愛を謳歌する幸せなアイの話   作:京猫

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いきなり配信回をぶっこむ系SS


【デビュー!】アイドル、「アイ」だよ★【初配信!】

 

「…えーと、マイク入ってる? マネみこさん、これちゃんと始まってるの?」

「大丈夫、始まってる。ほら、コメント見て。みんな反応してくれてるよ」

「ほんとー? ねぇみんな、ちゃんと私の声聞こえてるー?」

 

 おっ!

 はじまってるよ〜!

 かわいい

 かわいい!

 うわ、これまじで生? 凄い可愛いんだけど!

 天使かな?

 はじまってる!

 大丈夫だよー

 すっげぇ…なんだこの顔…

 まねみこさん?

 顔も衣装もMVまんまやんけ! 可愛い!

 随分広い配信部屋だなぁ

 アイドルやろ

 これは推せる

 誰や、まねみこさんとやらは

 かわいいわ〜

 おめめ、きれい!

 聞こえてる〜

 聞こえてるよー!

 ここってカスガコヤネが配信してた仕事部屋だよな? あの収録作業も出来る超豪華な

 うぉぉお! まだスパチャができんやないかい!

 バッチリだよー

 聞こえてるー

 

 自分の正面右横にあるモニターに目をやると、確かにたくさんのコメントとやらが流れている。いきなり加速してるからこれ 視聴者さん側だと全部目で追うのは大変だろうねー。

 

 まあでも私は配信の方が無事始められたようで一安心だ。おーけー、このままやってこう。

 

「あ、ホントだ。良かった始まってくれて。…え、音量? んー皆のほうで調整してくれる? 機材さわれないよ私」

 

 もしくはマネみこさんによる調整に期待かな! そう言いながら笑って誤魔化した私、とりあえずサクッと進めたいからいけるとこまで止まらずゴーだ。

 

「じゃあまずは自己紹介だね。この度、春日芸能プロダクションからデビューすることになった新人アイドル、アイだよ★ 宜しくね〜」

 

 ウインク一つ、軽く手を振ってみせるとまたコメントが速くなりだした。何だか面白いね、これ。

 

「今日はね、先日このチャンネルの開設と同時にアップされた1曲…動画? まあまだその1曲しか発表してない私のことをみんなに知って貰って、興味持って貰って、世間を夢中にさせちゃってもうメロメロ〜、にしちゃうのが目的なんだって! アハハっ、ムリだよねー?」

 

 笑いながら眉だけ下げつつ、小首を傾げて配信用カメラを覗き込んでみる。ここ2.3ヶ月くらいみっちりレッスンを受けた私の嘘(演技)を喰らうといい! 気持ち的にはそんな意気込みをかけた仕草だったんだけど、どうやらバッチリ成功したようだ。

 

 あっ、スキ…

 もうメロメロやぞ

 そんなことない!もう惚れそう!

 ダメだ…普段の声まで可愛い過ぎてアタマおかしくなりそう…

 すでに夢中だったわ

 生まれた時からファンだった

 かわいい。すき。

 俺なんか、アイちゃんかわいい! という世の真理から生み落とされた身なんだが?

 これは間違いなくカスガコヤネの秘蔵っ子

 すきすき

 グッズ欲しい…はよグッズ売ってくれー

 自分、ガチ恋していいすか?

 概念から生まれた怪物おって草

 みんな見てるー? これ、俺の推しなんですわ

 

「アハっ、みんないい反応ありがとー。頼もしいよ」

 

 何だかすでに好評みたいで、少しホッとした。こんな私でも応援してくれるんだね。アイドルファンって凄いわ。

 

 …あ、それともやっぱ、ヤネ君の作った曲が良いからなのかな? まだ安心できないねーこれは。ここで一気にファンの心を掴まなきゃ!

 

「ではではみなの期待に沿えるよう、張り切って配信の続きを…マネみこさん、次何するんだっけ」

「はい、これ」

「お、そうそう。これこれ」

 

 私は手渡されたフリップの内容をチラッと確認してから、改めてカメラに向き直って目に力をいれる。

 

「この大きなフリップに私の簡単なプロフィールをまとめてみたから、とりあえず映すね。いくよ? …せーの、ドン!」

 

・名前 ★アイ★

・年齢 12才

・身長 いずれ150cmに届くと思う

・体重 秘密

・スリーサイズ 測ってないよ?

・趣味 まだナイショ★

・特技 ヒ・ミ・ツ!

・デビューのきっかけ 街中でパパヤネ君に声をかけられ拾われた。-驚愕の手口! 白昼の渋谷でおこなわれた大胆な犯行、抹茶ラテの甘い罠とは!-

・将来の夢 んー。正直に書くとマズそうだから、これもナイショ★

 

 

 ドンッ!

 ほー、なるほど?

 秘密やらナイショやらが多過ぎる件

 本当に測ってないでござるか〜?

 12才か…そうとも見えるし、もっと大人にも見えるなぁ

 拾われた!?

 パパ?

 パパヤネ君 is 誰

 渋谷で拾えたんか〜。俺も徘徊すればよかったわ

 小さいんだね、可愛い

 ヤネ君=カスガコヤネ?

 そうだね、抹茶ラテは甘いよね

 渋谷…東京に引っ越すか…

 正直に書くとマズい…一体何をたくらんでるんですかねぇ

 パパってあのパパ? どういうこと?

 12才…俺ロリコンになりそうで怖いわ…

 パパヤネ君ってのはやっぱりカスガコヤネのことでええんか?

 抹茶ラテ好きなんかな、かわいい

 

 またまたコメントが一気に加速してしまった。うーん、困る。まあ遅延もかかってるし配信者閲覧用のコメント覧って見やすくなってるからぶっちゃけ読むことは出来るんだけど…取り上げるには数が多過ぎて、めんどいのはめんどいよ。

 

「えーと…それで、どうしようかな。これやっぱみんなの反応拾いながらトークを進めるところなんだろうけど…配信って難しいね? これでも一応、他の人の配信とか見て勉強したんだけど…」

 

 そもそも初配信の初心者チャンネルに人が集まり過ぎじゃないかな? 参考に見たアイドルグループの初配信はこんな同接じゃなかったし、これは絶対にヤネ君のせい。さすが世界のトップスター…ってそうか、ヤネ君との関係を聞いてるコメントに答えれば良いのか。

 

 よくよく考えれば疑問形のコメントだけに答えるのでも十分な会話になるもんね。これは良い学び!

 

「よし、分かった! ひとまずみんなが一番気になってそうなヤネ君…カスガコヤネとの出逢いの経緯? その関係? について話そうか」

 

 キタ

 キタ!

 きたかー

 お、ついにか

 キター!

 おそいよ〜はよはよ

 はよせな

 そやね。その疑問もあってこの配信に来たわけやし

 カスガコヤネがプロデューサーになったんかな?

 待ちくたびれたわよ

 き、聞きたくない!俺は断じてパパ呼びの理由など聞きたくないぞ!

 弁解のお時間ですw

 いや、まだ配信始まったばかりやで。遅くはないだろ

 関係? 作曲家と歌い手という関係だけじゃないんか?

 さあ、キリキリ吐くんだ!

 ぼ、ぼくはアイちゃんを信じてるよ!

 そうそう、まずはヤネ君呼びなとこからじっくり聞かせてくれ

 いやただスカウトされただけじゃないの?

 アホかw 一体なにを杞憂してるんやw

 そもそもあの世界的大スターのカスガコヤネをパパヤネ君呼びだからなぁ…これ、大事件では

 あぁ〜、ここにきて同接が30万超えるぅ〜!

 もしかして女性カスガファン、絶許案件か?

 パパー、私にも曲作って欲しい〜

 すでにユニコーンおって草

 いや、まだアイちゃんが幼いから保護者のような立場してるだけだろ?

 わ、私はコヤネきゅんのこと、し、信じてるから…

 杞憂民もいますw

 ウケる。こんなオープンなパパ活もどきがあるわけないやろがw

 当然カスガファンネキもいます、と…

 どけ! 俺がアイちゃんのパパやぞ!

 パパ! 僕とアイちゃんの仲を認めて下さい!

 

 

「…うわぁw、凄くめんどうw」

 

 

 あ、ついうっかり本音が出ちゃったよ。草生える、ってやつだねこれ★

 

 ちょwww

 笑うなwwww

 草

 なにわろてんねん!

 笑うとこちゃうやろー!

 これは草

 

 いや、ごめんて。許してよ、ちゃんと答えるからさ。まあアイドルとして言える範囲での答えになるんだけども。

 

「んンっ。あ〜じゃあ答えるんだけど。これね、出逢いの経緯の方を詳しく話しちゃうと初配信らしからぬ雰囲気になっちゃうから〜次回…か分からないけどいずれ雑談みたいな配信をやる機会に喋りなさい、って事前に指導されたんだよね」

 

 …え、

 えっ?

 あっ…

 うんうん…ん?

 らしからぬ雰囲気!?

 なんだそれ?

 つまり、やっぱりパパ活…

 もしかして深刻な話だったりする?

 それってどういう…

 あー…ね?(わからん)

 アホがおるなー、パパ活だったら次回だって喋れんだろw

 拾われた…って、もしかしておちゃらけた表現?

 も、もしかして、アイちゃん…

 ほんまに保護されたんか…?

 何? いったいどういうこと?

 まるで意味がワカランぞ!

 

「んー、まだ秘密だってば」

 

 鋭い人もいるもんだねー。

 

「とりあえず今言えるのは、私はカスガコヤネの作る女性用楽曲を歌う人…専属のボーカリスト? としてスカウトされたんだよーってことぐらいかな。だから元々、別にアイドルとしてのスカウトじゃなかったんだよね、実は。でも今の年齢的にアイドル曲も似合うから、まずはアイドルでデビューしよう…ってことらしいよ」

 

 ほー!

 うそぉ!?

 こんなにもアイドルなのに、そんなことあるぅ!?

 それはなんか驚きやわ

 意外過ぎる…

 おー。つまり本当はシンガー採用だったのね

 でも結果的にすごくいい選択してくれたわ

 えーアイドルで良くない?

 確かにアイドルが似合ってるよ!

 むしろ徹頭徹尾、アイドルやろ

 ダンスも良かったからぜひアイドルでいて欲しぃ…

 見栄えが完全にアイドルやぞ

 ええやん、ずっとアイドルで!

 

「あははっ。まあ実際ヤネ君は曲は幾らでも思いつくし出来るだけアイドル曲も消化して欲しいって言ってたから…私は当分の間アイドルだよ。20才は優に超えるんじゃないかな? ただその内、アイドル曲以外も歌い出しますよー、ってな感じ」

 

 なんとまあ…そんな話だったとは

 そうだったんかー

 なーる

 まあとりあえず今んとこアイドルでヤッター!

 そんだけの期間やってくれるなら有り難いわ

 でも流石は天才カスガ、そんな量曲作れるんやね

 ちなみにいつぐらいから、そうなる予定なん?

 

「いつぐらい…えっと、何て言ってたかな。確か…身体の成長具合とかホルモン分泌の様子とかもろもろ込みで、ヤネ君が今だって判断したら一度喉というか身体全体の調律をしてくれるんだって。そうすると良い声で末永くシンガーとして活動出来るらしいから、その時が目安だ…って言ってた。…まあ実際私に何をするんだか全然意味分かんないんだけど、ヤネ君なら出来るんだってさ。…でもそれって人間技かな?」

 

 …マ?

 まじかよw

 そんなんできるん?

 なんじゃそら、カスガ天才過ぎるやろ

 人間技www

 まあ彼が天才を超えた怪物なのは確か

 あーギフテッドなんだっけ?

 音の共感覚がうんぬん

 なんか人からその人なりの音が出ていて、姿見なくても判別出来るらしい

 著名な音楽家曰く、カスガは真に楽器を謳わせることが出来る唯一の天才、だぞ

 はーよくわからんけど、すっごい…

 出来たら人間技じゃないな、神技だよ

 

 本当にねー。まあこれはもし普通の人にボイトレを施すとしたらの話であって、私に対してはより効果があるように毎日少しずつ調整してるらしいんだけど…でもヤネ君ならきっと出来るんだろうなぁ。なんかヤネ君って声に力があるんだよね。説得力? が段違いなんだ。何故か彼の言葉は信じたくなる…信じてしまう。こんな私でも何故か彼には身をまかせたくなって、素直に受け入れたくなって。だから私は、いつかは彼を…

 

 

 ――おっと、今はまだ配信中だ。集中しなきゃ。

 

 

「――でまあ、話をまとめるとね? 私は春日芸能プロダクション所属…ではあるんだけど実際はその中にあるレーベルの春日ミュージックに属してるようなもので…ミュージシャン兼作詞家兼作曲家兼プロデューサー…何か凄い肩書だね? まあそんな人であるカスガコヤネと個人契約を交わした人…みたいな扱いなんだよね。だから私の面倒を見るマネさん、スタッフさんとかはヤネ君と同じだし…まあつまり、そんな感じの関係なんだよ」

 

 …が、ガビーン! 話まとまってない! 集中して話した結果がこれとか。最後がそんな感じとか結局曖昧になってるし我ながら話し方が凄い下手ァ!

 

 駄目だー。自分のことを説明しようとすると、どうしても話がとっ散らかって長くなってしまう。難しいな、意味のある会話って。これみんなちゃんと聞いていて、くれるんだろうか…

 

 ほぉ〜

 うんうん、なるほど

 そうなるんか

 なるほどなぁ

 うむ。アイちゃんにはカスガコヤネが独占保護するだけの価値があるわ

 やけに親しげな口調なのはそういうことだったのね

 把握したわ

 個人契約かぁ

 完全に理解

 すげぇ、マジでカスガコヤネの秘蔵っ子ってことじゃん!

 あー芸能人というよりミュージシャン扱いなのかね

 

 ぉお? あれで分かってくれる人達もいるんだねー、助かるなぁ。ならこのままの勢いで、思い付くままどんどん喋り続けてしまおうか。とりあえず今日は下手でも何とか話しきらないといけない訳だし、解読班はキミたちリスナー、全員だ!

 

「ミュージシャン…あ〜そうかもね。その解釈で良いと思う。だからメディアへの露出の仕方なんかも他のアイドルさん達とはちょっと違って、ドラマとかバラエティとか…いわゆる音楽関係以外の番組には出る予定がないんだよね。私も特に出たいと思ってないし」

 

 なるほど、それはミュージシャンっぽい

 えー、テレビでもっと見たいわ

 絶対、画面映えするのになぁ

 チョイ役でも間違いなく目立つ

 学校物のドラマで制服ヒロインやって欲しいよぉ

 アイドル番組でキャッキャしてくれや…

 運動会は…? そこにアイドル運動会はないんですか!?

 MVだけで我慢かぁ

 これはつらたん

 悲しみ

 

「あははっ。そもそもヤネ君が音楽畑の人だからね。もしドラマや映画なんかで私を使いたいなら主役級の役を用意しろ、って不機嫌そうに言ってたよ。無茶過ぎるよね、アハハッ★」

 

 んんwwそれはw

 草

 マジかw

 くさぁ!

 まあアイちゃんなら出来るは出来るだろうけど…w

 いくら注目の人とはいえ、一応は新人やぞw

 新人の扱いじゃないなあwww

 

「まあその分ね、こうやって配信の方でネットへの露出をしてく方針みたい。ほら、知ってる人も多いと思うけどこの配信してる部屋って、奥の分厚いガラスで仕切られた…あそこ、見えるかな? あのスペースでレコーディングも出来るじゃない? だからその様子を生配信してみたり、床がフローリングな部分でちょろっとダンスしてみせたり、後は…まあ私次第で好きに雑談やらの配信もしていいんだって。なんならゲームも出来るよ、私はしたことないからあまり興味ないけどね」

 

 おっ、いいねー

 おー! いろいろ出来るやん!

 ネット中心に活動か

 いいじゃん、いいじゃん

 つまりは俺ら大好き、ネット配信者なわけだな

 お歌配信希望!

 アイドルが配信中心って新しい…新しいよな?

 メジャーなアイドルとしては珍しい形態だな

 アーカイブ残るなら、好きな時見れるから有り難いかも

 

「まあ基本ヤネ君が音楽関係の仕事する時はここ使ってるし、そうなると私も側にいること多いから〜そんな時適当に配信つけてみようかな、って思ってるよ」

 

 いいね〜

 ほおーいいじゃん!

 ダラダラ作業配信、キタコレ!

 お、カスガも巻き込むんか

 なるほど。基本、側にいると…カキカキ

 ある意味コラボになるわけか

 ええっ!? ありがとアイさん! 絶対見ます! コヤネきゅんスキ!

 

「ん。まあ全てはヤネ君次第だね。それにもちろん日々のレッスンも多いからどの程度配信するかは謎だよ。マネさん曰く、すでに問い合わせが殺到しててすぐ仕事が舞い込んできそうだから、そんな暇あるかどうか…とも言ってたし」

 

 あー、たしかに

 それもそうか…

 そりゃ殺到するわな

 バラエティやドラマじゃない仕事ってなんだ? インタビューとか?

 ああ、そうか。仮にCM撮影とかでも時間はかかるよね

 ちょっとした撮影でも移動で大変そうだしな

 それは、そう

 もっと声聞きたいよ、アイちゃん

 毎日顔見せて

 頼む、週1でも1回30分でもいいから配信してくれ…

 

「んー、実際スタッフさんも結構困ってるみたいでね。本当だったらこの配信でも、もっと今後の配信スケジュール的なお知らせをするはずだったんだけど…予定が未定過ぎて、なくなっちゃった★」

 

 笑いながら惚けてみるけど、当然リスナーからは失望の声が上がっている。でも本当に予定がわからな過ぎて先送りなんだよねー。仕方ないね。

 

 

 

 その後はフリップで開示した情報なんかを浅堀しつつ、のらりくらりと時間を稼いでみたんだけど…やっぱり活動方針さえ揺れている現状にみんなの不安は大きいみたいだった。…もう、みんな大人げないなぁ。

 

 

 

「まあまあ。決まったらすぐに伝えるからさ。そんな残念がらないで。また次回に〜ってな訳でね、そろそろ時間が迫ってるとのことなんだけど…最後に、質疑応答のコーナーだって。何だかお知らせ系のお話が無くなったせいで質疑応答の時間ばっかだった気がするけど…まあいいかぁ。何か他に聞きたいことある人はいるかな? あ、ちなみにHPとか私のSNSのアドレスとかはこの配信の概要欄に載ってるから、それ以外でね」

 

 よし、ここからは巻きで答えて終了だ。何とか無事に配信終われそうでホッとする。いくら勝手に口が回ると言っても人付き合いに向かない性格は変わらないのだ、キツいものはキツい。

 

 ――ふふっ。後で本当にパパヤネ君…児屋パパに甘えてみようかな。

 

 そんな企みを思い付き、私は密かに、そしてみんなに分かるよう確かな笑顔も見せてみる。さあリスナーよ、本日最後だから思う存分質問してきなよ!

 

 ファンクラブ出来ますよね? いつ始まりますか?

 

「えーと、スタッフさんフル回転な事情で遅れちゃってるけど、ファンクラブは近日中に始まるってさ。それ以上はわかんない。多分Twitterをチェックしとけばいいんじゃないかな? 私からも知らせると思うよ! あとこのチャンネルの…メンバーってのも始まるみたい。一応、MVのメイキングビデオみたいなおまけの動画を上げようか、とか言ってたよ」

 

 ライブってやるの? やるとしたらいつ?

 

「やる予定だよ。もう何曲かアップしてからの反応次第みたいだけど、最初は純粋に持ち曲が少ないから他のアイドルさんとの合同ライブになるかも、って言ってた」

 

 他に収録してる曲あるの?

 

「あるよー。いまのとこ後4曲だね。でもライブ用の振り付けまで覚えたのは3曲だけなんだよ。要練習だね」

 

 イメージカラーは何色になるんだろ

 

「色? …あ、あのライブで使う光る棒…サイリウムだっけ? あの色のこと? それなら赤に決まったよ」

 

 全身見せてくれ

 

「はい、いいよ〜」

 

 かわいい。小柄やねー。

 

「そだねー。体のバランス考えると、小顔に生まれて良かったよ」

 

 好きな食べ物は?

 

「うーん、それこそ抹茶ラテは好きだよ。後は秘密」

 

 まねみこさん、って誰?

 

「ん? マネみこさんはさっき映った女性のことで、マネージャーさんだよ。ちなみにあと2人いる」

 

 2人? どういうこと? マネージャーが3人いるってこと?

 

「うん、そう。マネみこさんと、マネまいさんと、マネおりさん。交代で24時間体制…は言い過ぎだけど、大体誰かが側にいるよ。過保護だよねー」

 

 VIP待遇やん!

 

「アハハ。まあ3人共女性だからね、勤務時間とかでムリさせない為なのかも。っていうか前々から3人はヤネ君のマネージャーというか、秘書さんだからね。色々優秀な人達だよ」

 

 

 

 ――と、粗方の質問は答えた所でマネみこさんから終了の合図がくる。

 

 

 

「あ、ここまでだって。じゃあひとまず今回の配信はこれでおしまい。エンディングに…この後22時からプレミアム公開予定の新曲MVをチラッと流しながらのお別れになるよ」

 

 !?

 なんと!?

 もう2曲め公開!?

 うぉおおおお!

 うおおおおおー!

 オオォォォ!

 はやい! もうキタ!

 マジかよ!

 すげぇ! もうかよ!

 ヤッター!!

 何でそんな重要な告知が今なんだよw ホンマありがと!

 ホントだ、枠ができてる!

 楽しみだわ〜

 

「アハハッ。みんな、ぜひぜひ新曲MVを楽しんで見てね。お疲れ様ー! じゃあ最後は何故かみんなが大好きになってしまったあの曲の、あのワンフレーズで締めるからね〜。いっくよー? せーの!」

 

 先日アップされた私のデビュー曲、「アイドルでごめん★」から何故かバズってしまったこのフレーズ。まあこの部分を歌うとき、我ながら会心の笑みを浮かべていたのはMVを見返した時に分かっていたんだけどねー。私からこんな笑顔を引き出すなんて、本当ヤネ君は不思議な人だよね…

 

 ウソじゃない私を、ホントのワタシをこんな気持ちにさせるなんて――

 

 

 

「――サンキュー! ごめん! アイ★してるっ! いぇい★」

 

 

 

 まあ、そんなこんなが、ありつつも。私の記念すべき初配信は大盛況のままその幕を閉じるのであった。いぇい★

 

 

 

 

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