返しによって幕を閉じた。
「はい、お口拭いて―?よくできましたねー☆」
「赤ちゃんじゃありませんからっ。」
だというのに、当の先輩二人は余り反省の兆しが見えない。ロージャもすっかり食べるモードに入っているせいで、頭の中には今から来るラーメンの事しかなさそうに見える。
「はいロージャ先生、チャーシュー麺。というか、どうしてまたうちに来たの?」
[ありがとセリカ―。はいアヤネ、チャーシュー上げる。」
「アヤネ、チャーシューもっと食べる?」
「………ふぁい。」
口にラーメンをほおばりながら、アヤネはそう言ってシロコとロージャからチャーシューをもらう。アヤネは、やはりまだぷんぷんしている。ご機嫌取りが成功しているのかどうかは、少し微妙なところだった。
と、その時。
ガラっ。と店の扉が開いて、そこから黒色の制服に身を包んだ紫髪の少女が顔だけをひょっこりと覗かせてきた。
「あ……あのう…。」
「いらっしゃいませ!!何名様ですか?」
「え、えっと…このお店で一番安いメニューって、お、おいくらですか?」
「えっと一番安いのは...580円の紫関ラーメンです!看板メニューなんで、美味しいですよ!」
「あ、ありがとうございます!!」
丁寧にお礼だけ言って、紫髪の少女は店を出た。一体なんだったんだろうか。
なんてことを考えていると、数秒後再び紫関ラーメンの扉が開いた。そこから入ってきたのは、さっきの紫髪の少女に加えて、更に三人の少女。アビドスの生徒はもう対策委員会以外に存在していないっていう話だったし……一体どこの生徒さんだろうか。
「えへへ、やっとみつかった、600円以下のメニュー!!」
「ふふふ。ほら、何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ。」
「さ、流石です。社長。何でもご存じですね……。」
「四名様ですね?席にご案内します。」
私だけラーメンが食べれなくて少し手持ち無沙汰だったので、私は勉強がてら四人の持っている武装へ目を向けた。……ぱっと見持っている武器はSRと、SG、それにMG。黒と白のツートーンカラーの少女の武器はわからなかった。持っていないってことは無いだろうし、見えないってことはHGとかだろうか。
「あ、親切なバイトちゃん。も一つお願いなんだけど、箸を四膳貰える?」
「四膳...って、一杯のラーメンを四人で分け合うつもり?」
「ご、ご、ごめんなさいっ!!貧乏ですみません!!お金が無くてすみません!!」
「い、いや...そんなに謝らなくても...」
「いいえ!!お金が無いのは首が無いのもおなじ!生きる資格なんてないんです!虫けらにも劣る存在なのです!虫けら以下ですみません……!」
「はぁ...ちょっと声デカいよ、ハルカ。周りに迷惑...。」
そんなヒステリックが混じった会話が聞こえてきたかと思いきや、さっきまで夢中でラーメンをすすってたはずのロージャが顔を上げて、少女たちの方を見ていた。
丼の中にはまだ少しだけ麺が残っているため、食べ終わったというわけではない。ただ、少女の今の発言に思うところがあったのだろう。私が何か声をかけようかと迷っていると
「そんな!!お金が無いのは罪じゃないよ!胸を張って!お金は天下の回りもの、ってね。そもそもまだ学生だし!!それでも、小銭かき集めて食べに来てくれたんでしょ?そういうのが大事なの!!」
セリカのそんな言葉が聞こえてきた。その言葉が何か彼女にとって腑に落ちたのか、ロージャはふっと微笑んで再び麺を啜り始めた。
「セリカっへ...(ゴクン)ほんっとにしっかりしてるわよねー」
「ん、セリカはしっかりしてる。騙されやすいけど。」
「セリカちゃんはしっかりしてるっていうか...芯が通ってるんだよねー。ちゃんとした自分の考えを持ってるっていうか。まぁ騙されやすいけど。」
「とっても頑張り屋さんですよね~。騙されやすいですけど☆」
『皆騙されやすいってところだけは譲らないんだね...』
そんな会話をしているうちに全員が食べ終わり、そろそろ帰ろうかという時。
「「「えええええー!?」」」
そんな叫び声にも似た歓声が、後ろの席から聞こえてきた。
振り向くと、さっきの少女たちの座っている卓上にはざっと10人前はあるであろう超特大山盛りのラーメンが『一杯』置かれていた。
「こ、これはオーダーミスなのでは?こんなの食べるお金、ありませんよう。」
「いやいや、これであってますって。580円の紫関ラーメン並!ですよね、大将?」
「あぁ、ちょっと手元がくるって量が増えちまったんだ。こっちのミスだから気にしないでくれ。」
「ほら、大将もそう言ってるから。それじゃ、ごゆっくりどうぞー!」
そう言って満面の笑みで卓を去るセリカ。
厨房の方を見ると、柴大将がその光景を腕を組んで誇らしげな表情で眺めていた。なんとも満足げな表情だ。この荒廃したアビドスの中でもずっとこの店が生き残っている理由が、何となくわかった気がした。
「わ、わぁ…」
「よくわかんないけど、ラッキー!いっただきまーす!!」
「………ふふふ、流石にこれは予想外だったけど、厚意に応えて、ありがたく頂かないとね。」
ズズズズズ…
「お、美味しい……!!です!!」
「なかなかイケるじゃん?こんな辺鄙な場所なのに、このクオリティなんて。」
「でしょう、でしょう?美味しいでしょう?」
「あれ?隣の席の………。」
自分たちの通ってる店が褒められて嬉しかったのか、ノノミがラーメンに喜ぶ四人へそう声をかけた。
「ここのラーメンは本当に最高なんです。遠くからわざわざ食べにくる人もいるぐらいなんですよ~☆」
「えぇ、わかるわ。色んな所で、色んなものを食べてきたけど、このレベルのラーメンは中々お目に掛かれないもの。」
「えへへ………私たち、ここの常連なんです。他の学校の皆さんに食べていただけるなんて、なんか嬉しいです……。」
「その制服、ゲヘナ?遠くから来たんだね。」
ゲヘナ学園……イシュメールの担当学園で、治安がめっちゃ悪い。ってことだけは知っている。シロコは遠いと言っていたけれど、実際彼女たちも歩いて来れたのだからわりかし何とかできる距離ではあるんだろうか。まぁ、どっちにしろそのうち行くことにはなると思うのだが。
「年頃の少女達で和気あいあい……なんか、青春って感じねー。」
『青春?』
「まぁ、私もおとぎ話程度にしか聞いたことないけど………こういう風に、希望に満ち溢れた若者たちの青臭い時代の事を言うんだって。もう、私たちには訪れない眩しい時代よねー。」
そう達観した様にロージャは笑った。都市で希望にあふれ、理想に焦がれ、若者としての時間を謳歌できるものが果たしてどれくらいいるのだろうか。
血と欲望、苦痛にあふれた都市の中では、そんな青春なんてものを送るのはほぼほぼ不可能に近いだろう。ロージャだって、そんな温かい春風とは真反対の環境で生きてきたのだ。
だけど...この青く物騒で平和な世界でなら。
『この世界でだったら、私たちも追い求めてみていいんじゃないかな。その青春ってやつ。』
もしかしたら、この世界は私と囚人たちに与えられた機会なのかもしれないと思った。決して享受することのなかった安寧と平和の日々。そして、その甘未な夢に堕ちないようにするための銃火器という名の暴力。
この苦痛と平穏が均整な世界でなら、私たちは私たちなりの青春を追い求めることができるのかもしれない。
終着した者たちが、再び動き出すための。新しい時間をもう一度、刻むために。
「………ふふ。私たちが青春…か。ダンテって、時々すっごいロマンチストみたいなこと言うよね?」
『………そうかもね。』
「ーーそれじゃあ、気を付けて!!」
「お仕事、上手くいきますように!!」
「あははっ!了解!あなたたちも学園の復興頑張ってね!!私も応援してるから!!」
外の世界との一時の交流は幕を閉じた。
最期に互いの健闘を願いつつ、私たちはそれぞれの道を行く。
「良い人たちだったわね!!それじゃあ、私は着替えないといけないから一旦お店戻るね。」
『うん、気を付けてねセリカ。』
「それじゃあ、おじさんたちも学園に戻るとしよっか~。」
少し太陽が傾いてきた道を、私たち横に並んで歩いていく。アヤネもすっかり機嫌がよくなったようで、晴れやかな笑みを浮かべている。
『…なんとなくだけど。』
「ん?どしたの先生。」
『彼女達とは、そのうちまた会う気がする。』
そして、この時の私はまだ知らない。
このふと感じた予感がただの気のせいではなかったということを。
あの和気あいあいとした少女たちの青春が、一日も経たないうちに崩れ去ることを。
自らを「便利屋」と名乗ったあの少女たちの持つ銃が、何処に向くのかを。
Next『便利屋としての基本』
はい。というわけで便利屋の繋ぎの回です。原作から雑に端折ってるところとかあるので拙い文章になったらごめんそーり。
いつも通り誤字脱字と感想待ってます。これからもこのペースで投稿できたらいいんですけどね。
次回は戦闘回になるのかな?何の人格使おうかなーーーー!!!!!
ほいじゃ、じゃあの。