ギーツ&龍騎IF   作:巽★敬

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短いですが2日続けて投稿です


最終章5 「これからを作る者」

 目にも止まらぬ速度で移動し拳のラッシュを繰り出すリガドΩ。

彼の右腕でありリガドΩの前座であるジットが得意と似た戦い方だ。

自らの時間だけを極限まで早める事で行える超加速。

寿命さえ自在にデザインできる未来人だからこそ可能な戦法と言えるだろう。

戦法と言っても逆上し過ぎる故の肉弾戦と呼ぶべきかもしれないが。

スエルの感情の高ぶりも相まってその威力は大幅に倍増しており、並大抵の仮面ライダーなら相手にもならない。

 

が、それはリガドΩのコンディションが万全ならばの話。

 

「!! また、体の自由が!?」

 

リガドΩはまたも困惑した。

感情の高ぶりで先ほどより全力で動いてるつもりなのに、妙に体が重い。

繰り出す拳の連続突きはギーツに全て回避され、遂には左手だけで受け止められてしまう。

 

〘 お前を支持しているオーディエンスの心が揺らいでるんだ。散々見下して来た、俺達古代人の底力を目の当たりにしてな 〙

 

リガドΩの力の源はスエルとオーディエンス達による「世界のバットエンドが見たい」と言う強い願いから来る物。祢音が前もってスエルに賛同する一部オーディエンスを脅した事でパワーダウンを起こす事は英寿が人間とし死亡する前に立証されている。

オーディエンスが怖気づけばバットエンドを欲する心が揺らぎ、リガドΩの更なる不調が見込める。

そして自分達の仲間も増える。

正に一石二鳥の作戦と言う訳だ。

 

「貴様、それが狙いで参加者を引き入れたのか?!」

 

思惑に気づくリガドΩの腹部に、ギーツはマグナムシューター40Xを突きつける。

 

〘 さあな 〙

 

とぼけならが繰り返し引き金を引く。

ゼロ距離から複数の銃弾を受けリガドΩは大きく仰け反る。

 

「ぐああああ!!」

「俺達も忘れるなあ!」

 

後ずさるリガドΩに対し、バッファ、タイクーン、ナーゴによる追撃を浴びせられた。

形成は完全に逆転。しかしまだ奥の手は残されている。

 

「ぐう! このままで.......終わると思うな!」

《 REVERSE 》

 

ジリオンドライバーのグレートアセンブルを2回押し込み、再びリバースを発動させるリガドΩ。

こうなれば一度時間を巻き戻すしかない。

それこそ終幕のデザイアグランプリ開催前の時間まで。

本来一度始めたゲームをリセットする行為はオーディエンスから苦情不可避な諸行だがここまでのイレギュラーが起きた以上やむを得ない。

浮世英寿は始末すれば神に転生し参加者達が寝返るなんて未来を知ったのだから、ゲーム開始前まで戻れば幾らでも対策を練られる。

一度出直すしかない。

 

まわりで起きる爆炎、黒煙、バッファ、タイクーン、ナーゴの動き全てが逆再生され、最初に見た光景へと戻っていく状況を見てリガドΩはほくそ笑んだ。

 

「ふふふ...如何なる者でも時の支配からは逃れられ—――」

 

〘 なあ、知ってるか? 〙

 

「――っ!」

 

有り得ない筈の声が耳に入り、リガドΩは言葉を失った。

逆行する世界の中で何時の間にかギーツⅨに姿を変えた浮世英寿が、何事も無いかの様に此方に歩みを進めているのだから。

 

〘 神様に時間なんて、関係無いんだぜ 〙

 

得意気に指を振った後、ギーツⅨはブレードモードのギーツバスターQB9を振るい、リガドΩの胸を切り裂いた。

 

「がああっ!!」

 

信じられなかった。信じたくなかった。

ギーツⅨが持つ創生の力を打ち消した時間逆行能力。

これにより一度は英寿の始末に成功した。

今はそれすら通用しない。英寿が人間では無く神その物になったと言う何よりの証拠だ。

 

繰り返し斬撃を受け、スエルの中をおどろおどろしい感情が浸食していく。

 

恐怖

 

自分は神に等しい存在。

常に他者を見下し君臨していた権威者が自分を超越する存在に遭遇した事で抱く、初めての感情。

そして恐怖とは他者へ他者へと伝染する。

リガドΩと一体化したオーディエンス達はすっかり戦々恐々だ。

 

『お、おい運営!どうするんだ!?』

『早くあの化物を何とかしてくれ!』

『何でアタシ等がこんな目に会わなきゃなんないのよ!責任とりなさいよ!』

「...........黙れぇっ!!」

 

リガドΩは左肩付近で自分に責任を追及するオーディエンスが宿ったタイタンアイを強引に引き千切ると、その場で握り潰した。オーディエンスの意思は小さな悲鳴と共に消失。

ざわついていた他のオーディエンス達を黙らせた。

 

スエルにとっては自分に歯向かう者など邪魔なだけ。

散々他者の不幸を喜劇扱いして、いざ自分に不幸が降りかかると反発し合う者達。

何と醜く惨めな姿であろうか。

 

「お前達など、存在してはならないぃぃ!!」

《 MAGNUM INFINITY ! 》

 

リガドΩの上空に数十丁以上ものマグナムシューター40Xが現れる。

感情が高ぶり英寿達を亡き者にしたいと言う願いが倍増した故か、能力が一時的に増した様だ。

リガドΩが手を前方へ翳した瞬間、全ての銃口が一斉に火を噴いた。

一部はライフルモード、一部はマグナムフォームと形態はバラバラ。

 

銃弾はギーツⅨ達に留まらず四方八方に豪雨の如く降り注ぎ、余りの威力に廃工場そのものが跡形も無く吹き飛ぶ程の大爆発を起こしてしまう。

 

完全に自暴自棄になったリガドΩは周囲が爆炎に包まれても尚絶間なく一斉砲火を浴びせる。

 

しかし、

 

「存在しちゃいけないのは、お前だああああ!!」

 

爆炎の中から再びフィーバーゾンビフォームジャマ神へと姿を変えたバッファが糾弾しながら飛び掛かり、2刀のゾンビブレイカーでリガドΩを斬りつけた。

 

「ぐああ!!?」

 

大きく仰け反るリガドΩに、別方向からファンタジーフォームのナーゴが光の剣を両手に追撃する。

 

「ぐおお!!」

「どんなに未来を決め付けても、"これから"を作るのは今を生きるアタシ達だよ!」

 

再び大きく仰け反り、今度は背後の気配を感じ振り返る。

そこにはブジン龍騎フォームとなったタイクーンがドラグクローを構えていた。

 

「この先どんな辛い事が起きようと俺達は前に進む!」

 

彼が持つドラグクローは周囲の炎を吸い付くし赤く輝いていた。

 

「その努力や悩みすら喜劇として弄ぶなら、全力で抗ってやる!! でやああああああ!」

 

やがて勢いよく手前に突きつける。上空から飛来したドラグレッダーが吐く火炎放射と共に、ドラグブローから業火が放たれリガドΩの全身を焼き払う。

 

「ぐうぅあああ!!」

「英寿、今だぁ!!」

 

〘 任せろ 〙

《 DYNAMITE BOOST TIME !! 》

 

ギーツⅨは全身に青いオーラを身に纏い空高く飛び上がる。

 

《 BOOST Ⅸ VICTORY!》

〘 はああああああああぁぁぁぁぁ―――――――っ!!! 〙

 

空中で片足を付き出し急降下。

超スピードのライダーキックを繰り出す。

 

対するリガドΩは最後の力を振り絞り拳を付き出し、ギーツⅨの蹴りを受け止めた。

しかしギーツⅨの勢いは止まらない。

 

拳と蹴り。周りに火花を飛散させながら激しい鍔迫り合い状態となるが、

 

やがて蹴りを受け止めたリガドΩの拳に罅が入り始めた。

 

罅は徐々に腕へと、胴体へと、やがて全身へと広がって行く。

 

「あ....有り得ない......」

 

驚愕の声を漏らした時点で、亀裂は顔面にまで達していた。

 

「この私が.....滅びる....だとぉ.....」

 

遂に耐えきれなくなった装甲が腕ごと砕け、ギーツⅨのキックが胴体を貫く。

 

滅びを望むオーディエンスと共に

 

自らの敗北を最後まで受け入れられぬまま

 

リガドΩは盛大に爆発四散するのだった。

 

 

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