ギーツ&龍騎IF   作:巽★敬

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久々の投稿です。 長期間止まってすみません。
気が付けばブジンソードが登場してから1年....更に新ライダー発表と日々が過ぎるのがあっと言う間ですね。
今回で龍騎とタイクーンの話は終わりです。
前から告知した通り次回で本当の最終回になります。
これを書き終えたら当分ギーツ関連の話は描かないと思います。
また2、3か月は費やしそうですが....


※お詫びと訂正のお知らせ


勝手ながら最終回の前にもう一章新しい話を挟む事にいたしました。
最終回に影響の無い内容ですが、それでもこれを書かずに終わると自分の中でモヤモヤが残るので。
今までどう書けば良いのか一向にアイデアが浮かばず流そうとすら思ってた話ですが、ようやく形になりはじめ、現在執筆が進んでる状態です。

毎度宣言通りにならない事をお詫び申し上げます。


龍騎 vs タイクーン 13 「純粋な願い」

 

 世界を瞬く間に包み込む尨大な光と鐘の音色。

 

 英寿、ツムリ、景和に真司。

「誰もが幸せになる世界に」と言う4人の願いは新たな変化を齎した。

 

 創生の力の効力は誰かの願いの強さに比例する。

 ツムリと英寿。二つの創生の力が共鳴し、英寿はツムリから創生の力を全て吸収してしまったのだ。

 

 誰もが幸せになれる世界を。

 

  その為にはまずツムリを運命から解放する。英寿はそう考えたのだろう。

彼等の願い、諦めず信じる心は運営もベロバ達オーディエンスすらも予想外の奇跡を果たしたのだ。

 

 

 

 気が付くと、英寿、景和、真司の3人は辺り一面を星々が多い神殿の様な柱が立ち並ぶ不思議な空間に集まっていた。

 

ここは創生の間。

運営が女神を創生の呪縛で管理する為の場だ。

ここへ来た直後、四方八方から有刺鉄線が伸び英寿の両腕を拘束する。

 

「…どうやら俺自身が、創生の神になりかけてるみたいだな……」

「!」

「そんな……」

 

 英寿の言葉に真司と景和は絶句する。

世界を自らの意思で造り直す代償は予想以上に大きかった様だ。

 

 突如として英寿の脳裏に首都圏の姿が浮かび上がる。

神に等しい力を手にした事で世界の様々な情報をリアルタイムで取得してしまう様だ。

頭の中のヴィジョンは非常に鮮明であり街中で響き渡る音響もハッキリ聞き取れた。

すると、とある高層ビルに設置された大型ビジョンに現時点でのデザグラゲームマスター・ジットが映しだされた。

 

『古代人に次ぐ。我々はこの時代から遥か未来から訪れた存在だ。これより、この世界を破滅へと導く究極のリアリティショー.....バットエンドゲーム!を、開催する......』

 

 モニターの向こうの市民達を蔑む様に語りかけるジットに、英寿は危機感を覚える。

 

「ジットが人類に宣戦布告した。バットエンドゲームが始まる....」

「何だよそれ.......」

「何がゲームだよ....アイツ等.....また何か始める気か!」

 

 オーディエンスが思いのままに世界をバットエンドに導く、バットエンドゲーム。ゲームと言いつつやる事はただの破壊活動だ。拘束されたままでも英寿の闘志は一切弱っていない。

何が来ようと立ち向かうだけだ。そう呟く。

 

 やがて新たなイメージが頭の中に映り込む。

それは道長が変身する仮面ライダーバッファが、べロバと交戦する光景だった。

ナッジスパロウこと五十鈴大智が全人類の記憶を保持する為に発明した「知恵の樹」

それをべロバが奪おうとしているのだ。

知恵の樹は沙羅を救う為に必要な物だ。道長はそれを死守するつもりなのだ。

 

「バッファが戦っている。行ってサポートしてやってくれ。アイツ、命を掛けようとしている。沙羅さんを救うために」

「でも君が....」

 

 道長が沙羅を助ける為に奮闘してる事は既に真司から聞いてる。だからこそ景和は今創生の神へとなり掛けている英寿にも心配の目を向けるが、英寿から目の光は消えておらず景和の目を直視する。

 

「俺の事は心配するな。最後にこれだけは言っておく。誰かもが幸せになれる世界を作る術は、罪を憎んで人を憎まない事だ。憎い物全てを破壊した先に残るのは.....寂しさだけだ」

「英寿............」

 

 それは英寿自身も言えた事だった。創生の女神がミツメだと知った時、デザグラ運営に激しい憎悪を覚え、ブーストマークⅢレイズバックルを手にした。 

 元々母から創世の力を継承していた事で手にした新たな力。しかし憎しみも相まってその強大過ぎる力は制御出来きず危険な代物だった。もしあのまま怒りのまま暴れ回っていたら、ミツメと最後に会う事も叶わなかっただろう。だからこそ景和に復讐鬼になってほしくなかった。

 

「.....................」

 

 真司も英寿の言葉で過去の戦いを思い返す。誰かの命を奪えばそれは新たな罪を生み憎しみが生まれる理由になる。

 その戦いでは他人の命を平然と奪うライダーと対峙した事が有った。あの時容赦なくそのライダーの命を奪っていたら....自分は悔やまずに平然としてられるか自信が無い。

 

「...........解った。英寿も必ず戻って来なよ?」

「俺を誰だと思ってる?狐だぜ」

「はは、そうだったね」

 

 こんな時でも軽口で叩ける英寿の図太さは確かな安心感を感じる。この男ならあのいけ好かないゲームマスターを軽く化かせるだろう。

 英寿の想いが伝わり景和は去り際に真司に向き直る。

 

「真司さん。ケケラの事は任せて下さい。アイツには一つ言って起きたい事があるんで」

「ああ。無茶すんなよ」

 

 そう言って軽い笑みを返すと景和は創生の間から消えていった。英寿の力でバッファの元へと送られたのだ。

 

「龍騎」

 

 景和が居なくなり、英寿は真司に話を向ける。

 

「アンタには感謝するよ。俺だけだったらタイクーンとの戦いは避けられなかっただろうからな」

「いや、例を言うのは俺の方っていうか。ある意味、昔の願いを叶えてくれたし」

「?」

 

  面と向かって礼を言われ少しはにかむ真司。

ライダー同士の戦いを止めたい。

20年前に抱いていた願いが、今回景和と止める事で変則的ではあるが叶えられた。

英寿が自分に力添えしてくれなければ有り得なかっただろう。

 

 しかし真司は今、他に気になる事があった。

 

「ところで、一つ聞いて良いかい?」

「何だ?」

「世界を作り変えるには結局女神の力が必要だった。君は最初から創生の神になる気だったんじゃないのか? 自分がツムリの変わりなれば世界も救えるって」

「...........................ちょっとした賭けだったけどな」

 

 少し間を開けてから英寿は打ち明けた。ミツメから力を継承したと言っても英寿の創生の力は不完全な物だった。

 ツムリから力を確実に吸収出来るかどうかは完全な博打である。その真意を誰にも打ち明けなかったのは、道長や祢音など仲間を心配させず、自分のせいで英寿がこうなったのだと景和に余計な罪悪感を生ませない配慮だったのだろう。

 

「母さんと別れ時、決めたんだ。俺が世界を作り変える。信じれば願いが叶い、誰もが幸せになれる世界を作るってな。その為にはまず、俺が神になる必要が有るんだ。創生の力ならそれが可能だ」

「君は....本当にそれで良いのか?」

「!」

 

 真司は少し口淀んで英寿に尋ねた。これから行う問いは一人の重大な決断に苦言を呈する事になるかもしれないからだ。

 

「君はもう十分過ぎる程戦って来たんだろ? 何度も生まれ変わってデザグラに参加して。そんなになるまで君一人が背負う必要が有るのか?」

「..........................」

 

 何度も記憶を引き継ぎながらの人生、デザグラと言う人々の欲望が渦巻いく戦いの日々送り最後は人間ですらなくなってしまう。

 真司こそ、今再びライダー達の戦いに赴いているが英寿の戦歴は常人を遥かに逸脱している。端から見ればとてつもなく不幸な話に見える者も有るだろう。

 しかし英寿の決意は固かった。一旦を間を挟んでから打ち明けたのは真司が疑問を抱く気持ちも理解しているからだ。

 

「この2000年間、ずっと転生する理由を知る為に母さんを探して来た。そして知ったんだ。俺の命は...母さんの創生の力で生み出された物だって。でも父さんと母さんはただ子供を欲しがっただけだ。子供を育みたい、そんな純粋な願いを抱いただけであの人は女神なんて景品に変えられた。数世紀もの間ずっと苦しんで......そんな事、誰かに肩代わりなんて出来ない。それに.....」

 

 少し間を置く英寿。

 

「俺はもう、人として十分過ぎる程生きた。大抵の不幸も星の数程経験した。だからこそ実現したいんだ」 

「誰もが幸せになれる世界を...か?」

 

 真司の問いに静かに頷く英寿。

 

「母さんに会うと言う目的が果たせた今、俺の命はこの世界の人々の未来に託したい。それが今日まで生きて来た意味にも繋がる.......と思っている」

 

 大抵の不幸を経験した。それは経験した分だけ誰か他人の痛みを理解したと同意。だからこそ彼は全ての人間の幸せと言う壮大過ぎる願いを持つようになったのだ。

 長年生きて来たからこそ揺るがない信念と願い。端からとやかく言う資格は自分にはないと真司は思った。

 

「悪い、野暮な質問だった。忘れてくれ。しっかし、となると俺も負けてられないな」

「?」

「俺も諦めず争いの無い世界を信じてみるよ。信じれば願いは叶う。2000年も諦めず願いを叶えた君がそう言うんだ」

「...........」

 

 何か思いを馳せる様に英寿は口を紡いだ。

英寿は母に会うと言う願いを叶えた。

かなりの年月を費やしたがそれはまぎれも無い事実。

何かを言おうとした直後、嫌な気配が英寿を襲い危機感を募らせる。

 

「!......ジットがここへ来ようとしている。今すぐここから離れるんだ!」

「っ!.............」

 

  ゲームマスターのライダーシステムは一筋縄ではいかない。幾ら龍騎と言えど一人相手で太刀打ちできるかは怪しい。だから英寿は真司にこの場からは退散してほしかった。

 英寿の気持ちは察するが、やはり拘束された人間を一人置いていくのは真司にとって気が引けた。それでもここに残るのは彼の視線から感じる強い意志から反発する事になると解釈した。

 

「.......死ぬなよ.....英寿君」

「ああ。任せろ」

 

 それだけの心意気が有れば上出来だと感じ真司も軽い笑みで返した。

 

 こうして真司も元の世界へ戻り、英寿だけが創生の間に取り残された。

 

 一人になり改めて真司、そして自分の正体を知った景和の言葉を思い返し、自分の事を振り返りたくなった。

 

『俺も負けずに信じてみるよ。2000年も諦めず、願いを叶えた君がそう言うんだからな』

『どんな人生だろうと、英寿は英寿でしょ?』

 

 そして呟く。

 

「そう言や.......何時から言い始めたっけな.......」

 

 

 信じれば願いは叶う 諦めず自分を信じろ

 

 

 これまで何度も他者を鼓舞する際に発した言葉。

 この言葉を口癖にし始めたのは何時からだったか、今では良く覚えていない。

 時には「綺麗事」「妄言だ」「鬱陶しい」と煙たがれ孤立した事さえあった。

 

 しかし遠い記憶では自分に言い聞かせていた事が始まりだった気がする。

 

 自分は孤独だったのかもしれない。

 

 記憶を保持しながら何度も転生を繰り返す人生。

 地続きな生涯だった故に、幾度と無く別れを経験した。

 

 家族の死、愛人の死、友人・恩人の死、愛犬の死。

 

 その悩みは誰一人理解出来ず、長きに渡り打ち明ける事も出来なかった。

 だからこそ最初の母であるミツメを追い求めていたのかもしれない。

 母の秘密を知れば、この苦しみから解放されるかもしれないと。

 口では弱音を吐かず強がって来たが、本当は誰かに理解されたかったのではないだろうか。

 自分の真実を知られ受け入れて貰えた時、それだけがどれだけ救われた気持ちになれた事か。

 

「....................ありがとな.............」

 

 誰も居ない創生の間で英寿は小さく礼を口にした。

 

 神々しい天色の目を僅かに麗して。

 

 

        ◆

 

 英寿達の力により、世界は再び改変された。ギャングライダーズが存在する前の世界へと。

 道長はべロバとの一騎打ちに勝利し、彼女は消滅。

 大智の罪滅ぼしにより彼の犠牲者達は皆元に戻り沙羅も無事帰還する。

 景和も道長へ制裁した事を謝罪、両者共自らの非を受け入れ二人の確執は解消した。

 様々な事が丸く収まりつつある。

 

 しかし運営が健在である以上、まだまだ油断は出来ない。

 

 

 

 

 とある何処かの体育館に景和は居た。

 

 彼の前には訳も解らず突然鎖に繋がれた3人の一般人。それ等に襲い掛かる為ドアをこじ開けようとする複数のポーンジャマトがスタンバイしている。

 

 こんな鬼気迫る光景を祭りでも楽しむかの様な腹立たしく歓笑するケケラが待機していた。

彼は景和をバットエンドにさせる為に新たなゲームを仕掛けきたのだ。

 

「ルールは簡単だ。ジャマト達が襲う前にこの一般人共を救い出せ。桜井景和、今この世界に仮面ライダーはお前しか居ない。それが俺の願った世界だ。幾ら呼んでもお仲間は助けに来ないぞ。 勿論、便りにしてる龍騎先輩もなぁ?」

 

 嘲笑するケケラの説明通り、今この世界でライダーになれる者は景和しか居ない。

 創生の神が手元に無くなった事によりゲームマスターであるジットは奥の手としてヴィジョンドライバーでツムリのコピー、黒ツムリを新たに造りだした。

 願いを叶える能力をある程度使用できる黒ツムリの力により、ケケラは道長や祢音など景和以外の仮面ライダーを全員人形やオブジェクトに変えてしまったのだ。

 

 当然それは龍騎こと城戸真司も含まれており、現在彼は職場の椅子で木彫りの龍になり変わっており、同僚の突然の変貌に職場仲間たちは混乱中である。

 

 ケケラの一連の悪行に景和は憤慨した。

 

「この前負けたからって、卑怯だぞ!」

「はっ、何とでも言え。お前一人じゃ何も救えないって事を証明してやるんだよ」

 

 因みにこの現場は全世界の放送局をハッキングしライブ中継している。

ケケラは景和が敗北、もしくは自分に屈する姿を世界中に晒すつもりなのだ。

 

「ジャ~.....ジャ~....」

「い、いやあ!助けて!」

「怖いよお!」

「誰でも良いから助けてくれよ!」

 

 そうこうしている間にジャマトを抑えるドアは今にも壊れかけている。

捉えられ、恐怖に慄く一般人たち。その彼らを遮る様にケケラが不敵な笑みを浮かべながら立ちふさがる。

 

「さあ、見事救って見せろよ。ただし、俺を倒してからな.....」

《KEKERA SET!》

《PREMIUM KEKERA! LOADING》

《READY FIGHT!》

 

 プレミアムケケラへと姿を変えるケケラ。

 対する景和は所持していたニンジャバックルを見つめた。手早く助け出すならスピードを重視した方が良い。

 Vバックルレイズバックルは真司が居なくなった影響か何時の間にか手元から消えていた。

結局あのバックルは何だったのかは未だに良く解っていない。

しかしハッキリしてるのは、景和自らの手でこの場を切り開かなければならないと言う事である。

 

 因みにこの時の景和はまだ知らない事だが、黒ツムリはツムリの模造品だが決して完璧ではなく願った物が死に至るとその願いもキャンセルされる仕組みになっている。

 ここでケケラに勝利すれば道長や真司など消えた仮面ライダーは全て戻ってくるのだ。

 

(真司さん、俺も諦めないよ。貴方が戦いの無い世界を信じるように.....)

 

 デザイアドライバーをセットする景和。

 

「俺も......自分のやり方で、世界を平和にしてみせる!」

 

《SET》

 

「変身!」

 

《NINJA !》

 

 そして変身する。

 

仮面ライダータイクーンへと。

 

 

《READY.....FIGHT!》

 

 




先に述べた通り、龍騎とタイクーンの話はこれにて終了となります。

最後のケケラ戦は本家と同じ流れで決着が付思って下さい。成長した景和は真司が居なくても十分ケケラに勝てます。
この作品はあくまで「もし龍騎が介入したらどうなる?」がメインなので余り本家と変わらない部分は積極的にカットしていきます。

ケケラVSタイクーンを期待した方、申し訳ありませんでした。
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