星の潮流   作:fw187

25 / 25
風雲への序章(仮)

 宇宙艦隊司令長官ラザール・ロボス元帥、シドニー・シトレ統合作戦本部長の臨席する会議室。

 自由惑星同盟軍の艦隊指揮官と幕僚を集め、帝国領侵攻作戦の周知徹底を図った場に於いて。

 ヤン提督は論理的矛盾を突き、冷静沈着に補給の重要性を指摘。

 フォーク准将は戦意不足、弱腰と詰り事実上の無為無策を糊塗するが。

 居丈高に権威を振り翳し、机上の空論に固執する態度が熱血漢の逆鱗に触れた。

 

 ムーア提督は堪忍袋の尾を切り、単純明快に『無能!』と断言。

 虚栄心の強い参謀は痛烈な罵倒を浴び、真実を指摘された精神的衝撃で凍り付いたが。

 泡を吹いて卒倒してしまい、侵攻作戦の概要を説明し得る者は皆無とあった。

 皆の前で転換性ヒステリー症、神経性盲目の症状と軍医は告げ艦隊司令部の面子も丸潰れである。

 

 第六艦隊の指揮官が単刀直入、在りの儘に真実を告げた事を誹謗される理由は無いが。

 闘将の参謀長としては、見るに耐えぬ事態を収拾せねばならぬ。

 私は類似の症状で卒倒した兵士を介抱した経験がある、と唱え傲慢な参謀に接近。

 体温を上げる為に血流の循環を促し、頬と額に掌を当て硬直した筋肉を弛緩させる。

 

「ゆっくり深呼吸して、息を整えるのだ。

 身体が暖まる感覚に浸り、嫌な事は総て忘れろ。

 此の場に居る者は総て、信頼の置ける味方だ。

 緊張の源となる嘘は吐かず、心の鎧を脱いで真実を話せ」

 

 数秒後、フォーク准将の瞳に光が戻った。

 侵攻作戦の概要、補給を無視した暴論に過ぎぬ事は既に判明している。

 無謀な試案が最高評議会、国防委員会の承認と後援を得た理由を問うたが。

 先刻の険しい面相と異なり、赤子の様に穏やかな表情となった策謀家は素直に回答。

 高級参謀の唇から驚くべき陰謀が暴露され、会議場は騒然となった。

 

 宇宙艦隊司令官ラザール・ロボス元帥は重症の麻薬患者、事実上の操り人形。

 フェザーン勢力、地球教団所属の麻薬密売業者が結託し蠢動している。

 自由惑星同盟の最高評議会議員、国防委員長も陰謀に加担と告白。

 具体的な手段を尋ねたが、唇を開く度に答が異なる。

 

 会議出席者の大半は病的に肥大した自尊心、精神疾患者の夢物語、妄想と断定。

 強硬に帝国領侵攻作戦の実施、延期は拒絶の論陣を張ったが。

 シドニー・シトレ統合作戦本部長、ピュコック提督、ムーア提督は激怒。

 ロボス元帥の異常な精神状態、不可解な黙秘を問題視せず虎の尾を踏んだ。

 

 

「宇宙艦隊司令長官の異状、沈黙が言語道断な事は赤子でも解るぞ!

 侵攻作戦の実施を唱え、現実を認めぬ貴官達も陰謀の一味と判断する!!」

 統合作戦本部長の怒号が轟いた瞬間、数名の参謀が隠し持っていた銃で威嚇。

 ラップ少佐、ヤン提督の表情も凍り付く。

 

「ロボス元帥の指揮権を奪い、反乱を煽動した罪で逮捕する!」

 フォーク准将に偽りの《記憶》を植え付け、真実の秘匿を図った黒幕。

 麻薬中毒患者を操る驕慢な参謀の同類、ベイ大佐の絶叫が終わる前に。

 私は真横に突き出された銃を奪い、反逆者の眉間を撃ち抜いた。

 

 後で知ったが第六艦隊の参謀長は普段、猛将の宥め役に徹する人物であったらしい。

 シトレ元帥を狙った参謀達は無警戒(ノー・マーク)の調整者が動いた事に驚き、反応が遅れた。

 ベイ大佐から奪った銃が機先を制し、反逆者達を連射。

 ボロディン提督、ウランフ提督、ホーウッド提督の面を安堵の色が過ぎる。

 

 

 私は複数の提督達から賞賛の言葉を戴き、統合作戦本部長に意見を求められた。

 侵攻作戦の実施前に補給態勢の構築、攻勢終末点の確定が必須である事は自明の理。

 イゼルローン要塞を盾に帝国軍の侵攻を阻み、準備が整うまで時間を稼ぐ。

 至極当然と思われる献策もまた、出色の出来であったらしい。

 

 会議の場で軍の重鎮に銃を擬す暴挙に及び、陰謀の秘匿を図った参謀達の処罰は当然だが。

 地球教徒を操る黒幕は最高評議会議員達と組み、自由惑星同盟を手中に収めつつある。

 魔術師の毛嫌いする精神的怪物、ヨブ・トリューニヒト国防委員長は鍵を握る存在と思われるが。

 ヤン提督邸を襲った憂国騎士団、愚連隊の他にも武装した地球教徒が護衛。

 非合法組織の麻薬密売業者、ハイネセン警察の機動隊も私兵として操っている。

 

「ラップ少佐、地上戦に最も強い部隊の指揮官は誰だ?」

薔薇の騎士(ローゼン・リッター)連隊長、シェーンコップ准将かと。

 イゼルローン要塞を陥とした後、防御司令官に任命されています」

 

「当会議の内容は他言無用、軍内部の暗躍者を駆逐するまで緘口令を敷く。

 准将と個人的に会い、人為(ひととなり)を確かめた後で協力を要請する。

 私が陸戦隊の指揮官を抱き込み、独断で動いた態を装う。

 万一の場合、後を頼む」

 

 統合作戦本部長と提督、主要参謀達が一斉に敬礼。

 私は情報端末の操作、裏技に長けた者の手を借りる為に部屋を出た。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

稲荷様は平穏に暮らしたい2199(作者:名無しのペロリスト)(原作:宇宙戦艦ヤマト)

この小説は、茶トラの猫先生の稲荷様は平穏に暮らしたいと宇宙戦艦ヤマト2199のクロスオーバーです。正史の日本とは大きく異なります。▼稲荷様の世界の未来が、宇宙戦艦ヤマト2199に繋がっていたらという二次創作です。▼宇宙戦艦ヤマトの解像度には全く自信がありません。▼稲荷様の解像度には、ちょっとだけ自信がありますん。


総合評価:988/評価:8.64/完結:16話/更新日時:2026年01月30日(金) 12:00 小説情報

アヴォリオンだ!(作者:マイmk3 )(原作:宇宙戦艦ヤマト)

コレは、Avorionで遊んでいた男が技術チート付けられて宇宙戦艦ヤマト(リメイク版)の世界へ投げ込まれる話しである。▼「とりあえず、Avorionで作ってた5km級の戦艦作りたいな」▼宇宙戦艦ヤマトの世界に、Avorionで作った宇宙船を持って行ってオレツエーがやりたくて書きました。▼初作品の為お手柔らかにお願いします。


総合評価:1395/評価:8.41/連載:25話/更新日時:2026年04月28日(火) 19:48 小説情報

ハサウェイがアムロやシャアに影響される前に機械オタクになった世界線のお話(作者:陸奥九十九)(原作:ガンダム)

閃光のハサウェイの結末悲惨やな…せや!ハサウェイがアムロやシャアに影響される前にのめり込むものがあればいいんや!▼ミライさんの実家って地球圏の大企業だし、その実家で過ごしているうちにハサウェイが機械いじり(特にバイクや車)にハマって、なんやかんや幸せになるお話です。▼あんまりMSとか出てこないし、戦闘シーンなどもあんまりない予定です。▼追記:▼公式だとミライ…


総合評価:17392/評価:9.18/連載:42話/更新日時:2026年04月18日(土) 10:49 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>