黄金の勇者   作:fw187

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海鷲の鱗衣~魔氷の弾幕

「1対3でも良いとは見縊られたものだが、不公平な勝負は我等の矜持が許さぬ。伝説に謳われる氷戦士《ブルーウォリアー》、アレクサーと言ったな。

 お前の相手は同じ凍気の技を操る者同士、氷の聖闘士《セイント》が相応しかろう。水瓶座《アクエリアス》カミュが、1対1の試武を申し込む」

 究極の第7感覚《セブンセンシズ》、第3段階の小宇宙《コスモ》を持つ北の勇者。宝瓶宮の守護者《ガーディアン》、水と氷の魔術師が氷戦士へ挑戦状を叩き付けた。

 

「フッ、尋常の勝負と言う訳か? 水と氷の魔術師カミュの尊名は、氷の大地《ブルーグラード》にも届いている。

 俺は神話の時代より極寒の荒地に留まり、氷雪に鍛えられた北の民を束ねる者。氷棺《フリージング・コフィン》を創造する魔術師も、氷戦士の総帥には勝てぬ。

 氷の聖闘士としての矜持、自尊心《プライド》に懸け退く事は出来ぬであろうが。海皇の魂を封じた極寒の荒地、超次元の王国を預かる勇者の末裔を侮らぬ方が良いぞ。

 勇敢なる挑戦者《チャレンジャー》、水と氷の魔術師に敬意を表し秘技を披露する。冷凍睡眠《コールド・スリープ》の秘術、氷の塔《ブルー・シャトー》にて瞑目せよ。

 聖闘士を先祖に持つ者同士、何れの技量が上回るか証明してやるぞ。猛烈な北風の神と畏怖される凄絶な碧氷の衝撃波を受けよ、ブルー・インパルス!」

 

 氷戦士は戦乙女《ワルキューレ》が操る切札、猛風《サイクロン》の術を再現。北の民に伝わる秘術、氷床の大地を吹き渡る極北の暴風《ボレアス》が挑戦者を襲う。

 碧い氷の衝撃波が聖闘士を包み透明な円錐形の凍壁、氷雪女王の塔へ封印する寸前。微動もせず沈黙を維持していた水瓶座カミュ、北の導師が初めて動いた。

 

「噂に聞く氷戦士の芸術、極冷気を操る技術《テクニック》は充分に見せて貰った。謝礼として我が秘術を披露するぞ、オーロラ・エクスキューション!」

 黄金聖闘士数人の力でも破壊出来ぬ永久氷壁、氷棺《フリージング・コフィン》。氷の唇が動き水瓶座の小宇宙が煌き、凍れる時の秘法を応用した防御結界が起動。

 絶対魔法防御にも匹敵する氷の芸術が変化し、氷の反射鏡《ミラー》を形成。光を乱反射させる白魔道《ホワイト・マジック》、氷晶の結界が現出し魔術師を包囲。

 虹色に輝く氷塵、氷晶の輪《リング》が描く幻想的な万華鏡《カレイド・スコープ》。氷の制極界《アンティ・カウンター・フィールド》が、氷戦士の一撃に干渉。

 光波を屈折させる鏡の如く、氷鏡《ブルーレンズ》が氷の衝撃波を反射。鏡返しの術《ミラーリング・マジック》、攻撃波が軌道を逆送し術者へ疾走する。

 

 氷の聖闘士は更に第3段階の小宇宙を駆使、天空を乱舞する極光《オーロラ》を再現。極彩色の光波と化した凍気流、氷の衝撃波が共鳴し威力が倍増される。

 異なる小宇宙が完璧に同調され、相乗効果で凍気は絶対零度の数倍に到達。大言壮語を重ねる氷戦士を捕捉、有無を言わせず凍結させるかに見えたが。

 氷戦士の瞳が緑玉《エメラルド》と化し、大いなる意志《ビッグウィル》が湧出。小宇宙に同調する鱗衣も、海鷲《ゼー・アドラー》の神聖衣《ゴッドクロス》と化す。

 

「見事な返し技《カウンター・アタック》だが、俺には勝てぬ! 俺は氷戦士の総帥に留まらず、海皇の化身へ昇格を遂げし者よ!!

 海皇ポセイドンの象徴《シンボル》、三又の鉾《トライデント》を用いるまでもない! 極冷気と凍気の共鳴波を弾き返してくれる、ブルー・フォレスト!!」

 北の覇王が小宇宙の物質化現象を励起、絶対零度の力場《フィールド》を創造。 凄絶な氷嵐《ブリザード》が吹き荒れ、純白色に煌く輝ける闇がカミュの視界を塞ぐ。

 

 氷戦士の領域《テリトリー》が氷結、極冷凍気の術鏡《マジック・ミラー》と化す。更に南の鷹ならぬ氷の鳥《ブルー・バード》、天空神の幽波紋《スタンド》が現出。

 太陽と月の妖瞳を持つ隼《ファルコン》が、氷の誘導弾《ミサイル》を発射。標的を執拗に追跡し瞬間凍結させる氷の尖円錐、死の氷柱《ブライニクル》が飛翔。

 散弾銃《ショット・ガン》の如き尖鋭な氷柱の銛、冷気と凍気の散弾が投網と化す。無数のエネルギー奪取弾が炸裂、死の氷柱が林立し氷の大森林が形成される。

 

 絶対絶命の危機を受け秘められた潜在能力が覚醒、水瓶座カミュの小宇宙が一時的に進化。小宇宙に同調する黄金聖衣も鮮烈に輝き、煌く水晶《クリスタル》の形態へ昇華。

 緑玉《エメラルド》に劣らぬ硬度7の結晶体、透明な水晶《ロック・クリスタル》の聖衣。氷河の様に光を屈折させ、ヒマラヤ山脈に産出する氷水晶《ブルー・クォーツ》が出現。

 氷戦士に劣らぬ凍気流、氷牙《ブルー・ファング》が神気に増幅された氷の破砕流を邀撃。極冷気の大渦巻《メイル・ストローム》、噴射気流《ジェット・ストリーム》を弾き返す。

 

 海皇の化身を極冷気の寒冷前線、死の氷柱が渦巻く霧の嵐《ルスト・ハリケーン》が強襲。堪らず顔色が急変、顔面蒼白の蒼氷色《アイス・ブルー》と化し切札を投入。

 勝利の杖と並び称される神々の武器、三又の鉾《トライデント》を掲揚し迎撃。大いなる意志《ビッグ・ウィル》が唸り、極冷気の氷嵐が三又の鉾に吸収される。

 

 雄大な小宇宙の内部で更に極冷気の氷嵐を増幅、三又の鉾から放たれ再び逆走《リターン》。海皇の圧倒的な力《パワー》が上乗せされ、凍気流の凄絶な氷牙も消失《ホワイト・アウト》。

 絶対零度の白光榴散弾が炸裂、渦巻く氷塵《ブルー・ダスト》と氷華の波紋が空間を凍結。氷水晶《アイス・クリスタル》の聖衣も凍結されるか、と見えた其の時。

 水瓶座カミュの眼前に、人影が割り込んだ。

 

「恩師に危害を加える事は許さぬ、我が師カミュに倣い背水の陣にて潜在能力を解き放つ! 渦巻き潮柱と化す氷の虹を見よ、ホールドニィ・スメルチ!!」

 師の危機を目前にした弟子は座視せず、無謀を承知で水瓶座カミュの眼前に踊り込む。自ら死地に跳び込んだ異母兄弟を見殺しにせず、青銅の聖衣を纏う少年達が動いた。

 

 絶対絶命の危機に小宇宙が鳴動、星の秘石《スター・ドロップ》が煌き互いに共鳴。少年達は本能的直感的に散開、星型五角形の魔法陣を描き更に力を増幅する。

「燃えろ、心の小宇宙よ! 奇蹟を起こせ、大破邪呪文《ミナカトール》!!」

 五芒星《ペンタグラム》の魔法陣が煌き、星光の万華鏡《カレイド・スクープ》が現出。輝星石の光波動が乱反射され、凄絶な星風《スター・ストリーム》が吹き荒れる。

 

 五芒星の力《パワー》は凄絶な咆哮を響かせ、絶対零度の極冷気と凍気流を邀撃。謎の力は神々の大いなる意志を圧倒、氷塵の破砕流と霧の嵐を完璧に撃破。

 氷嵐《ブリザード》の渦巻《ヴォルテックス》、氷の大森林《ブルー・フォレスト》も突破。五色の共鳴波が海鷲《ゼー・アドラー》の鱗衣、緑玉《エメラルド》の聖衣を貫通。

 総てを溶かす太陽の光、北極星《ポラリス》の如く堅忍不抜の永久凍土。虹色の波紋、魔氷の障壁が激突。北の民を率いる勇者、アレクサーの運動神経が麻痺し小宇宙が消えた。

 

「大黒柱《メイン・ブレドヴィナ》を破壊するぞ、女神アテナを救わねばならぬ!! 今度は我等も加わる、アテナ・エクスクラメーション!」

 双子座《ジェミニ》の聖衣を纏う神の化身、乙女座《ヴァルゴ》の聖衣を纏う神に近い男。水瓶座《アクエリアス》の聖衣を纏う水と氷の魔術師、3人の小宇宙が同調し爆発。

 黄金《ゴールド》聖闘士《セイント》3人の合体技、小宇宙の極大化呪文。女神禁忌技が発動され、星の少年達が形成する星型五角形へ膨大な力《パワー》を投射。

 星の秘石《スター・ドロップ》が輝き、大破邪呪文《ミナカトール》の効力を増幅。五芒星《ペンタグラム》の魔法陣が煌き、黄金聖闘士の小宇宙が無限大に膨張する。

 

 凄絶な力の渦動《ヴォルテクス》、破壊エネルギーの幻像《ヴィジョン》。小宇宙の物質化現象が励起され、凄絶な破砕流の嵐が実体化し大黒柱を直撃。

 神々の大いなる意志を一蹴した謎の力は命中する直前、減衰し破壊力が大幅に低下。五芒星の中心から投射された黄金聖闘士の三重奏、女神禁忌技を大黒柱は完璧に弾いた。

 

「お前達の精神周波数に同調《シンクロ》する波動、妨害波《ジャミング》が感知される。我等のみでは解除《リセット》出来ぬ故、全員集合の後に再試行《リトライ》するぞ」

 七芒星《ヘプタグラム》の海底神殿を支える柱、七角形の頂点から7人の聖闘士が帰還。第3段階の聖闘士10人が五芒星2個を形成、第7感覚を研ぎ澄まし黄金の小宇宙を燃やす。

 

「大破邪呪文《ミナカトール》、二乗《スクエアー》!」

 破邪の秘法に増幅された黄金聖闘士達の念波が、青銅聖闘士の小宇宙へ注入され共鳴。無限の可能性を秘めた謎の力を完全に解放させ、大黒柱から女神を解放せんとする。

 集束された黄金の光が謎の妨害波を撥ね退け、星の秘石と同調《シンクロ》する直前。第3段階の聖闘士達が発した集団念波、黄金の光を遮る闇の暗幕が現れ星の秘石を隠匿。

 第1段階の小宇宙に名状し難い悪寒、強大な妖波動が轟き女神の聖闘士達を震撼させた。

 

「この波動は神々の大いなる意志《ビッグ・ウィル》だが、海皇ポセイドンに非ず! 冥王ハーデス、天帝ゼウス、大いなる時の神クロノスとも異なる!!

 ひとつは光溢れる地上の支配権を巡る闘争、神々の熱き戦いに記されし戦神アレスか? 邪悪なる神々よ、正体を明かせ!」

 第3段階の小宇宙《コスモ》を遙かに凌駕し、異次元の色彩を放つ妖波動の三重奏。第7感覚《セブンセンシズ》の走査《スキャン》が、軽々と撥ね返される。

 

「ひ弱な聖闘士共、虫けら如き人間風情が神々の野望を妨げる事は許さぬ。 邪魔する者は眠り、死を司る我等が一掃してくれるぞ!」

 氷戦士《ブルー・ウォリアー》とは比較を絶する冷気、魔の潮流《ストリーム》。負《マイナス》の力場《フィールド》、異次元の領域《テリトリー》を創造。

 鋭い詰問を迸らせる最も神に近い男、神の化身を嘲笑する運命の双子神。最強を誇る黄金聖闘士達の眼前で、不気味な波紋が蠢き異次元空間が浸蝕された。

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