ガンダムビルドデューラーズ清掃員外伝 世界大会編 作:地底辺人
夢か
幻か
現実か
彼はいま、夢の香りがする舞台に立っていた。
***
小さい背丈と手で自分よりも少し高い棚にあるガンプラを眺める。シャア専用ザク、グフ、ゲルググ、ジオング。ジオン系のモビルスーツばかりがズラッと並んでいる。
「どうした、フウト。気になるか?ガンプラ。」
「お父さんのガンプラ、ぜんぶじおんのばっかりだ!」
「そりゃ、父さんは生粋のジオニストだからな!」
「もう、じおんはいいよ。ほかになにかないの?」
フウトがそう問うと父はニンマリして答える。
「フウト、行くぞ。」
「え?どこに?」
「決まってるだろ?」
「買いに行くんだよ。フウトのガンプラ。」
小さな背で父のセダンの助手席に勢いよく乗り込み、大きなシートベルトをかけて父は勢いよくエンジンをかけアクセルを踏む。車の中ではいつもシンセサウンドのが効いた音楽か落ち着いたピアノジャズ。それを聴きながら車からみる田舎道の窓景が好きだった。ぼーっと。みていた。
「さ、ついたぞ。」
フウトは父に連れられるまま店内に入る。そしてガンプラのコーナーへとたどり着くとその積み上げられた山に驚く。この中から一つ選べと言われてもどれを選べばいいかわからなずあたまがぐるぐるする。
父はニコニコしながらフウトの選択を待つ。子にしっかりと考えさせて一つのものを選ばせる。父親らしい行動だ。
基本的に父の影響で見た1stガンダムしかしらないフウトにとって、Zガンダム、ウイングガンダム、フリーダムガンダム、全て目新しく1つには選べなかった。
「うー、」
「フウト、好きな色は?」
「あか!」
「さすが、俺の息子。目指すのは赤い彗星か?」
「うーん、シャアはいつもまけちゃうからなあ」
そんな中、フウトの茶色の瞳に赤色の機体が目に止まった。
「何か見つけたか?」
「じゃすてぃす……がんだむ………。」
赤というよりサーモンピンクっぽい機体。しかし子供ながらにとてもカッコよく見えた。見たことのないガンダムで、赤いガンダム。1stガンダムには登場しないようなデザイン。気に入った。これだ。
「…………これにする!」
「よし、決まりだ。帰ったら早速作るか!」
「うん!!」
今でも覚えている。待ちきれなくて、車の中でガンプラの箱を開け説明書を読んで、難しい言葉ばかり書かれていたがカッコよければなんでも良かった。
帰って父と一緒にはじめてガンプラを作った。5歳のフウトには難しいが頑張って作った。ランナー跡ばかりでポーズも歪で不細工だが、とてもカッコよく見えた。
また、買いに行こう。つぎは…………。
それから1年も立たないうちに父と母は飛行機の墜落事故で亡くなった。フウトには何が起きているのかわからなかった。わからないけど周りの大人たちが「かわいそうに」そう言っていた。しばらくすると子供がたくさんいるところに連れて行かれた。そこには父も母もいない。何日かに一回子供が、知らない大人達が引き取られていった。
桜の花弁が舞い落ちる頃、イヌハラという大人達が自分のところへ来た。もう1人、同い年くらいの青色の髪をした少年も。
数奇な運命の出会いだった。
その後、フウトはイヌハラ家に引き取られ、青い髪の兄ユウキの影響でガンプラバトルをはじめた。両親を失ったショックで彼はガンプラのことが記憶から消え去っていたが、イヌハラ家の父親に再度買ってもらったジャスティスガンダムを手に持つと涙が止まらなかった。
ガンプラが繋いでくれた、父が繋いでくれた。ガンプラを触っていると孤独が少しだけ消えた気がした。
「──ふうちゃん、やくそくだよ!いつかふたりでちゃんぴおんのとろふぃーをかけてたたかうんだ!」
「──うん!ぜったいやろうね!!おにいちゃんにかつよ!!」
2人が交わした約束。春の夢は始まり、呪いになる事も、まだ誰も知らない。2人の間を桜の花弁が通り抜け春の匂いは通り過ぎる。
***
「……………………………………。」
「おはよう、フウト。よく寝れた?」
知らない白い天井と見覚えのある顔。
「………イロハ…………?」
「なにじーっと見てんの?私と寄りでも戻す気になった?」
彼女はギオン・イロハ。長い黒髪でいかにも白い肌に綺麗な紫色の瞳。清楚で整った顔つきだが勝ち気な雰囲気がある。フウトの中高の同級生でもっというといわゆる、元カノ、というやつである。大学を卒業し現在は出版会社に就職し、雑誌のライターと記者をしている働きウーマンだ。
そう、彼女こそフウトがこの世界に戻ってきた事を知って地区大会の頃からしつこく取材していた
そして、イロハのマンションに着くなり、なんなり久しぶりにあった気まずさの緊張も解け疲れて寝てしまっていたということだ。
「ほんと、人の家にくるなりなんなり、いきなりバタンキューだもん。年頃の女の子の部屋だよ?ほんとフウトって昔からデリカシーなさすぎ。」
「や、やめろ。勝手に寝たことは詫びる。それじゃあ、俺いくから。」
「うわーーー、なんかその言葉だけ切り取ると最低ーー。シイナちゃんだっけ?泣いてるよ〜?」
「シイナは関係ないだろ!」
イロハは楽しそうにフウトをからかう。昔からイロハのペースに逆らえない。だが本当にここで世話になるのはあまりよろしくない。ホームレスも経験しているフウトにとって野宿など、造作もない。フウトは立ちあがろうとする。
「あー、ちょっとまって、いまからご飯つくるから。」
「いやだから、帰るって。」
「世界大会できたんでしょ?それくらいわかるよ。私、ライターだよ。」
「で、どうせフウトのことだからまた負けちゃって自暴自棄にでもなるかまた無茶しようとしてたんでしょ。」
髪を後ろで結いイロハは白いワイシャツの上から黒のエプロンを着けながらキッチンに立ちそう言う。言い当てられたフウトは、すぐ顔に出る。
「はい、ずぼし。」
「いいよ、しばらく居て。」
「…………だけど…………。」
「シイナちゃんに悪い?」
「………………………………。」
かたくなにそっぽを向くフウトをみてイロハはぷっと笑いを吹き出す。
「な、なんだよ。」
「いや、フウトってほんと変わらないなあって。」
「そういうところ好きだよ。」
「…………………………。」
「まあ、この件は私が全部悪いってことで。フウトはいつでも部屋を出るなりなんなり好きにしていいよ。私も好きにするからさ。」
「それに、ウチのホビー雑誌、そっちに過去の分からあるから読んでもいいよ。どうせ改造するんでしょ。」
ここまでしてもらう義理などないが、これ以上彼女の厚意を無下にもできなかった。フウトにその気は無いしただかつての同級生として当分お世話になることにした。
当の彼女の気持ちがどうかは分からないが。
「すまん、少し。世話になる。」
「うん。いいよ。」
「………………ちょっと、ズル、しちゃったかな……。」
その後イロハの作った晩御飯をご馳走になった。あまり物と言っていたが白米に味噌汁、漬物、揚げなす、豚肉の入った野菜炒め。バランスの取れた食事で味も薄味ながら食材の味を活かした料理だった。
「美味い!」
「美味しい?良かった。」
「腕を上げたな。」
「一人暮らしなめんな、ホームレス。」
「うるせ。」
一瞬だけど昔に戻ったような気がした。また春の匂いが一瞬した。
「それで、どうすんの?そのジャスティスカイザー」
イロハはホルダーからボロボロになったカイザーを見つけるやいなやそう言った。さすが、現役ライター、鋭い。
「直すよ。もちろん。けど。」
「けど?」
「世界大会には新しいカイザーを用意する。」
「え!?本気?だって、ジャスティスカイザーは……。」
ジャスティスカイザーは、紛れもなくフウトにとっての相棒そのもの。幼きあの日からずっと繋いでくれたかけがえのない存在。叶うなら夢見た世界大会でも
だが、エクとの闘いで気づいた。これは自分一人の闘いではないと。自分は国を代表するデューラーなのだと。想いを背負うなんてそんな大それたことは出来ないかもしれない。だけど、このままじゃ、自分を信じて送り出してくれた人にも、打ち倒した兄にも、ジャスティスカイザーにも失礼だ。
それに今なら新しく生まれ変われる。もうあの頃のままの弱いだけの自分じゃない。弱さを受け入れた自分だ。
「また、勝つためのバトルをするのフウト?」
「せっかく戻ってきたのに。また窮屈に飛ぶの?」
「いや違う。俺はあの頃のただ弱い自分を、弱い自分さえも力にして俺は闘う。」
***
高校3年生の全国大会優勝後、フウトは兄ユウキを追い晴れてプロデューラーとしてデビューしていた。デビュー戦を華々しく得意のカウンターで勝利を決めたフウトとジャスティスカイザー。これから兄と同じ道を辿り、そして兄を超える。彼自身はそう思っていたし、周囲も期待していた。だが現実はそんなに甘くない。
「おーっと!!イヌハラ・フウト、これで公式戦5連敗だーーー!!期待のルーキーかと思いきや、開幕戦からなかなか調子が上がらない!」
こんなはずじゃ。
「ジャスティスカイザー、ダウン!また敗北だ!!」
こんなはずじゃ。
「ああっと!!ジャスティスカイザー、またも立ち上がれない!!なかなか長いトンネルを抜けられない!!」
こんなはずじゃ。
「…………くっそおおおおおおおおお!!!」
「この雑魚がよお!!!いつまでも勘違いしてイキがってんじゃねェよ!!!!」
──Your Lose──
──Your Lose──
──Your Lose──
──Your Lose──
──Your Lose──
「………………僕は………………………………。」
「…………僕は…………………。」
「さっさと勝ちを譲れ!出来損ないのゴミカスがよ!!」
「テメーの出る幕なんてはじめからなかったんだよ!!!」
「所詮は、天才アニキの引き立て役。客寄せのパンダ。まぁいまじゃパンダですらなくただボコられるだけのミジンコ以下のゴミ野郎だけどな!!」
「お前、弱いんだから、さっさと辞めろよ。ガンプラバトル。」
「…………………くっそおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
敵が向けてくる刃。傷ついたジャスティスカイザーは自身のドラグーンを敵機の前に一基取り付けるともう一基のビームで爆発させる。
「んだと!きたねえ!!!」
「…………僕は…………」
「…………俺は……………………!!」
「…………弱くなんか…………ねェ………………!!」
「…………勝てば……いいんだろ………………!!!」
ジャスティスカイザーはさらに拳を振り下ろす。
「そんな単純な攻撃でッ!!」
「よく見ろ!馬鹿!!」
「なに!!?」
振り下ろす拳はフェイク。腕部から長いビーム刃がコックピットを突き刺していた。
「この…………クソガキが…………。」
Winner Futo
「はぁはぁ…………。」
「あはは、やった。やった。ハハハハハハハハハハハ!!」
「俺の勝ち、俺の、俺の、勝ち………………!!」
「アッハッハッハッハッハッハ!!!」
浮かび上がる勝利という文字に子供のように大喜びするフウト。これから彼は非道な手を使っても勝利に飢えようになった。自身の行動が大好きなガンプラバトルを汚しても。そしていつしか、ジャスティスカイザーは搭載された自機強化システム「神モード」を起動しなくなり、次第にフウトもまた勝つために別の機体を使うようになった。
色んな人が自分から離れていった。反対に今までとは違う人間が利益のためだけに近づいた。そんな中、イロハは近くでいてくれた。まだ大学生だったのにフウトを悪い方へ行かせまいと尽力していた。だが、フウトはそれを拒んだ。こういったこともあったから気まずいのだ。
結果的にフウトは、プロ3年目にして交通事故に遭い、手の怪我でガンプラバトルをやめざる得なかった。この時の感情は無だった。やっとやめれるとも思ったし、まだやりたいとも思ったし、でもそれよりなによりもう全てどうでもよかったのだ。何かも賭けて、何もかも捨て、そして、何もかも失った。
これが、何者にもなれなかった男の末路。
いくら同い年くらいの中で優秀であろうと、社会に出てみれば全くの平凡で、彼のやってきたことなんて社会に出れば何でもなかったのだ。所詮お遊びだったのだ。フウトは気づいていた。だけど気づきたくなかった。気づかないフリをした。彼の青いプライドはそれを認めたかった。テレビを付ければ同い年のアララギ・サワラが今日も特集されている。
高校3年生の頃の選手権では俺が勝ったのに。
俺は弱くないのに。
俺はアイツより強いのに。
錆びた鉄の匂いだけがした。
春の匂いはもうしない。
イヌハラ・フウトは表舞台から完全に姿を消した。
***
過去を少し思い出す。しかしフウトの眼は変わらない。自分の弱さからもう背けない。あの雪の日にそう誓ったのだ。
「そっか。いいんじゃない。きっとお父様も喜んでるよ。」
「何でそこで父さんが。」
「いや、神モードが作動しなくなったの話を聞いてて思ったの。」
「だって、あれ、お父さんが組んだシステムなんでしょ。」
「よく覚えてるな。」
何を隠そう、ジャスティスカイザーの「神モード」は亡くなった父、アスミ ソラヤが作ったシステムなのだ。ソラヤは研究者だった。その片手間でプログラムも覚え、彼にとっては遊び感覚で作ったものだったのかもしれない。
フウトが高校生の頃、実家の墓参りのついでに家を訪れた際に、引き出しからジャスティスガンダムとプログラムが入ったディスクを見つけ出した。フウトには全く理解できず、教師のアララギに解読してもらい手を加え、フウトでも扱えるレベルのシステムとして組み込んだ。アララギ曰く「難解すぎて、通常通りのプログラムではまず扱えるものは本人くらいしかいない。」とのこと。
かなり前のシステムだが、フウトの声でシステムが起動する生体プログラムに近いものが組み込まれており、父が最先端の研究者であった事がこの遺品から分かる。そしてさらにフウトにはこれを見据えた目論見もあった。
「神モードのシステムも簡易的なものからオリジナルに限りなく近いものを組み込み直す。」
「……………………………………………………。」
「ねえ、フウト大会まであと何年?」
「2週間。」
イロハは呆れる。呆れすぎてため息すら出ない。
「ほんとに大馬鹿すぎ。ガンプラの事になるといっつもそう。」
「でも良かった。」
「フウト、ちゃんと戻ってきてくれたんだね…………。」
「お、おい。泣かないでくれよ。俺は俺だからさ。」
「……もう……わかってるよ……。私も手伝うから。」
「イロハ…………………………。」
「本当にごめん。ありがとう。」
昔言えなかったごめんをこんなところで言うのはズルいと思った。だが今じゃないと言えないとも思った。イロハはいつもみたいに笑って「馬鹿」と返す。それだけで本当に救われたような気がした。
***
「──もしもし、サワラ、ちょっと手伝ってほしい事が…………。」
「え…………!!無理なのか…………。そうか。え、でもいつも見ている?どういうことだ!なあ!!おい!!おい!!!サワラ!!?」
ピー、ピー、ピー、
電話が切れる。
とにかく、作業に人が必要との事でイロハに人を集めろと言われたものの頼みの綱のアララギ・サワラには断られてしまった。
「イロハ、ダメだ。サワラは来れないらしい。見てはいるらしいけど。」
「なにそれストーカー?サワラくんってそんな気持ち悪かったっけ?てか見てるって何?ここ20代OLの部屋なんですけど!警察呼ぶわよ!!」
『ごめん…。イロハ……見てはないから……聞いてるだけだから…………。くそ兄さん………………。』
どこか遠くの暗がりでイヤホン越しにサワラは泣いていた。とてもつらそうだった。友人の為にせめてもの思いで何人かにフウトの力になりそうな人達に声をかける。だが、助っ人達にも合図があるまで決して直接行くなとだけキツく警告した。
「色々あったけど、一旦仕切り直しで。」
「まずは、新しい機体を作る。」
「分かった。じゃあ私はシステムの方を見るわ。」
「イロハ出来るのか?」
「出来るとか出来ないじゃなくてまずはやってみるでしょ?」
昔、フウトがイロハにかけた言葉だ。フウトはハッとする。あれこれ言っていてもはじまらない。目の色が代わりフウトは一気に製作へと入る。
大量に持ってきたスペアパーツを出し様々な組み合わせを試す。GPデュエルを嗜むものとしてバトルで傷つく機体の修復をその場でしなければならないため予備や使えそうなパーツは余分に携帯しているのはよくある事。その中でフウトが選んだのはガンダムフレームの胴体。今日のバルバトスの動きを見てピンと来た。広い稼働域によって戦術の幅が広がるだけでなく、カウンターの範囲も広がる。
フウトは更に機体を組み合わせては取り替えの繰り返し。久しぶりの新規でのミキシングに心を躍らせながら作る。ただ勝利に飢えるために作っていたあの頃とはちがうただ純粋に楽しむ気持ち。そしてこれまでのジャスティスカイザーを継承させ新しいカイザーを作り自分らしく闘える機体にする。フウトの手は動き続ける。
「もっと、今までにないギミックをつけるにはどうすれば…………。」
思いつかないのであればインターネットや雑誌を読み漁りインプットし手を動かす。
「あまりにも単調だ。もっとあらゆる戦局に対応できるハイエンド機体に……。」
フウトの手は止まらない。ここに来てビルダーとしての彼は一皮も二皮もむげようとしていた。
1週間後
「……………………………………。」
目の下が隈だらけのフウトの前にはサーフェイサーが吹かれた状態の新たなカイザーの姿があった。縦長に伸びるシルエット。長い腕と鋭く伸びる爪。脚部はキャンセリング向上のための前面バーニアと後面には4つのバーニアによる徹底的な機動力強化。腰にはオールレンジ武装を集約させたベースユニット。そして鋭い目つきをした眼と独特のアンテナを持つ頭部。それはもう既に従来のカイザーのどれにも当てはまらない全く新しい姿。
「…………………だめだ。寝る。」
何度か仮眠を挟んでいたもののぶっ通しで作業していたので無理もない。フウトは気絶するように眠った。目を閉じる前にイロハの机に飾られたガンプラと懐かしい写真がボヤけて見えた。
目を覚ますと次の日の昼だった。久しぶりによく寝た。正直まだ眠い。眠い目を擦っているとサワラから電話が来た。
「フウト、今から近くの模型店へ行ってくれないか。」
「へ?」
「何人か助っ人を呼んである。」
そう言うと電話が切れた。いくしかないか。と指定された模型店へ行く。すると何人かが既に待ち構えていた。
「お、きたきた。変な動きのお兄ちゃん。」
「やっときたか……。」
「おーー、フウトじゃん!久しぶりーー!!」
そこには関西弁の青年、金髪の少年、そして鉄華団のパーカーによく似た緑のアウターを着る女性。
「ええっと確か、お前は強化試合で闘ったストライク使いのテンマで、君は…………。」
「…………トロ………。」
「トロくんか。よろしく頼むよ。で、お前は……。」
「うんうん。」
「…………誰だったかな?」
「っておーい!!!覚えとけよーー!」
「悪い、悪い。ちゃんと覚えてるよ。高校生の時全国大会で闘った彩渡商店街のミサだろ。」
そうそうと満足げに頷くミサ。どうやら3人ともサワラが集めた助っ人らしい。
「なんや、お前新しい機体作ってるんやって?」
「ああ。」
「つまり、実戦も必要。」
「そういうことだね!」
3人は息を揃えホルダーから自身のガンプラを取り出す。
「よし、それならいくぜェッ!!」
No-Nameと表示される機体をスキャンしフウトはサーフェイサーのカイザーを出撃させる。
「テンマ、ストライクPSいくで!」
「ガンダムフェーテ、トロ出る……!!」
「ブレイジングガンダム、サツキノ・ミサいくよ!」
青色にカラーリングのストライク、青い太刀を持ち特徴的な頭部を持つ"進化"を持つ機体、そして格闘特化型のブレイジングガンダム。一気に錚々たる面子が目の前に揃う。
「3機同時か…………。」
「なるほどなぁ。これが新型。」
「これが……ジャスティスカイザー……?」
「だけど、ハリボテでした!なんてオチやめてよね!!」
「とおおおとりゃーーーーー!!」
ブレイジングガンダムが上空に飛ぶといきなり勢いのある飛び蹴りを繰り出した。カイザーは脚部のバーニアを吹かし後ろへ下がるが蹴りにより土煙が舞う。
「あまーーい!!」
さらにブレイジングガンダムはバイタルに入り込むと連続殴打で攻撃する。対してカイザーは鋭い爪を持つ腕で受け止める。だが勢いを完全に殺せない。特化型には部が悪いか。
「ほらほら、どうしたの?新型ってこんなもん?」
スピードとキレのある攻撃。ミサもしばらく見ないうちにガンプラビルドもバトルの腕も上げている。さらに新型カイザーを押し込む。やはりまだ未完成な分スペックを出せていないか。いや、
「いや、コイツは道理や理屈の全てを覆す。全てを凌駕する皇帝だ!」
カイザーの目が光る。ブレイジングガンダムはそのあまりの鋭さに一瞬怯む。背部のオールレンジベースユニットからブルーDのドラグーンを拳で握るとそのまま突撃する。
「………………!!?」
「くッッッ……!!」
加速する中フウトはあまりのGに歯を食いしばる。想像以上の速さ。まだ全く全開ではない。ブレイジングガンダムは立ち尽くすままドラグーンの斬撃を受けもう片方の拳で頭を掴まれ投げ飛ばされる。
「しまった!」
「悪い、ミサ。手加減できなくてよ!」
ブレイジングガンダムの戦闘を見ていたトロだったがどうやら強者を目の前に待ちきれない。
「テンマ、俺が先に行く。」
「トロ、気ぃつけや。下手すりゃ火傷どころではないかもしれん。」
「ああ。」
青い刀身を日で光らせ次はガンダムフェーテが立ちはだかる。
「アンタとは一度やってみたかったんだ。イヌハラ・フウト。」
「第14回の優勝者の実力……見せてみろ……!!」
ガンダムフェーテは一気に加速しもう片手のビームライフルで射撃。新型カイザーは脚部のスラスターを上手く使い避けながら距離を詰める。フェーテもあちこちを動き回りながら腕部のバルカン砲を発射。シールドを持たないカイザーは被弾する。
「くっ…………。」
「その機動力を……奪えば…………!!」
フェーテはビームライフルを構え脚部を狙い撃つ。かなり正確な射撃だ。全く射線がブレない。防御手段を持たない新型カイザーはさらに被弾する。
「足が遅くなった…………。今だッ…………!!」
ガンダムフェーテは一瞬の隙を見逃すことなく青い太刀を構えバイタルに潜り太刀を振り切る。
「……………………!!!」
瞬間、フウトの眼が光る。ベースのガンダムフレームの胴体はあり得ない可動でその攻撃を避けた。それだけではない。脚部のスラスタが前後稼働し一気に蹴りの体制に。
「これが……あいつが言っていた………………!!」
フェーテは皇帝の大きな脚に蹴り飛ばされる。
「はぁはぁ…………こりゃ徹夜明けにはキツい動きだな。」
「こいつはまたとんでもないバケモンやなあ。」
テンマはアームレイカーを押し、中距離区域へと侵入しカイザーの目の前に堂々と現れる。
「どうせ小細工は通用せんみたいやし、思いっきり行かせてもらうで。」
ストライクPS、更にブースト。地上を低空飛行しながら旋回しながらビームライフルを射出する。これはかなりの技量出ないと出来ない。
「…………ここや…………!!」
ストライクPSはビームサーベルを両手で構えると流星の如く加速すると新型カイザーを直線でとらえ斬撃を与える。
「まだまだァッ!!こいつももってけや!」
直線を抜けたストライクPSはその勢いのまま今度はビームライフルを持ち連射。基本に忠実なコンビネーション。だがべらぼうにその精度が高い。
「くっ……やっぱりコイツ強い……!!」
「まだまだいくで!」
ビームライフルを連射するとさらに低空飛行をしながらライフルを射出して突撃する。
「もう見えてンだよ!それは!!」
対してカイザーは先ほどと打って変わって射撃を最小距離で避けながらストライクの突撃を迎え撃つ。テンマは少しゾッとした。まるでその
「なんや……これ……………。」
ストライクPSは突撃を辞め後方に下がりビームライフルを射出し続ける。カイザーに引き摺り込まれないないように。そして寄せ付けないように。
「…………嘘……や…………。」
だが、カイザーは目の前に現れた。その冠の奥にあるツインアイを光らせ目の前に。フウトが理屈や道理を覆すと言ったのはあながち間違いではなかった。皇帝は領域だけでなく空間すらも支配した。
皇帝の鋭い手がストライクPSの頭部を貫いた。
3機が一旦撃退扱いになるとバトルは強制終了。3人は苦笑いだった。しかし一方のフウトはフラつきながら筐体の外によろけて出てきた。
「おい!フウト!!大丈夫か!!」
テンマがすかさず駆け寄る。
「あかん、無理させてしもたか。」
「無理もないよ、あの機体の動きはっきり言って普通じゃなかった。」
「限界値をほとんどギリギリ。無茶苦茶なチューンアップだ。」
「強さと、引き換えか。」
「一旦、フウトには寝てもろて、俺たちでコイツの改良を考えよう。」
「えーー、いまあんなにやられたのに!!」
「いや、闘ってみたらこそ分かる改良余地はある。」
トロが冷静にそう言った。
***
目を開けると白い天井が見えた。ぼやけた焦点を徐々に戻す。すると耳に言葉が入ってくる。なにやらガヤガヤしている。
「お、フウトお目覚めか。ごくろうさん。」
「……このシステムはここを書き換えれば…………。」
「カイザーの武器、もっと取り回しのいいやつがいいんじゃないかな〜。」
目を覚ますと先ほどの3人がわちゃわちゃと話し回っている。机の上には多種多様のパーツや書きかけのスケッチや計算式など。目を擦ってよく見てみるとそこにはイロハの姿も。
「イロハ!お前仕事は!!」
「フウトがぶっ倒れたって聞いたから時間休で休んで来た。それとフウトがいる間は休暇取ったから。あといま、システムの組み方トロくんとテンマさんに教わってる。」
「フウト〜、あんたも隅に置いとけないねえ〜。」
ミサは何がとは言わないがニヤニヤしている。
「ほな、フウトも起きたし軽く説明すると、今イロハちゃんとトロちんでシステムの再構築をしとる、そんでミサが新しい武装案、ほんで俺は、まあ何でも屋って感じやな。」
「みんな…………恩に着る…………。」
「でもなんで、ミサはともかく、テンマやトロは俺にここまで……。」
「前試合やったやん。それだけや。あとは単純におもろいやつやなーと思ったから。」
テンマはニッコリしてそう答える。
「別に理由なんてないよ。俺もあのフランス人に負けたよしみだし、それにアンタ、ユウの知り合いだろ。」
「この前、アイツが言っていた。ジャスティスを改造したとんでもない動きをする奴がいるって。」
「君、ユウくんのダチだったのか。なるほどな……。」
またガンプラが人と人をつなげてくれた。道と道が繋がった。本当にみんなには感謝しかない。休息は十分とった。動け。
「よし、俺も作業する。ミサ、考えてくれた武装って?」
「あー、えっとね。鋭い爪での突き以外にも武器がいるかなーって。」
ミサが出してくれたのはMGブルーフレームDのブレイドガンとデスティニーガンダムの肩。肩パーツの裏にはビームシールド、本来接続する側にはビームサーベルが上手くと取り付けられたマルチウエポンとなっていた。どちらもカイザーの腕の3ミリ軸にちょうど合う。
「なるほど、これか!他にも何かあるのか?」
「うーん、あと気になるのは防御面かなあ。」
「俺らを薙ぎ倒してそのパワーとスピードは見せてくれたけどやっぱりガード面があまあまや。」
「防御面か。確かに攻撃に特化させ過ぎてあまり考えれていなかったな。」
「しかも、あの腰を守るなら防御域が広いのはマスト」
トロがパソコンをカタカタさせながら呟く。実際にあの腰の可動を見たトロだからこそ言えるセリフ。可動域は確かに広いがかなり脆弱である。
「まだあるよ。何か決定的な一打を与えられる武装もあった方がいい。今のままじゃ強いけど、インパクトに欠ける。高い機体性能だけで闘える大会じゃない。」
「確かに。分かったやってみる。」
「あ、さっきのバトルで壊れたパーツの修復もあるし私も手伝うよー。」
壊れては作り直してその繰り返し。フウトとミサは慣れた手つきで作業をする。何度も繰り返して思い描くカタチを自分自身の手で創り出す。ガンプラ製作の醍醐味だろう。
「ほな、俺はシステムの方も手伝うかな。」
「なんだこれ。わからない。」
「あ、それならさっきの応用したら出来るんじゃない?」
こうして、新型カイザー製作チームは夜な夜な作業を行い瞬く間に時が過ぎていった。
大会前日。
「流石にもう限界……。」
「ミサ、お疲れ。ようやってくれた。」
大会前日となり、新型カイザーの製作もいよいよ佳境を迎えていた。本体の方は塗装も施され、改善点であった新型の武装も追加。最後に胸部にコアをはめ込めば完成するが、そのコアにまだシステムを組み込めていない。
「すまない、イロハ。俺が無茶言ったばっかりに。」
「いいよ。好きでやってるし。フウトだって機体製作に目処が立ったらこっちの作業進めてくれたし大分助かったよ。ちょっと休んでなよ。」
イロハはそう言ってキーボードを打ち続ける。気の強い彼女だが流石に顔が疲れている。ずっと作業をしてくれている。休めとは言っているがあともう少しと言ってなかなかやめない。
「うーん、ちょっとまずいな。最後の調整で詰まったな。このままやと運営への申請許可前にタイムリミットがきてまう。」
「この大元のシステムを作った人、本当に凄いけど、ちょっと複雑すぎる。」
全員でなんとか作業するも、エラーの連続。なかなか終わらない。そんな中、遠くからコツコツと靴音を立てながら人影が現れた。
「やぁ。ふうちゃん。」
「………兄さん…………!!」
なんと、この土壇場に兄イヌハラ・ユウキが現れた。彼はいつも通りのスーツに長い青の髪の毛を揺らしながらこちらへと歩いてくる。
「なにやら世界大会に向けて秘密の特訓って聞いてたけど、なるほど。ちょっと貸してみて。」
イロハは席を譲ると軽く会釈する。ユウキはイロハにとっても学生時代の先輩だ。ユウキはおひさ〜と言った感じで手を振る。そして画面を見るとキーボードを叩き始めた。
「…………すごい。」
「あのプログラムをこんなに早く……。」
「これが、イヌハラ・ユウキ…………。」
「ソラヤさん、意地悪だなあ。分かるもんならやってみろって感じにして。これ本当は息子への宿題だったのかな。」
「いいや。この宿題はふうちゃんに残して。十分これで使えるはず……っと。」
「あ、そうだ。ついでにこれも入れておこうかな。」
何やらユウキはニヤニヤしながらキーボードを楽しげに叩く。周囲はあのプログラムを前に笑顔の余裕があるユウキに若干引いていた。
「はい、これでシステムは組めたよ。これで前のジャスティスカイザーのデータを同期させるだけ!あとおまけもしといたからねふうちゃん。」
「おまけ……?何はともあれありがとう!兄さん。助かった。」
「いやいや、弟のピンチには駆けつけるのが兄ってもんだからね。」
ユウキはいつもの笑顔でそう言う。そしてほらほら早くと言わんばかりに新型カイザーとジャスティスカイザーを同期させるベースの上にならべコードで繋ぎ同期を開始させる。みるみるうちにタスクバーは上昇していく。10……30……50……70……90……95…………。
「………………100%」
「出来た……………………。」
「ついに…………………………。」
「出来たぞーーーーーー!!」
歓喜のあまりみんなで抱き合っていた。とてつもない達成感だった。まだ試合も始まっていないというのに、もう優勝したようなそんな気持ちだった。フウトはみんなに心から感謝をして何度もありがとう、ありがとうと言った。
「それでフウト、この機体の名前なんにするの?」
少し涙ぐんだイロハが問いかける。一同は確かにといった表情でフウトへと視線を向ける。
「そうだな……コイツの名前は…………。」
「──シン・カイザー………………!!」
***
世界大戦当日
Aブロック バトルロワイヤル
「……ありえねェ…………!!」
「どうなっているんだ!まるで軌道が読めないぞ!」
「……!?いつの間に……!!目の前に…………!!」
宇宙を背に大乱戦が起こっていた。その中で一際目立つ赤を基調とした物体は目視では捉えられないほどにあり得ないスピードで戦場を駆け巡る。その軌道は奇天烈そのもの。急停止しては急発進する動作からは物体の色とは裏腹に緑色の残像だけが残り、その尾には無数の爆発が起こっている。
「…………捉えたッ…………!!」
赤の物体が止まる。光の粒子が物体を襲い、その機動力を奪った。
「…………へっ、やっとマトモなのがでてきたか。」
物体が静止し、そのシルエットがようやくはっきりとする。軌道からは赤色ということしか分からなかったが、ボディは白というよりクリーム色を基調としており、各部に緑色の粒子が全身に流れている。頭部にはトサカと目元を隠す特徴的なアンテナ、その奥には鋭過ぎる瞳。腰には長く伸びる太刀の鞘。白銀の鍔は輝き、鞘の先からは青紫の美しい刀身がチラリと見える。下半身にはバーニアがこれでもかというほど付けられており、先程の奇天烈な軌道を生み出す。
「…………お前が噂に聞く、"皇帝"か。」
「さあ。」
「あくまでとぼけるか。………それならッ…………!」
対照的に青と白を基調とした「ダブルオーライザー」をベースとした機体は緑の粒子を放出させ赤の対象物へと飛び込んだ。
「ニッポンの誇り高き帝よ、この俺に少し付き合ってもらうぞ!!」
GNソードIIIを展開し勢いよく振り抜く。
「……………………!!」
赤の機体は咄嗟に右腕に取り付けられた可動式のブレイドで対応し上手く切り払う。その後もダブルオーライザーはGNソードIIIでの鋭い斬撃を繰り出すが赤の機体は全てその斬撃を受け流す。
「………ハァハァ…………。まさかここまでとは…………。」
「おい、どうしたよ?俺はここから一歩も動いちゃいねぇぜ?」
赤の機体を操る髪の色とよく似た茶色の瞳の男がニヤリとして挑発する。確かにその赤の機体は全く動いては居なかった。ただ円状に緑の粒子がキラキラと舞っていた。
「遊びはいいんだよ。お前、こんなもんじゃねえんだろ?」
「はは……。これは困ったな。結構本気だったんだけどな。今の攻撃。」
「それじゃあ、もう少し……ギアを上げさせてもらう……!!」
赤の機体の目の前から青の物体が消えた。機体を操る男はまぶたを閉じ操縦桿のグリップを少し握り直す。一瞬の静寂の後、青の物体が瞬間移動の如く現れた。
「!?」
弾かれたというより吸収されたに近い感覚。予想よりも遥かに鈍い感触。それもそのはず。GNソードの斬撃は宙を浮かぶ盾(シールド)に完璧に受け止められていたからだ。
「まぁまぁ、だったぜ?」
斬撃を受け止めニヤリと浮かべる表情、その目の前には肩からオールレンジ機能を搭載されたシールド型ドラグーンユニット『ドラグーン・シールド』仲間たちの助言から生まれたシン・カイザーの盾。これが敵機との距離を実距離以上に感じさせるほどに遠ざけた。ダブルオーライザーを操る男はやられたという感情よりも驚きが隠せなかった。肩の武装がこんな風に機能するのかと。そのアイデアは自らの奇襲を遥かに超える奇襲であったと。笑いすら込み上げてきた。
「最後に聴きたい。名は?」
「イヌハラ・フウト。」
そう言うと赤の物体は腰に取り付けられた太刀をゆっくりと引き抜いた。シン・カイザーのとっておき。幻想的な青紫の美しい刀身。赤く力強い機体とは異なる儚げな色合い。一度、軽く刃で空を斬らせるとアンテナの奥から見えるツインアイを灯らせ一瞬にして対象物の方向へと抜《・》
「ケッ、変な野郎だ。手ェ抜かれてたみたいで腹立つぜ。」
「まぁ、いいや。」
「やっとここまできたんだ。」
「行くぜ、
***
「あれが、シン・カイザー。すごい、フウトさん。」
「ふうちゃん、まさかあんなものを出してくるとはね。正直驚いた。」
シイナとアララギはフウトと新しいカイザーの姿を目の前に驚きを隠せなかった。
「やるじゃん。フウト。」
「シン・カイザーかなり好調みたいやな。」
「うん!簡単に負けてもらったらこっちが困るよ!」
新型カイザー製作チームもフウトの闘いぶりを見守っていた。だがその仲にトロの姿が1人見えないことにミサが気づく。
「あれ?トロ君は?」
「ああ、トロなら1人で見たいいうて別の席でおるよ。」
「なんか、トロ君らしいね。」
共に作業していたイロハがクスッと笑う。
「…………シン・カイザー。完成したあの機体といつかバトルしてみたいな。」
トロは握り拳を作り、静かに闘志を燃やしていた。
バトルロワイヤルが終了しシン・カイザーは圧倒的な性能を世界に見せつけた。これでもかと暴れ回りバトルロワイヤルも勝ち抜き、無事フウトは本戦トーナメントへと駒を進めた。
本戦トーナメントにはやはりあのフランス人デューラー エク・レイアやアララギ・サワラや先ほどのダブルオー使いなども順当に勝ち上がっていた。
「それでは、本戦第一回戦の抽選を行います。」
「第一回戦は、イヌハラフウトVSアララギサワラ」
おぉーーー!と観客がどよめく。観客席でいたイロハとミサも思わず「おー」と声が漏れた。それもそのはず同級生でかつて全国大会で鎬を削りあった仲。いわゆるライバル同士なのだから。
「フウト。」
「俺は君を倒す。」
「それはこっちのセリフだ。」
フッと笑うとお互いに控え室へと向かっていった。もう既に運命の2人の対決は始まっていたのだ。夢の香りが彼らの物語をさらに深くへいざなう。
(続く)
ありがとう、メタバース。
次回「何度でも」