今年も良い年に…と言いたい所ですが正月早々大変な事になってますね
皆様、地震の被害は大丈夫でしょうか?
少しでも被災者の方々の傷が癒える事を願います。
少しだけ時を遡り、
龍騎サバイブとタイクーンブジンソードが激闘を繰り広げる最中。
そこから多少離れた所に位置する高層ビル屋上。
一人の人物が銃を構えながら真司たちを見下ろしていた。
仮面ライダーダパーン・マグナムフォーム
彼の耳・ダパーンイヤーは高い集音機能を有し、遠距離からでも真司と景和の会話を鮮明に聞き入れていた。
ある程度タイクーンBSの戦意を削ぎ落した後、真司は変身を解除し再度説得に徹する。
「だったらまず俺を信じてくれ! もし彼等の方法が上手く行かなかったら、遠慮無く俺を始末していい。それまではせめて俺だけでも信じてくれ......それじゃ駄目か?」 」
「過去のライダーだか何だか知らないけど.....行き成り現れて、偉そうに綺麗事をベラベラと.....」
深く苛立ち憎悪の籠った目でダパーンはスコープごしで真司を睨みつける。
戦闘面からして非常に腕が立つ人物なのは間違いない。自分が真っ向から戦っても勝つ事はないだろう。だからこそムカつくのだ。如何にも自分はベテランで強いと言わんばかりの振る舞いが。
「何が信じろだ。世の中全員がお前みたいな強い奴ばっかだと思うなよ....」
彼、ダパーンこと墨田奏斗は以前デザグラの参加者の一人だったが、かなりの危険人物であった。
不慮の事故による怪我でバスケの選手生命を絶たれ絶望した彼は他者の幸福を深く憎む様になり、
遂にはデザイアカードに「全人類が滅亡した世界」を書く程破滅願望は膨れ上がっていた。
一度はデザグラで退場するが、後に世界のバットエンドを望むべロバと意気投合し再びダパーンの力を得た。
オーディエンスの破滅願望に応えようと嫉妬対象であった鞍馬祢音の親を襲撃。
その後は意気揚々とギーツとタイクーンの死闘を観戦する予定だった。
だが真司が景和を制止した事で状況は一変。
運営は真司を計画の障害になると判断しケケラと協力して排除するよう頼んで来た。
だからこうしてマグナムシューター40Xをライフルモードで構え、何時でも真司を狙撃出来る様にしていたのだ。
因みに「アンタは自分の為なら他人を犠牲にして良い人間だ」と景和の図星を突いたのは彼である。
「.....真司さん..俺......俺...」
やがて景和が変身を解除し泣き崩れた。
落ちたな。折角共に不幸を知った仲だと思ったのに、あれは確実にギーツ側に寝返る流れだ。
オーディエンス一同は龍騎対タイクーンの戦いをエンタメの一環として始めこそ高みの見物気取りだったが、世紀末ゲームが中止になる事に関しては批判的だ。
なので十分に盛り上がった所でバットエンドに叩き落とすと言う愉悦溢れる演出を求め始めた。
なら今が絶好のチャンス。ケケラや運営もどうせ後で真司を始末する予定なのだ。
ここであの馬鹿そうな大人の脳天に風穴を開けても文句は有るまい。
吐き気を催す茶番劇を嫌と言う程見せられたのだ。その我慢からもやっと解放される。
あの龍騎とか言う奴にどんな過去が有るかなど知った事か。
折角大勢の人間が不幸になるチャンスだったのに余計な事しやがって....
標準を真司の頭部に合わせ、景和の肩に手を置く瞬間を見計らい、
「お前も不幸になれ」
トリガーを引こうとした。
その時
「止めろぉ!」
「!?」
道長の変身する仮面ライダーバッファがコマンドフォーム・ジェットモードとなって空から奇襲を仕掛けて来た。
バッファはダパーンに掴みかかり更に空高く舞い上がる。
「念のため様子見に来て正解だったぜ。相変わらず性根が腐った奴だなお前は!」
「うるせぇ、邪魔すんな!」
抵抗するダパーンを押さえながらバッファは出来る限り真司の達から離れようと飛行を続けた。
◆
「うおおおおおおりゃああぁぁぁぁ!」
「でやああああああああ!!」
変身を終えるや否や、瞬く間にポーンジャマト達を蹴散らしていく龍騎SとタイクーンBS。
タイクーンBSは武刃で何体も掻っ捌く。
ポーンジャマト達はそれぞれナイフや銃、槍など様々な装備で二人に襲い掛かるが、実力差は明白だった。あっと言う間に20体以上ものジャマト達が爆散。しかしイマイチ数が減ってる気がしない。どれだけ倒してもジャマト達はワラワラと群がって来る。
「数が多すぎるよ!」
四方八方から来る攻撃を何とかやり過ごすタイクーンBS。幾ら戦いに慣れし強化されたと言えどこれ程の集団を一度に相手にした経験はあまり無い。有っても大抵がギーツなど複数人のライダーと共闘するのが基本だった。今回は全ての敵が自分達二人だけを標的にしているので焦らない訳が無い。
対する龍騎サバイブは遠距離攻撃、近距離攻撃と状況に応じてドラグバイザーツバイを使いこなし確実に敵の数を減らしていく。
「ビスルクイズクテウチャ~!(勝つのは俺だ~!)」
「!」
そんな龍騎Sの前にルークジャマトが独自の言語を叫びながら攻撃をしかける。
龍騎Sがルークジャマトと応戦する中、タイクーンBSは先ほど手に入れたモンスターバックルを装備。
「一気にケリを付けてやる!」
《DUAL ON GREAT!》
《MONSTER!》
《READY FIGHT!》
再びブジンモンスターへと変身。
すかさずモンスターレイズバックルの帽子の様な入力部分、ラウトクラップメットを2回押し必殺技の準備に入る。
《GREAT MONSTER VICTORY!》
「はあああああ.....でやああ!」
「ジャアァァァ!!」
エネルギーが集まり巨大化した腕から繰り出される右ストレートが多数のジャマト達を粉砕する。
ほんの一瞬だけ一息つくタイクーンBM。しかしそんな彼の首にプレミアムケケラが伸ばした舌が巻き付いた。振りほどきたくも強力な力により転倒、そのまま締められる
「ぐぅ....!ケケラ...」
「今頃オーディエンスルームはブーイングの嵐だろうよ。サポ―ターを裏切るたぁ、この恩知らずが!」
「何が、恩知らずだよ....自分が楽しむ事しか考えてない癖に....」
「ああ、確かに愉悦だったぜ? お前が汗水たらして戦う姿はな。 けどなあ」
Pケケラは舌を自在に操りタイクーンBMの体を地面に叩きつける。
「ぐあっ!」
「その俺のサポートあって強くなれたんだろうが! お前は一人じゃ何も出来ねえ腑抜けよ。こうして楯突いてんのも、強え先輩様が味方に付いて思い上がってるだけだろ」
「違う!俺はもう、これ以上過ちを犯したくない....誰にも悲劇が起きてほしくないだけだ!」
「っは、じゃあ何で最初からスエルや運営を敵視しなかった? ミツメを無理やり女神にしたのは運営だぜ。奴等が創生の女神なんて作らなきゃ、お前の言う大勢の悲劇は生まれなかっただろ?」
「それは....」
「当ててやろうか? ビビッてたんだよお前は。俺達みたいな強大な存在にちっぽけな自分は太刀打ち出来ない、そう無意識に怖気付いてたんだ。だから俺達に従いやり場のない怒りをギーツやミツメにぶつけるしかなかった。罪を償わせるなんて建前を作ってな。違うか?」
「.........」
自らの真意を付かれ、言葉を濁すタイクーンBMの首を再度締め上げ、そのまま自らの元へと引きつけ首を掴むPケケラ。
「やっぱりな。腑抜けの恩知らずが....」
溢れ出る私怨の言葉をぶつけながら、もう片方の手で所持したレーザーレイズライザーをタイクーンBMの眉間に向ける。
すると龍騎サバイブがこれに気づき2人の元へ駆け寄ろうとするがも、ルークジャマトが凶器を振りかざし妨害してくる。
「景和! くそ、退けよ!」
龍騎Sは隙を見て懐まで接近しルークジャマトの腹部にドラグブレードを突き刺す。
「ラサツーム!?(何!?)」
《SHOOT VENT》
そしてそのままカードをドラグバイザーツバイに入れ込み、身動きが取れないルークジャマトに対し引き金を引く。「メテオバレット」が発動。空から舞い降りたドラグランザーが放つ火球と共にドラグバイザーツバイから発射さたれた強力なレーザーがルークジャマトの腹部を貫通し多数のポーンジャマトを巻き込みながらPケケラの舌をかすめた。
ルークジャマト達は断末魔と共に爆散、Pケケラも舌の痛みによりタイクーンBMの拘束を解除してしまう。
「ぐお!? てめえ....」
苛立ったPケケラは龍騎Sに向けてレーザーレイズライザーを乱射するも、龍騎Sはドラグランザーの支援攻撃も借りてタイクーンBMの元へと駆け寄る事が出来た。
「大丈夫か?」
「はい、ありがとうございます」
タイクーンBMの無事を確認し安心する龍騎S。そんな彼に対しPケケラは更に恨み辛みを向けた。
「......龍騎ぃ、貴様にもキツイお仕置きをしねえとな。人の推しに余計な事吹き込みやがったツケ、払って貰うぜ」
「悪い。お前の考え、全く共感出来なくてさぁ....」
「っは、どうせ理解出来ねえよ。古代人如きにはなぁ」
「お前達はホントに何も感じないんだな? 自分の道楽の為に、願いを餌にして無辜な人間を戦いに駆り立て、こんな奴等使ってまで! 何でそんな事が平然と出来る? 何でそうも人間を見下せるんだよ?」
先ほどのケケラの対応と言い時代と言い価値観が違うのは明白だ。
それもでも昔から出来る限り平和的に解決を望む真司は聞かずにはいられなかった。
ケケラ達未来人の価値観が理解出来ないからだ。
最初にデザグラを知った時、真司は真っ先に運営に疑いの目を向けてた。
世界を守ると称しながら「願いが叶う」と言う名の賞品を宣伝し、人々を競わせる怪しいゲーム。
嘗て神崎士郎が仕掛けた13人のライダーバトルを経験した真司にとって、願い事が関わる話には必ず裏が有ると言う認識が強かった。
人間同士戦わない、辞めようと思えば直ぐにライダーを辞退できる、ドクターストップでも辞退出来ると言う点では自分等が経験した戦いより遥かに優しいとも思えるがそれでも何処か胡散臭い。
そして辿り着いた情報が未来人と言う名のオーディエンス達だ。
オマケにジャマトなる怪物は運営がゲームを展開させる為に世界に解き放ったマッチポンプであった。
人間たちの世界を危険にさらす様をエンタメとして楽しむ未来人の心理がどうしても知りたかったのだ。
真司の問いかけにケケラは「そんな事も解らないのか?」と小馬鹿にする様な口調で返答する。
「んなモン決まってんだろ。お前等が超絶不便な生き物だからだ。俺達の時代ではなあ、肉体なんてモンは過去の遺物だ。
意識や精神は全てデータとして保存され、外見も寿命も自由自在。そんな頂上的存在だ。
それに比べ、お前等古代人は己の願いすら満足に制御出来ない。宗教やら価値観の違いやら仕様もない理由で何百年以上も争いを続ける。ちょっとした事で傷つき、病気なんてエラーでコロっとおっ死んじまう。俺達からしちゃ取るに足らねえ下等生物以下よ」
「だったら放っとけよ迷惑だ! 俺達が不便だからってお前等未来人に干渉なんかしないだろ!」
「だから面白いんだろうが。 自ら実現できるかも解らない夢や希望に古代人は命をかける。時には野望の為に他人すら蹴落とす。先行きが解らないから俺達じゃ想像も出来ない行動をとる。正に最高にスリリングなギャンブルだぜ。だからよう....生意気に邪魔してんじゃねえ!」
そう言ってジャマト達を嗾けるPケケラ。龍騎SとタイクーンBMの全方角からジャマトの群れが襲い掛かる。 どんどん距離を縮めていく敵達に対し身構えるタイクーンBM。
だが龍騎Sはその場で俯き動こうとしない。
「ふ.........」
「真司さん?」
様子が変な事に気づき呼びかけようとするタイクーンBM。
「ふざけんなああああ!!」
「うお!?」
次の瞬間、怒号と共に龍騎Sの全身から爆炎が吹きだし、凄まじい熱風により思わず後退するタイクーンBM。
やがて炎はドラグブレードに集中し、火柱へと変化。巨大な炎剣と化したドラグブレードを龍騎Sはそのまま横向きに回転し薙ぎ払う。
「うわわわ!?」
慌ててしゃがんでやり過ごすタイクーンBM。Pケケラも間一髪の所で回避し距離をとった。
次の瞬間、襲い掛かってきた全方位のジャマト達が一斉に爆発四散。更に追撃に来たジャマト達も次の一振りから放たれた炎の斬撃で一層された。
「バーニングセイバー」と呼ばれるこの必殺技は先ほどタイクーンBSを一本取った攻撃を応用した物だ。
破れたジャマトから燃え上がる炎をかき分け歩いてくる龍騎SはPケケラを睨み付ける。
「お前、絶対許さないぞ!」
「この野郎…殺っちまえ!」
Pケケラに指示され今度は4人のジャマトライダーが攻撃を終えた龍騎Sに蔓を巻きつけ拘束する。
「真司さん!」
急いで真司に近付こうとしたタイクーンBMだったが彼の前で急に不自然な爆発が発生する。
よく見るとそこには黄色い巨大なシャボン玉が目の前を浮いていた。
これはPケケラが吐いた爆発効果を持った所謂浮遊機雷の様な泡であり、近距離でないと視認出来ない罠の役割を果たしていた。他にも仕掛けてる可能性があり迂闊に近づけば龍騎Sを爆発に巻き込みかねない。
どうしようか思考する暇もなく、弓矢や銃で武装したポーンジャマト達が銃口を龍騎Sに向ける....しかし、
「グオオォォォー-!」
再び上空からドラグランザーが飛来。龍騎Sを拘束するジャマトライダー達に火球を吐き散らし援護。
皆火球が直撃し拘束を解いてしまう。
Pケケラは舌打ちしながらドラグランザーにレーザーレイズライザーを発砲。続けざまに他のジャマト達も一斉に発砲するが、ドラグランザーは空中を泳いでやり過ごす。
そしてドラグランザーは此方を凝視する一つのオーディエンスアイに噛みつき、それを銃撃しているジャマト達目掛け投げ飛ばした。
「グオオオォォォ!」
「ジャアァ!? ジゥアアアアア!」
直撃したジャマト達はまるでボーリングのピンの如く弾き飛ばされオーディエンスアイは轟音と共に爆発。ジャマトライダーを含む多数のジャマト達が巻き込まれ粉砕。尚もドラグランザーは火球や尻尾を振るってオーディエンスアイを次々と叩き落し地上のジャマト達を潰していった。
まるで真司の怒りに答えるかの様に、「見せ物じゃねえ失せろ!」とでも言わんばかり大暴れだ。
無論、地上に居る龍騎Sも只管燃え盛る刃で猛攻を続け、ジャマト達は成す術なく倒されていく。
「おりゃあああああああああ!」
「す、凄い......」
元から強い人だと認識してはいたが今はそれ以上。その圧倒的強さと鬼気迫る威圧感にタイクーンBMは若干引き気味だ。温厚な人ほど怒ると怖いと聞くが正にそれである。よく自分はあんな相手と戦った物だと、今更ながら冷や汗をかく。
だが龍騎Sに見とれてる内に、背後からナイトジャマトやビショップジャマト、ジャマトライダー達が迫り来る。
完全に視界に入っていない。正に隙だらけ、と思いきや突如タイクーンの姿は見えなくなった。
刹那、タイクーンは何時の間にかブジンソードに切り替えており、納刀した武刃を鞘に戻す。
同時に一閃されたナイトジャマトやジャマトライダー達は盛大に爆散するのだった。
「俺も負けてられないな」
そう言ってタイクーンBSも武刃を振るい次々とジャマト達を切り裂いていく。
何時しかオーディエンスアイはドラグランザーに全て叩き落され、軍勢は確実に規模を減らしている。
Pケケラからすれば非常に面白くない状況だ。推しのライダーは裏切り、とるに足らない下等生物が自分たちの戦力の大半を奪ってるのだから。
「クソぉ、やっぱその場凌ぎのジャマトじゃ相手になんねえ。ダパーンは何してやがる!さっさと援護しやがれよ役立たずが!」
ダパーンがバッファに連れられた事も知らず一人毒づくが状況は改善しない。
やがて、あれだけ居たジャマト軍団も20体程度まで数が減っていた。
「桜井景和ぁ……」
爆煙を祓いながらPケケラは噛みつくような視線を送った。やはり自分を裏切った景和に対する憤りが強い。ひたすら抵抗を続けるタイクーンBSに対し私怨の言葉をぶつけずには居られない。
「俺がライダーに選ばなきゃただの底辺な一般人だった癖に………ここまで盾ついて只で済むと思うなよ? 黙って俺の言う通りにしてりゃ、ギーツすら凌ぐ最強の仮面ライダーにだってなれたってのによぉ……」
「そうやって見下してる内は絶対解らないだろうな」
「あぁ?」
ワナワナと拳を震わせるPケケラに対し龍騎Sが答える。
「お前が求めた物と景和が求めた物は全く違うって事だ。彼が欲しかったのは大切な人を守る為の力だ。それは他人から与えられる程簡単な物じゃない。本気で誰かを守りたいって強く望んだ時、初めて強い力に変わるんだ。自分勝手なお前だけを喜ばせる力なんて何の意味も無いんだよ」
「何をぉ....!!」
加えてタイクーンBSも続く。
「さっきの返しだ。確かに俺はお前達に怖気ついてたかもしれない。 でもだからこそ、もうお前達の言いなりにはならない! 特に他人を蹴落とす事しか知らないお前なんかには。自分の願いは自分で叶えてみせる。この世界も人間も、お前達の好きにはさせない!」
「ほざくな! 世界を作り替えるしか後が無え分際でよ!ならお前らに一つ伝えてやる。 願いを餌にと抜かしたな? デザグラを盛り上げてるのは、願いに溺れたお前等古代人の欲望だ。歴史的偉人の中にも、デザ神になれた事で地位や名声を得た奴だって居るんだぜ? つまりだ、この世界の歴史はデザグラがあってこそ。願いが叶うのも、俺達オーディエンスがライダーに選んだお陰って訳だ。 だからよお、お前等は俺達を崇め敬うべきなんだよ!!!」
「それだけか言いたい事は?」
「!」
最後の詭弁はばっさりと流すタイクーンBS。価値観の違いは明白だ。最早何を言っても無駄と判断しているのだ。龍騎Sもケケラを容赦出来ない。
本当は始めこそ未来人と言えど同じ人間なら、出来る限り穏便に事を終わらせようと言う淡い期待も有った。しかし悲しい事にここまで独りよがりで命を弄ぶ存在を容認など出来ない。これ以上の犠牲を増やさない為にも、まずは彼を倒さなくては。
タイクーンBSは言葉を続けた。
「この世界は作り替えたい。その手段は否定する気は無いよ。だから作り替えた後証明してみせる。創生の力なんて無くったって、人は自分で願いを叶えられるってな!」
「ほ~? どうやってだ?」
具体例は後からでいい。まずは信じる事だ。彼がそうして来たように。
そして景和はその人物と最初に出会った時の会話を思い出す。
「恐竜が絶滅したって、世界は再生してきた.......諦めない限り、世界は変えられる...............そうだろ英寿!」
声を張り上げた途端、タイクーンBSの右手に突如として眩い光が現れた。
光は直ぐに止み、彼の手には一つのレイズバックルが握られていた。
タイクーンBSは歓喜する。それは以前対話した時真司から譲り受けたバックル、「Vバックルレイズバックル」だったからだ。
「わあ! これ前に探してたやつ!」
「探してたって、失くしてたのかぁ?折角上げたのに....」
「す、すみません。色々どさくさに紛れちゃって.....」
龍騎に怪訝そうにされ頭を下げるタイクーンBS。デザ神やジャマ神が決まる度に世界は作り変わる。このバックルはリセットの拍子に紛失したのだった。
「まあいいや。使ってみろよ」
「はい!」
龍騎Sに背中を押され、意気揚々とブジンソードバックルに装備する。
《SET》
《DUAL ON GREAT!》
音声の後にVバックルが描かれたクリアパーツを押す。
《V BUCKLE》
するとタイクーンBSの背後に「RYUKI」のロゴが現れ、やがて彼の周りに幾つもの虚像が重なり、タイクーンを新たな姿に変化させた。
ボディやブジンソード特有のゴーグルも、それぞれ龍騎の胸部分であるドラゴンチェストやフェイスシールドに似たデザインとなった。
仮面ライダータイクーン・ブジン龍騎フォームである。
自分を模した姿のタイクーンを見て「おお!」と讃嘆の声を漏らす龍騎。
《READY.....FIGHT!》
「行くぞ、ケケラ!」
《SWORD VENT》
「調子に乗るんじゃねえ!」
音声と共に何処からともなく現れたドラグセイバーを片手にタイクーンBRはジャマト軍団に突撃していく。Pケケラも舌でレーザーレイズライザーを起用に操作し多彩な位置から乱射するが、タイクーンBRは軽やかな身の熟しで攻撃を裁いていく。
《GUARD VENT》
左腕に召喚されたドラグシールドで光弾を防いだ後は盾を投げ飛ばし、怯んだジャマトを切り裂いていく。
しかし途中4体ものジャマト達が一斉に武器を振りかざして来た。タイクーンBRはそれらをドラグセイバーで受け止めるが、ジャマト達は鍔迫り合い状態のままタイクーンBRを壁際まで押しはじめた。
「ぐう....」
やがてタイクーンBRの体は背後に聳え立つ百貨店のショーウィンドウまで到達する。
このまま身動きが取れないままか.....と思ったその時。
どうした事だろう、タイクーンBRはショーウィンドウの中へと吸い込まれてしまったではないか。
「うお何だこれ!? うわあああ!!」
「!?」
「ジャ、ジャ!?? ジャ!?」
タイクーンBRが吸い込まれたガラスを叩いてみるが何の異常は見受けられない。
予想外の異変に困惑するPケケラとジャマト達。だが次の瞬間、Pケケラは背中に強烈な痛みを感じよろめく。
それは何処からともなく現れたタイクーンBRがドラグセイバーで斬りつけていたのだ。
「とりゃあ!」
「ぐあっ!野郎、何処から!?」
再びレーザーレイズライザーを乱射するも、命中はしない。
何故ならタイクーンBRが今度は側に有った別の窓ガラスの中に吸い込まれたからだ。
再び目標を見失い、直ぐまた後ろから斬りつけられ、またも見失う。
「ちょこまかしやがって」
鏡の中を介して自由自在に移動する龍騎フォームに翻弄されぱなっしなPケケラ。
真面に身構えても無駄な様だ。兎に角距離を取らなくては。
その辺のビルから突き出した袖看板まで舌を巻きつけ、そこまで移動し張り付く。
防御壁替わりとして周囲に泡も吐きちらす。兎に角ここから奴の出現一を把握しなくては。
そう冷静に分析しようとした矢先。
《STRIKE VENT》
「....は?」
Pケケラの目の前にタイクーンBRの姿が見えた。正確には自分が張り付いている看板に映り込んでいた。現代社会において街中で反射物の存在しない場所を見つけるのは至難の業と言って良い。高層ビルが立ち並ぶ地域で彼から逃れる事は出来ない。
その看板に映ったタイクーンBRはドラグクローを装備した腕だけを鏡の中から出し、直接火炎放射を浴びせた。
「あちっ、あちあちあちぃっ!!」
溜まらず地面に落下するPケケラ。ゴロゴロと転がりながら全身覆う炎を必死でかき消そうともがく。
奇妙な戦法でボスが圧倒される様を見てたじろぐジャマト達を他所に、タイクーンBRは上半身だけを看板の中から露出させ龍騎Sに手を振ってはしゃいでいる。
「すっごぉい! 真司さん、龍騎ってこんな事も出来るんですね!」
「え...お、おう...いや、そうだっけかあ?」
再びPケケラ達を翻弄するタイクーンBRを眺めながら困惑気味な龍騎S。
あんな縦横無尽に鏡の中を出入り出来たらライドシューターが不要になってしまうではないか。妙なアレンジが入っている事に違和感を覚えつつも、殺気を感じ周囲を見回す。
何時の間にか4体のジャマトライダーが龍騎サバイブを包囲していた。
しかも全員自らのジャマトバックルを操作し必殺技の準備に取り掛かっている。
龍騎は反射的にデッキからカードを引き抜く。しかし、それは自身も記憶に無いカードだった。
「なんだコレ?」
カードにはドラグバイザーツバイから大量の火球を放つ龍騎サバイブが描かれている。
これも英寿の力の影響で増えたカードの一つだろうか?
取り敢えずベントインしてみると.....
《飛龍爆連弾!!》
「うぉ、なんだよ?」
今まで無機質だった召喚機が聞いた事も無い程感情の籠った声を発したかと思うと、ドラグバイザーツバイの銃身に炎が集まる。
その間にもジャマトライダー達は自らの腕や足に蔓を巻きつけドリルの様に回しながら遅い掛かって来た。
《JYA.JYA.JYA. STRIKE!》
空かさず龍騎Sは銃口を上げトリガーを引いた。
自分の体の半分は有りそうな巨大な火弾が銃身から飛び出し、ジャマトライダー1体を撃破。
尚もその場で回転しながら火球を乱射。必殺技を受ける前に全てのジャマトライダー達を一層してしまった。
「.....英寿君に何か奢らなきゃなぁ」
「や.....野郎....」
デッキの譲渡者に感謝していると、全身を焦がしたPケケラが残り6体程度のジャマト達を引き連れて恨みの目線を送った。そこへ側のガラス窓からタイクーンBRが飛び出し合流する。
「真司さん、残ったのはもうアイツ等だけです」
「よし。じゃあ決めるぞ景和!」
「はい!」
《FINAL VENT》
切り札を召喚機にセットする龍騎Sに続き、タイクーンBRもVバックルレイズバックルのカードデッキが描かれたパーツを押し込む。
《FINAL VENT》
すると聞き覚えのある咆哮が響き渡り、龍騎Sの側までドラグランザーが、タイクーンBRの側に何処からともなく"赤い龍"が飛来した。
龍騎Sはその龍を思わず2度見してしまう。
「って、え!? ドラグレッダー!?」
見間違う筈も無くその龍は間違いなくドラグレッダーだったのだ。進化前のドラグランザーは自分の直ぐ側に居る。動物と同様に同じ見た目のミラーモンスターが存在する事は珍しくはないが、それでも初めての出来事である。
驚愕している龍騎Sを他所に互いに睨み合う2体の赤き龍達。
「グルルル.....」
「グゥゥゥ.....」
「な、何か威嚇しあってませんか?」
「まあ、こう言う奴等だからさコイツ等....兎に角やるぞ」
若干閉まらない雰囲気だが必殺技の準備に取り掛かる2人。
龍騎サバイブはバイク形態に変形したドラグランザーに飛び乗り疾走。ケケラ達を一度通り越しターンして引き返し更に加速する。
《GREAT RYUKI VICTORY!》
「はあああぁぁぁぁ...はっ!」
タイクーンBRは一旦両足を広げ鏡む様な姿勢の構えをとった後に空高くジャンプ。
空中で体をひねってムーンサルト。そして片足を前に突き出し、背後からドラグレッダーが放つ火炎放射を背に受ける。そのまま急降下しながらキックを繰り出す龍騎のドラゴンライダーキックを模した技、『龍騎ストライク』を。
龍騎Sは猛スピードで疾走しながらウィリーしたドラグランザーが大量に火球を打ち出す『ドラゴンファイヤーストーム』を発動するのだった。
「だあああああああぁぁぁぁ!!」
「く、クソぉ!!」
「ジャアアアー---........」
前後から押し寄せる炎を纏ったキックと大量の火球。
逃げ場はないジャマト達は2人の必殺技をモロ受け爆散。
しかし、Pケケラだけは直前に遠くの看板まで舌を伸ばし逃走を図る。
間一髪の所で直撃は免れたが巨大な爆発に巻き込まれてしまう。
「ぐあああぁぁぁ!!」
空高く舞い上がったPケケラの体はやがて地面に激突。
人間の姿へと戻ってしまうのだった。
「お前の負けだな、ケケラ」
やがて攻撃を終えた龍騎SとタイクーンBSは悶絶するケケラの前に立ちふさがる。
しかしどう見ても敗北した形なのにケケラは痛みに耐えながらも嫌らしい笑みを崩さない。
「っふ....ハハハ...」
「何が可笑しい?」
「負けただと?.....甘ぇな....ジャマトがアレだけと思ってんのか...」
「何?」
どう言う事だと問いただそうとした矢先、辺り一面が暗くなった。ついさっきまで天気は晴天、太陽に雲がかかったにしては少々暗すぎる。見上げると何か巨大な物が太陽を遮っていたのだ。
「あ...あれって.....」
思わず言葉を詰まらせるタイクーンBS。
彼らの真上を一体の生物が浮遊していた。
180mもある巨体なウミウシが蔓の様な触手を生やし背中に和風の城が建てられてると言う、
最早生物と言うより要塞と表現した方が正しいとすら思える異形。
スラグフォートレスジャマトがそこに居た。
龍騎フォームのてれびくんDVDの物とは若干デザインを変更してます。
そのままでブジンに装備すると味気ないイメージになったので。また鏡の中を自由に移動出来る能力も追加。元ネタはオールライダーvs大ショッカーに出て来た龍騎。
飛龍爆連弾もこちらはてれびくんの付録が元ネタです。