ようやく創作活動が再開出来る状況になった為、予定通り連載を再開します。
今回から本当に最終章になりますが、これからのエピソードはとある読者様から頂いたアイデアを元に更にイメージを膨らませて作成しています。
あくまで参考にしているだけで100%同じストーリーと言う訳でありませんが、
もしこの案が無ければこの最終章は無かったと思います。
この場をお借りしてお礼申し上げます。
久々の執筆なので今回は短めです。
浅倉威こと仮面ライダー王蛇に勝利したバッファ・フィーバーゾンビフォームジャマ神。
命を奪うのではなく、デザイアドライバーとコアIDのみを破壊しゲームからの退場に追い込んだ。
それが浅倉の「生きてる限り永遠に戦う」と言う願いの否定になると思ったのだ。
人を不幸に陥れる事しか興味の無い彼にとってはこの上ない屈辱だっただろう。
最も、IDコアが壊れればその屈辱も記憶と共に消え去るのだが。
兎に角今はタイクーンとナーゴの救援だ。
スパイダーフォンに記された2人の反応を頼りにバッファが全速力で辿り着いたのは街外れの廃工場だった。
そこで目にしたのは、スエルが変身した仮面ライダー・リガドΩの前に満身創痍で膝を付くタイクーンブジンソードとナーゴファンタジーの姿であった。
指定した対象の時間を自在に操れる力を有するリガドΩは圧倒的であり、その実力の前に二人のライダーは成す術が無かったのだ。
「人間の分際で私に勝つ事は出来ない」
「そんなの!やってみないと解らないだろうが!」
直ぐに奇襲を浴びせたジャマ神バッファだったが....
《 REVERSE 》
攻撃が届く直前に、リガドΩは鼻で笑いながらジリオンドライバーのグレートアセンブルを2回押し込む。
するとバッファ、タイクーン、ナーゴファンタジーの動きが逆再生映像の如く超スピードで巻き戻り、3人のドライバーが消滅したのだ。
強制的に変身が解除され動揺する道長。
「ドライバーが、消えた!?」
「お前達の時間を巻き戻した。特別な力を手にする前の時間までな」
己の強大さを知らしめる様に説明するリガドΩに対し道長や景和、祢音は生身でも立ち向かおうとするが、流石に変身能力を失っては敵う筈も無く、瞬く間に返り討ち。
倒れてる彼らにトドメを刺そうとするリガドΩだったが、思うように体が動かず舌打ちをする。
リガドΩのエネルギーの源はスエルと一体化したオーディンス達による「世界のバットエンドが見たい」と言う願いの強さから来る物だ。
祢音は父・光聖と共に鞍馬家の権力を利用して、スエル側のオーディエンス達に脅しをかけたのだ。
これ以上スエルに協力し続ければ一生未来に帰れなくさせる。
2人の脅しに屈したオーディエンスは一部がスエルから離反し、雲を散らすかの様に未来に帰っていった。常に安全地帯から他人の不幸を望む者の度胸など所詮その程度である。
これによりリガドΩの一部の力を失いこうして定期的に不調を起こすのであった。
一部の同士の臆病さに苛立ちながらも、リガドΩは一旦攻撃の手を緩め状況を再確認する。
「バッファがここに居ると言う事は....浅倉威め。意外と早く脱落したな。もう少し盛り上げてくれると期待したが、所詮ヤツも人間か。無様な」
ゲストとして招待した浅倉もスエルにとっては古代人の一参加者に過ぎない。
仲間意識など有る筈も無く、容赦なく切り捨てる。
「まあ良い。まだまだイベントは用意してある」
リガドΩがそう一言呟いた時、
彼等の立つ大地が轟音と共に大きく揺さぶられた。
「な、何!? 地震?」
動揺する祢音、道長、景和。
そして平然と腕を組んで直立しているリガドΩの頭上に、黒ツムリが映された立体映像が浮かび上がる。
《オーディエンスの皆様、終幕のデザイアグランプリはお気に召しましたか? 今回はよりゲームを楽しんで頂く為に、スエル様からサプライズがご用意されています。此方をご覧ください!》
画面内の黒ツムリの言葉と同時に映像が切り替わる。
それは都心部の上空を映していた。
一見分厚い雲しか映されてなかったが、その雲の中に何か巨大な黒い影が見えた。
やがてその影は音もなく徐々に降下していき、雲からその姿を現す。
それは全長600メートルは超えるだろう巨大な異形だった。
悪魔か天使を彷彿させる巨大な翼、全身から生えた8本の腕、
一つ目を模した光背を背に、全身の至る部分が禍々しく歪んでいる。
景和と道長は絶句した。
その異形に見覚えがあったからだ。
「........アレって....確か、天国地獄ゲームの時の!」
「女神の.......模造品.......」
天国と地獄ゲーム。
運営からプロデューサー用のヴィジョンドライバーを奪う為、ベロバがデザグラを乗っ取り開かれたジャマトグランプリの最終戦。
強制参加させられた市民達は当たりかハズレかの安全地帯に逃げ込み、ハズレの者は侵犯と称し容赦なく消滅させると言う生き残りを賭けたデスゲーム。
その侵犯を担っていたのがあの女神の偽物である。
祢音は己の出生を知ったショックで既に脱落、英寿はあのゲームの中で創生の女神の正体が母ミツメである事を知り、道長もゲームで勝利しジャマ神の力を得た。景和にとっては創生の女神を憎しむ切欠でもあり、自分さえ生き残れば良いと言う人間の嫌な部分を存分に見せつけられた、思い出すだけでも反吐が出る存在だ。
どう見ても人々の恐怖心を煽るその悍ましい姿は女神とは程遠く" 邪神 "と呼ぶに相応しいだろう。
と言うか先ほどから地面の揺れが治まらない。やがて道長達は何となく息苦しさを感じ始める。
こんな明らかな異常事態にも拘わらず、リガドΩだけは平然と腕組みをしながら周りの光景を見物していた。
この人物が事態の根源なのは態度からして明確。道長が声を荒げて問い詰める。
「お前!今度は何しやがった!?」
「サプライズと言っただろ? ジャマグラの最終戦をスケールアップさせただけだ。今、この国は宙に浮いている」
「何ぃ!?」
3人が声を張り上げと再びモニターの画像が切り替わり更に絶句する。
そこには各都道府県の海沿いが映されていたが、どれも海が滝のように地上に降り注いでいる。
正に日本列島だけがキレイさっぱり切り取られ、空中に浮いているのだ。
あの邪神はゲームのルールの為に一部の地域だけを空中に浮かせる力が有った。今回はそれをパワーアップさせ、日本全体を空中浮遊させているのだ。
徐々に治まりつつある地面の振動は日本列島が地面から切り離された衝撃。息苦しいのも高高度まで上昇した事で気圧が変化したからだ。
あまりに衝撃的な光景に呆気にとられる道長達。またも映像が切り替わる。
スクリーン内の黒ツムリが再び終幕のデザイアグランプリの概要を説明する。
《参加者の皆様にご報告です。予定よりゲームの進捗が遅れている為、これより追加ルールを設ける事となりました。残り20分以内に全国で戦っている仮面ライダーの人数を半分まで減らして頂きます。制限時間を過ぎても指定数以上の参加者が残存してる場合、日本列島は地表に叩き付けられ壊滅する事となりますのでご注意下さい》
「なっ?!」
相変わらず何の感情の変化も無い黒ツムリから淡々と発せられる、余りに無慈悲なルールに三人は言葉が出ない。要するにジエンドライダー達は兎に角時間内までに殺しまくれと脅迫しているのだ。
◆
邪神の巨体はどの地域で見ても威圧感を感じるには十分すぎる風体である。
同時刻にとあるビルの屋上でゲームマスター達と生身で交戦していた仮面ライダーパンクジャックこと晴家ウィンにも邪神の存在を目視している。
「運営の奴等、何処までも好き勝手しやがって!」
状況故に焦りながらもゲームマスターを殴り飛ばすウィンだが、突如謎の等身大サイズの物体が飛来。
ウィンを襲撃する。
「うお!? 何だよアレ?!」
正体を把握する暇も無く、その物体は胸の水晶玉の様な部位からビームを乱射し襲い掛かってきた。
何とか銃弾を搔い潜り一旦ペントハウスに身を隠し改めて物体を目視した。
それは天使とも悪魔とも形容出来そうな翼を広げた人型サイズの邪神だった。
デザインは幾らか簡略化している物の邪神と同じく禍々しい雰囲気を醸し出している。安直だが巨大な方を邪神と呼ぶならこの小さい方は”堕天使”とでも呼称すべきか。
やがて堕天使は先ほど戦っていたゲームマスターの前まで高度を下げた。
ゲームマスターも堕天使に自ら体を捧げるかのように両手を広げる。するとどうだろう。
ゲームマスターの全身は忽ち光の粒子に分解され、堕天使の頭部へと吸収されてしまったではないか。
「マジかよ....」
ゲームマスターを吸収し終えた堕天使は、ペントハウスに隠れたウィンに向け再びビームを放つ。
ペントハウスは轟音と共に派手に爆散するのだった。
◆
ウィンが堕天使に襲撃される様は景和達の元の映像にもリアルタイムでモニタリングされていた。
「ウィンさん!?」
その衝撃な光景に旋律する景和、道長、祢音に対しリガドΩは悠々と状況を語る。
「べロバ達が使っていた物を此方でデザインし直し、多少アレンジを加えておいた。
よりゲームが盛り上がる様、こんな風にな」
ウィンの安否も知れぬまま、映像は再び邪神に切り替わる。
突如現れた異形に向けて自衛隊の攻撃ヘリの編隊が機銃を浴びせていた。
しかし邪神には全く効果が無く傷一つ付かない。
やがて邪神の額が妙な輝きを放つ。その光は巨大なビームとして薙ぎ払われ、攻撃ヘリの編隊は瞬く間に撃墜されてしまった。
更に映像は地上へと視線を移す。
良く見ると先ほどと同型だろう堕天使が夥しい数の群れを成して邪神の隙間から飛翔している。
堕天使達は街中のあらゆる場所へ降り立ち、戦意を喪失し戦いを拒むジエンドライダー達を攻撃していった。無論、参加者でない民間人を巻き沿えてもお構い無しだ。
更に都心部では武装した警官隊がジエンドライダー達を鎮圧しようと奮闘していたが、そんな警官達の前に多数の堕天使達が襲い掛かる。ゲームを妨げる存在を始末する為に。
遥か未来の技術で造られた兵隊の前に現代兵器は成す術が無く、更なる血の雨が道路を濡らしていく。
戦いを強要され生きる為に他者を殺傷するジエンドライダー達。そして逃げ纏う人々。各地で大爆発が発生し最早この世の物とは思えぬ程混沌を極めた光景だ。
そんな阿鼻叫喚を瀬々笑いながら邪神について簡単に説明するリガドΩ。全身各部に配された「タイタンアイ」から、彼と一体化したオーディエンスが歓喜の声を上げる。
「これで我々に仇なすノイズを、より効率良く排除出来る。いずれ終幕のデザイアグランプリは世界中で開かれ、この世は完璧なバットエンドへと導かれるだろう!」
『素晴らしい!』
『これは凄いぞ~!』
『なんて刺激的なのかしら!』
『これからが見物だなぁ~www』
『...........』
オーディエンスの中には、この状況を流石にやり過ぎだと乗り気じゃない者も居たが、スエルに手を貸した時点で最早後の祭り。
こんな物を見せられて道長達が憤慨しない筈も無い。
「お前等ぁ......いい加減にしろよ!」
「こんなの酷過ぎるよ!!」
「この世界は..........お前達の玩具じゃない!」
全身の痛みに堪えながらも、景和は起き上がりリガドΩに殴りかかるが......
「ふはははは、我々を倒したいか? 不可能だ」
あっさりと受け止められてしまう、景和の体は成す術なく投げ飛ばされてしまう。
トドメを刺そうと3人に歩み寄るリガドΩ。
「つくづく愚かな奴等だ。大人しくデザグラに勤しんで居れば、幾らでも願いが叶うチャンスを与えてやったと言うのに.....我々に盾を付くとは。ライダーにもなれない貴様等など、願いを妄想する事しか出来ない無価値な存在だ!」
何処までも自分達は神に近い高貴な存在と言う傲慢な態度を崩さないリガドΩ。しかし道長達の心は決して折れなかった。
「馬鹿かお前......? 未来から来た癖に.....何にも解らないんだな?」
「願いが有るから......人は強くなれるんだよ.......」
祢音も反論する。
願いと言うのは簡単に叶わない事も多い。だが、願いは時に人に生きる道を与える。簡単に叶わないからこそ努力し人を強くする。勿論願いが有れば誰しも幸せになるとは限らない。時には己の願いとは違う未来へ歩んでしまい、傷つき、悩む事も有るだろう。
しかし、強き願いを持ち努力した経験は決して無駄ではない筈だ。
願った事で得た辛い経験も、何時か必ず何かのバネに繋がる。
「仮面ライダーになって.....俺達はそれを知った。だから俺達は願い続ける。お前なんかに、絶対負けない!」
景和も諦めない。
誰かの為に戦う事の真の強さを。諦めない事の大事さを。
それが願う事で得る強さだ。
誰かを助けたいと願ったから今まで沢山の人を救えた。
「そうだろ真司さん......英寿!」
ここには居ない仲間と自分を止めてくれた恩師の名を呼ぶ。
人の幸せを、戦いの無い世界を望むあの2人。彼等も願いは同じ筈。
力の差出人が誰だろうと関係ない。
簡単に全てが叶い、人一人の純粋な願いを弄ぶ様な連中に好き勝手されて良い訳が無い。
だから絶対に諦めない。スエルを倒し、一刻も早くこのゲームを終わらせる事。
それが今の皆の、共通の願いだ。
皆は強く願った。
この戦いを終わらせる事を。
〘 ああ。そうだな 〙
「!?」
その時、一台のブーストライカーが3人の間を通り過ぎ、リガドΩに体当たりを仕掛けた。
軽く仰け反った後体制を整え、その乱入者の姿を見て驚愕するリガドΩ。
ブーストライカ―を停車させ、一人の仮面ライダーが大地に降り立つ。
仮面ライダーギーツ・マグナムブーストフォームがそこに居た。
・邪神(改)
ギーツ本編31・32話に登場した存在。
天国と地獄ゲームで使われていた物を元にスエル達運営が新たに造り出した。
外見は本編の物と変わらないが、各部位からビームを発射したり堕天使を輩出する能力が追加されている。日本列島を浮遊させる力を有しているが攻撃手段に特化した為か、任意の地面に穴を空ける力はオミットされている。
・堕天使
邪神から造り出される兵隊。邪神を等身大の怪人にした様な物。
単体でも自立行動は可能だが、データ化したゲームマスター達が個体に意識を移す事でより正確で機敏な行動をとる事が可能。
要するにシリーズ終盤に大量発生する怪人軸。