ギーツ&龍騎IF   作:巽★敬

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自分のコロナが大分収まるも咳はまだ続いてます。


バッファ vs D王蛇 .3 「悪魔の所業」

 

 遂に終幕のデザイアグランプリの2回戦目がスタートした。

デザイア神殿の中央に浮かぶモニターには街中でジエンドライダー達による争いが映り込んでいる。浅倉を見送った後、リガドΩに扮したスエルは一体化したオーディエンス達と共にそれを高々と見物していた。

 

「極限まで追い込まれた時、人間は本性をさらけ出す。己の幸せの為なら、他人の犠牲も厭わない…...それこそが、人間の根源的本能だ。愚かな人類よ、自らの手で世界を滅ぼす様を存分に楽しませてもらうぞ?」

 

 不敵に笑うリガドΩ。そんな彼らの歪んだ娯楽に横やりを入れる人物が一人現れる。

 

「滅びるのはお前だ。スエル」

「む?」

 

 仮面ライダーギーツこと、浮世英寿だ。

此処へは関係者以外立ち入りは不可能な筈。側に居たサマスが怪訝な顔を浮かべた。

 

「ギーツ!?何故貴方がここに!?」

「私が案内したからだ」

 

 英寿の後ろから仮面を身に着けた一人のゲームマスターが現れる。ゲームマスターは直ぐに仮面を取り外しスエル達を睨みつけた。

 

「通じていたか……ギロリ」

 

 呆れた様にその男の名を呼ぶスエル。

ギロリは一時期デザグラのゲームマスターを担当した人物である。ギーツが長期間不敗を貫き他の参加者にチャンスが恵まれない事に不満を抱き、遂には運営に探りを入れ始めた事から英寿をゲームマスター自らが排除に乗り出すと言う禁忌を犯してしまった為、未来に強制送還された男である。

 終幕のデザイアグランプリを運営するに至って、スエルはあらゆるゲームマスター達を駆り立てた。

英寿は恐らくギロリも含まれているだろうと考え、ギロリも今の運営に不満を持ち彼と手を組む事にしたのだ。

 現れるや否やスエル達に猛抗議を開始するギロリ。

 

「デザイアグランプリは何時から一部のVIPのみを楽しませるコンテンツに成り下がったのだ?」

「全ての原因はギーツだ。お前とて浮世英寿を目の敵にしていた口だろう?」

 

 自分達の行いの根源を全て英寿になすりつけるリガドΩ。不敗神話を築く程の連勝から運営に探りを入れ始め、遂には創生の力まで奪いさりデザグラを存続の危機に陥れた英寿。スエルにとって邪魔者以外の何物でもなかった。

 ギロリは負けじと反論する。

 

「だが彼は今、世界平和に貢献しようとしている。彼こそが我々の求めていた仮面ライダーのあるべき姿ではないのか!」

 

 元々ギロリにとってデザイアグランプリとは「世界を救った英雄の照合がデザ神であり、その栄誉を称え理想の世界を与える」と言う自論を掲げていた。英寿を邪険にしたのもマンネリ化による視聴者離れでデザグラが存続不可能になる事を恐れての事だった。

 世界を守ると言う行為その物を評価している彼にとって、ただの殺戮ショーに成り下がったデザグラ等我慢できる筈も無い。同時に、見返りも求めず世界を守ろうとする今の英寿には強く感銘を覚えたのである。

 自らの理念を語るギロリをスエルはせせ笑った。

 

「世迷言を。幾度と無く我々の指示で動いて来た貴様が平和を語るなど、笑わせる」

「だからこそだ!私達はこれ以上、この時代に干渉すべきではない。彼等の未来はこの時代の者達に託すべきなのだ」

 

 運営の中でも最上級の権限を持つスエルに全く躊躇しない言動にサマスが鬼の様な形相で憤怒する。

 

「身を弁えなさい!! 一介のゲームマスター如きが、スエル様に意見する気?!」

「私だけではない! 世界の破滅を良しとしない、まともなオーディエンス達も居る事を忘れるな!」

 

 強硬な姿勢を崩さないギロリ。彼の言う通り、スエルに同調するオーディエンスはあくまで一部のみ。自らに賛同しない者達を全て無視しているだけであり、今の運営に苦言を申す未来人もしっかり存在しているのだ。

 

「そう言う事だ。これ以上、お前達の好きにはさせない……」

 

 こうして英寿はブーストマークⅨレイズバックルを自らのデザイアドライバーに装備する。

 

《MARK Ⅸ》

《SET IGNITION!》

 

「変身!」

 

《DYNAMITE BOOST》

《GEATS Ⅸ》

《READY.......FIGHT!!》

 

 

          ◆

 

 

 デザイア神殿にてギーツIXがリガドΩと交戦を開始した。

 

 同時刻、都心部ではD王蛇が獲物を次々と叩き伏せてる最中である。それはあまりに凄惨な光景だった。

 

 ゾンビブレイカーの刃は次々とジエンドライダー達の首や四肢、胴体を切断し絶命させる。

時には左手のバーサークローで引き裂き、肩部のゾンビスパイクSAで肉を貫く。

途中、始末した者から拝借したチェーンアレイレイズバックルを仕様。

拡張武装のレイズチェーンアレイを1人のジエンドライダーの頭に叩きつけ顔面を陥没させる。

余りの恐怖で戦闘を放棄し逃走する者に対しても、D王蛇は必殺技のチェーンアレイストライクやタクティカルブレイクを駆使し容赦なく殲滅していく。

20人以上居たジエンドライダー達は瞬く間に数を減らす。

 2回戦目が始まってまだ1分半も経過していないが、やはり烏合の衆などいくら蹴散らしても不完全燃焼である。

 

この場の雑魚は全てか?と思いきや、背後で女性のジエンドライダーが1人、足を負傷し動けなくなってる事に気付く。

ゾンビブレイカーを引き摺りながら歩み寄るとジエンドライダーは声を震わせた。

 

「い、いやぁ…お願い……もう許して…」

 

 途端に深い溜め息をつく。

まただ。昨日と合わせこれで何人目の命乞いだろうか?

派手な祭りとは言えこんなひ弱な連中をライダーに選ぶ運営の適当さには呆れ果てる。

そもそも戦意を喪失すればゲームマスターに爆破されるルールを忘れてないかコイツらは?

 

「命乞いすれば安心すんのか?」

 

躊躇いなくゾンビブレイカーを振り上げる。

スコア以外に価値の無い敵。しかしやり方次第では利点も増える。

こうして雑魚を狩り続ければ龍騎の様にある程度実力があるお人好し馬鹿を引寄せるからだ。

 

「やめろぉっ!!」

 

 そう、こんな風に。

突如放たれる飛び蹴りに軽く仰け反るD王蛇。

その隙にジエンドライダーを逃がす乱入者。

 

「早く逃げろ!」

 

乱入者・道長の力添えで足を引きずりながら何とか逃走を図るジエンドライダー。

これらの光景をD王蛇は「何を無駄な事を.....」と小さく呟きながら眺めていた。

そして、逃がしたジエンドライダーの額部のパーツがけたたましい警告音と共に点滅する。

 

「あ...ああ..いや.......いやあああああああああっ!!」

 

 次の瞬間、ジエンドライダーは盛大に爆発四散するのだった。

今から自分は死ぬんだ。そんな絶望が混じった断末魔を上げながら………

 

「っ!!.......くぅ.......」

 

 救おうとした命が無慈悲に奪われた現実。

もし王蛇など居なければ自分が囮として参加者を死なない程度に相手する事も出来たろうに。

歯を食いしばり激しく憤る道長に対し、D王蛇が何食わぬ態度で声をかけてきた。

 

「よう。また会ったな、坊や」

「………王蛇ぁ……」

 

背後には彼の手にかかったであろうジエンドライダー達の骸が血の海と共に無惨に散らばっている。

 その残虐かつ常識外れな言動は道長の逆鱗に触れるには十分だった。

更にD王蛇は呑気にスパイダーフォンに記録された道長のデータを眺めはじめる。

 彼にとってはやっとマシな相手に出会えた事への喜びの方が重要なのだ。

 

「吾妻道長、仮面ライダーバッファ。ジャマ神となって何人ものライダーを退場させた、か.....ハハ、良いぞ....」

 

 D王蛇は気分良くスパイダーフォンを閉じ、ゾンビブレイカーを道長に向けた。

 

「今日は時間も十分にある。たっぷり楽しませろよ?」

「お前の機嫌なんか知るか!! 変身!」

 

《ZOMBIE ...》

 

「今度こそお前をぶっ潰す!!」

 

 変身が終わるや否や、バッファ・ゾンビフォームは怒濤の勢いで攻め立てる。

二人のゾンビブレイカーが派手な火花を撒き散らしながら激しくぶつかり合いう。

熾烈を極めるゾンビフォーム同士の戦いは何れも互角だが、バッファは内心自分の方が有利だと感じていた。

デザロワで初対決した頃の王蛇は未知数な箇所が多く一瞬の隙が退場に繋がった。

今回はデザイアライダー同士と言う同じ土俵、しかも自分と同じゾンビフォームが相手だ。使用歴は此方の方が圧倒的に長くその特性は知り尽くしているし、何よりそのバックルは特性上、自分の方が相性が良い。

向こうがデザグラに参戦して日が浅いならまだ勝機はある。

 

 本当ならべロバを倒したあの力が使えれば決着は早いだろうが、生憎あれはグランドエンド後から自由自在に扱える物ではなくなってしまった。

あの時発動したのも土壇場で起きた奇跡みたいな物。また使える保証もない。

 無い物を強請っても仕方ない。今ある力で全力を尽くす。道長はずっとそうやって戦って来た。

 

  暫くして同じ力では埒があかないと踏んだのか、D王蛇は装備していたアームドチェーンアレイの必殺技を発動。

 

《CHAIN ARRAY STRIKE!》

 

 鎖を振り回し、黄色いエネルギーを帯びた鉄球をバッファに向けて何度も投げつける。

地面を前転好転しながら回避し続けるバッファ。

鉄球が地面にぶつかる度にコンクリートが深く陥没する。

最後の一撃を避けた時、バッファはゾンビブレイカーで鎖と鉄球の付け根を切り裂いた。

ついでにゾンビブレイカーをバット代わりに鉄球を打ち返す。

 

「おらぁっ!」

「ぐっ!!」

 

飛んできた鉄球で右胸を強打するD王蛇。怯んでる隙に一気に距離を縮め斬りかかるバッファ。しかし痛みで苦しんでると思われたD王蛇はヒラリとゾンビブレイカーの一振りを回避し背中に回り込む。

そして、 鉄球を失ったチェーンアレイの鎖のでバッファの首に素早く巻きつけ背後から締めはじめた。

 

「がぁっ……ぁ………ぁぁ………」

「へへ、どうしたぁ? “全てのライダーをぶっ潰す“……とか言ってなかったか?」

 

 首を締めながら余裕気にデザロワで初バトルした時の話を持ち出す。

D王蛇の力は凄まじく、このままでは後10秒と持たず窒息してしまいそうだ。

 打開策が無い訳ではない。直ぐにバッファは自信のデザイアドライバーを半回転させる。

 

《REVOLVE ON》

「!!」

 

 自らの体を変形させ上半身と下半身の装備を入れ替える機能、リボルブオン。

締められたバッファの首は瞬時に胴体の中へと入り込み鎖から解放される。

同時に上半身のゾンビフォームのアーマーは下半身に移動した事でバッファは逆立ちした状態でD王蛇に数発の蹴りを入れた。

 顔面と胴体へ諸に蹴りを受けたD王蛇は大きく仰け反り、その隙にバッファは距離を取り息を整える。

 

「ああ………ぶっ潰してやるよ……」

《SET》

 

 そして一旦ゾンビバックルを外し新たなバックル、コマンドジェットバックルを取り出しドライバーに装填した。

 

《GREAT!》

 

 コマンドジェットバックルを装備した事でゾンビのアーマーが消失し、エントリーフォームとなったバッファのマスクにコマンドグラスと呼ばれるゴーグルパーツが追加される。

 レイジングフォームとなったバッファは拡張武装であるレイジングソードを召喚、D王蛇に急接近し斬りつける。

 

「お前みたいに!自分の為に平然と他人を貶める奴を!」

「ぐぅ!?」

 

 己の怒りをぶつけながら、何度も剣を振るうバッファ・レイジングフォーム。

次々と繰り出される電撃と超高熱を帯びた斬撃を辛うじて防ぐD王蛇。

 直ぐに反撃を試みたが、無駄な部品が省かれたレイジングフォームは比較的小回りが効きバッファにとって攻撃を回避するのは容易だった。

 最後は前方からD王蛇を飛び越え背後に回り、背中を斬りつける。

 大きく仰け反り転倒するD王蛇。

 

 レイジングソードは一定数攻撃を当てる事でエネルギーがチャージされ、満タンになれば剣に付属されたコマンドキャノンバックルを外す事が出来る。

 D王蛇が痛みで動けない内にバッファはコマンドキャノンバックルを取り外し、コマンドジェットバックルの隣に装填する。

 

《TWIN SET》

《TAKE OFF COMPLETE, JET AND CANNON!》

《READY FIGHT!》

 

 無地のエントリーフォームだったバッファの全身に白銀の重装甲が装備される。

コマンドフォーム・キャノンモードへと変身を遂げたのだ。

 

「徹底的になあぁ!!」

 

 すかさず両肩に装備されたトロンキャノンから荷電粒子を含んだ光弾を連射。辛うじて直撃を回避したD王蛇だったが複数の弾が地面に命中し巨大な爆発が彼を襲う。

 

「ぐおおああああっ!!」

 

 大きく吹き飛ばされ側のビルの壁を突き破る。全身にコンクリート瓦礫が覆いかぶさり、D王蛇の体を隠した。

 暫しの静寂が辺りを包む。息を整えながらも油断せず瓦礫を直視しながら身構えるバッファ・コマンドフォーム。この程度で終わらないのは歴戦の勘で容易に想像出来る。

 

「...........はっはっは........」

「.............」

 

 予想通り、瓦礫の中からD王蛇が起き上がって来た。静かで不気味に笑いながら。

その姿は上半身がエントリーフォームであり、ゾンビフォームの装甲が下半身に移っている。

 彼方も瓦礫の中でリボルブオンしたようだ。

 

「やるなぁ?…もう坊やとは呼べねえ…」

 

あれだけ攻撃を受けたにも関わらず沸き上がる感情は強者と会えた歓迎と喜びらしい。

つくづく理解し難い思考にバッファCは内心寒気を覚えた。

 

「やっぱり戦いは........こうじゃないとな」

 

そして唐突に取り出されたバックルを見てバッファCは旋律した。

D王蛇が手にしてた物、それは景和が真司から譲り受けたと聞いていたVバックルレイズバックルだったのだ。

しかし景和が所持してた物と違い、クリアカバー内のデッキ部分は紫色でコブラのエンブレムが描かれている。

直ぐ側には蓋が開いたアイテムボックスが転がっており、オーディエンスからの支給品である事が解る。

 

「それは!?」

「俺が使ってた物の上位互換……だとよ」

 

 そう言ってD王蛇は立ち上がりゾンビバックルの隣にVバックルレイズバックルをセットする。

 

《V BUCKLE》

 

 幾つもの巨像が重なり、D王蛇の上半身に新たなアーマーが装着される。

ベノチェストと呼ばれる装甲、マスクの口部分と顎部分は銀と黒に塗装され、下半身がゾンビフォームと言う事以外は嘗てミラーワールドで戦っていた頃の王蛇とほぼ同じ外見となった。

 

 デザイアライダー王蛇オリジン、オリジンゾンビフォームとでも命名するか。

 

「あぁ.........」

 

 こちらの方がしっくりくるとでも言いたそうに軽く頭を回すD王蛇OZ。

 オリジンフォームの機能により拡張武装であるベノサーベルが左手に召喚される。

 

《SWORD VENT》

「........................................」

「フフフ..........................」

 

 新たなるバックルの登場に一層警戒心を強めるバッファCに対し、仮面の奥で不敵な笑みを崩さないD王蛇OZ。レイジングソードとベノサーベル。互いの武器を構え、暫しの間沈黙する両者。 

 

《READY....FIGHT!》

「うおおおおおおおおっ!!」

 

 少し遅れて発せられた王蛇のドライバー音声を皮切りに、再びトロンキャノンを連射するバッファC。

回避しようと直ぐに横へ疾走するD王蛇OZ。しかしトロンキャノンから放たれる光弾はターゲットをある程度追尾する機能が有り通常回避するのは容易ではない。今回も例外なく標的を追尾するするが....

 

《ZOMBIE STRIKE!》

 

 走りながらゾンビレイズバックルのウェイキングキーを回すD王蛇OZ。すると必殺技であるゾンビストライクの能力により彼が走る背後から巨大な墓石が瞬時に聳え立ち、光弾を防いだ。

 尚も墓石を召喚しながら疾走し光弾をやり過ごす。

 

「はは、はっはっはっはっはぁ!!」

 

 光弾を回避しながらD王蛇OZは高笑いする。

 

 そう言えば昔、逆恨みしたアイツとこんな死合いをしていた様な気がする。

 奇妙なデジャブがたまらなく可笑しく、楽しい。

 これだから戦いは止められない。

 そんな喜びがD王蛇OZの闘争本能を更に駆り立てる。

 

 やがてバッファCへと方向転換し、徐々に此方に近付き始めた。

 躊躇わず光弾を放つが、真正面から放った弾は全てベノサーベルによって弾かれてしまった。

 そしてゾンビストライクの効果で地面から飛び出した墓石をジャンプ台替わりに飛び上がりベノサーベルで斬りかかる。

 バッファCは背部のスラスターを吹かせてホバー移動で回避。距離を取った後直ぐにバックルを回転させた。

 

《REVOLVE ON》

 

 全身が再び変形、回転しコマンドフォームがキャノンモードからジェットモードへと切り替わる。

飛行能力に特化したコマンドフォームジェットモードはスラスターを吹かせながら空高く飛翔する。

 今度は空から攻めようと言う事だ。

 一瞬で10数メートル以上まで飛び上がるバッファCを見上げるD王蛇OZ。そしてVバックルレイズバックルのクリアカバーに相当するスイッチを1回押した。

 

《ADVENT》

「シャアアァァァァっ!!」

「!?」

 

 次の瞬間、飛行してるバッファCの直ぐ隣に聳え立つビル内から全長6メートルを超えるだろう巨大な紫色のコブラが壁を突き破って飛び掛かってきた。

 オリジンフォームにより使役可能となるミラーモンスター、ベノスネーカーである。

 

 バッファCは空中で体を大きくそらし、ベノスネーカーの奇襲を間一髪回避。

地上へ着地したベノスネーカーは直ぐに反転しバッファCに向けて口から黄色い毒液を放射した。

 毒液を掻い潜りながら接近しレイジングソードでベノスネーカーの顔を斬りつけ着地する。

 

「そう言えば、お前にも仮を返さないとな?」

 

 此方を睨みつけるベノスネーカーに吐き捨てるバッファC。

デザロワでは王蛇が召喚したコイツに不意を突かれ敗北した。今ここでリベンジと行きたい所だ。

 

 空かさず口から黄色い毒液を飛ばすベノスネーカー。即座に回避するバッファC。振り返ると背後のビルの壁が毒液に触れた事で瞬時に溶解する。尚も繰り返し飛んでくる毒液を空中で掻い潜りながら急接近。レイジングソードでベノスネーカーの胴体を斬りつけた。

 少しの間この巨大なコブラとの奮闘が続く。ベノスネーカー事態身軽で動き事態は素早い物の空中から攻めて来るバッファC・ジェットモードには中々攻撃が当たらず苦戦を強いてる様子だった。

 

 再度ベノスネーカーの背後を取り、空中から斬撃を飛ばそうとするバッファC。

 しかし.....

 

「俺を忘れるな?」

「!?」

 

 何時の間にか、空中に居るにも拘わらずD王蛇が直ぐ隣でベノサーベルを構えていた。

直ぐにレイジングソードで防ぎ、両者ともに地面へ着地する。

 

(ブーストまで有るのかよ!)

 

 D王蛇の下半身が赤い装甲、ブーストフォームに変わっていた。飛行していたバッファCに追いつけたのもアレが理由だ。

 デザイアライダー王蛇・オリジンブーストフォームは超スピードで急接近。ベノサーベルと炎を纏った蹴りを繰り返し攻めていく。レイジングソードで数回防がれた後、スピードで切り抜けるD王蛇OB。

反動で後ずさるバッファC。 その後壁を蹴って荒ぶる炎を纏った飛び蹴りを繰り出す。

 飛び蹴りは胸の中心にヒットしそのまま転倒。

 バッファCを踏みつける状態となったD王蛇OBは足のマフラーから炎を吹き荒らし踏みつける力を強める。

 

「ははは、はっはっはっは!」

「ぐうぅ!」

《REVOLVE ON》

 

 尚も楽しそうに笑いながら、ベノサーベルを振りかざす。しかし再度リボルブオンするバッファC。瞬時にキャノンモードに変形し直し、トロンキャノンを発射。王蛇は超スピードで疾走し、更に追撃が続く。

 こうしてバッファCはキャノンモードとジェットモードを使い分けながらD王蛇とベノスネーカーと激闘を繰り広げる。

 

 途中、バッファCの注意がベノスネーカーのみに集中する。その隙にD王蛇OBは足を止めた。

超スピードから急停止した途端、反動で一瞬だけよろめいた。

 

「ッチ。どうも使い辛い.......」

 

 舌打ちしながらブーストバックルを引き抜く。

トレーニングを重ねたとは言えデザイアドライバーを使って日が浅い浅倉にとって、ブーストの超スピードにはまだ慣れが必要だ。オマケに一度繰り出せば使用不可能と言う制限もあり迂闊に必殺技を仕様出来ないのもストレスだ。

 

 ここで何かを閃いた様に空中のバッファCを見上げながら、再び下半身をゾンビフォームに変える。

 

 その一方で、バッファCは空中でレイジングソードから一際巨大な斬撃をベノスネーカーに浴びせた。

左頸部を斬りつけられたベノスネーカーは奇声を上げながら倒れ込む。

 しかしタダでは転ばなかった。

 倒れる途中ベノスネーカーは苦し紛れに適当に上空へ毒液を霧状に噴射。それが地上へ落下しコマンドフォームの左翼「ウインガンカー」に付着してしまったのだ。

 (しまった!)と気づいた時には時遅し。毒液が付着した左翼は煙を上げあっという間に溶解してしまう。ウインガンカーは空中で急旋回や空中静止に重要な姿勢制御装置である。

 これでは真面に飛行する事が出来ない。

 

 直ぐにリボルブオンをし直し、キャノンモードへ移行するバッファC。

そこへD王蛇OZが両手を広げながら疾走してくる。

 

《ZOMBIE STRIKE!》

「ああああっ、はあっ!」

 

 再びウェイキングキーを回す。ゾンビストライクの効力により、D王蛇OZは両足に黒い毒液を大量に纏ったドロップキックを繰り出した。

 バッファCは速やかにレイジングソードのバックルソケット横のボタンを押し、刀身に炎と雷撃を纏せD王蛇OZを斬り裂く。

 

《RAISE CHARGE》

《TACTICAL RAISING》

「ぐおぉっ!」

 

 刃を受け、大きく飛び、地面を転がるD王蛇OZ。

先ほど放ったタクティカルレイジングは本来、フルパワーで放てば鉄壁の要塞である城ジャマトすらも一撃で粉砕してしまう程の威力を持った必殺技だ。なのにD王蛇OZの様子だと決定打になっていない。

 

 怪訝に思ったバッファCはレイジングソードを見て異変に気付いた。

 先ほど放たれた毒液の影響で刃の一部が溶解している。どうやらこれにより出力が落ちたらしい。D王蛇はこれを見越してゾンビに切り替えたのだが、悶えてる以上ある程度ダメージは通った事が伺える。

 

「どうした?......その程度か?」

 

 息を切らしながらも、これまでのお返しと言わんばかりに昨日浅倉に吐かれた同じセリフで挑発するバッファC。

 D王蛇OZは暫く仰向けに倒れていた体を緩やかに起こす。

 

「ははは............さぁ........どうだろうなぁ?」

「?」

 

 どこか含みの有る言い回しに身構えるバッファC。

 

 その時である。

 

 突然彼の足を後ろから一人のジエンドライダーが掴みかかる。

ジエンドライダーはそのままバッファCの背中まで這い上がってきた。

 

「! おい離せ! 今はお前の相手してる場合じゃない!」

「..........ううぅ.......お.....おお........」

 

 唸る様な声を上げるジエンドライダー。振り払おうとするが中々離さない。

ここでバッファCは違和感を覚えた。

 何故このジエンドライダーは掴みかかって来ているのか?自分を倒すのが目的なら殴るなり武器を振りかざすなりもっと直接的な攻撃をしてくる筈。それに何処か様子がおかしい。

 声の調子からしてこのライダーは男性だろうが、成人男性にしては異常に軽い。

 

 改めて謎のジエンドライダーを観察してみる。

 

 

 そして気が付いた。

 

 

 そのジエンドライダーに

 

 腰から下が存在しない事に。

 

「うわああっ!?」

 

 思わずジエンドライダーを振り払うバッファC。

 

 ドサっと鈍い音と共に地面に叩きつけられるジエンドライダー。彼の腰部分はD王蛇のゾンビブレイカーによって切断された跡がハッキリ残っている。脊椎が切断されて生きてる人間など居ない。それでも尚もジエンドライダーは両腕だけで這いつくばり、バッファCに向かおうとしている。

 

 異様な光景に息を飲んでいると、更に別方向から声が聞こえて来た。

 

「........ライダぁ...........たおすぅぅ...........」

「!?」 

 

 バッファCは眼を疑った。

 彼が目を向けた方角には、20人以上のジエンドライダー達がユラユラと覚束ない足取りで進行して来ている。

両腕が完全に切断された者、首が明後日の方角へ捻じれた者、胴体に風穴は空いた者、

どれも常人ならとても生存出来ないだろう損傷を負った者ばかりだ。

 

「....一体....何が.....」

 

 あまりの異例事態に思わず後ずさるバッファC。

どの人物もまるでゾンビの様な足取りで、しかし確実に此方を標的に歩いてきている。

 

 ゾンビの様に

 

 ゾンビ.................

 

 バッファCは有る事に気が付いた。それは今まで自分が愛用してきたゾンビフォームが持つ特性の一つである。

 

「まさかお前!?」

 

 からくりに気付いたバッファCはD王蛇OZを睨みつける。予想が正しければ、それはとても容認出来ない、あまりも常軌を逸した恐ろしい行動だから。

しかし体を起こしたD王蛇OZが此方に笑いを返してる時点でその予想が的中した事を意味する。

 

 

 ゾンビフォームが持つ機能の一つ。

 両肩や両膝から突起した角・ゾンビスパイク。ここから毒を注入し、ゾンビを作り出す。

 

 D王蛇OZはそれを人間相手に仕様したのだ。

 

 

 真相に気づいたバッファCを、目の前の悪魔が何食わぬ声で質問する。

 

 

 

「何だ?...こう言うモンなんだろ。違うのか?」

 

 

 




レジェンドライダーが自分のレジェンドアイテムを使うと言う設定の為、名前を「オリジンフォーム」に変更しました。
流石に「王蛇・王蛇フォーム」はちょっと…

また、龍騎のvバックルレイズバックル同様本家から色々仕様を変更しています。
本家ではボタンを1度押すとファイナルベントでしたが此方ではアドベントとなっています。
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