黎明 Ⅰ:始まり
当たり前の日常……
当たり前の時間……
当たり前の会話……
昨日、今日、そして明日も、当たり前の日々を送るだろう………
だが………
時には、そうではない日が訪れてくる──
2006年6月◯◯日
『なぁ、エース……お前、どんな誕生日プレゼントが欲しいんじゃ?』
『───ブフ!?い、いきなりなんだ急に!?』
『気になるではないか……それで、お主の欲しいもの?』
『そ………それは………』
『ほれほれ、言ってみろ!』
『………じゃ、逆に聞くが……お前はどんな誕生日プレゼント欲しいんだ?』
『…………え?』
『だ・か・ら、なんの誕生日プレゼントが欲しいんだって聞いているんだ天内。それにお前、もうすぐ誕生日なんだろ?』
『そ、それは………そうじゃが……』
『………なんだよ、言えないのかよ?』
『……………なんでも……いい……』
『………あ?』
『じゃから!なんでも良いと言っておるのだろ!』
『………そ、そうか………』
『いや急に反応薄くなってないかお前!?』
『なんでも良いって言われたら……逆に何が欲しいのかわからなくてさ……』
『別になんでも良いと言っただろ!さっきの自信はどこにいった!?』
『そんな急に言われても……っていうか、天内の欲しい物って……』
『………よっし、ならこうしよう──』
『……ん?』
『勝負じゃ!!!』
『───は?』
『妾と
『えぇ………』←めんどくさそうな表情
『な、なんじゃその嫌そうな顔はっ!?』
『やべぇ……超めんどくさい勝負をかけてきたよこの
『めんどくさいとはなんじゃ!それとお前、今妾に失礼な事を言ってなかったか!?』
『………まぁそれは置いといて……『置くな!』……いいぜ、乗ってやるよその勝負。』
『おい聞いておるのか…………え?』
『だから……乗ってやるよその勝負。』
『ほ、本当に………良いの?』
『あぁ……だけど安心しろ天内───
最後に勝つのは俺だからな…』
『─っ!の、望むところじゃ!妾がお前に勝ったら、頭を垂らしてやるからな!!』
『はは……そん時はびっくりさせてやるよ──
──天内──
それは、少年“エース”と、少女“
2017年12月24日
それは、人々が既に寝静まった夜の事だった……
その日の夜は、とても静かだった……
「………………」
そんな中、街よりも遠く離れた森林の中で、そこ場にただ立っているだけの……1人の青年が居た……
「……………」
青年は、自身の手に持っている
「……………」
その二つを眺めながら、青年はその場でふと目を閉じた………
『約束じゃエース!』
「あぁ………約束だ……天内……」
少女………天内理子に“エース”と呼ばれていた青年は、一度閉じた目を再び開いた。
青年は、手に持っていた長方形の黒い箱状の機械……『デザイアドライバー』を腰に当てると、自動的にベルトの左右からバンドが腰に巻かれ、固定される。
そしてもう一つの手に持っている、黒い狐のような模様をした円形状の物体……『IDコア』をドライバーの中央にはめると同時に、未来的な音声がドライバーから響いた。
「よっし………後は、コイツだけだ……」
ベルトとIDコアを装着した青年は、懐から3
「…………」
その黒いバックルは、
「もう失敗は…………できないんだ!」
成功を祈る事しかできない青年は、XブーストⅢをドライバーの右側のスロットに装填する。
すると、ドライバーから待機音声が流れる………
───その瞬間……………
「ガァッ!?あ゛ぁ゛───づぁ!!!?」
突如、青年の人体の内側から、炎に焼かれるかの様な激痛が溢れ出てくる。
「あ゛ぁ……づあ゛ぁ(な、なんだ……これ……こんな事……
突然起きた激痛に覆われる青年は、驚きを隠せなかった。今まで経験してきた実験の中で、これまでにないほどの“痛み”を強く感じた事は無かった。更に青年は頭痛までも苦しく感じるようにもなり、もはや全身に広がるその激痛は、普通ではないくらい青年にとって苦痛だった。
「グゥ………あ゛あ゛ぁぁ!!?」
あまりにも耐えられないくらいの痛みを感じ続ける青年は、自身の絶叫が全身から響き渡り、体内にある骨の全てが砕くんじゃないかくらいの激痛に耐えられず、ついには膝を地面に突いてしまった。
「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁああああ!!!!」
だがそれでも………青年は止まろうとしなかった。
「はぁ………はぁ……こ………んな所で………俺はっ!!!」
全身に広がる激痛に苦しむ青年は、そんな痛みを耐え続けながら………ドライバーに装填したXブーストⅢに付いてあるバイクのハンドルのような形状をした部分に強く握る。
「俺は………絶対………俺は絶対に───
天内を救うんだぁ!!!!!!」
その叫び声と共に、握ったハンドルを回し………
──XブーストⅢを起動する──
BOOST…
MARK Ⅲ!!!
「───っっっ!!!???グゥゥゥゥゥゥ……グオオオアアアァァァァァァァァァァァ!!」
叫び声が響き渡ると共に、黒く禍々しい尾の様なオーラが地面から噴き上げながら、青年の背から伸び広がる3本の青黒い炎の様な尻尾が周囲を薙ぎ払う。森林にある木などの全てが、一瞬で燃え広がっていく。
すると、青年の外見が大きく変化し、
さらに頭部には、
READY……
FIGHT!!
「っっっっっっっっっあ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁ!!!!!」
黒い狐の仮面の戦士に変身した青年。だが、身体中に広がる激痛は未だに消えない。それどころかその痛みは、更に悪化していくのだった…
「はぁ………はぁ……ぐ……あ……ぁぁぁぁ!!!!」
それでも青年は変身解除しようともせず、なんとかその場から再び立ち上がり、さっきと同じように再びハンドルを強く握りしめる──
BOOST TIME!!!!
ハンドルを2回も回し、XブーストⅢの性能が更に上がると同時に青年の身体中に感じる激痛も、さらに拡大していく。身体中に広がるその痛みは止まる事もなく、まるで炎に焼かれているかのような苦痛だった。
「あぐ………がぁっ!はぁ──っはぁっ………」
だが、それでも青年は、決して止まらなかった──
彼女……天内理子を救う為に………再びハンドルを握る……
「はぁ……はぁ………はぁ───
うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!
その時、青年………黒乃英寿の意識は途切れた───
⚫︎⚪︎⚫︎⚪︎
2017年12月25日
最悪の呪詛師・
「学長〜急に呼び出してなんなんですか?」
その日、百鬼夜行での出来事の処理などの仕事をしている途中であった現代最強の呪術師・
「あぁ、急に呼び出してすまないな。」
「いえいえ…それより早く僕を呼んだ理由を教えてくれませんか?こっちは早く終わって生徒達とクリスマスパーティやりたいんですけd……」
「
「────は?」
呼び出された理由を聞こうとした途端、夜蛾の口から語られた言葉に、驚きを隠せなかった五条。
「えっと………一応確認しますけど………“マ”ですか?」
「正直……未だに信じられない……だがこれは間違いなく事実だ。無論、
「へぇ〜………マジか……」
一見余裕そうに見える五条だが、実際には未だに信じられないと表情を出し、思わず苦笑いをしていた。
それから夜蛾は、頭を抱えながら、なぜ天元の結界が破壊されたのかを五条に詳しく説明し始めた。
それは、『百鬼夜行』での出来事が終えたわずか数時間後の事であった。それに気づいた天元はなんとか結界を修復しているが、一体どこの誰か結界を破壊したのかは、未だに原因不明である。
そもそも、天元の術式である結界の範囲は、日本全土に貼ってある。だが、そんな天元の結界をいとも簡単に破壊するだけで呪術界に反意を持っているとしか思えなかった。
当然それは、御三家や上層部なのにとって、大きく驚かされていた。
「なるほど………で、その天元様の結界は?」
「それなら安心しろ悟。既に天元様の結界は修復された。だが……」
「問題は……一体どこの誰が、結界を破壊したのかだよねぇ〜」
「あぁ……中には逃げた夏油一派の仕業だ、と主張する術師も多くいたが、未だに原因は解らん。既に上層部は、“この原因を大至急調べろ”と言ったそうだ。」
「えぇ〜……また仕事増えるんですか〜」
「…………まぁ、そうなるな………それと悟」
「ん?」
「…………傑の事、本当にすまなかった……」
「………」
「お前に任せっきりd「学長」……っ」
「も終わった事ですので………今はゆっくりしましょうよ……」
「………そうだな……すまなかった……」
「いえいえ………それじゃ……」
夜蛾にそう語った五条は、その場を後にした………
だがこの時、現代最強の五条悟でさえも知らなかった………
この呪われた世界に
「ここは………地獄……なのか?」
かつて、『永遠』の名を持つ男は、別の世界にて蘇った……
「ほぉ〜こいつは………デザグラより面白い事が起きそうだなぁ〜………
「全く、都合よく復活させ……いや、別の世界に呼び出された……て言えば良いかしら?」
一部の髪に緑のメッシュに『カエル』のような座り方をする40〜50代くらいのスーツ男と、黒のゴスロリチックの衣装に身を纏い、他人の『不幸』を喜ぶ少女は、自分達の知らない世界を眺めていた………
「匂うなぁ……この世界に……本でも剣でもない……最低で最高に楽しそうな匂いだなぁ!」
髑髏と昆虫を組み合わせた様な顔、そして両肩には狼の顎の様な意匠や赤いマフラーを持つ、不気味で異形なその姿は、街中にあるビルの屋上で今後起きる『戦い』を楽しむかのように興奮していた……
「これが呪い……実に興味深い………」
とあるネットワークの中、0と1の羅列の中に潜む『悪意』は、この世界にある“呪い”に興味を持ち始めた……
「おいおいこりゃ……
真紅に染まった『コブラ』のような異形の人外は、自身が知っている地球でない事に驚愕する……
そして───
「ブハハハハハハ!!!!私は、不滅だぁぁぁ!!!!」
自分の事を『神』だと自覚している者は、高々に笑っていた……
本来、この世界に存在しない者達は、後にこう呼ばれる………
続けますか?
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続ける
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続けなくていい