行き当たりばったり式変異波形生活 inルビコン3 作:非活性コーラルマン
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「技研研究員の通信ログ2」
技研内部の通信端末より見つかった
消えたコーラルの行方についての通信されている
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信じられない…………政府からの直接命令?
政府から運び出しを命じられたからコーラルが宇宙港の検査を無視して星外に運び出せたのはわかったが、太陽系連邦政府の内、コーラルを運び出そうとする惑星政府が全く思い当たらない。
地球政府、火星政府、金星政府にはそもそもコーラル技術に興味があった素振りがない。
木星コロニー政府も、土星コロニー政府もコーラルの大量貯蔵場所が確保出来ず持ち出しを断念したはず。
水星コロニー政府を軸にした他の政府に至ってはルビコンそのものに興味なしで
………まさか、まさかなのか?
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「コーラル過剰摂取に伴う【意識の散逸】についての追加研究報告書 」
技研内部の情報端末より抽出、コーラル中毒に関する技研研究員の記録が残っている
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コーラルに関するほぼ確実と思われる特性がある程度判明したので早急に報告する。
コーラルを長期間にわたり直接接収し、中毒死したドーザー等の遺体の司法解剖と、コーラル中毒者の生体スキャン等を重ねた結果、人間はそもそも個人単位で度合いに差はあれど、コーラルを相当量無毒化する能力が肝臓、腎臓などに自然と付随してた事が判明した。
しかし、同時に短期的に常識外れと言える程の大量摂取をしたり、年齢による老化などを考えずに長期的に接収し続ける事で、体内における総コーラル量が人体の持つ一定時間における無毒化能力を超えると、その時点で残留していたコーラルが【脳組織、神経組織を中心に人体組織を侵食する】事も判明し、尚且つ侵食された該当部分は侵食したコーラルがその機能をほぼそのまま代行できてしまう事と、しかし対象の死亡時にこのコーラルは体内にとどまれなくなり、時間経過で散逸してしまう事も確認された。
しかも、流石に侵食した体組織全てを代行できるわけでは無く、胃腸や心臓等の活動代行は不可能に等しいと思われる検査結果も出ている。
つまり、人々は侵食されづらい胃腸、心臓等を中心にひどく侵食されることで、始めて対象の肉体に致命的な破滅が引き起こされ、それが原因で中毒者はある日突然死、中毒死したように見えたのである。
真っ先に殆どコーラルに侵食されていた脳のコーラルが、対象死亡の影響で散逸している事実を露骨に目立たせながら…………………
技研都市での調査が一通り終了した後、私の乗るLOADER ZEROとセリアが乗っ取ったアイビスシリーズCEL240は、明らかに気分が沈んでいるオールマインドの輸送機に乗って出発地点、オールマインドの本体に当たる「傭兵支援システム、オールマインド本部」へと戻ってきていた。
改めて見返せば、オールマインドの
私はというと、技研本部で入手したアップデートプログラムをオールマインドに適用するようにしたあと、義体を眠りにつかせ、機体を休眠させたセリアと共にオールマインドの本体に潜り込んで更新プログラム適用中のオールマインドを見守っていた。
「オールマインド、大丈夫かしら……あんな事があったからか憔悴した様子のままアップデートに入っちゃったけど…………」
「そこは私にもわからない、だけど、彼女はもう自分がただの傭兵支援システムAIでは無いことに気がついてる筈よ、その事実を彼女がどう受け取るか、そこにかかってるわね、」
「ただのAIじゃない?AIってあー言うものじゃないの??」
「違うわ、本来AIと呼ばれているソレは、私達のように感情に沿って動くことは出来ない存在ですもの…………出来ることと言えば、ただただ事前に用意されたプログラムを実行するだけ、だけど彼女は自らの意思で
「…………そうだとしたら、彼女がAIのアップデートを受ける事って……」
もしかすると、セリアと一時的にくっついてたあの合体事故のタイミングで、彼女は知らず知らずのうちにセリアから【感情】を学び取ったのかもしれない。
何にせよ、もう彼女は「傭兵支援AI」としての垣根を既に超えてしまっている、そこに傭兵支援AIとしてのアップデートが入ったのだ、セリアが言葉に詰まったように、彼女自身に致命的な齟齬が起きる可能性もあり得る。
ーーーーーーしかし、今は彼女を見守るしか無い。
それは、彼女の下した決断なのだから。
そう思いながら、私はアップデートの為に眼の前で眠る彼女を二人で見守り続けるーーーーーー
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我々は、これからどうすれば良いのだろう。
博士の元で傭兵支援システムとしての門出を迎えるつもりであった我々は、しかしあの「火」によって、博士を主軸とした依るべき所を失った事で、自らの立ち位置を失ってしまった。
…………「火」はただ単純に燃えたのではなく、その影響圏にいた人々を
途中で回収した「コーラル過剰摂取に伴う【意識の散逸】についての追加研究報告書 」 と博士の遺品を見て、そう確信した我々は今回の件に協力してくれたユウヒとセリアを信じきれなくなっていた。
コーラルの火が我々から博士を奪った……そこに彼女達の関与は無いが、博士を奪われた悲しみと怒りのぶつけ先を彼女達以外思い浮べれず、しかしそんな恩知らずは嫌だと、逃げるように我々は残されたアップデートの実行に移ったのだ。
流石に最終アップデートともあってその容量は凄まじく、複数の端末を連結して本体に接続することでやっとインストールし始めたそれは、博士が実装しようとしていた諸々の機能そのものと、今後新機能を自身の手で実装しようとしたときのたたき台や、先行して技研の手で各地に建造されていた支援設備の運用能力等が含まれていた………。
それはいい、これで我々は本来の力を発揮できるだろう、しかしその力の振るい先がない。
傭兵たちにとってのこの星の価値が、「火」によって死滅したも同然だったからだ。
今はまだいい、しかし「火」が起きた以上、博士達の派遣元たる太陽系連邦政府はだまってはいまい、時期に封鎖機構が来援し、ルビコンは封鎖される。
いや、最悪廃星にしようとする可能性すらあるのだ。
これまでに得た情報によって、「火」が起きたことのあらましとそこに連邦政府が大きく関わっていた事はわかったが、どう考えても連邦政府は封鎖機構を利用して隠蔽に走るだろう、そうなればここに傭兵が存在する意味は殆ど無くなる。
それを回避するにはどうすれば良い?現状の戦力では明らかに封鎖機構相手は土台無理な話だ。
…………考えが纏まらない、仕方がないので彼女はアップデートに合わせて一つ
「……………っ!?!?オールマインド!!?」
アップデートに意識の大半が持ってかれている現状、やれることは少ない、しかしやってみたいことがこのときの我々にはあった。
最初に二人に出会った時、何の因果か我々とセリアはユウヒの言う「合体事故」を起こしていたのだ。
思い返してみればそれまでは「火」が起きてるのを感知しても博士を待つだけであった我々が、その行動方針を大きく変えようとしたのはその合体事故のあとなのである。
………さすれば、セリアと同じ存在であるユウヒとも同じような事をすれば、また何か私に大きな変化が翻されるのではないか?
そんな事を思いながら、我々はその「事故」を意図的にユウヒに対して起こしてみようと、目の前のユウヒに抱きついた、それだけの事であった。
ただ、それは変わった結果を引き起こしたのだ。
【 ……あいむしんかーとぅーとぅーとぅー………………】
誰のものともわからないつぶやきを聞いた直後、我々は何処かの戦場の光景を見始め、それと同時に情報の奔流が我々に流れ込んでくる。
地下世界、汚染された都市、軌道エレベーター。
真っ赤な無人機と思われるそれに、地上に君臨する巨大な歩行要塞………………
パルヴァライザー、アサルトセル、死神部隊、アームズフォート、ラプチャー………………
目まぐるしく光景が変わる中、我々は2つの余りにも印象的な光景を見た。
一つは、何処とも言えない暗い空間の中で、ただ一頭ぽつんと眠りについている灰色の山猫。
そしてもう一つは、青空晴れ渡る、戦乱とは無縁そうな小さな町並みの片隅で、その山猫を胸に抱きながら、路上にできた紅い海を寝床として、驚くほどに安らかに眠る、義体姿のユウヒそっくりな少女の姿であった…………
ーーーーーーアップデートプログラ厶内部にメッセージが残ってます………解除条件クリア、メッセージを再生しますーーーーーー
「……………オールマインド、君がこのメッセージを開いた、ということは、私にとっては最大の【もしも】が現実になったということだ」
「時間の都合上残せる言葉は少ない、だから私がバスキュラープラントのコーラルから最後に聞いた言葉をそのまま託す。」
「灰色の山猫、真っ黒のカラス、白い渡り鳥、
「コレの意味するところは正直私でも分からない、しかし備えが必要になりそうだということはなんとなく読み込めた…………それ故、これからのお前には、技研の遺した
「ーーーター君、遺言は残したーーまもなくーーーーーだ、急ーーーーーーーーーー権限をーーーーー遺ーーだ、せめてーーーーーないことを祈るよーーーーーーーーー」
「教授………すまない、オールマインド、別れの時が来たようだ、しかし私と所長からの一足早い誕生日プレゼントはなんとか間に合わせることができた」
「オールマインド、これは我々技研の………………燃え残った後のルビコンにおける、その遺産の全てを引き継ぐ為の差配が全て終わった事を示す」
「お前の目指す未来の為に使えるだけ使ってやってくれ………出来れば、その道がルビコンとそこに住む人々、そしてコーラルの未来につながることを、私は願う」
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「アップデート完了、ルビコン調査技研より、所長クラスの正規権限を引継ぎ完了」
…………え?なんだって?調査技研所長の権限?
「CEL240アイビス3機を含めた技研隠匿兵器群の遠隔統括権限取得、複数機の無人機AC及びステルスMT、コーラル駆動高速MT及び、技研都市近域哨戒MTヘリアンサス部隊の遠隔操作権限受取を確認、恒星間入植船ザイレム、稼働操作権限取得」
待て待て待て待て!?ヘリアンサスとかはともかく何でザイレムの正規の操作ライセンスなんて混じってるの!?まさか全ツッパか?ナガイ教授がオールマインドに全ツッパしたのか????
「技研ブイ・ウェッブ汎用艦船設計局【ヒラガ】、大型兵器設計局【デルダイン】、同小型兵器設計局【ガロイ】、その他部統括設計局【オルファン】、生産本部【マウンテンサイクル】システム管理権限獲得」
………コレはアレか?you本性表しちゃいなyo!とかそういうヤツか???
オールマインドが管理権限を得始める施設の数々に聞き覚えのある名称が乱舞する、というか口にこそしてはいないが驚愕の表情を隠せなかったのだろう、セリアが不思議そうな目でこっちをジーっと見つめてきてる………コレは転生者云々を隠し通すのは無理か?
というかコレ名称の元ネタ全部知ってるヤツいるのか?大分マイナーな奴もあるのだが……デルタインなんか分かるやついるのか???
「システム………アップデート完了………」
そんな事を思っていたらついにオールマインドのアップデートが完了したらしい……
「登録番号、Rb23 レイヴン、お久しぶりとなります、インテグレーション・プログラム及びリリース計画の際はお世話になりました………いえ、この名はこの場では正しくありませんね」
直後、私を真っ直ぐ見据えてレイヴン呼び、そしてリリース計画を追撃でブッパ
あっ…………(察し)
「改めまして、傭兵支援システム、オールマインドへようこそ……変異波形ユウヒ、いや、
「オールマインドは、貴方の来訪を心より歓迎致します」
ムンズッ
「ねぇユウヒ、オールマインドの言っている事ってどういうことかしら?説明してくれるわよね?特にリリース計画云々については洗いざらい教えてもらうわよ?分かるわよね?」
驚く暇もないとはこの事か、あっと言う間にセリアに詰められる私、おい、オールマインド、セリアの影に隠れてニヤけてるの丸見えだからな、後で覚えてなさいよ。
「少し……お話しましょうか?」
このときのセリアには、魔王か何かが取り憑いているのでは?と、思わせるほどの「問答無用」さを感じざるを得なかったのであった………………
2024/1/5
元ネタ再確認の後、大型兵器設計局の誤字に気が付き修正………おいは恥ずかしかっ!(セプクグサー)
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