正実モブちゃん現代入り   作:マカロニサラ・ブリッグス

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黒髪の少女

 いつも通りの朝、目を覚ましたら隣に知らない女の子が寝てた……

 

「……誰?」

 

 寝起きドッキリの類なのかと思いたいが、残念ながら僕はテレビに出演するタレントでもなければネット上のインフルエンサーでもないのだ。

 

 つまりは、そんなイベントなどとは無縁な訳で……

 

 なら今の状況は一体なんだと言うのだろうかと眠気の残る頭で考えながら、改めて隣で寝息を立てている少女へ目を向けてみる。

 

 艶のある纏まった黒髪が綺麗な女の子だ、背丈はかなり小柄で幼い印象を受ける。セーラー服ということは高校生、いやこの見た目となると下手すれば中学生か……

 

 少し長めの前髪で目元は見えにくいのだが、それでも美人だと分かるほどの整い方で、赤い差し色のある黒の制服とも相まって全体的に不思議な美しさがある。

 

 窓の外からの日差しに照らされ、その人形のような美しさはより一層磨きがかけられていた。その絵面はさながら映画のワンカットのよう……というよりはおとぎばなしの一枚絵とでも表現すべきだろうか。

 

 どれほどの時間、その光景に見とれていただろうか……時間が止まってしまったかと錯覚しそうなほどに長いこと見つめていたら、その少女は突然モゾモゾと身動きをした。

 

 前髪の分け目からようやく見えた瞼は、次第にゆっくりと開いていき……目が合った、真っ赤な瞳だ。それでいてタレ目で優しげな雰囲気を持っている。

 

 少女は焦点の定まっていない眠たげな目をパチクリと動かし、数秒後にはハッキリとこちらを見据えていた。

 

「え……あ、あれ……?」

 

 意識が完全に覚醒したであろう少女は、分かりやすく困惑していた。

 

「……せ、せんせい?」

 

 なぜ僕の顔を見てその言葉が出てきたのかはわからないが、その意味はわかる。先生、つまりそういうことなのだろう。

 

 僕は、そんな呼びかけに対してニコリと軽く笑みを浮かべ───

 

 

 

 

 

 

 

「自首するか……」

「えっ!?」

 

 即座にスマホの緊急通報を使い警察を呼ぼうとした。

 

 

 

 

 

 

 自首しようとしたら全力で黒髪美少女ちゃんに引き止められた。僕の感じた印象の通り、この少女はとても優しい子のようだ。

 

 いやでもね?「先生は何も悪くないんですから!」とか切実にフォローされましても、この絵面を傍から見たら僕が確実に犯罪者なんですよ。

 

 ……そういえば、この子は一体何者なんだろう、思い出そうとするが昨日の記憶がどうにも曖昧だ。家に帰ってきてから酒を飲んだのは覚えているが、それからが思い出せない。

 

 いつも通りなら酔いつぶれるほど呑んだ覚えは無いはずなのだが、現にこの状況に陥っているということは酔った勢いで何かとんでもないことをやらかしたということだろう。

 

 自分が当てにならないなら、目の前の少女に聞いてみることにするか……

 

「あー……あの、ちょっといいかな?」

「は、はい!なんですか……?」

 

 まるで借りてきた子猫のように物珍しげにキョロキョロと部屋の中を見渡してる少女に話しかけてみれば、飛び上がりそうな勢いで反応してくれた。

 

「昨日のことをよく覚えてないんだけど……その、君をこの部屋に連れてきたのは僕なんだよね?」

「えっと、はい!そうですけど……」

 

 はい完全に黒だね、誘拐です、ギルティ。もはや言い逃れも出来ないでしょこれ、証言が完璧に出てきちゃったもん。

 

「本当にごめんなさい」

「えぇ!?どうして謝るんですか!?」

 

 とりあえず全力で頭を下げた。酔いのせいとはいえ、どんな経緯であろうとも女子学生を家に誘い込んで一緒に寝るなど許されていい行為では無い。

 

「私は平気ですから!頭を上げてください先生、むしろ助けられた私が頭を下げるべきなんです!」

「助けられたって……昨日は、一体何があったの?」

「え、えっとですね……まず……」

 

 

 少女が昨日の記憶を語り始めようとしたその時、くぅぅ……と気の抜けた音が鳴った。少し彼女の顔が赤くなっているのが分かる。

 

「……先にご飯でも食べる?お腹空いたでしょ」

「はいぃ……」

 

 話の続きを聞きたい気持ちは山々だが、先に空腹を満たすのも良いだろう。こちらも心を落ち着けたいし頭も整理しておきたい。

 

「じゃあ朝食の準備をしようか……あ、パンとご飯どっちがいい?」

「えっと、じゃあ……パンでお願いします」

「うん、わかった」

 

 準備のためにキッチンに移動して、食パンとその他の材料を揃える。朝食を作るまでの間は暇になるだろうと思い、黒髪ちゃんには洗面所の場所を教えたりテレビのリモコンの置き場所を教えたりした。

 

 作るものは……簡単にベーコンエッグトーストとコーンスープでいいか。とりあえずトースターにパンを突っ込んでから、フライパンに油を引いてベーコンを投入する。

 

 ベーコンが焼き上がるまでの間に戻ってきていた黒髪ちゃんは、少しそわそわと落ち着きない様子のままテレビを点けて朝方のニュース番組を眺めていた。

 

 何故か凄い食い入るようにニュース映像を見つめている。流れているのは東京の街中の様子でしかないが、そんなに熱中できるものなのだろうか?

 

 そう考えているうちに焼き色も良い感じになってきたのでベーコンを皿へ移し、続いてフライパンに卵を落とした。焼けるのを待つついでに、レンジで温めていたコーンスープを取り出しておこう。

 

 マグカップの温度は少し熱めだが、朝食が出来上がる頃には調度良い熱さになってるだろう。コーンスープの表面に膜が張っているので、スプーンで軽く掻き混ぜた。

 

 フライパンの卵もそろそろ頃合だろう。フライ返しで焼き加減を確認してからコンロの火を止め、トースターに入れたパンを取り出してベーコンと目玉焼きをのせた。

 

 最後の仕上げに黒胡椒とマヨネーズを乗せて、軽くバーナーで焼き目を付ければトーストの完成だ。

 

 簡単に作ると言っていたのだが、気づけば意外と手間をかけているような気もするが……この際、別にいいか。友達に振る舞うというよりは、客人に対する料理なのだからこれくらいの持て成しはあったほうがいいだろう。

 

「お待たせ、ベーコンエッグトーストだよ」

「あ、ありがとうございます……!」

「せっかくの朝食だし、焦らずゆっくり食べようか。朝から面接みたいな雰囲気じゃ苦しいからね」

 

 時間は午前7時を過ぎた頃、テレビのアナウンサーの声をBGMに僕は淹れてきたコーヒーを啜り、黒髪ちゃんはトーストをちびちびと美味しそうな顔で食べ始めた。

 

 ここまでの会話を通してみてなんというか、常に初々しい反応でなんだか面白い子だなぁと感じた。

 

 それから起きた時には気づかなかったのだが、頭の上の赤い輪っか一体なんなのだろう。ファンタジー的に見るにしても、天使の光輪というには少し派手な気もする。赤い光輪ならこの子はもしかして堕天使なのか?

 

 まさか、そもそも天使だなんて非現実的な存在がいるとは思えない。それも朝食を終えたあとにでも、色々聞いてみるとしようか……

 

 




多趣味の気分屋が書いた小説です。妄想の続く限り小説を書いていきます。

でも概念だけ置いていくことが多いので好きに使って遊んでください。書いてくれたら僕がニヤニヤしながら読みます。

Twitterに絵とか上げたり色々やってるので、プロフに多分URLとかあると思うので良ければ遊びに来てね
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