行き当たりばったり式変異波形生活 inルビコン3   作:非活性コーラルマン

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「第1助手の口述筆記3」

技研都市、コーラル研究本部長、ナガイ教授付第1助手の私室より。

変異波形についての話が記述されている。

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……………やはり駄目だ、算出されたありとあらゆる仮想データにおいて、今あるコーラル溜まりを仮に全力で焼いた所でルビコン内のコーラル全てを焼き払うことはできず、しかもそれらは数十年もすれば再び今と同じくらいにまでその水準を自然と回復させてしまう事が確実視されている。

完全に焼き払い切る方向性で進む場合、現在既に溜まっているコーラルを焼くだけでも「爆発」はルビコンに収まらないと推測され、その上で残りを見つけ次第焼き払う事になるのだ。

爆発の影響でルビコンにそれを行う余力はまず無いだろうし、他がそれを担当するにしても自然増殖する特性のせいで何年かかるかわかったものではない。

少なくとも残存コーラルを完全に焼却仕切る前に「焼く」行為そのものが起こす環境汚染によってルビコンは廃星に等しい致命的な傷を負うことになるのは確実だ。


焼くのは駄目、やれてせいぜいが延命で、最悪ルビコンと既存秩序の終わりを引き起こす。

かと言って増殖を放置するのも駄目だ、仮にコーラルを増殖するがままにした場合、教授のいう「相変異」が無いとしても、大量増殖したコーラルによる汚染はルビコン中を駆け巡ることとなってしまう。



………やはり教授の言う「変異波形」に一縷の望みをかけるしかない。





私の思いに真っ先に賛同してくれて、私の力不足で手術に失敗したのにも関わらず、死ぬ間際まで私を励まし続けてくれた彼女の為にも、ここで立ち止まるわけには行かない。




別口で極秘裏に手術の被験体として協力してくれた彼がコーラルの「声」と思われるものを聞くようになったと言っていたのもある。

おそらく、このアプローチは正解とは言い難いが完全な間違いでも無いのだろう。
Cパルスを使って知覚の拡張を行うなど倫理的には許されないぞと教授には警告されたが、悲しいことに現状、この手術以外で人間がコーラルとの交信を行えるように出来る方法は見つかっていない。

だからこそ被験者には死ぬリスクを屁とも思っていない極まったコーラル中毒者や強い死のリスクを知ってもなお引き受けてくれた志願者のみに限定していたのだが……………



いや待てよ?「人間がコーラルの声を聞こえるようにする」のとは別に「コーラルが人間の言葉を喋れるようにする」事も模索できるのでは……………?

思い立ったが吉日だ、コーラル溜まりを見る教授の様子からして時間的猶予はそう長くは残されていないようだ。

やれることは早めにやり切らねばなるまい。










そしてもう一つ、私には残さねばならないことがある…………………
















すまない息子よ、お前にとって私は【いい父親】とは程遠いのだろうな、妻を死なせ、ロクに構ってやれずに教授に迷惑をかけ、続けてこんな狂気の産物を幾つも作っている挙げ句、カーラを利用して教授と引き離し、遠い遠い木星に逃すことになったのだ。

贖罪とは言わんが私の事を思い返さないよう、お前の為に残したACから私の名は消し去る事にした。

そして代わりに教授と、お前自身の名が記される事になる。

















とはいえ、頑固で聡明なお前の事だ、結局、確実にルビコンに舞い戻るだろう。


理由は簡単だ、教授達の遺志を継ぐためにだ、両方とも知ってるからこそ、出せる結論だ。









だから私はここに色褪せることのない【真実】を残そう、誰も幸せになることのできない「真実」を…………………










ロクデナシからの一度きりの勝負だ、我が息子よ。





教授の「消そうとする遺志」と私の「残そうとする遺志」のたった唯一の勝負だ。



結末は、未来に委ねるとしよう。





技研都市災害状況調査、前段

 

 

 

「変異波形セリア、変異波形ユウヒ、改めて自己紹介をさせて頂きます。」

 

「我々の名は傭兵支援システム、オールマインド、ここルビコンで活動する全ての傭兵たちの為に、とある博士の手によって生み出された者です」

 

「今回依頼させていただく内容は、我々の今後の活動に必要なとあるデータの有無確認、出来れば入手と、それに合わせた技研都市の現状確認になります」

 

 

 

データの有無の確認??入手?オールマインドに必要なデータって具体的にどんなのだ??見た所本格稼働前っぽいのだけど????

 

 

 

「お察しの通り、我々は本来1ヶ月後をおおよその目処に搭載予定の機能を全て兼ね備えた上で活動を開始する予定だったいわば未完成の存在と言える存在です」

 

「本来はこの1ヶ月後の最後のアップデートで機能を揃え、不測事態への対処力を引き上げた上で活動を開始しゆっくりとシステムを浸透させてゆく予定だったのですが、外部で今まさに続いているコーラルの爆発によって、完成のための最終アップデートが絶望的な状況に至ったのです」

 

「 故に、私の開発を担当していた博士が前から用意なされていた、私の完成図を記した設計図データを用い、元々用意されていた資材を元手に私自身の手でアップデートを図ろうと現在準備中となっています」

 

「………お二人には、その鍵となるデータがあの火でどうなっているかの確認と、合わせてそのデータを捜索してもらいたいのです」

 

「 保管場所である技研都市は爆心地…………データそのものは元より非常に強固な物理プロテクトで厳重保管されているのですが、ことが事なので最悪消失していても仕方なし、としています」

 

 

 

そりゃあアイビスの火の影響圏内だからなぁ…………諸々の都合で直撃ダメージだけは避けてたっぽいけど、結局爆心地なのは変わらないから余波をモロに受けるのがね……………まぁ、つまりはだ。

 

 

 

「…………よーするに今すぐ技研都市へGOしてありったけのデータを回収4649ってコト!?」

 

 

「省略のし過ぎではありますが、その認識で間違いありません」

 

「依頼遂行の際、私の転写体を確認要員として輸送機に同伴させます、こんな感じに」 (ブヨンッ!)

 

 

「………えぇ…………いや、貴方はAIなのだからコピペが効くのはわかるけども……………」

 

 

 

いきなり眼の前で二人に分裂したオールマインド、ってか揃ってドヤ顔してる………………

 

 

 

「ユウヒ、どうする?私は他にやることもないし受けてもいいかなって思ってるけど………」

 

「まぁ…………私も技研都市がどうなってるか気になってはいるから引き受けるけど…………アシは輸送機とやらでいいとして、私達変異波形なんだけどこの体でどうやって調査しろと言うの??」

 

「それに関してはこの依頼に際して支払う【前報酬】が関係しています」

 

 

「「前報酬???」」

 

 

「こちらについてきて下さい」

 

 

オールマインドに先導され、私達しかいない不思議空間をトコトコと歩いて行くと………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ……………この機体はまさか!?」

 

 

「女の人が何かに浸かっている?眠ってる………のかな?」

 

 

なんということでしょう、そこにはすぐにでも出撃可能そうなACが一機と、私と同じような長黒髪をした女性がテンプレじみた培養槽的なヤツに浸りながら眠っているではありませんか。

 

 

「こちらが前払い予定の最新鋭機【LOADER ZERO】と、博士が完成させたばかりの試作有機義体になります」

 

 

しかもACの方は見た目含めて大体初期機体*1だコレー!?

 

本編開始50年前故、ACの性能には全く期待してなかったが、近接武器が無いことを除けば正直恵まれ過ぎな状態である。

 

この内心を吐露すると転生者バレ待ったなしなので、興奮は心のうちに留めて置くが……問題はもう一つの方である。

 

 

「機体の方はともかくとして………あの試作有機義体?とか言うのは?」

 

 

「元々は我々の転写体に当たるAIを組み込み、ルビコン各地に建築予定の支部で傭兵支援事業の仲介等を行うために用意されていたAI用の有機義体………だったのですが、途中から目的が変わった為に制御にコーラル技術を用いることになった代物………その試作タイプになります。」

 

 

「 目的が変わった?一体どういうこと??」

 

 

「我々にも用途に関しては教えてもらえず……………しかし開発を主導した博士からは、これから必要になるかもしれない…………とかなり御執心で開発されてました、義体の実際の稼働等を我々が既に担当していたので、我々と同じ現在地にいるあなた方なら動かせるだろうと思いました」

 

 

ふーむ、技研技術でAI用の肉体を作ろうとしてた訳か………というかコーラル制御に切り替えってなんで?

 

その他色々と気になるところはあるが、取り敢えず一つだけ聞いてみる。

 

 

「そういえば、さっきから博士って言ってるけど、もしかしてその博士って技研都市のナガイ教授のこと?」

 

 

「いえ、彼の助手としてコーラル研究を行いつつ、我々オールマインドの開発も手掛けていたウォルター博士こそが、我々の言う博士に該当します」

 

 

「ウォルター博士………というと第1助手さん……だっけ?教授の手伝いにコーラル研究に貴方達の開発………仕事が多くて大変そうね…………」

 

 

「実際御多忙だったものでして、研究の過程で奥方がお亡くなりになりなられながらも研究されており、残された御子息の世話もままならない、とナガイ教授と同僚の方に御子息の事を託されていました、今は同僚の方と一緒に故郷の親戚に遊びに行かせてると、最後にこちらに来た際、申してましたね。」

 

 

………………………目茶苦茶言いたい、てか声を大にして叫びたいことが沢山できたが、コレは一旦心の内に収めておくとする。

 

 

問題は義体の扱いだ。

 

 

「しかし、コレに潜り込んで人の姿で活動できるのなら色んな意味で非常に重要な奴ね、私かセリアがこの義体を使っていいってこと?」

 

 

「前払いの報酬ですので、ついでに定期メンテナンスの時も助力させて頂きます」

 

 

「ふーん………まぁ、私は別のデザインが良いかなぁ………ということでユウヒ、コレ使ってみたら?」

 

 

「いいの?じゃあお言葉に甘えて………………」

 

 

非常にあっけなく私が義体を使うことで決定したが、これアレだよね?この後この義体でAC乗って技研都市GOするやつだよね?

 

………上手くいくかなぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、物は試しと体を義体に潜り込ませてから暫くして、その【体】は培養槽から解き放たれた。

 

 

「………………何とも不思議な感覚だ、これがコーラル技術を用いた義体か………思ったよりも素直に動いてくれる、しっくり来てると言うべきか」

 

 

「ユウヒ、調子はどう?」

 

 

「セリアか?思ったよりもよく動いてくれる、しかしこの体だとそちらの声はハッキリ聞こえるが、姿が見えんな………その点は不便だ」

 

 

「ひとまず目の前のロッカーにいくつか義体に合わせた服が見繕われています、どれかを選んで準備に移りましょう」

 

「そうだな、これより出撃準備に移る、目標は技研都市、目的はデータ回収だ、大災害直後に言うのもアレだが丁度いい慣らしだな、任せておけ」

 

 

 

「……というかユウヒ、貴方義体に移ってからいきなり口調変わってない?」

 

 

「何と言うか、急に凛々しくなりましたよね、声もそれっぽく変化している様子」

 

 

「オールマインドは…………成る程、右腕のCOMデバイスに移ったのか、実質三人乗りとはACの中が賑やかになりそうだ」

 

 

 

二人には速攻気づかれたが、私自身この義体に入ってから意図せず自分の中での自然な話言葉が大きく変わってるのを感じる、義体の見た目に引っ張られるのだろうか?

 

まぁ変異波形としての口調と義体で活動してるときの口調が違うというのは、双方を同一存在であることを誤魔化すのには丁度いいので特に修正は必要ないかな?

 

と、言うわけでまずは手近にあった黒いスーツ着替えて早速現状唯一のACであるLOADER ZEROに乗り込み出撃準備に入る。

 

今回は特にアセンとかを考えずに出撃できるため、ぶっつけ本番言ってみよー!の軽いノリで行けるのが気楽である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早速乗ってる訳だけど………初めてのAC、どんな感じなの?」

 

 

どんな感じ………か……………(ガコンッ!)

 

 

「ユウヒ?」

 

 

 

私は機体を特に苦も無く起動させ、流れるように機体近くに駐機されていた輸送機の中へと向かう。

 

 

 

「何故だろうな?、私は確かにAC初乗りなのだが、機体の動かし方はとっくに()()()()()()()()かのようだ………丁度いい、このまま出撃するぞ、オールマインド、輸送機を技研都市へ」

 

 

「………この様子なら多分大丈夫でしょう、 了解致しました、それではユウヒさん、これよりミッションを開始します、ご武運を」

 

 

「……本当に大丈夫かなぁ?」

 

 

勢いのまま技研都市への突入を決める私、すんなり義体とACを動かせたことで行動の目処がたったからか、オールマインドに早速技研都市へ出発するよう促す。

 

 

一瞬オールマインドは何か考えたようだったが特に問題無さそうと彼女も判断したのか私達を載せたVTOL輸送機の眼の前にある隔壁が開き、そこから飛び立った機体は技研都市目指して飛んでゆく。

 

いつの間にやら「火」の静まっていた技研都市へと……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言えばセリアの不安は形こそ違えど的中していた。

 

最も、その原因は私が思いっきり()()()()()()事にあったのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし………これはどうしたものか、マトモにやり合うには余りにも手持ちが少ないものだし…………」

 

 

「呑気に話してる場合じゃないわよ!!もう一発大技がくるわ、急いで避けて!!!」

 

 

あれから数時間後、輸送機から降りて技研都市前にたどり着いた私達の眼の前に猛スピードで現れたのは、原作強ボスの一角であり、余りにも特徴的な見た目からとある仇名の付いた機体…………

 

「まずは慌てず上昇、その後ブーストを吹かせばこの攻撃は何とかなる、」

 

「大技は回避しましたが通常攻撃で地道に削られてます!?というより今丁度機体APが50%を切りました!ユウヒ、対処を!!」

 

 

「取り敢えず逃げに徹するので精一杯だ、しかしこの挙動…………何としてでも私達を焼き払うつもりか……」

 

 

 

 

 

人呼んでルビコニアンデスキュベレイことアイビスシリーズとの壮絶なおいかけっこが始まっていたのだった…………………死ねるわ!?

 

 

*1
ゲーム本編最初に乗ってる機体、LOADER 4と機体本体の見た目はそのままだか、非常に肝心な左腕武器のタキガワ製パルスブレードHI-32:BU-TT/Aだけが無い、ちょっおまっ!?






ユウヒ達の次の行動

  • セリア依頼、サムとの仲直りin【壁】
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