ギーツ&龍騎IF   作:巽★敬

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久々の投稿です。

とりあえず完成した所まで上げます。


バッファ vs D王蛇 .4 「報いと贖罪」

 

ゾンビフォームの各部位には「poi-zom」と呼ばれる毒を供給している。

これは流し込まれた生物の筋肉を弛緩し思考を狂わせる事でゾンビの様に豹変させる効果を持つ。

先程道長と戦う前、ゾンビフォームだったD王蛇はこれをジエンドライダー達に注入しており、その効果が今になって現れたのだ。

生存中の生物に作用する能力だが「ゾンビの群れを生み出す」と言う作用も存在する為、死人すらゾンビに変えてしまったのだ。

 

本来はジャマトへのみ使用が想定されており、人間相手に使用するなど言語道断。

まともなゲームなら即刻退場される重大違反行為だが、こんな非人道的所業をも容認する今の運営が如何に腐りきってるかが見て取れる。

既にリタイア状態だろうジエンドライダー達が爆破されないのも、D王蛇を応援するオーディエンス達の意思だ。

 

猪突猛進タイプで他者を支配する行為を嫌う道長は例え相手がジャマトだろうと基本この能力を使って来なかった。

 

ゾンビ化したジエンドライダー改め、ゾンビライダー達を前に思わず後退るバッファコマンドフォーム。

暫くして、ゾンビライダー達は一斉に攻撃を仕掛けてきた。素手の者が多いが、何体かはレイズウォーターやレイズハンマー等の小型バックルの装備を使い殴りかかる。

 

思考が曖昧なのか、一部のゾンビライダーは側に停車してあった自動車を攻撃したりと挙動が可笑狂った者も存在している。

 

何れも容易に見切れる低スピードな攻撃で回避は容易だ。

しかし常人の感覚なら人間の死体に襲われると言うのは視覚的にも生理的にもかなり堪える物だ。理屈ではない。

 

まして道長は少し前に寄生型ジャマトに寄生されジャマト化した桜井沙羅を殺めてしまったばかりだ。

彼はその後もジャマト化した人間達を何人も手に掛けた。これ以上犠牲者を増やさない為に。

ジャマト化の効果は不可逆的な物、もう助からないから仕方なく。そう自分に言い聞かせていた。

結局、英寿や改心した五十鈴大智の協力でジャマト化した犠牲者は全員復活したが、あの時の道長は手に掛けた沙羅の幻覚が見える程、心は追い込まれていた。

故に再び罪無き者を傷付ける等出来る訳もなく。

真面な反撃もままならず一方的に攻撃を受けてしまう。

 

そんなバッファの気持ち等一切考慮せず、デザイアライダー王蛇オリジンゾンビフォームは彼を瀬世笑った。

 

「オイオイ、ゾンビがゾンビに怖じ気づくのか?」

「うるさい!こんな小細工、お前を倒せば全部消える筈だ!」

 

バッファCはホバー移動でゾンビ達の群れから逃れ、D王蛇OZに向けてトロンキャノンを放つ。

ゾンビの効果を消すには発生元を倒すしかない。

しかし何者かの邪魔により標準が大きく外れてしまう。

 

「シャアアアアッ!」

 

沈黙していたと思われたベノスネーカーが何時の間にか起き上がり、背後から体当りを仕掛けて来たのだ。

直ぐに起き上がるバッファCだが、直後にD王蛇OZがベノサーベルで襲い掛かる。市部が溶解したレイジングソードで何とか攻撃を裁くが、背後からベノスネーカーが巨大な尻尾を振るいバッファCの全身を弾き飛ばした。

 

「ぐああっ!」

 

レイジングソードを落とし、地面を転がるバッファC。

そこへ彼を袋叩きにせんと武器を振りかざし、群がるゾンビライダー達。

再度立ち上がり、素手でゾンビ達と奮闘する。

途中、一人のゾンビライダーがバッファCの胴体にまとわりついた。全身から滴り落ちる血が、コマンドフォームの白銀のボディを赤く汚していく。

そのゾンビは先程D王蛇のレイズチェーンアレイを受け、顔面部が深く凹み、半壊したマスクから覗く変身者とバッファCは目が合ってしまう。

 

生気も無く白く濁った瞳。

死人の目と。

 

「!!……くうぅっ!」

 

溢れ出る悪寒を振り払うかの如く、

蹴りで強引にゾンビライダーを引き離す。

精神的にかなり来てるのか、呼吸を乱すバッファCを見てD王蛇OZは溜め息をつく。

 

何故そんな雑魚をさっさと一層しないのか。

答えは簡単。相手が元人間だから躊躇しているのだ。

 

「何を遊んでいる? ソイツ等はとっくに死んでる……」

「!…………」

 

バッファCは一旦呼吸を整え思考した。

D王蛇OZの言う通り、ゾンビライダー達は既に死んでいる。

死者を攻撃するのは心苦しいが、このままでは自分も亡霊の仲間入りだ。彼等だって望んでゾンビになった訳ではない筈。

このままあんな悪魔に利用されるぐらいなら、一刻も早く安らかさせてやるのが道理だろう。

 

バッファCはゾンビライダー達に狙いを定め、トロンキャノンのエネルギーをチャージ。

 

チャージ完了。

 

これでゾンビ共を蹴散らして......

 

しかし、ここでD王蛇OZが含み笑いをしながら一言。

 

 

「―—―――かも、しれないなぁ?」

「!?」

 

 

思わずチャージを中断。

 

そして思い返す。

 

かなり以前に参加した「ゾンビサバイバルゲーム」にて、ゾンビジャマトに噛まれたダパーンこと墨田奏斗、そしてナーゴこと鞍馬祢音がゾンビになり掛けた事がある。

あの時はゲームをクリアすれば人間に戻れるチャンスがあった。

もしこのゾンビライダー達もそうだったら? この中にまだ僅かでも生きてる人間が居て、毒で操られてるだけの者が居たら?

 

皆死んでる。

その言葉が奴の嘘だったら?

 

唯一手に掛けた自覚が有ると言えばべロバだが、人の不幸を喜ぶ極悪人と無理やり戦場に駆り出された罪なき一般市民とでは訳が違う。

まして肉体を自在に創作できる未来人があれで完全に死んだのか怪しい部分はある。一度ギーツが倒したと思っていたスエルが良い例だ。

 

桜井沙羅やジャマト化した民間人達の事もある。

あの時と同じ過ちを繰り返すのか?

 

過去の罪悪感を思い出し、再び戦う意欲を削いでしまう。

それを見て深く失望したD王蛇OZは気だるそうにベノサーベルを前方へ向けた。

 

「.......つまらん奴だな、お前も……」

「シャアアアァァァ!」

 

すると指示に従ったベノスネーカーが大量の毒液を吐き散らす。標的はその場に居るゾンビライダー全てだ。

 

「!?」

 

バッファCが状況を理解する前に、

全身に毒液を浴びたゾンビライダー達は瞬く間に煙を上げ溶解していく。

先ほどまで場を埋め尽くしていた彼らは物の数秒でただの液体と化し全滅。

最後の一人に手を伸ばしたバッファCの手は空しくも届く前に液体化してしまった。

 

一人でも生存者が居たかもしれない。

彼のそんな淡い期待と心配は一瞬で無駄となった............。

 

掃除を終えたD王蛇OZが吐き捨てる。

 

「試しに使ってみたは良いが、あんまり芸が無いなぁ......ゾンビってのは?」

 

より戦いを楽しむ為、poi-zomの使用は自分の能力を試しただけに過ぎない。

元より、王蛇こと浅倉威は子供の頃から自分が殴るか殴られるかしなければ落ち着かない体質であり自分だけ有利な集団リンチなど性に合わない。

ましてやミラーモンスターよりも劣るノロマなゾンビなど群れた所で邪魔なだけである。

 

つまらなそうに目の前の惨状を眺めているD王蛇を他所に、バッファCは煙を上げながら液体となったジエンドライダー達の遺体を無言で見下ろしていた。

 

結局、あのゾンビライダー達の中に生存者が居たのかは解らないまま。

本当は王蛇の言う通りゾンビ化する前に全員死亡済みだったのだが、バッファCからすればその事実を確かめる手段はもう無い。

王蛇本人も生存者など微塵も興味が無く打ち明ける道理も無い。

 

フルフルと拳を握りしめるバッファC。

 

試しに?

 

そんな理由でこんな非道を起こしたのか?

 

「......................................王蛇ああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

こんな物を見せられて憤慨せずには居られない。

 

バッファCは我を忘れてトロンキャノンを連射。

複数の光弾と爆炎がD王蛇OZの全身を覆い隠す。

 

《LOCK ON!》

《COMMAND TWIN VICTORY》

 

最後は強力なフルチャージビームを放ち、一際巨大な爆発が目の前を吹き飛ばす。

爆心地の地面はクレーターの様に大きく抉れ、その破壊力を物語っていた。

 

しかしバッファCは違和感を覚えた。

 

「王蛇は.......どこだ?!」

 

D王蛇の姿が何処にも見当たらないのだ。

跡形も無く吹き飛んだ可能性も有るが、それなら直ぐにコマンドグラスのセンサーが反応を示す筈である。なのにどれだけ辺りを見渡しても王蛇どころかベノスネーカーの姿さえ発見できない。

 

戸惑うと同時に周囲を警戒するバッファC。

 

しかし、彼は気づいていなかった。

背後に聳え立つ4階建てのオフィスビルの一枚の窓ガラスが、まるで水面の様に揺らぎ始めた事に。

 

《OUJA STRIKE》

《FINAL VENT》

「はああぁっ!」

 

次の瞬間、D王蛇OZが黄色い毒液を纏いながら放つ連続キック、ベノクラッシュを発動しながら窓ガラスの中から飛び出して来た。

完全に隙を付かれたバッファCはベノクラッシュを全身に受けてしまい、火花を散らしながら弾き飛ばされた。

 

「ぐああああああああああああっ!!」

 

コマンドフォームのボディは粉々に全壊し、コマンドバックルも煙を上げて破損しデザイアドライバーから外れてしまった。

 

これにより、バッファは無装備であるエントリーフォームまで戻ってしまう。

ゲーム内容にもよるが、本来デザイアライダーはドライバーからバックルを引き抜くと変身解除となるのだが、今回はダメージの影響でデザイアドライバーがエラーを起こし、エントリーフォームの姿を維持する事になった。

 

そして今の攻撃は王蛇オリジンフォームが持つ、鏡の中を自在に移動できる能力による物だ。

元々王蛇は龍騎と同じく鏡の世界・ミラーワールド内で戦う戦士。

タイクーンが使用していた龍騎フォームと同じ能力を、王蛇オリジンフォームも所持していたのだ。

鏡の中と言っても窓や自動車のボディ、波の無い水面など姿が反射し映る物質ならどんな物でもこの能力は仕様可能である。

 

トロンキャノンの砲撃が到達する直前、D王蛇OZは自分の背後で横転していた自動車の窓ガラスの中へ避難。そして鏡の世界を移動する事でバッファCの背後を取り、先ほどの様にビル窓の中から飛び出したという訳だ。

因みにべノクラッシュは使役するミラーモンスターとの連携に必要不可欠であり、ベノスネーカーは現在鏡の中で待機中である。

 

地面に伏せてしまうも、バッファの意識は途切れていない。

必死に痛みを耐える彼の姿を見てD王蛇OZは感心した声を送った。

 

「ほ~、生きてんのか。流石ジャマ神ってヤツだけはある」

 

ミラーワールドで戦っていた頃、あの技を諸に受けて生きていた者は一人も居なかった。

しかし、直ぐにつまらなそうに肩をすくめる。

 

「だが………やっぱり甘いな。ライダーを倒したってのも、所詮力を奪っただけだろう?ただゲームでのし上がっただけ。殺す覚悟が足りないんだよ.....」

 

D王蛇・浅倉威にとって、人を殺傷出来ない・負けても復活出来るゲームなどぬるま湯の甘ったれたスポーツでしかない。

戦いとは1度しかない限られた命を最後まで潰し合うからこそ価値があると自負している。

先のpoi-zomの使用は自分の能力を試す為でもあったが、もう1つ見極めたい事があっての使用だった。

 

バッファが人を殺せるかどうかだ。

一度は去年のデザロワで彼の甘さを実感したが、あれから時が経ち戦いに非情になれたかどうか再確認したかった。しかし結果は期待外れ。結局、この吾妻道長と言う男も実力は有っても人は殺せない。城戸真司と同じ甘ちゃんである。これでは面白くない。

 

バッファこと吾妻道長はジャマトグランプリを征して以降、ジャマ神の力を駆使してあらゆるライダーを狩り尽くした。

デザグラの全てを否定する為に。何かを望むから誰かが不幸になる。創生の女神がそう言うシステムだったから。デザグラなんて有るから誰かが不幸になる。何も望まない人間を増やす為に。

 

しかしそれはあくまでIDコアを砕き、ライダーの力を奪っただけだった。

IDコアはデザイアライダー達の命。これを砕かれた者はライダーに関する記憶以外に自分が持っていた本来の願いすら忘れ、ライダーになる資格を永遠に失う。

命を取らずとも、道長にとって二度とライダーが現れなければそれで良かった。

敗者の命を徹底的に奪って来た浅倉にとっては酷く落胆する、甘ったれた行為なのである。

 

「この.......殺人鬼が..........黙って聞いてりゃ.......人殺しが偉いみたいに言いやがって.....」

 

D王蛇の暴論を否定しようと何とか上半身だけを起こすバッファ。

何が覚悟だ。快楽で人を殺傷する奴が言える台詞か。

今すぐこのイカれた悪魔野郎の顔面を殴り飛ばしたいが、全身の痛みが体の自由を制限する。

 

その時、上空のモニター内の黒ツムリから残酷な報告が発せられた。

 

『終幕のデザイアグランプリに参加の皆様にご案内します。 仮面ライダーギーツこと、

 

浮世英寿は死亡しました』

 

「なっ?!....................」

『仮面ライダーの皆様は安心してゲームを続けて下さい。なお、ゲームの進行を妨げてるノイズは間もなく排除される予定です』

 

黒ツムリが宣言すると同時に画面は変わり、モニター内には都内に出現したリガドΩがタイクーンブジンソードとナーゴファンタジーと交戦する様子が写しだされた。どうやらスエルは自らの手で邪魔者の始末に出たようだ。

 

「タイクーン!ナーゴ!.......まさか.......ギーツが.....そんな.....」

 

2回戦目が始まる前から英寿の目論見は聞いていた。スエルと直接戦ってた筈が、ああしてリガドΩが自ら街中に赴いている現実。情報が少なすぎるとは言え流石に動揺を隠せない。

 

「おい」

「?.....ぐあっ!」

 

そんなバッファを横からD王蛇OZが強く蹴り飛ばす。

 

「少し気になったんだが........ギーツってヤツは全ての人を幸せにしたいんだってな?」

「........それが........どうした…」

 

スパイダーフォン内の資料でも読んだか。胸を抑えるバッファに対しわざとゆっくりした足取りでD王蛇が近づく。

 

「なら……俺の願いを叶えさせろおぉっ!!」

 

そして勢いよくベノサーベルをバッファのボディに叩き込んだ。

 

「ぐがあぁっ!」 

「戦いこそが俺の幸せだ!  血で血を洗う様な命の奪い合い! それが生き甲斐! 生きる意味ぃっ!!」

 

腹部を踏みつけ、自分の願望をこれでもかと叫びながらベノサーベルでバッファを殴打する。何度も。何度も。

 

「何年経っても戦いは良い! ゾクゾクする!!  戦ってる時だけが、唯一イライラが消し飛ぶ瞬間だ!」

 

剣先が叩き付けられる度に膨大な火花が精血の如く吹き荒れ、ボディに罅を入れていく。

 

「命ある限り永遠に戦い続ける!それが、俺の願いだあぁっ!!!」

「ぐあああ!」

 

最後は助走をつけて腹部を蹴り飛ばす。バッファはあまりのダメージに耐えきれなくなったのか、遂に変身が解除され道長の姿へと戻ってしまう。

 

「......そんな奴も幸せにすんのか? ギーツは」

 

人暴れし終え、一度深呼吸して落ち着き再度質問するD王蛇。

少し間を空けて道長が返答する。

 

「.............する.........訳…………ないだろ……お前……みたいなの.......」

「ふっ、だろうな。期待はしてない。だが」

 

全身打撲で喋る事もままならないだろうに何とか体を起こそうとする道長の胸ぐらをD王蛇OZは掴んで強引に直立させる。

 

「矛盾してるよなぁ? 全てってのはそう言う事だろ?」

 

その後ぼろ雑巾の如く放り投げる。成すすべなく地面に叩き付けられる道長。

全身泥まみれで至る箇所から流血しているが、それでも自分の足で立ち上がろうとする。

 

「……………アイツが言う.............全てってのは……幸せになる為に努力する人全員を........応援するって意味だ.........」

 

ふら付く足で強引に踏み留まり、真っすぐD王蛇を睨み返す。

 

願い事はともかく王蛇の疑問は全うな物だ。

もし言葉通り全ての人間を幸せにするならそれこそスエルや浅倉、ギャングライダーズの様な悪人まで救えと言う事になる。

 

正直な話、秘密主義で食えない性格な英寿を道長も完全に理解してる訳ではない。

全ての人間が幸せになる世界と言うのもイマイチ想像出来ない。

しかし自分が知る限りの彼の経験、そして道長自信の経験からして、行動理念はある程度把握出来る。

少なくとも創生の女神を目の当たりにしている以上、願えばどんな物でも簡単に叶えさせる都合の良い神様になるとは思えない。

 

「お前みたいに................自分から幸せになる事を放棄して...........不幸に進む奴なんて..........アイツの方から願い下げだ......」

「は? 不幸? 俺が?」

 

意味が解らないと首を傾げるD王蛇OZ。自分は戦っている時が一番幸せだ。

それの何が不幸なのか彼には理解出来ない。

 

「自分で欲望を抑えきれないから.......誰かを傷つけて............自分の人生すら........台無しにしてる事に気付きもしない............そんなんだから運営の良い駒にされるんだ….....」

「....................」

 

精一杯皮肉を込めて罵ったつもりだが、D王蛇OZは特に反応を示さない。

彼は戦場を与えてくれた運営にある程度は感謝しているからだ。

やがて道長は何を思ったか、徐々に地面を見下ろしながら表情を曇らせた。

 

「…………だが……………俺も……人の事は……言えない………か……」

「あ?」

「俺もジャマグラで……ベロバ達なんかと手を組んだ......デザグラをぶっ潰す為に......アイツの......透の無念を……晴らす為に.......」

 

元々、道長がデザグラに参加した理由は友人の無念を晴らす事だった。

高校からの友人だった青年・今井透はデザグラの参加者だったが、ある日心無い他の参加者達の罠にかかり絶命してしまう。彼の死に様に道長は偶然立ち会ってしまった。その後運命の悪戯で運営からデザイアドライバーを譲渡される。

以降、デザイアグランプリの存在を知った彼は仮面ライダーバッファとして幾度と無くゲームに参加する事となった。

 

「全ての仮面ライダーを倒す」と言う願いを叶える為に。

 

最初こそは透の命を奪ったライダー達を見つけようとしたが、既にそのライダー達は脱落積みであり敵討ちも出来なかった。

繰り返しゲームに参加していく内に、道長はデザグラに参加する仮面ライダーその物を憎む様になった。

どいつもコイツも己の願いに貪欲な奴ばかり。自分の幸せの為なら他人を蹴落としても構わない。

こんな奴等に透は殺された。その欲望が集まる場を提供するデザイアグランプリが溜まらず憎かった。

 

だから彼は全ての仮面ライダーをぶっ潰す事を目指した。

その目的を果たすためなら手段は択ばない。

 

故に彼は自分のサポーターだったべロバと結託する事を選んだ。

 

ジャマト側のスポンサーであるべロバは、デザグラ運営からゲーム運営の権限を奪いジャマトグランプリを開催。

これまでデザグラの敵キャラと位置付けられたジャマト達がプレイヤーとなり、

より大勢の人間を不幸にした者が勝利し、ジャマ神の権限が与えられる。

 

当然、ジャマトグランプリでは数多くの罪無き人間が被害を受けた。

 

ライダー以外に直接手を加えてないとは言え、

自分はべロバ達の非道な行為に手を貸した共犯者に変わりは無い。

 

やがて彼はジャマグラに勝利し、ジャマ神の力を得た。

手に入れたその力は仮面ライダーに対し圧倒的であり、彼はこれまでのデザグラ参加者全てから仮面ライダーの力を滅ぼしたのだった。

 

全てのライダーをぶっ潰す。一度はその目的を果たす事に成功したのだ。

 

しかし、結局それも道長自身の願いであり、彼のエゴでしかない。

何かを願う人間を責めた自分も、身勝手に“ 何も願わない人間がいる世界 ”を願った。

その報いが、景和の姉・沙羅を含め大勢を殺害してしまった事だ。

結局、悪行と言うのは全て自分に跳ね返ってくる。

今だってこれまで駆使して来たゾンビの力で苦しめられ、凶悪殺人鬼に滅多打ちにされる始末。

 

これ以上皮肉な話があるのだろうか。

 

ダパーンには偉そうにガキだの不幸自慢だの説教を垂れたが、自分も気に入らない人間をエゴで捻じ伏せた事に変わりは無い。

 

「..........願いを持つ人間を消す為に......俺は大勢の人間を傷付け、不幸にした.........

そう言った意味じゃ……俺もお前と変わらな…......がはっ!?」

 

話の途中、何となく苛ついたD王蛇OZが道長の腹部を軽く蹴り飛ばした。

 

軽くとは言えど、仮面ライダーの力持も相まって道長の体は吹き飛び、乗り捨てられていた車に激突する。激突と同時に後頭部を窓ガラスに強打、派手に割れたガラスで負傷したのか夥しい量の血が道長の額から滴り落ちる。

地面で悶絶する道長の様子を気だるそうに見下ろしながらD王蛇は吐き捨てた。

 

「一緒にするな。無念を晴らす? 

っは。そんなのは自分に酔ってるだけだ。もっともらしい理由付けて安心したがる。自分は正しい側でいたい、周りより頭良く見せたいだけの馬鹿がやる事だ。戦う理由なんかどうでも良い!  頭がスッキリする………それで十分だろう?」

 

これが浅倉の戦いに対するスタンスだ。

全ての人間が最終的にそこに落ち着く。

正義の為。大切な人の為。誰かの敵討ち。世の中様々な戦いの動機が存在するが結局暴力とは自分が満たされる為の手段でしかない。気に入らない奴を徹底的に殴り、ぶちのめし、始末する。

そこに小綺麗な大義名分を入れ、自分は正しい等と思い込む奴など猿以下の馬鹿野郎でしかない。

だから浅倉は自分の暴力に快楽以外の動機を一切持たせない。

 

殴るか殴られるかしてる時だけが生きてる実感を味わえる。

自分か相手か。どちらが死ぬか解らない極上なスリル。

他人の血を浴び、命を奪う快楽。

誰にも理解出来る筈が無い。理解してほしいとも思わない。

 

自分に正直にやりたい様にやる。

楽しくてスッキリするから。

イライラの解消の為に、無差別に誰かを手にかける。

今までも。そしてこれからも。

 

「................................スッキリ.....................か..............」

 

頭部を負傷した影響か、少しの間だけ視界が暗くなっていた。

意識はも大分朦朧としてるが、それでも道長は地に足を踏みしめ立ち上がる。

 

「...........確かに............そうだな...........」

 

学生の頃は透と共に気に入らない不良たちと喧嘩に明け暮れてた。

ムカつく奴をぶっ飛ばした後は気分が晴れて友と勝利を分かち合った。

 

デザグラで勝ち抜こうとした事も、ジャマ神となってライダーを倒し回った事も。

結局奴の言う通り、願う者が居なくなりスッキリしたかった事になる。

 

考えれば考える程、奴に反論出来ない。

浅倉と言う男は戦闘狂に見えて意外と理にかなった人物なのかもしれない。

 

「............じゃあ俺も...........そうさせてもらうぜ..........」

 

《 SET 》

 

額から滴り落ちる血を袖でふき取り、再びデザイアドライバーを装着する。

 

「いや………やる事は変わらないな……最初から.....」

《ZOMBIE....》

 

ゾンビバックルを装填しバッファへと再変身する道長。

そして堂々とゾンビブレイカーをD王蛇に向けた。

 

「お前やスエル...............気に入らない奴等をぶっ潰して、皆でスッキリしてやる!」

 

バッファは駆け出し、ゾンビブレイカーで斬りかかった。

空かさずベノサーベルで防御する、D王蛇OZ。

 

他人をこれ以上不幸に落とし入れるコイツ等が気に入らない、許せない。

だから全力でぶっ飛ばす。

王蛇が言う事に従うならこの論理も通る訳だ。

 

自分は罪を犯した。

誰かに許してほしいとは思わなかった。

べロバから自分は「不幸がお似合い」と言われた様に、このまま誰より不幸のどん底まで落ちようとさえ思った。

それでも今は、自分の味方についてくれた人間が確かに居る。

 

これ以上、不幸になる人間を出さない為に、今は目の前の敵を倒す。

こんな贖罪で罪が軽くなるとも思えない。

それでも。

今はこれが自分の一番すべき事なのだ。

 

故人を未練がましく思い返したくはないが、

もし透の様な目に会う人間が少しでも減るなら.....

自分もギーツの目指す世界に協力したいと思った。

 




オリジンフォームの必殺技ですが、原作の《STRIKE》のみだと味気なく感じたので《OUJA STRIKE》に変更してます。

次の文も大分出来てるので来週中には投稿したいです。
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