───眠れない………
──全く眠れない………
鼻をすすって息を整え、再度眠りに落ちようとするも……寝心地が悪いせいなのか、安心して睡眠ができない……それでもなんとか寝ようとしても、全く眠くはならない……
このままでは寝る事ができなくなってしまう………すぐに睡眠できる方法を探そう……と語りながら英寿は、嫌々ながら目を開く………
その瞬間──
「───っ!?」
目の前にある光景に、驚愕するのだった……
まず最初、英寿の目に入って来たのは……無数の『魚』だった。そこら中を泳ぎ回る魚達を見て、驚きを隠せなかった英寿は、目が覚める。そして魚だけではなく、他の場所も確認するよう視線を動かした……
視線を動かした先には、地面に砂や岩、更に辺り一面には多種類のサンゴ……そこは、明らかに自分の部屋ではない事にすぐに気づいた英寿は、その光景に見覚えがあった……
それは水の中………否、正確には海の中だった……
「……っ!!」
すぐに思考した英寿は、自身の呼吸を止める為口を防ごうとするが………
「──っ!(………息が……できる)」
水中にいるはずなのに、なぜか
それと同時に“どうしてここにいるのか…”と疑問を強く感じた英寿は、昨日の出来事を思い出そうと、自身の記憶を辿るが……
「(────俺………何してたっけ……?)」
昨日の出来事を思い出せないどころか、どうしてこんな場所にいるのかも思い出せない。
こうして思考するだけで何もないと気づいた英寿は、周囲を見渡そうとしたその時………
「───っ!!」
自身の視界に何かが映った英寿は、自身の息を止めてしまうくらい驚愕してしまった。
英寿の視線の先にいるのは………水中で泳ぎ回るジンベイザメの背中に寝る……
「あ………あぁ………」
偶然目撃した少女の事をよく知る英寿は、懐かしむような表情を出し、驚愕しながらも、迷わず少女の所へ向かった。
「ぐぅ………うぅ!!!」
水中にいるせいで普通に走って向かう事もできず、ただ手や足を使って必死に泳ぎ、少女の元へ向かった。
「っ!………あ……あま………」
その少女を見つけた瞬間、英寿は何度も彼女の名を呼ぼうとするが……何故か上手く言葉が出ず、ただ彼女の方に向かっていくだけの事しか考えていなかった。
後一歩……
後一歩……
そして───
「天内!!!」
ようやく少女………
その時
ゴオオオオオオオオ!!!!!!
目の前に青い炎が広がると当時に、英寿の意識は暗闇へと落ちていった………
✕✕✕✕✕
「───あぁぁぁぁぁっっっっ!!!?」
逃げるようにして身を起こし、英寿は目を覚ました。
激しく息は途切れで、額や背中からも大量の汗が流れているのも分かる。
「はぁ…………はぁ……………はぁ───
……クソッ!!」
目覚めてから早々、思わず暴言を吐いてしまった英寿。
「…………また………あの夢か………」
彼女……天内理子が突如いなくなってしまってから10年……英寿は、まともな夢を見れる事ができなくなってしまった。同時に彼は、夢を見る事も嫌っていた。
『
その夢は嫌と言うほど何度も繰り返され、もうこれで何度目なのかも思い出せないくらい、数えるのもやめていた。
その夢をもう二度と見たくないと……英寿は何度も忘れようとするが、なかなか記憶から消えてくれない。それどころか、忘れようと強く願えば願うほど、余計に思い出してしまう。
「はぁ………とりあえず顔……洗うか……」
──と、そう語った英寿は、洗面台で寝ぼけた顔を洗おうと思考しながら、上半身を起き上がらせる。
「……………?」
すると、ふっと何かに違和感に気づいた英寿は、周囲を見渡す。
「ここって………
英寿が目覚めたのは、自身の部屋の一部であり、
そんな場所に何故か、英寿はソファの上で寝ていたらしい。しかもなぜか、自身の体の上には毛布が一枚かけられてあった。
「なんで俺は……ここに寝ていた?」
そもそも英寿は、ソファで寝た記憶もない。その理由は、心当たりがないからである。一体どうしてこんな場所で眠っているのかを思い出す為、頭を使って思考するが……
「(俺は確か、何かの開発を成功して………あぁ……だめだ……頭が痛い……)」
起きてすぐだろうか、寝起きで頭が全く回らない。そう思った英寿は“とりあえず顔だけでも洗いに行こう”と、一旦考えるのをやめた英寿は、そのままソファから立ちあがろう──
としたその直後………
ドッシャァァァ!!!
「──グェ!?」
突然、顔面に激痛が走った。
「%#@&※〜〜〜!?」
力が入っていないせいで、思わずソファから落ちてしまった英寿は、自身の鼻を押さえながらなんとか立ち上がった。
「あ゛ぁ…………くっそ!!」
もはやただ八つ当たりにしか見えないくらい、再び暴言を吐いてしまった英寿。
だが、ここで愚痴を言っても仕方がないと気付いたのか、まずはこの寝ぼけた状態を何とかしなくてはと思い、部屋に備え付けられていた洗面台で顔を洗おうとした時………
「───は?」
ふと洗面台の鏡を見た瞬間、英寿は唖然とする……
何故ならそこに映っているのは………
「………誰だ……お前…………」
目の前に映る少年に問う英寿は、自身の顔を触ってみると……
「………待て………ちょっと待て……」
だが、鏡に映っている少年に見覚えがある………
「は……はは……そ、そんな……訳……」
なぜならその少年は………
「───うそだ………そんな……嘘に決まってる!!」
驚愕するも未だに信じられない英寿は、その場から走り出した。さっきまでの眠気が拭き取れ、まるで何かを探すかのように部屋中を走り回る。そして、ふとその場に置いてある縦鏡に目に入る。
「───っっ!!」
再び自身の姿を見る英寿は、驚愕する……
それは、紛れもなく少年の姿であり、英寿が少年だった頃の姿でもあった。何より、上下の服装のサイズが合っていないせいで、服装がぶかぶかの状態になっていた。
「………ありえない……そんなはず……」
“これも夢だろ”と思い、頬を抓ったら…………
「いっ…テェ…………痛みはある………」
──と、頬を強く抓っても、痛みがある事が分かった英寿は夢ではない事をすぐに気づく。
「……は……はは……まさか俺……黒の組織にリアルアポト◯シンを飲まされたん……じゃねーよな……」
理解が追いつけない英寿は、苦笑いしながら面白半分冗談を口にする。もはやさっきまでの眠気とイラつきを忘れてしまい、今の状態の事だけを思考していた。必死の頭の中を探って見ているが、何一つ思い浮かぶ点は見つからなかった。
「………落ち着け俺……これは間違いなく自分だ……………てことは……まさか過去n───
「残念〜アンタは死神のメガネ小僧になってないし、青ネコ型ロボットに過去へ連れてこられてないわよ〜♪」
───っ!?」
その時、英寿の耳元に、聞いたこともない女の声が聞こえてきた。
思わず英寿は慌ててその声が聞こえた方へ振り向くと………
そこには黒く長い髪に片方が桃色っぽく、もう片方は白いメッシュを入れた女が、まるで面白い物を見る様な雰囲気で、英寿の前に立っていた。
「だ、誰だ……お前っ!?」
「ん?何よ、助けてあげたのに感謝もないかしら〜?」
──と語っているが、謎の女に対して英寿は警戒している。そもそもこの研究所には、英寿以外入る者は一人もいないはず。なのに何故か、目の前にいる女は、なぜか平然と英寿の前に立っているのだ。
「まぁ、いいわ………私は
「………」
“なんなんだこいつ……?”と疑問を抱くかのような表情で、謎の女……ベロバに警戒する英寿は、彼女の口から出たある言葉に引っかかった。
「………ちょっと待て……
「は?………あぁ〜もしかして
「昨日───」
ベロバに言われ、英寿は、昨日の出来事を思い出すよう自身の記憶を辿る……
“何か”を開発し……
いつもの森林で再実験し……
そしてそれから…………
「───っっ!!!!俺のドライバーっ!!!」
ようやく、昨日の出来事を思い出した英寿は、思わず自身の腰に目を向ける。
腰に巻きつけてあったはずのデザイアドライバーが無いことに………
「お、おいお前!俺のドライバーを───」
「はいはいドライバーね?ほら〜」
「──っ!?」
ドライバーが無い事をようやく気づいた英寿は、ベロバに問い詰めようとした時、まるで自身に問い詰めると最初から分かっているかのようにベロバは英寿に向けて何かを投げ飛ばした。投げられたそれを両手でなんとか受け取った英寿は、目に入ったと同時に驚きを隠せなかった。
手元に持っているアイテムは、間違いなく自身が開発したドライバーとIDコア………
そして、
「……畜生……
XブーストⅢを手にしただけで、一体どんな状態なのかすぐに分かった。内線やパーツなどが溢れ出て、損傷は酷かった。幸いにもドライバーには被害は無かったが、それでも英寿は自身の目で“何度も失敗を見てきた”かのような表情をしながら、悔やんでいた。
「………ぷっ!あはははははははっ!な〜にその顔〜!?また失敗しました〜って顔をしているわ〜♪」
すると突然、英寿を馬鹿にするかのように笑いながら煽ってくるベロバ。
「──っ!!お前……」
“何も知らないくせに!!”と、彼女の言葉を気に入らなかった英寿はキレてしまい、何も考えずベロバに向かって怒鳴ろうとしたら──
『おいおいベロバ、そこまでにしておけって』
突如、ベロバとは全く別の聞き覚えのない声が聞こえた……
「──っ!?誰だ!?」
その声に反応した英寿は、思わず声が聞こえた方に視線を向けたが……それらしき姿が見当たらなかった……
「……っ?ど、どこに…『おいそっちじゃないぞ、下だ下!』……え?」
辺りを見渡しても未だに見つからない英寿に声を掛けながら、自身がいる所に誘導する謎の声の主。
「───は?」
すると、声がよく聞こえた方に視線を向けた英寿は、少し驚いてしまった
何故ならそこには、ちゃぶ台の上に
しかもその置物は、黒スーツを着込み、こちらを見詰めてくる
「………(これって……蛙のおk……
『一応言っておくが、俺は蛙の置物じゃねーんだぞ……黒乃英寿。』
………っ!?」
“蛙の置物”と英寿が内心で語る前、即座に否定する喋る蛙の置物。
「こいつ……まさか、
「ブッブ〜ざんね〜ん、そいつは呪霊じゃないわよ……まぁ、別にそいつを呪霊だと思ってもいいけど〜♪」
『おいおい、冗談にしては笑えないぞベロバ…』
「は?蛙の置物みたいな姿で喋るアンタはどう見ても呪霊みたいなもんでしょ〜
『誰が呪霊みたいなもんだ!?それに言っておくが、
蛙の置物……ケケラの発言にある言葉“歳”が気に入らなかったベロバは、まるで汚物を持つようにケケラを手に取り、
『なぁ!聞いてんのか……っておいちょっと待て、そっちゴミ箱だz──』
「さぁ〜って、これって燃えるゴミでいいわよねぇ〜?」
『………ま、待て……おい待て!マジでやめろ馬鹿!』
「────」
“一体自身は何を見せられているんだ……”と唖然とする英寿は、まるで漫才を観ているかのような気分だった…
⚫︎⚪︎⚫︎⚪︎
「どうぞ、粗茶…………です」
「………チッ、私普通にコーラが欲しいんだけど〜」
『そこは我慢しろよベロバ……はぁ、すまんな黒乃英寿…』
「は、はぁ……(マジでなんなんだ、こいつら……)」
二人(※ 正確には、一人と一匹)が座っているちゃぶ台の上に、お茶の入った湯呑みを差し出す英寿。だが、彼らが何者なのか分からない為、未だに警戒心を保てている。
ちなみに、10年前の姿へと戻ってしまった英寿は、流石にぶかぶかの服装でいられないと、今の自身のサイズが合う服装に着替えていた。
『さてと………さっき聞いたと思うが俺の名はケケラだ。よろしくな、黒乃英寿!』
「あ、あぁ………ってか、なんで俺の名前知ってんだよ?」
『あ〜それは、お前さんをここまで運んでやった時に、お前の事を調べたからな!まぁ、勝手に調べたのは、流石に申し訳ねーと思っているぞ!ちなみにお前、丸一日寝ていたんだぜ。』
「もちろんアンタのドライバーも調べたわよ〜」
『あぁ、……ただまぁ、流石に俺達の知っている
「でざいあ……ドライバー……って!アンタら、コイツを知っているのか!?」
『…………知らねーで作ったのかよ……まぁ…知ってるちゃ知ってるな………それに、なんで若返っているのかもまだ分かっていないだろ?』
「───ッ」
自身の事について調べただけでなく、英寿自身が造ったドライバーの事をまるで最初っから知っているかのように語るベロバとケケラ。そんな二人の口から聞いた英寿は、流石に驚きを隠せなかった。
『おそらくだが……お前が若返った原因は、そのドライバーとバックルのせいだな…』
──と、ちゃぶ台の上に置いてある英寿のドライバーと黒焦げになったXブーストⅢを見つめながら、ケケラが語る。
『ドライバーの方はまだマシだ……だがな、問題なのはそのバックルだ。お前さんそのバックルを何度も実験し続けたせいで、若返ったんだろうな〜……まっ!俺が言うのもあれなんだが……しばらくそいつを使わないほうが身のためだ……というか、お前が造った変身アイテムの大半は…ほぼ未完成のままだぞ…』
「なっ……何を──」
「一応アンタが眠っている間に研究を調べさせたけど、ただそれを開発しただけじゃなくて、呪霊との戦いもしてたでじょ〜。しかもそこら辺にある雑魚バックルを使って……まぁ〜よく死なずに、そんな
「……ッ……」
相変わらず痛いところを攻めてくるケケラとベロバだが、実際には事実である。
確かに何度か仮面の戦士へと変身した英寿は、いくつか開発したバックルで何度も呪霊と戦ってきた。だがそれでも、何十体の呪霊と戦っているうちに、時には苦戦した事もあった。だが、時に何度かドライバーやバックルの不具合が起きたり、人体にも被害が遭ったりした記憶が大きく残っている。
「……何が目的なんだ……お前ら?」
──と、本来の疑問を思い出した英寿は、ベロバとケケラに問いかける。“そもそも、自分が寝ている間に研究を奪えるんじゃないのか?”と、疑問を抱く英寿。確かによく考えれば、英寿が持つドライバーやバックルなどを簡単に奪えるはずだ………そう思った彼の問いに対し、ベロバは微笑を浮かべたまま答える。
「別に〜アンタのガラクタ品の研究を使ったって、私達に意味ないわよ〜」
『むしろ俺達は、
「……交渉……だと?」
『あぁ……交渉の内容は簡単だ……俺達と手を組まねーか?』
「……手を組む?」
『もちろんタダで手を組むって言うわけじゃねぇーんだぞ……俺達と協力関係になった証として、
「……ッ!」
“ドライバーとバックルの設計”……その言葉を聞いただけで、思わず反応してしまう英寿。確かにその設計を手に入れれば、研究が更に進める事もできるし、今まで造ってきた変身アイテムを改善できるかもしれない。
「……もしも俺が、アンタらと手を組むって言ったら……俺にメリットはあるのか……?」
だが、流石に未だに信じられない英寿は、疑いながらベロバとケケラに再び問い詰める。
「メリット〜?……はぁ〜そんな事を言う必要ないでしょ〜」
『まぁ……正直言って、
「………ん?ちょっと待て……
『おっと…………その様子じゃ、自分がやった事を覚えていないようだな。』
「覚えていないって……(そんな事を言われても……というか、そもそも責任って……何だ?)」
「はぁ………もうめんどくさいからこの際ハッキリ言うわ──
私達はね、
「───は?」
──と、ベロバの口から出てきた言葉を聞かされた英寿は、思わずその言葉を漏らしてしまった。
「………お前ら、ふざけてんのか?」
『まぁ、そりゃ信じねーよな〜』
「はっ!別にアンタが信用するがしまいが、正直どうでもいいんだけどねぇ〜w」
「なっ………だったら……『おっと!残念ながら、俺達が教えるのはここまでだ。』……ッ」
「私達の事や、アイテムの設計を知りたいのなら……別の話なんだけどねぇ〜」
『要するに、俺達の事を知りたければ……もう分かるよ?』
「(………なるほど、そう言う事か……)」
「……何故俺なんだ?」
『「あ?」』
「別に俺じゃなくても他手を組む奴らなんて別にいるだろ?それに、アンタらが修理して欲しいものなんて……俺じゃなくての、他にいるだろ……例えば、呪術師や呪詛師とか……」
『……はん!何かと思えばそんな事かよ……簡単な話だ。』
「私達は、
「興味………俺が?」
『あぁそうさ……だってそうだろう?お前さんが一人で俺達が知っているドライバーを造るなんてよ〜』
「ま、まぁ………ってか、そもそも俺に───」
「天内理子……」
「……ッ!?お前、なぜそれをっ!?」
「悪いわね、そっちの方も調べたわよ〜……それにしてもその少女、
その子、とっても不幸ね〜w」
「………あ?」
まるで面白がっているかのように笑うベロバに対し、内側にある“何か”が響いた英寿は、咄嗟にドライバーを手にし──
『おいおいおいちょっと待て!今ベロバを殺しにかかるつもりだろ!?』
「………」
『それにお前もだベロバ!良いかげんその癖を治せって!』
「………チッ、ベ〜」
『はぁ、全く……話は戻すが、お前さんさっき言ったよな…“俺に何のメリットがあるんだ”って……簡単だ。俺達と協力関係になれば、アンタの願い……
「………」
ケケラの口から語られた協力関係の提案を耳に入れた英寿は、少し思考する。
「…………なぁ、カエル…」
『おう……って!カエルじゃねーっつてんだろ、ケケラだ!』
「アンタらと手を組めば……天内は生き返れるのか……」
『……………ハッキリ言うが、それはまだ分からん。それに俺達は、こっちの世界についてまだ勉強不足だ。』
「………そうか……」
その言葉が告げられた瞬間、思わず英寿は、自身の手に持っているペンダントとキーホルダーを眺める。そしてようやく決断したのか、視線を元の場所に戻し──
「……わかった、アンタらと手を組むよ……」
──と自身の答えを口に出した英寿に、少しだけ驚いた表情を出すケケラ達。
「へぇ〜、随分アッサリと決めたのn…「勘違いするなよ」……あ?」
「言っておくが、今のところ信用してないからな。それに、もしも途中で裏切ったりしたら……
その時、必ず殺す」
ドスの効いた英寿の低い声に、近くにいたベロバ達は“ヒュっ…”と喉を鳴らしそうになった。
「………はっ!あははは!良いわね〜その顔……ますます気に入ったわ〜!」
『あぁ…(コイツ……一瞬だけ
⚪︎⚫︎⚪︎⚫︎
こうして、英寿と協力関係になった少女とと一匹の蛙は、約束通りに変身アイテムの設計を渡した事と、別の世界について全て話した。
DPG、仮面ライダー、ジャマト、そして理想の世界……
更には、自分達の正体を軽く話すベロバ達。だが、英寿にとって衝撃と同時に困惑していた。話の規模が大きすぎて思考が追い付いていない様にも見える英寿に“ちょっと休むか?”…と提案するケケラだが、“大丈夫だ、続けてくれ……”と、すぐ断った英寿は、少し頭痛を感じながらもそのまま彼らの世界について聞き続けた。
※ ちなみに、別の世界では自身達は未来人である事も英寿に伝えたが、情報量が多いせいで、頭の整理が追いついていなかった。
「なるほど…………って事はあれか……俺がこのバックルを使ったせいで自分が若返っただけじゃなく、別の世界で死んだアンタらをここへ蘇ってしまった俺のせい………って事でいいんだな……」
『まっ!そう言う事だな……はぁ〜……おかげで俺達は、自分の最後を満喫できない気分だぜぇ〜』
「………なんか、ごめん……」
XブーストⅢを眺めながら、ようやく自分がしてきた事を理解できた英寿だった。
それから数分後………
『どうだ?この設計図……役に立つか?』
「………あぁ……役に立つどころか……むしろこっちの方が分かりやすい……」
ケケラ達から渡された全ての変身アイテムの設計図を確認する英寿は、驚きを隠せなかった。
自身が造ったドライバーよりも、ケケラ達が渡してくれた設計図の方が完成度が高く、実際に使ってみないと分からないが、自身のドライバーの機能もより上がる可能性だってある。
「……で、これがアンタらが俺に直してほしいアイテム……だよな?」
設計図と同じく英寿の前に出されたのは………
『まぁ〜な、ちなみにそいつは“レーザーレイズライザー”って言ってな。簡単に答えれば、俺達もそいつを使って変身できるんだぜ。』
「へぇ.....でもこれ、見た感じ使い物にならんぞ?」
その二つの銃こそ、英寿に直して欲しいアイテムでもある。だがその銃は、まるで爆発に紛れ込んだかのように酷くボロボロで、もう二度と使えないと思ってしまうほど酷い状態だった。
何でこんな状態にとケケラ達に問うと……
『まぁ……
─なぜか
「フンッ!一応言っておくけど、アンタが造ったポンコツドライバーよりこっちの方を造るのも難しいわよ〜」
なぜか突然、軽く英寿をバカにするベロバ。そんな彼女を再びケケラが注意しようとした時……
「いや………案外、行けるかもしれないぞ……」
『「………あ?」』
「なるほど……そうか、そう言う事か!かなりの素材を使う必要があるかも知れないが……いやだけどあれだけ集めたガラクタの中に同じ素材の物があったはず………それに問題は動力源だな……こっちは少し時間がかかるな。いや待てよ、この前考えて開発したあのバッテリーならいけるんじゃないか……だけど……いや、やってみないと分からない!確か……どこかにしまっておいたはずなよな───」ブツブツ
『「………」』
設計図を目に通した瞬間、突如自身の世界に入ってしまったかのようにブツブツと言い続け始める英寿。ついさっきまでキャラとは大きく変化し、そんな彼の様子を眺めているケケラとベロバは“コイツ、やべぇ奴だ…”と言わんばかりな顔をしており、思わずドン引きする。
『………ついさっきまで同じエースだと思ってた俺の気持ちを返してほしい気分だ……』
「アンタと一緒にしたくないけど……同意見ね……」
この時、この世界に蘇ったベロバとケケラは、珍しく意見が一致したのだった……
⚫︎⚪︎⚫︎⚪︎
その後、設計図を見ながら自身のパソコンの操作を進める英寿は、ドライバーの修復や改善などを行っている。するとその時、ちゃぶ台の上にいたはずのケケラは“ちょっと出かけてくる”と、書き置きを残し、いつの間にか姿を消していた。
一体どこに行ったんだ……とベロバに問いだら「あ〜別に気にしなくて良いわよ〜」と適当に返し、一応気にせず作業を進めるが………
「よっし!後はこのパーツを造れば……「ねぇ〜ちょっと〜」……はぁ……なんだ?」
「ピザのおかわ…「ない」………チッ!」
いつの間にか、昼飯として(※英寿の金で)買ってきたド◯ノピザを食べながらソファの上で寛いでいるベロバ。ピザの追加がないと英寿に言われた途端、不機嫌そうな表情で思わず舌打ちをする彼女は、仕方なく暇そうにテレビを観る。
そんな彼女の性格に、既に疲れる英寿だが………
「アハハハハ!!この男ってホント馬鹿ね〜!奥さんいるのに普通に不倫しているなんて……な〜にが有名な俳優さんよ……ほっんとうに自業自得〜♪」
「(……………コイツ、マジでウゼェ………)」
たまたまテレビに流れているニュースの報道『俳優◯◯◯の不倫疑惑』を観ているベロバは、まるでお笑い番組を観ているかのように大笑いしていた。この時英寿もちらっとベロバの様子を見ていたが、“マジかコイツ”と表情を出し、ドン引きしている。
姿を消す前ケケラからは「言っておくが、ベロバは他人の不幸を喜ぶヤベェ〜性格をしているぜ」と面白半分事前に伝えられたが、まさにその通りだった。しかも彼女の不気味な笑いが耳に入ると、何故かいつもより全く作業の集中ができていない。
「(あぁ〜だめだ……全然集中できね……コイツがいるせいで……)」
“もういっそ外に放り出そうか”と英寿が内心で考えたその時……
「よぉ!早速始まっているじゃね〜か!」
奥の方からケケラの声が聞こえた。やっと帰ってきたのかと英寿は、声が聞こえた方に振り向くと………
一部の髪に白と緑のメッシュが入っている、40代後半の見知らぬスーツ男が立っていた。
「いや、誰!?」
突然見知らぬ男が目の前に現れ、英寿は思わず叫び出してしまった。
「おいおい〜いきなり知らないふりなんて、流石に悲しいぜ〜」
「知るか!?ってか誰だお前!?」
「………はぁ〜……結局こうなるよな……ほらよ」
──と少し残念そうな表情をするスーツ男は、英寿の前で
「…………まさかお前………ケケラなのか?」
「おう、大正解!」
スーツ男……ケケラは、ようやく自身の事を気づいてくれた英寿に大きく喜んでいた。それと同時に、英寿は唖然としていた。
「………いやちょっと待て……だってさっき……カエルだったんだぞ!?」
“まさか、こっちが本体なのか”と口に出そうとした瞬間……
「言っておくけど、
「───は?」
いつの間にかソファから立ち上がったベロバが近づき、スーツ男がケケラの本体ではないことを語る。
簡単に語れば、
「(………よっし、考えるのをやめよう……)」
──と内心でそう決めた英寿。
「それより遅かったじゃない……どこに行ってたのよ?」
「なんだよベロバ〜、別に俺の口から言わなくても分かるだろ〜」
「…………まさか、
「まぁ〜な、
「………はっ!だと思ったわ〜」
「…………お前ら、なんの話をしているんだ?」
いきなり自分の知らない会話を始める2人に、思わず声をかける英寿。
「あ〜悪い悪い〜.....実はもう1人の仲間も紹介したくてな…」
「仲間って.........まだいるのかよ?」
「安心しろ、すぐ馴染むと思うぜ。確かこっちに........お、いたいた……
お〜いこっちだこっち!」
ようやくその仲間が見えたのか、手を振りながらこっちに手招きするケケラ。
すると現れたのは、
「…………え?」
その仲間が、まさか今の自分と同じ姿の少年であるが、流石に予想外すぎて驚愕する英寿。だがそれよりも、
「オッホン!…では紹介しよう!彼は、将来有望であり……
投稿が遅れて、すみませんでした!
次回から、なぜケケラとベロバがこの世界にやってきた回想シーンに入ります。
そして最後の方に登場した少年ですが、“世界平和を願う者”とは別人です。
それでは次回、お楽しみに!