私は精神感応増幅装置を操り、地球警備隊の最高責任者に事情を説明。
暗黒星雲同盟の軍人達が意識を喪っている間に、警官達が捕縛の手筈を整えた。
月の裏で麻痺ビーム放射装置が唸り、潜宙艦メリック号の乗組員は意識を喪失。
続いて地球の研究所一帯に向け、不可視《ステルス》の波紋を放つ。
不法侵入者達と共に私も麻痺砲を浴び、目覚めた後に精神感応増幅装置を操作。
黙秘を貫く捕虜達を尋問の際、無意識に閃く思考の盗聴《タッピング》に徹する。
ミル酷似の監視者が唯一、帝国転覆の陰謀に加担。
二重スパイ《ダブル・クロス》を務め、全貌を察知していた。
大帝襲撃犯は帝国最高顧問オース・ポドマー、サーベラー酷似の裏切者。
暗黒星雲同盟軍が侵攻の直前、ザース・アーン襲撃も計画している。
獅子身中の虫は新開発の秘薬を用い、大帝の昏睡状態を維持。
ショール・カン暗殺後、女帝として君臨する事を夢見ていた。
大帝の寵愛、信頼を裏切った野心家は暗黒星雲同盟の軍人達を物色。
容易に操縦可能と見て、線の細い男に白羽の矢を立てたが。
侍従長の餌に喰い付いた、と装い最高指導者に即刻注進。
帝国中枢部の裏切者を欺き、ショール・カン暗殺計画の茶番を演じた。
浅墓な野心家は陥穽に気付かず、投与者の意思を奪う新薬も確保。
アーン・アッバス皇帝を薬漬け、奴隷として操る準備を整えている。
ディスラプター詳細情報の獲得後、ショール・カン直属の諜報機関に報告。
3人の裏切者には情報を提供せず、帝国崩壊後に暗殺の手筈も整っていた。
リアンナ姫と私を護送した拉致実行犯、サーン・エルドレット艦長は一番の小物。
中央銀河帝国軍の筆頭《トップ》、チャン・コルビュロ艦隊司令長官も脇役に過ぎぬ。
ザース・アーン襲撃の隙も窺う毒使い、オース・ポドマー帝国最高顧問が最大の癌と判明。
電撃作戦に協力してくれた関係者全員に直接、感謝の意を示す。
「大帝襲撃の濡れ衣を着せられ、拉致された私を諸君は助けてくれた。
帝国存亡の危機を脱した暁には、必ず、諸君に報いてみせる」
「殿下、お気遣いは無用であります!
我等は皆、皇帝家に忠誠を誓っているのですから!!」
警備隊を代表して現場指揮官、斎藤一に酷似の男が声を張る。
偵察機の操縦員も頷き、全員が敬礼。
「捕虜達は陰謀の全貌を知らなかったが、3人の裏切者は既に判明している。
私を襲撃犯と証言した帝国最高顧問、オース・ポドマー。
コルビョロ長官と高速巡航艦の艦長だが、他の破壊工作員が潜伏中の可能性も否定できぬ。
内通者3名を捕える為、緘口令を敷く。
特S級非常事態だ、私が総ての責任を取る」
ザース・アーン発見の急報は数分後、帝国艦隊司令長官に到達。
警備隊の指揮官は第二皇太子を厳重に監視、無線連絡も厳禁の指示を受けた。
旗艦ヤマト座乗の裏切者は情報の秘匿を命じ、地球に急行。
精神感応増幅装置を操り、着陸前に思考内容を探る。
暗黒星雲同盟と組んだ裏切者は僅か、3名。
サーベラー酷似の裏切者を捕え、昏睡状態の大帝を蘇生の術を尋問せねばならぬ。
地球警備隊は偶然、潜宙艦《ファンタム》を発見の芝居を継続。
ヤマト艦橋に第二皇太子は連行され、直接対決の舞台が整った。
中央銀河帝国軍の最高指揮官、宇宙艦隊司令長官は私を嘲笑。
大帝を重態に陥れた恩知らず、腹黒い策謀家と罵り首都連行の必要は皆無と熱弁を揮う。
「ショール・カンが貴様を裏切らぬ、と信じているのか?
使い古された諺だが、走狗は煮られる運命だぞ」
裏切者は常に、他者が自分を裏切る恐怖に脅えている。
予想通り、血の気が引いた。
「この裏切者め、なんと図々しい奴だ!
事もあろうに、私を陥れる気か!!」
懸命に逆襲を試みるが、顔色は急変。
一気に蒼褪め、語尾も震えている。
「お前は帝国軍が敗れた後、用済みとなる。
暗殺者から貴様を護る物は、何も無い」
淡々と呟き、驚愕に瞳を見開いた儘の相手を観察。
想定外の指摘に真実を感じ取り、咄嗟に言葉が出ない模様だ。
「内通者である私は暗黒星雲同盟に関する様々な情報、知識を蔵している筈。
首都に連行して優秀な尋問担当官、心理学者達に引き渡すのが理の当然だろう。
帝国防衛の為に極限まで情報を吐かせ、処刑するのは其の後だ。
二重内通者《ダブル・クロス》となり、自分の生命を護れ」
裏切者の内部で、何かが切れた。
喚き声を挙げ、脱兎の如く艦橋から脱走。
沖田酷似の艦長も意表を突かれ、咄嗟に言葉が出ない。
精神感応増幅装置で直接、事情を説明すべきであったか?
「殿下、納得しました。
状況証拠は充分です、長官を捕えろ!」
艦長の指示で、凍り付いた艦橋の空気が一気に解けた。
全員が眼の色を変え、裏切者を追う。
「長官は艦隊司令部居住区、カイザー転送機の操作室に移動!
内部から施錠《ロック》された為、突入できません!!」
強制操作を試みた後、相原通信長に酷似の青年士官が叫んだ直後。
私の腕に嵌めた通信機から、別の声が響く。
「カイザー転送機の準備送信を検知、妨害フィールド展開中!
退路を断ちましたが、ヤマト防御壁が麻痺砲を遮断しています!!」
「出来るだけ早く転送室の扉を壊し、麻痺銃《パラライザー》を浴びせる!
麻痺砲の照射は停止、転送機の妨害を優先せよ!!」
艦長の指示で武器庫から素粒子爆弾が届き、強化クリスタル製の扉に固定。
陸戦隊用の重火器は使用を控え、モルケックス製の楯を腕に装着する。
分子破壊銃も熱線銃も無効な障害物の消失後、転送室に突入。
裏切り者も麻痺銃《パラライザー》に備え、不壊物質の壁《バリケード》に隠れている。
電磁刀《プラズマ・ブレイド》に匹敵する最強の個人用武器、波動銃が一閃。
反逆者《トレイター》は何故か、徹底抗戦の構えを崩さぬ。
第二皇太子を護る為、盾となる覚悟で身を投げ出す地球人ヴァーリン。
私は咄嗟に身を沈め、同時に彼の足を払った。
タキオン粒子の噴射流が壁を貫き、ヤマト艦内を破壊。
熱波弾が投擲され、狙撃者の注意を逸らす。
裏切り者は固定した熱線銃、レイガン、短針銃《ニードル・ガン》を遠隔制御で連射。
モルケックス製の楯を掲げ、四方八方から乗組員達が距離を詰める。
白兵戦用の戦斧《トマホーク》が閃き、壁《バリケード》を排除。
内通者は最後の砦を喪い、波動銃を側頭部に向けた。
指先が撃鉄に触れる直前、麻痺銃《パラライザー》を照射。
帝国艦隊の総帥、司令長官の掌から銀色の銃が離れた。
佐渡酒造の酷似の軍医、心理学者の看護婦が裏切者を診察。
催眠暗示命令《ヒュプノ・ブロック》、後催眠発動の《キイ・ワード》を慎重に探る。
「諸君、協力に感謝する。
彼は暗黒星雲同盟の機密情報を得る為、内通者を演じていた事にしておこう。
大帝の襲撃は事前に知らされておらず、独断で第二皇太子を地球に匿っていた。
漸く裏切り者の尻尾を掴んだ故、私を迎えに来たと皇帝に報告すれば良い」
「殿下、感謝いたします!」
ヴァル・マーラン艦長以下、全員が一斉に頭を下げる。
「礼を言うのは、私の方だ。
大帝暗殺の真犯人を捕えるまで、情報統制は継続する」
ヤマト艦橋の要員は、常に、信頼の置ける勇者。
大宇宙不変の黄金律《ルール》は、星歴21万年超の異世界でも真理であった。
「ヴァーリン通信士、殿下の指示に従え。
艦隊副司令官に連絡の際、矛盾の無い様に気を配れ」
「了解しました!
殿下、生命をお救いいただき、ありがとうございます!!」
「君が前に出ねば、私の生命は無かっただろう。
感謝するぞ、ヴァーリン」
勇敢な地球人《テラナー》の肩に左手を置き、利き腕で握手。
深々と頭を下げる青年士官に続き、全員が頷いた。
宇宙偵察機008操縦士ダル・カールル、地球警備隊の責任者と指揮官にも連絡。
艦隊司令部の情報参謀が極秘の通信手段を駆使、首都の情報部員に動画を送る。
盗聴の危険を伴うが、ヤマト到着まで皇帝が襲われぬ保証は皆無。
大帝襲撃者は銀河王宮に潜んでいる、帝国情報部を説得する暇は無い。
帝国艦隊の次席指揮官《セカンド・マスター》、ロン・ギロン中将も動画を見て納得。
白色彗星帝国軍の第七艦隊を率いる闘将、ハルゼー酷似の提督に帝国艦隊の指揮権を託す。
私を拉致した潜宙艦《ファンタム》マーカブ、サーン・エルドレット艦長は首都で待機中。
情報部の腕利き達が裏切者を捕え、自白剤を問答無用で染み込ませた。
オプフェトミン10cc注射後、尋問者達は真相究明の模様を録画。
ジャル・アーン直属の衛兵達に特S級非常事態と告げ、動画の確認を申請する。
ヤマト艦橋に第一皇太子の映像が現れ、ザース・アーン援護の勇者達を賞賛。
帝国最高顧問オース・ポドマー、大帝を昏睡状態に陥れた真犯人は失踪中。
カイザー転送機を用い銀河王宮、帝都トランター脱出の可能性が高い。
大帝襲撃と第二皇太子の拉致、陰謀劇の真相が暴露され銀河系全域に浸透。
ザース・アーン無罪確定、名誉回復、帝都への帰還も恒星王国群に通告された。
フォマロート王国、ポラリス王国、ヘラクレス男爵領の帝都駐在大使は銀河王宮に殺到。
暗黒星雲同盟打倒の為、ディスラプター実験の要望に第一皇太子は難色を示すが。
熟慮の末に受け容れ、私に協力を要請。
深紫色《ディープ・パープル》の自動通路に乗り、武器保管庫に向かう。
後で聞いたが、武器保管庫に繋がる通路は時間地下庫を経由。
教皇の間、もとい、星王《スター・キング》の間を通らねばならぬ。
真珠色の壁が囲む領域《テリトリー》の前で、自動通路は停止。
3次元立体映像が投影され、私を見た。