執筆が滞っている内にアウトサイダーズにツムリが登場。
同じ作品で浅倉も出演してましたが、ならギーツ&リバイスの浅倉は?
ゼインがガッチャードに出てる時点で深く考える必要性は感じませんし、この作品では一旦アウトサイダーズは外しておきます。
空中で派手に吹き飛ぶフォートレスジャマト。
全長180メートルにも及ぶ巨体の大爆発など、いくら離れた位置からでも目視出来る。
「俺が手を貸すまでも無かったな」
とあるビルの屋上からド派手な花火を目視していた英寿が感心する様に呟く。
龍騎と共闘してたとは言えあれ程の敵を落とした景和はもう立派な戦士である。初対面で成すすべなく逃げ纏っていた頃を思い出すと自然と顔がほころびる。そして祢音と道長にこう伝える。
「タイクーン達の所に行ってくる。悪いがダパーンを頼む」
「うん、解った....」
2人に承諾を貰い立ち去ろうとする英寿。
しかし去り際に一度足を止め、すっかり戦意を喪失し崩れ落ちている奏斗に再び向き直った。
「ダパーン。お前の言う勝ち組の俺が何を言っても火に油だろうがな、これだけはハッキリ言わせろ。誰かを救いたいと本気で願い命を懸けた時、それは見下した行動にはならない。
例えそれが煩わしと感じようと、世界には綺麗事を望み実行する奴は必ず存在する。
また誰かの幸せが憎くなったら何時でも俺を殴りに来い。幾らでもサンドバックになってやる」
それだけ言って去っていく英寿。無言で地面を見下ろす奏斗に道長と祢音も自分の想いを伝えた。
「アイツが自分を殴らせた意味、今のお前なら解るんじゃないのか?」
「英寿は全ての人を幸せを願ってる。その中には貴方の心も含まれてるの。だからお願い。自分がどうなっても良いなんて言わないで?」
自分を殴らせると言う事は安全圏で物を言うつもりは無いと言う証。
英寿は自分が憎まれ役になる事で奏斗を破滅願望から解放しようとしているのだ。
「............」
奏斗は只管俯いたまま無言である。この後彼がどの様な行動に出るか、二人には解らない。それでも英寿の優しさが心に響いてる事を願うのだった。
◆
無人の道路の上で大の字で仰向けになっている景和と真司。
鉄壁の要塞をを撃破後はこの様に暫し放心状態が続いた。
先ほどの大規模な戦いが嘘かと思うぐらい空は快晴である。
「あぁーっ..........やべえ.......ちょっと....張り切り過ぎた.....」
「そう......ですね......」
勝利を実感した途端、真司は凄まじい疲労感に見舞われた。致命的な負傷は無いのに今は指一本動かす気にもならない。龍騎としての体力補正の恩恵と言えど流石にあの暴れぶりは無理をし過ぎた。
襲い来る疲労により改めて自分の年齢を実感してしまう真司。その横で景和もまた、今の自分の事を考えていた。
(結局.......この力もアイツに選ばれたから有るんだよな.........)
無言で己のデザイアドライバーを掲げ見つめる景和。思い浮かぶのは散々自分を弄び利用した醜い蛙。しかし彼がライダーに選ばなければ自分は誰も守れない普通の市民だった。
仮面ライダーになれたからこそ、ゾンビサバイバルゲームで真司を守る事も出来た。
不本意だが、その事にだけはケケラに感謝しなくてはならない。
何れまた相まみえる事だろう。例え倒すべき敵だろうと、その時はハッキリ自分の気持ちを伝えようと考えた。
しかしそれはまた後の話。今は隣に居る恩人に言うべき事が先だ。
景和は体を起こし、側で倒れていた真司に向き直る。
「真司さん......すみません.......俺のせいでこんな........」
事情はどうあれ、自分の過ちが原因で尊敬する人間に刃を向け戦いに巻き込んでしまった。
負い目を感じ深々と頭を下げ謝罪する景和。だが真司は責めなかった。気にするなと言うそぶりで軽い笑みを返す。
「まあ...こっちが勝手にやった事だからさ。それに、君にとって一番謝るべき相手は俺じゃない。そうだろ?」
「............」
「何でも一人で抱え込みたい気持ち、俺にも解るよ。けどさ、さっき言った通り景和には寄り添ってくれる人間は多い筈だ。少しでも可能性が有って、同じ様に悩んで、一緒に進んでいく。そんな仲間が一人でも居るとそれだけでも自分の中で大きな力になるんだ。それだけは忘れないでくれ。俺の場合は方法を探す余裕も無くなったからな.....」
「真司さん......」
自らの過去からの教訓を元に諭されては返す言葉も無い。彼は自分と同じような思いをさせたくなかった。己の願いを掛けた命がけ戦い。それだけ13人のライダーバトルは悲痛な物だったのだろうと、景和は改めて思うのだった。
「まさかあの鉄壁の要塞まで落とすとはな」
そこへ現れる青年が一人。浮世英寿だ。デザグラでまず破壊不可能とされる城を落とした事にかなり関心した表情を浮かべている。
出会い頭に軽く手を上げ挨拶をかわす英寿。
「英寿.....」
「英寿君....その顔は.....?」
「ん? ああ、心配ない。アンタが気にする事じゃないさ」
奏斗に何度も殴られ所々痣が見える顔面を見て心配する真司を英寿はすました表情で受け流す。
「いや絶対何かあっただろその傷?」
「仮面ライダーやってれば何時もの事だろ」
「いやそうだけどさ......」
心配する真司とそんなやり取りをする中で、英寿はようやく景和に視線を送った。
視線に気づき、真司は二人に話し合いの場を設ける為静かに後ずさる。
「憑き物が取れたって顔だな。タイクーン」
「………」
途端に真顔になる英寿と目が合った途端、一層表情をこわばらせる景和。これまでの経緯を考えれば非常に話をかけ辛い。
だがこれは自分が招いた事でもある。彼から逃げる訳にはいかない。
「............英寿.......こんな事言っても済ないだろうけど........ごめん!......俺、君に色々酷い事を.....」
深々と頭を下げる景和。そんな彼の耳に届くのは、氷の様に冷たさと怒りが混ぜ合わった様な英寿の声。
「ああ、ホント最悪だ。人の親を散々悪人呼ばわりした挙句、ツムリまで創生の女神にする為に運営と手を組んだだけでなく世界までこんなにメチャクチャにしたんだからな」
「......」
頭を下げてるので英寿がどんな表情を向けてるのかは確認できないが、声質だけでも凄まじい怒りを感じる。とにかく圧が凄い。当然の反応だ。自分は短期間で罪を重ね過ぎた。
「落とし前はきっちりつけないとな? まずは.........」
英寿はあえて言葉を焦らす。どんな罰も受けようと覚悟を決める景和。そして彼に与えられた処罰は.......
「きつねうどん、1年分奢れ」
「...................................................................え?」
今、何と言った? 一瞬脳が付いていかなかった景和に対し更に言葉が追加される。
「沙羅さんを無事救い出せたらな」
「え? え?」
理解出来ないまま顔を上げた景和の視界に映ったのは、「また化かされたな?」と言わんばかりの悪戯めいた笑みを浮かべる英寿だった。しかしその笑みも直ぐ真剣な物になる。
「俺達の元に戻って来い、タイクーン」
「ま、待ってくれよ。俺、君まで手にかけようとしたんだけど......」
「こっちは最初からお前と戦うのは乗り気じゃなかった。やり方はどうあれ、お前は姉を助けたかっただけだろ。家族を気遣う気持ちは理解してるつもりだ」
動揺を隠しきれない景和。あれだけ敵対した自分をこうも簡単に受け入れると言うのか?英寿は話を続ける。
「力じゃお前を変えられない、ずっとそう思ってた。だから俺は一度賭けてみたんだ。勝敗以外の説得でお前を止められそうな彼にな。もし龍騎が現れなかったら、このままお前と一線交えてただろう。タイクーン。沙羅さんを救える方法は確かに見つけた。後はお前が信じるだけなんだ」
只管真剣な表情で訴える英寿。
しかし景和はここへ来て若干疑心暗鬼になってしまう。真司から聞いてるのはあくまで「救えるかもしれない」と言う可能性である。女神に頼らずそんな都合の良い方法が有るのか、正直不安は晴れない。
世の中真面な人生を生きてれば物事を簡単に全て信じ切る人間などそう簡単には居ない。
「........けど俺...........そんな頑なに信じる事なんて......」
「だったらまずお前が一番何をしたいか思い描け。それが最善の方法だ。もし沙羅さんを救い出す事ができれば、お前も痛感する筈だ。信じる事がどれだけ大きな力になるかを」
「英寿..........」
和解の証に手を差し伸べる英寿。景和はそっと手をとった。感極まる思いだった。こんな自分を許してくれる事が。同時に英寿を殺める必要が完全になくなった事に安心し、必死で涙を堪えるのだった。
「.................うどん1年分って......幾らだよ.....」
「何だ? そこ本気にしたのか?」
「っ!........また化かした.........」
どうやら丸く収まった様だ。英寿と景和の様子を見て真司も心底安心し表情を緩めた。
「それで、姉ちゃんを助ける方法って?」
「まずは世界を元に戻す。その為には…」
「止めて下さい!英寿様、景和様!」
「!」
と、そこへ会話を割って入る声。見ると乱れた全身を白いドレスに身を包んだ女性が息を切らしながら立ち尽くしていた。
ジット達によって創生の女神になり掛けていたツムリであった。辛うじて運営のアジトからへ脱出した彼女は景和と英寿の戦いを止める為にここまで全速力で走って来たのである。
「ツムリ?」
「英寿様は誰よりも人々の幸せを願ってます!その中には景和様も含まれてるのです!そんな二人が戦うなんて......って、あれ?」
しかし彼女はここまで移動してる間、ギーツとタイクーンの情報が一切入って来ていない。
故に既に和解した雰囲気を醸し出す英寿達を見て呆気に取られていた。
状況を上手く把握できてなさそうなツムリを見て英寿は小さく笑った。これは安心したのと同時に上手く逃がしてくれたパンクジャックこと晴家ウィンにも感謝しての笑みだ。
「.......お二人様、戦っていらしてたのでは??」
「ああ。もう良いんだよ姉さん。タイクーンと敵対する必要は無い。だから安心してくれ」
「そう....なんですか.....よか.........った........うぐっ!....」
安堵した表情を浮かべたツムリ。しかしここで彼女に異変が起きる。突如苦しそうに胸を抑え、その場で倒れ込んだのだ。
「ツムリ!?」
地面に伏せる直前で英寿が彼女の体を受け止めるが、そこへ更なる異変が襲う。ツムリの手足のつま先から全身にかけて少しづつ石化し始めたのだ。通常なら誰もが驚愕する光景だが英寿と景和はこの症状が何なのか心辺りが有った。
「英寿、これって....」
「まさか、女神化が進んでるのか?」
元々ツムリは次期創生の女神となる様、運営により人工的に造りだされた存在である。
彼女にナビゲーターに任命したのも欲に満ちたデザグラ参加者達を見せる事で感情を育ませ力を開花させる為だ。
既に創生の神を作成するドライバーの力を彼女は浴びている。意思を消滅させる女神化に抗う事はまず不可能であり、今までは彼女の強い意思が強引に女神化に抗っていたがそれにも限界が来た。
自ら創生の力を酷使した影響もあり、ゲームマスターが居ないこの場で突発的に女神化が始まってもおかしくはないのかもしれない。
「ツムリ.....俺のせいで君はこんな!」
「違い....ます....景和様の.....せい.......じゃありません.......」
運営に手をした自分を改めて責める景和に対し、ツムリは息を切らしながらも彼を施す。
「..............これは......わたしに課せられた......運命......わたしにしか.........出来ない.......使命.....だから......」
「本当にそうか?」
この場の誰よりも納得が行かないと言う表情で英寿が話を割った。
「英....寿...?」
「それは本当に......ツムリが望んでる事なのか?」
やがて彼は石化が進むツムリの右手を強く掴み叫ぶ。
「運命とか使命とか関係ない! お前の本当の願いは何だ!? あるなら言え、そして信じ続けろ! 必ず叶うと! 諦めない限り、望み続ける限り誰もが幸せになれる権利は有るんだ!!」
滅多に自分を出さない英寿から送られる感情的な激励。
諦めなければ願いは叶う。口だけならさも簡単に言葉に出来る古い感情論かもしれない。
しかし彼はそれを実現してみせた。2000年と言う途方も無い時間をかけ何時か会えると信じ続けた結果、最後の最後で母・ミツメと再会する事が出来た。
全ては己の一番叶えたい願いを叶える為に、幾度と無く戦い続けた男。
そんな姿をずっと側で見て来たツムリだからこそ、彼の言葉は消え行く意識の中でも大きな支えとなっただろう。
「.......わたしの...............願い...............は........」
最後の力を振り絞り一番の願望を口にした。
「誰もが.......幸せになる世界を...........英寿と..........一緒に....................見たい.......」
それが一番聞きたかった、と言う気持ちでほんの少しだけ英寿の表情が緩む。
すると繋がれた二つの手の上に景和が自らの手を重ねる。
「タイクーン...」
「俺も見てみたい。ツムリも英寿も、今度こそ皆が幸せになれる世界平和を!」
今までは他人への配慮に気を配って来た彼だったが、それはあくまで社会常識と言う認識であり、実際は家族の平和があってこその世界平和であった景和。
偽りの世界平和を抱いていた事に自分ですら気づいていなかった。
しかし真司や英寿の様に家族以外の人間にも自分を支えてくれる存在に触れた事で、彼の心境は大きく変化したのだった。
今は英寿とツムリが望む平和な世界が見たい。純粋にそう思うようになれたのだった。
それに加え更にもう一人の手が上に重なる。真司だ。
「皆で願えば、必ず叶う。だろ?」
真司も願った。英寿が願う幸せな世界を。
嘗て「皆が変われば自然とライダーの戦いは無くなる」と信じたあの頃の様に。
「ああ、必ず叶える。誰もが幸せになれる世界を!」
そして、この場に居る4人の願いが一つになった時、英寿とツムリの全身から眩い光が放たれた。
「.......あれ.........私は?」
気が付けば輝きは消え、ツムリは自らの姿を見て驚愕した。
女神のなり掛けから元のナビゲーター時の姿に戻っていたのだ。意識もハッキリしており体の中を蔓延っていた創生の力は感じない。完全に元の自分に戻った様子である。
それに対し、この場で自らの容姿が大きく変化した人物が一人。
「英寿......?」
真司も驚愕し、景和が彼の名を呼ぶ。
英寿の姿はまるで先ほどまで創生の女神のなりかけだったツムリに酷似していた。
艶やかに輝く銀髪と宝石の様に青く透き通った瞳、全身を白い衣装に身に纏い、見るからに神々しい雰囲気が溢れ出ている。
「変えてやるよ。この世界を.....」
そう言って英寿は自らのデザイアドライバーにブーストマークⅨレイズバックルを装填。
《SET IGNITION!》
《REVOLVE ON》
《DYNAMITE BOOST! GEATS Ⅸ》
彼の背後に現れた機械的な造形の円盤、九尾の狐を模したメカ「レジェンドキュウビ」が上下のボディへと変形しエントリーフォームと一つになり、全身を崇高な純白へと変貌させる。
英寿はギーツⅨへと姿を変えるのだった。
次回で一応最終回、と言うより自分の中にある最終回、真司と景和中心の話が終わりと表現します。
と言うのも実はとある読者様からもう1つの最終回のアイデアを頂き「その終わり方も良いな」と考え、あくまで参考であり100%要望に答える事は出来ませんがそちらも執筆してみようと思った次第です。
投稿ははたして1ヵ月後か2ヵ月後か?
そもそも次の話が1ヵ月後になるかもしれませんがどうか気長にお待ちして頂けると助かります。