ギーツ&龍騎IF   作:巽★敬

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 前回の更新から2週間も経ってしまいました

申し訳ありませんが今回は短く更にはメインである龍騎とタイクーンの出番が有りません
本当は一気に予定してる箇所まで書いて出番も与える予定でしたが中々執筆が進まず.....
体調崩したり少々鬱状態になったり
完結まであともう少しなのに


龍騎 vs タイクーン 9「戦いの裏で....」 

 

 龍騎サバイブとタイクーンブジンソードがジャマト軍団と交戦する中、

 

とある場所では別の戦いも行われていた。

 

 

 真司を狙撃しようとしていたダパーンはジェットモードとなったバッファ・コマンドフォームに羽交い絞めにされ空を漂って居た。

しかしこのままじっと出来る程、ダパーンは大人しい人間ではない。

 

「離せよクソが!」

 

 どうにかマグナムシューター40Xを自分を掴む腕に向け銃撃。

痛みで拘束を解いてしまいダパーンを取り落としてしまうバッファ。

 ダパーンが降り立ったのはこの街の主要駅のホームだった。

 

 治安が悪化したからと言ってライフラインが立たれた訳ではない。

 何の気まぐれかこの駅は荒くれ者達からの被害は少なく、景和がギャングライダーズを抑制した事も相まって比較的平和な環境下で機能していた。

 そんな平和も一人の暴君によって瞬く間に砕かれる。

 

「邪魔な奴....とっとと失せろ!」

 

 周りで一般客がごった返しているにも関わらず、ダパーンは空中を飛行するバッファ目掛け容赦なくマグナムシューター40Xを発砲。

 忽ち悲鳴が飛び交い逃げ纏う人々。

 バッファは銃弾を回避しようと思ったがレイジングソードで銃弾を受け止めた。

ここはジャマ―エリアも出て来てない市街地。下手に避ければ周りの建造物に居る一般人に流れ弾が当たるかもしれないと判断したのだ。

 

「アイツ、マジで正気じゃないな」

 

 バッファは銃弾を裁きつつ急降下しながらデザイアドライバーにゾンビバックルを装備した。

下手に飛び回るよりこちらの方が使い易い。

 

《ZOMBIE...》

《READY FIGHT!》

 

 ゾンビフォームに姿を変えたバッファがチェーンソー・ゾンビブレイカーを振りかざしながらダパーンの元へ降り立つ。逃げ纏う客達に気を配りつつも、バッファは確実にダパーンに攻撃を浴びせて行く。数多くの修羅場を潜り抜けてきたバッファと1回程度のデザグラを経験したダパーンとでは実力差は明白。ましてや変身者である奏斗は過去の事故による片足のハンデもある。

リハビリで日常生活に支障ない程回復はしたが長時間の過激な運動は危険なのだ。

 瞬く間にダパーンは追い詰められてしまった。

 

「諦めろ、お前じゃ俺には勝てない」

 

 倒れ込むダパーンにゾンビブレイカーを差し向けるバッファ。

しかしダパーンは全く慌てる様子も無く瀬々笑った。

 

「僕の勝敗なんかどうだっていい。世界中の人間が不幸になっちまえばそれで良いんだ」

 

 そう言ってダパーンは逃げ纏う客達に向かって発砲。

 

「マズイ!」

 

 対峙するバッファとは逆方向に向けての銃撃だ。位置的にも弾速的にも対応は難しい。

と思われたがここでも新たなる乱入者が。

マグナムシューター40Xの銃弾は全て何処からともなく現れた光の剣によってはじき返されてしまう。

 

「これは....」

「いい加減に..........しなさああぁぁぁい!!」

「ぐあぁっ」

 

 身構える隙も与えず、ファンタジーフォームとなった仮面ライダーナーゴが駅の壁をすり抜けながら現れ、ダパーンに強烈な飛び蹴りをお見舞いする。

 大きく吹き飛んだダパーンは駅のホームを超え側のビル屋上へと飛ばされてしまう。

ナーゴFとバッファも直ぐ様ダパーンの元へと飛び移り立ちふさがる。

 

「誰かを傷つけたって、幸せになんてなれないよ」

「それが正しいかどうか、あの二人(ギーツとタイクーン)の戦いで決まる所だったのに...余計なのが現れて全部パーだ!! 世界がバットエンドになるチャンスだったのにさぁ!」

「どうして.....?どうして貴方はそんなに他人の幸せを憎むの? 事故に合った時だって、貴方を助けようとする人だって居たんじゃないの?」

 

 ダパーンにナーゴFは素直な疑問をぶつけた。

彼が不慮の事故によりバスケ選手の夢を絶たれたと言う事情はデザグラの時に知っている。

しかし彼が望んだのは世界の破滅。デザ神となれば怪我を完治させバスケ選手としての再起も夢でないにも関わらずだ。

 

 べロバによりダパーンとして復帰後、彼は真っ先に祢音を襲撃。その際一緒に居合わせた母、伊瑠美を銃撃すると言う暴挙に出たのだ。彼女の幸せを破壊する為に。

 

 他人の幸せを見ると壊したくなる。それが再開時に発した奏斗の言葉だった。

 

 幾ら将来の夢が絶たれたと言いえど無関係な人間をここまで敵視する神経がどうしても理解出来ない。それ程まで精神的に追い詰められてるなら、少なからず学校や両親など周囲の人間が気づく筈。彼には誰一人寄り添う者が居なかったのか? それが疑問でならなかった。

 

「助けようとした.....? ふ、ふふふふ、あっはっははははは!!」

 

 ナーゴFのこの質問に、ダパーンは狂った様に笑い出し、そして怒号を浴びせる。

 

「それがムカつくんだよ!! 誰かを助けるなんて、自分より下な連中を見下し安心したがる奴の詭弁だ!自分が無意識に見下してる事に気づきもしない。願いで足が治った所で、そんなゴミ共は今後も世界中に増え続ける。だったら皆滅んじまえば良いんだ!」

「何でそうなるの!? 全然わかんないよ!」

「世間知らずのお嬢様には絶対解らないさ!地面を這いつくばる事しか出来ない、負け犬の人生なんてなぁ!」

 

 そう言ってダパーンは思い出していた。

 

自分が味わってきた絶望と惨めな日々を.....

 

 

       ◆

 

 

ダパーンこと墨田奏斗も、元からここまで歪んでいた訳ではない。

 

成績も経歴もこれと言って突起する物は無かったが、プロのバスケ選手を夢見るひた向きな少年であった。多少皮肉屋な部分は有れどそこそこ他人付き合いも良く、努力の甲斐あって腕は徐々に上昇し毎日が充実していた。それが当たり前の日常だと考えていた。

 

しかし、不幸は突然やって来る。

 

練習を終え下校途中だった奏斗に突如襲い掛かった一台の車。

負傷した片足により長時間の激しい運動は出来なくなった。

命の代わりに選手生命は絶たれたと知った時、奏斗は頭の中が真っ白になった。

 

加害者はスピードの出し過ぎ、及びわき見運転が立証され有罪判決を受けたが死亡事故ではない為、数年の懲役と言う大した刑罰はなされなかった。

 

その日以降、奏斗から見える全ての世界が一変した。

 

数か月のリハビリを終え登校が再開した時、最初に彼を襲ったのは膨大な疎外感であった。

 

通学路で見かける社会人は毎日自分のやるべき職場へと足を運び、職務を全うする。

学生たちは「明日何する?」だのと友人や恋人と楽しそうに笑い合い何事も無く日々を送っている。

 

自分はこんな状態なのに。

目標を失い、何もする事がなくなった。

ただ惰性で同じ毎日を繰り返すだけ。

 

 不幸は何時も突然やって来る

 

 何時の間にかこの言葉が常に頭の中を渦巻くようになった

 

お陰でこれまで楽しんでた物全てが楽しめなくなった。

 

流行りの応援歌を聞いても、

好きな映画を見ても、

尊敬していたバスケット選手の試合を見ても、

今ではノイズでしかない。

 

だって不幸は突然やって来るから。

 

どんなに努力した所で、何時か必ず不幸は来る。

 

なら何をしても無駄じゃないか。

 

全てを失った自分を、周りは哀れみの目で見る様になった。

まるで自分とは別の生き物を見る様な、そんな目だ。

 

なんだその目は? 俺を見下しているのか?

 

一緒のチームだった同級生はみるみる内に腕を磨き、大会でも好成績を叩きだした。

自分だけを残して。

彼らが日々打ち込み喜びを分かち合う輪の中に、自分は居ない。入れない。

自分は敗北者、成功者とは全くの別物。

 

 何故そんなに笑える? 答えは簡単だ。

 

コイツ等は不幸を知らないんだ。

だからこんなに笑えるんだ。

 

ムカつく......こんな奴等と話す気にもならない

 

 そんな感情が徐々に膨らんで行く。

 

 退院以降、奏斗がクラスメイトと話す機会は大幅に減り、一日中誰とも口を聞かない日も増えて来た。他の生徒も彼の近寄り硬い雰囲気も察し避けるのが基本になった。

 父親は仕事の都合で接する機会は殆ど無い。母親は息子の心の傷をどう癒せば良いのか解らず一人悩んでいたが、徐々に攻撃的になる奏斗に嫌気が刺し録な会話もしなくなった。

 

 目標を見失ったが自死を行える勇気も無い。

 

 引き籠ったら単位がヤバいし将来に影響が出るからそれも出来ない。民主主義だの自由だの言われてるがこの国は世間が定めたレールから一度でも外れた者には風当たりが強いらしい。だからせめて学校だけでも出ておくしかない。

 

もう何の目標も無いのに…

 

 只管他人に敵意を向ける事で自分を保つしかなかった。

 

 そんな日々が続いた、ある日の昼休み。

 

 他生徒達で賑わう廊下を仏頂面で歩いてる時だった。

 

 

 

 

 

 墨田って甘えてるよなぁ

 

 

 

 

「!!」

 

 

 聞こえた.......

 

誰が発した言葉かは解らない。

辺りを見回しても、見えるのは普通通り談笑しあう生徒達だけ。

 

 だが間違いなく聞こえたのだ。

 

 誰だ? 誰が言ったんだ?

 

 この中に俺を蔑んでる奴が居る

 

 そう考がえると周りから聞こえるあらゆる日常会話の笑い声が、全て自分への嘲笑、無責任な応援に聞こえ始めた。

 

 若いんだからもっと努力しろよ

 

 頑張れ

 

 他に道はある

 

 弱い人間

 

 暗い奴

 

 努力不足

 

 他責思考

 

 

 何時の間にか過呼吸へと陥る

 苦しい....

 このストレスから解放されるには元凶を潰すしかない

 

「おい.....」

 

 気が付くと奏斗は一番自分の近くで友人と談笑していた見知らぬ男子生徒に声をかけていた。

 

「は? なんだよお前?」

「今言ったのはお前か.....?」

「はあ?何言ってんだ?」

「俺が甘えてるって言っただろ?」

「いやいや意味解らねぇし」

「何かコイツヤバそうだな、行こうぜ」

「おう」

「待てよ!!!」

 

 そう言って無視しようとした男子生徒を奏斗は胸倉を掴み馬乗りになる。

奏斗の突然の発狂に怯える生徒達も居れば興味本位で動画を撮影する生徒も居た。

野次馬などどうでも良くなる程頭に血が上り、殴ろうとするも他の生徒に羽交い絞めにされる奏斗。

 

「俺が甘えてるだと!? ふざけんなぁ!! 誰が好きでこんな体になるかよ! 死ねえぇ!! 死ねぇ!! 皆死んじまえ畜生おおおぉぉぉ!!」

 

 ただ叫ぶしか出来なかった。誰かに怒りをぶつけるしかなかった。

 

この一見以来、奏斗は完全にクラスから孤立する事になる。

万一何気ない理由で話されざる得ない状況に陥った時も彼は「ウザい」「話しかけるな」と攻撃的な態度で対応する。

こうして彼に話かける人物は居なくなった。

 

 

一人を除いては。

 

 

「おめでとうございます!今日から貴方は仮面ライダーです」

 

 

         ◆

 

 

「あの事故以来....皆僕を見る目が変わった....まるで別の生き物でも見てるみたいに見下し...憐れんで笑ってさぁ.....どいつもコイツも.....あんな目が出来るのは不幸を知らないからだ!」

 

 過去を思い出しながら、ダパーンはマグナムシューター40Xを握る手を震わせる。

彼にとって何時も自分の耳に入って来る青春真っただ中の談笑はノイズでしか無かった。

 ドライバーとマグナムレイズバックルを教室まで持参してた時、何度この周りの雑音共を銃撃しようと思っただろうか。

 

「そんなのって....」

「違うって言いたいのか?いい加減口を閉じろ、ウザいんだよ....勝ち組の説教なんざ.....」

 

  反論しようとするも、ナーゴFの言葉を強引に遮ったかと思うと、次の瞬間ダパーンは後方へ飛び込み、ビルから落下。

急に何をと駆け寄ろうとしたナーゴFとバッファだったが、次の瞬間ダパーンが壁を走って再び屋上まで飛び上がってきた。

 

 しかしその姿は先ほどのマグナムフォームとは異なり、上半身は黄緑・下半身はマグナムフォームの装甲を身に纏っていた。

 

 仮面ライダーダパーン・ニンジャマグナムフォームである。

 

「貴方、それ...」

「気前いいよねぇ、悲劇好きのオーディエンスってさぁ」

 

 ダパーンのデザイアドライバーにはマグナムレイズバックルの他に黄金のバックルが装備されていた。これも世界のバットエンドを求める歪んだオーディエンスからの支給品である。

 

 フィーバースロットレイズバックル。

 

内蔵されたスロットにより運任せではあれどデザグラ内のあらゆるバックルの力を使える強力なアイテムである。これによりダパーンはニンジャフォームを引き当てたのだ。

 一度屋上から転落したのはフォームチェンジする隙が欲しかったからだ。腹立たしいがナーゴFとバッファは強敵だ。こうでもしないとあの二人相手にはバックルを付け替える事すら難しかっただろう。

 

「世紀末ゲームはまだ終わっちゃいない....こうなったらせめて、欲しい物だけでも力ずくで奪ってやる。目障りなお嬢様の幸せって奴をさぁ!!」

 

 溢れ出る敵意を隠そうともせず、ダパーンは両刀型の武器ニンジャデュアラーを両手にナーゴFに攻撃を仕掛ける。

 

「........」

 

 その光景を、道長は仮面の奥で何か言いたそうに睨みつけ、ゾンビブレイカーを構えるのだった.....

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