いい名前を付けるのは難しい…
好事魔多しって言葉を知ってるかい、中の人?
(意訳:ちょっとは失敗してくれよ、見どころが無いじゃないか?)
おっと、ついつい本音がww
とりあえず、ここまでの出来事を羅列します。
1 トレーナーと契約してトゥインクルシリーズ出走へ!
2 参戦したレース全てでレコードを刻んだ上での圧勝!
3 その活躍のおかげで年末の大祭典である有馬記念への出走が決まったよ! ←今ココ!
正しく順風満帆という言葉を形にしたかのような成功街道。
……ただ、ここに来るまでは一悶着ありましたがね……
ええ、トレーナーとの契約です。中の人、自ら縛りを設けちゃってましたからね。
〖他のウマ娘と契約していない〗〖著名なトレーナーではない〗
という条件だけでも大概なんですが、コミュ障の中の人は、さらにここにトレーナーの性格について項目を追加。
オラオラ系は駄目!
臆病者の中の人にとっては、感情や言動を素のままにぶつけられることは半ば死を意味します。
一方で、クール系もNo!
構ってちゃんでもある中の人にとっては、冷静な対応をされると萎縮して精神が干からびます。
だから、こちらのことを配慮しつつ距離を保ってくれるような人物が良い、と。
……ワガママ過ぎませんかねえ(真顔)
まだ経験が少ないながらもそこまで成熟した人間性を持つトレーナーなんて、そうそう居るはずが無い……と言いたいところなんですが、居たんですよねえ。
それが現在、担当になってくれてる青年トレーナー君なんです。
豚に真珠。中の人とは人格的に天と地ほどの差。
…・・・どっちが天で、どっちが地かは言うまでもありませんよねww
いや本当、何でこんな好青年がヘッポコ中の人の担当になってくれたのか?
契約に至ったのは、中の人から青年トレーナー君への逆スカウトによるものです。
ぶっちゃけ、狙ったわけではないんですわ。
グラウンドに集まっているトレーナー達にこっそり視線を走らせてたら、目に止まったのが1人で佇んでいる青年トレーナー君だったんです。
その時、中の人は結構焦っていました。
何故かって?希望条件を満たすトレーナーが全く見つからなかったからです。
……阿保なの?
そりゃこんだけ好き勝手な条件ばっか重ねてたら、見つかるもんも見つからんやろ。
少し考えれば分かることでしょうに。
……それが分からないのが中の人なんですがね(呆れ)
そんな自業自得が招いたとしか言えない状況に焦燥感が募っている中で、目に飛び込んできたのが青年トレーナー君の姿。
1人で佇むその存在は、中の人にとっては天の助けにも思えました。
「お、こいつボッチか!?コレなら行けるんじゃね!?」
というノリのままに突っ込んだんですわ。
余りにも希望条件を満たすトレーナーがいなくて、焦った中の人のやけっぱちな行動ですね……
それが当たるんだから、まぁ運にも恵まれていますわ。
で、ようやくスタート地点に立てたことで中の人は狂喜乱舞。
よかったね、転生ボディが無口無表情固定設定で。
もし、内心が挙動にそのまま表れちゃってたら、タイーホ間違いなしでしたぞ。
という訳でようやく念願叶ってのレース出走となったんですが……
結果はと言えば、敵無しという言葉で形容するが如くの快進撃。
無慈悲と言うしかない圧勝です。
デビュー前には青年トレーナー君は不安で一杯だったようですがね。
ああ、中の人が入ってるチートボディに対する懸念を抱いていたわけではありません。
人の良い彼は、自分の担当ウマ娘に疑いを持つことなんて一切ありませんのでね。
疑念を抱いているのは、彼自身の能力に対してです。
まだペーペーの1年目で何のノウハウも実績も無い拙い指導で、助けになれるのだろうか、と。
まあ、ごまかしても仕方ないので、ぶっちゃけましょう。
青年トレーナー君の指導力は確かに高くありません。
原作ゲームで例えると、練習レベル1をさらに劣化させたというところ。
おまけに所属チームメンバーもいないマンツーマンなんで、これまた原作ゲームで例えると、サポートカードの役目を担うべき存在が不在。
サポカ無しソロモードで、練習経験値は雀の涙。
原作ゲームだったらリセット間違いなしの環境ですね。
ですが、中の人的には全く問題なし。
初期能力値から既にバグってるので、成長が僅かであっても問題ないんです。
むしろ、低下させずに微増させてくれるだけでもありがたいという。
まあ、そうは言っても余りに自堕落であれば、バグ能力値も腐らせてしまっていたかもしれませんが…
中の人、才能に胡座をかかなかったんですわ。
これまで1人で練習してた時と同様、愚直にトレーニングを重ねていきます。
前世にて失敗を繰り返してきた凡人だからこそ、少しの油断や狂いで結果が覚束なくなることを身に染みて分かっているんです。
慢心、ダメ、絶対!
……少しは油断してくれないとエンタメとして詰まらないでしょお?(溜息)
僅かとはいえ成長し続けるチート能力値持ち。
おまけにそのコンディションが常に整えられているとなれば……ねぇ?
この点については青年トレーナー君の力に依るところが大です。
先ほど、彼の指導力は低いと扱き下ろしましたが、それはあくまでおハナさんや沖野トレーナーのような化け物と比べたらの話。
ピッカピカの1年生トレーナーなんだから能力は低くて当たり前。
経験を積み重ねれば彼らの領域に至れるだけのポテンシャルは秘めていると思います。
何より、現時点でも引けを取らない武器ー誠実さがあります。
担当ウマ娘の身を案じ、その将来のために懸命になれる。
ウマ娘なんて、己の栄誉のための駒にしか過ぎないって輩も居るんですから。
そんな中で、人ができている青年トレーナー君と契約することができた巡り合わせに感謝すべきだぞ、中の人。
……割とマジで。
で、そんな人格者の彼は担当のために身を粉にして奮闘してくれてます。
少しでも走ることに意識を注ぎ込めるようにと、体調・肉体の調子にも気を遣ってくれて。
出走するレースのローテーションから、練習メニューの組み合わせなどにも気を割いて。
その果てに、今の調子の良さがあるのです。
原作で言えば、常に絶好調状態。
ただでさえチートパラメータ持ちなのに、コンディションまで最高潮の状態になっているわけです。
チートステータス持ちのウマ娘がそんな万全の状況で走れば、結果は火を見るより明らか。
無人の野を行くが如くの快進撃。
圧倒的な強さを見せつける無敗ウマ娘の誕生です。
連勝を伸ばし続ける姿から、【常勝】という二つ名を冠されるまでになりました。
ほぼ一強状態。
敵に成り得るウマ娘ですか?
生徒会長であるシンボリルドルフを始めとしたラスボスクラスは既に身を引いているか、或いは次のステージに進んでいるため、不在。
主人公補正満載の黄金世代は未だに入学前なのか、姿が見えません。
その他には、ネームドウマ娘がチラホラ居ます。
この世界、原作と学年や世代が若干異なっているようで、現時点では顔を見せていないウマ娘もいるようです。
……ただ。そういった面々が居たとしても結果は変わらなかったでしょう。
それほどまでに中の人が入ってるボディは図抜けています。
…
……下手な最強モノは流行らんぜよ(呆れ)
とまあ、こんな快進撃があれば、年末の大祭典である有馬記念に選出されるのは当然の流れ。
その出場に向けて、今は青年トレーナー君と打ち合わせているわけなんですわ。
ただねえ……懸念事項が発生しているんですよ。
一言で言うのなら……中の人、足元見ろ。
支えになってくれてる青年トレーナー君に疲れが溜まってるぞ?
彼は、心配かけないように必死に押し隠してはいるけど。
まあ、疲れるのもむべなるかな。
中身はヘッポコでも、走力に関しては天災(誤字にあらず)とも言うべき逸材を預かってるんですからね。
妬みや嫉妬という周囲の有象無象からの圧力があります。
それでプレッシャーを感じるなという方が無理ってもんです。
ましてや青年トレーナー君は人一倍、誠実で責任感強いですからね。
気負い過ぎてて、自分で自分の首絞めちゃってる。
本来なら、パートナーとしてこの状態に気付かないといけないんですが……駄目ですね、ここで気付けるほど優秀であったらそもそも現状況は生まれていません。
そもそも、中の人が己のボディに対して無頓着過ぎるんですよね。
幸運にも自分が走力に恵まれてることについては自覚しているようですが、それが青年トレーナー君の心身を追い詰めるほどの重さであることに思い至っていないようです。
……冗談抜きで、世界を変え得る存在だから。
もっと己の領分を自覚しよう!な?
……おや?何やら中の人、様子がおかしいですね。
微かに広がった瞳が、完全に一点に向けられて固まってます。
無口無表情がデフォのこのボディで、そこまでの動きを見せるとは珍しい。
その視線の先にあるのは、つい今しがた、青年トレーナー君から手渡された1枚の用紙。
これは――今度の有馬記念の出走予定表ですね。
出場者の中に、気になるウマ娘でもいたのでしょうか?
正直、今のチートボディに対抗できる存在が居るとは思えないんですが。
どれどれ、視線を追ってみると……
――!
おやおや。こりゃ意外過ぎる名前が、ここで出てきましたね。
本来ならこの世代には居ない娘なんですが……どうやら、原作とズレが生じているようです。
はてさて。これは有馬記念、ただでは終わりそうにありませんね……
今回、拙作を読んで頂いて誠にありがとうございました。
ここからもっと精進していきたいと思います。