何話になるか解りませんが、あまり長文を書き過ぎるとモチベーションが下がるので短い文章で少しずつ更新する予定。出来る限り週一ペースにしたいです。宜しくお願い致します。
デザイアロワイヤルが終わって間もない頃、とある街中。
仮面ライダータイクーンこと桜井景和は一人の男に出会っていた。
城戸真司。またの名を仮面ライダー龍騎。
強敵揃いのデスゲーム内で彗星の如く現れた彼は自分達が手も足も出せなかった黒いライダーを一瞬で倒してしまう程の実力者だった。
そんな人物と偶然鉢合わせ、戦いに勝ち残って何を望むか問われた景和は自らの願いを打ち明けた。
「俺は、戦いで退場してしまった人たちが全て蘇る世界を」
「そうか。俺もずっと願ってる。戦いの無い平和な世界を」
その言葉を聞いて景和は目を輝かせた。
デザイアグランプリはジャマトと言う怪物から人間を守るゲーム。
戦いは命掛けではあるが勝者は己の願いが叶うと言う見返りがある。故に参加者は基本貪欲な人間が多い。人命救助すらポイント稼ぎになるルールなのだ。
欲に忠実なライダーばかり見て来た景和にとって、自分と純粋に共感してくれる真司は正に人生の師匠に様に映っただろう。
それから二人は軽く会話を弾ませた。基本は景和からの質問がメインだ。
何故あんなに強いのか、あのカードデッキのライダー達は何なのか、など。
真司から言わせてみればあのライダー達は長年の宿敵や好敵手みたいな物であり、彼等との戦いには慣れてるらしい。
本当はもっと重い過去が有るのだが、初対面の人間に行き成り話す内容ではない。
ある程度暈されたので、この時景和は真司が浮世英寿の様なベテランのデザグラ参加者だと認識した。
青臭いながらも世界平和を望む景和の想いを真司は真摯に受け止めてくれる。他にも沢山聞きたい事が有ったが、真司が話の腰を折り質問し返す。
「悪い。俺からもう一つ質問良い?」
「はい、何ですか?」
「君が何時もやってるデザイアグランプリは、人間同士で直接争う物じゃないらしいな? この間初めて人と戦って、どんな気分だった?」
真司の表情は一層真剣な表情だった。これが一番聞きたかった事かと思えるぐらいに。
この質問に顔を曇らせる景和。
デザイアグランプリは様々なルールに沿ってジャマトを倒した数を競いあう。他の参加者を攻撃する事はルール違反となりそれなりのペナルティを喰らうのだ。
しかし先日自分が経験したデザイアロアイヤルはその名通り人間同士が直接攻撃し合う、生き残りをかけたデスゲームであった。当初は攻撃してくるライダー達に必至で抵抗していたが、平和主義な景和にとっては苦しい以外の何物でもない。
「.....あんまり、良い気分じゃなかったです....相手だって同じ人間だし....」
「勝てば願いが叶うのにか?」
「当たり前です!人間同士傷つけ合うなんて、お互い憎みあって争いが増えるだけじゃないですか」
「それを聞けて良かったよ」
真司は安堵の表情を浮かべ話を続けた。
「人間同士傷付けるのは辛い。その気持ちが大事なんだ。どんな時も、一人でも多くがその気持ちを忘れなければ、争いの無い世界だって決して夢じゃない。俺はそう信じてるよ。でも…」
一呼吸置いた後、改めて景和に向き直る。
「世の中には、どうしても誰かと戦わないといけない時もある。
仮面ライダーになった事で、君にはこれから色んな事が待ち受けてる筈だ。もしかしたら凄く辛い事態に直面するかもしれない。
そんな時が来ても君にはどうか道を誤らないでほしいんだ。
ライダーの力は十分な凶器にもなるが、使い方次第では大勢の人間を救う事だって出来る。その事を忘れないでくれ」
不思議と言いようの無い説得力を感じる景和。真司が過去にどれ程の戦いをして来たのか詳しくは知らないが、デザロアで見せたあの強さと貫禄から思わず感銘してしまう。
「判りました。俺、これからも皆を助ける為にライダーの力を使って行きます。誰かの幸せこそが、俺の幸せですから!」
平和を愛する純粋な目に真司は笑みを向けた。
そしてふと思い出したかの様に懐を探り、何かを取り出す。
「そうだ、こうして出会ったのも何かの縁だ。コイツを渡しとくよ」
手渡されたのは景和も始めて見るレイズバックルだった。その見た目はクリアカバーの下に龍騎のデッキが収められたVバックルが描かれている。
「これは?」
「何時の間にか持ってたんだ。俺じゃ使えないみたいだし。君が持ってる方が良い気がする」
「ありがとうございます!大事にしますね!」
上機嫌にお別れを言いその場を後にする景和の背中を真司は静かに見送った。
その直後、柄にもなく先輩面した事を密かに盗み聞きしていた戦友に茶化されたのはまた別の話。
こうして嘗ての歴戦の戦士は今を生きる若者に想いを託した。
彼が力の使い道を誤らない様願って。
しかし彼等はまだ知らない。
この後、思いもよらぬ形で再開を果たす事を。