ギーツ&龍騎IF   作:巽★敬

4 / 31


※ 本作は二次創作です。作風の都合上、仮面ライダー龍騎、及び仮面ライダーギーツの本編ネタバレ、独自解釈、独自設定を多量に含みます。ご了承下さい。



龍騎 vs タイクーン 2「再開」

 その日、世界が変わった。

比喩ではなく、文字通り世界が作り変わったのだ。

 

 とある人物達の策略により、桜井景和は唯一の肉親である姉・沙羅を失ってしまう。

沙羅を蘇らせる為に、景和はデザグラのナビゲーターであり親しかったツムリを創生の女神にしようとするゲームマスター・ジットと利害が一致し結託。

 

 創生の女神。

デザイアグランプリ運営が参加者の願いを叶えさせる為に用意している、世界を思う通り作り変える力を持つ超常的存在。

 その実態はある人物が強制的に変化した物言わぬ景品。女神とは名ばかりの願望実現装置である。

第一の女神が寿命を迎え、第二の女神候補にされてたのがツムリであった。

 運営の目論見通り不完全ではあるが創生の力に覚醒したツムリに対し、景和は問答無用で力を使わせ、世界を作り変えた。

 

【デザグラで犠牲になった者達全てが復活した世界】

 

 デザグラを知った当初からずっと掲げていた願いだ。

犠牲者の中には景和の家族も存在する。

ツムリには申し訳ないが、これで姉と再会できる。

以前の様な平和な家族が戻って来る。

初対面で自分を助けてくれた仮面ライダーシローこと豪徳寺武、

病気の息子の為に命を懸けた仮面ライダーギンペンこと平孝人など、

無念に散っていった退場者達もこれで生き返る。皆がまた幸せを掴む事が出来る。

 そう心を弾ませた。

 

 だがこの願いは最悪な形で実現する事となった。

 

 デザグラ参加者は確かに全員蘇った。

しかし参加者の中には景和の予想を遥かに上回るほど傍若無人な極悪人も大量に溢れていたのである。

ギャングライダーズなる集団を形成した無法者達はライダーの力を駆使して世界中で暴れ回り、

蘇ったばかりの景和の家族を含む多数の死者を生み出した。

 

 更に運営やべロバと言った一部のオーディエンスは暴徒達と結託し「世紀末ゲーム」を開催。

欲しい物を力づくで奪い取るがルールと言う、最早ゲームと呼べるのかも怪しい暴虐行為を楽しむ始末。警察署や留置所、自衛隊までもが襲撃され街には大量の犯罪者達で溢れかえった。

 

 この狂いに狂った世界をもう一度作り変えるには創生の力しかない。

 しかしツムリは完全な創生の女神になる事を拒んでいる。物言わぬ女神になる事を拒むのは常人の感覚では当然だが、創生の女神の問題点はそのエネルギー源だ。

 それは誰かの幸せをエネルギーに変換し別の誰かの願いを叶えると言う物。つまり力を使う分だけ別の誰かが不幸になるのだ。

 自分の意思とは無関係に誰かを不幸にする装置になる事をツムリは必至で抵抗している。

お陰で運営は思う通りに創生の力をコントロール出来ず苛立っていた。

 

 そこでジットが提案したのが、仮面ライダーギーツ・浮世英寿を始末する事だ。

 最初の女神から創生の力の一部を受け継いだ英寿はツムリの希望でもある。

彼を亡き者にすればツムリは絶望に覆われ意思は完全消滅。完璧な創生の女神へと生まれ変わるのだ。

ジットは英寿の討伐を景和に委ねた。

 

 家族を生き返らせたいと言う弱みを掴まれた景和は後には引けず、言われた通り英寿との決戦を決意するのだった。

 

 

       ◆

 

 

 決戦前夜

 

 運営から挑戦状を叩きつけられた英寿は色々と思う事が有るのか、とあるビルの屋上で夜の街を眺めていた。側に居たナーゴこと鞍馬祢音、バッファこと吾妻道長も神妙な面持ちだ。

 

「本当に景和と戦わなくちゃいけないの?」

「奴が本気な以上、避けては通れないだろう......」

 

 道長は苦虫を噛み潰したような顔で拳をフェンスに叩きつけた。

 

(くそ....俺がアイツの姉貴を手にかけなければ.....)

 

 道長は自分の犯した過ちを後悔していた。

 ギャングライダーズが現れる前の世界で、道長は街に溢れたジャマトを何時も通り討伐していた。

 しかしそのジャマトは寄生されると人間が変貌してしまう新種のジャマトだった。一定条件まで達すると永遠に人間に戻れなくなる寄生ジャマトに桜井沙羅が取りつかれ、何も知らなかった道長にジャマトの姿のまま排除されてしまったのだ。

 真相を知った時には既に遅し。景和は道長に対し激しい憎悪を抱き、彼の言葉に一切聞く耳を持たず叩きのめしたのである。

 意図的でなかったとは言え自分が沙羅を手に掛けた事に変わりは無い。姉の命を奪い景和を変える切欠を作ってしまった事に道長は凄まじい罪悪感に襲われていた。

 

「折角、沙羅さん達が助かるかもしれない方法が見つかったのに....」

「奴が俺達を信じなきゃ意味ないだろ」

「信じる....か。考えてみたら私達、景和と沢山一緒に戦ったけど...沢山ぶつかりもしたよね.....」

「.......」

 

祢音は表情を曇らせながら今まで景和と接して来た自分を振り返る。

デザイアグランプリのルール状仕方ないとは言え、己の願いを掛けて何度も争った。時には景和を騙し陥れようとした事すらも有る。

 にも拘わらず何処までも優しく接し助けようとしてくれた景和が、今では復讐心に駆られツムリと英寿を犠牲にしようとする程の変貌を遂げている。前から沙羅が危険に晒された時は周りが全く見えなくなる程取り乱す所が有ったが、はたして今の景和が自分達の声を聞いてくれるのか、祢音は不安だった。

 

道長に至ってはもっと酷い。

 沙羅の件以外にも、彼は不幸な人間をこれ以上増やさない為にデザイアグランプリを潰す事を目的としていた。参加者一人一人が欲望を抱く事で争いが生まれると結論付けた道長は、「全てのライダーをぶっ潰す」を目標にジャマトとすら共闘し片っ端からライダー達を狩っていった経緯がある。

 当然その対象には桜井姉弟も含まれており、景和にとって道長への信頼度は最早地に落ちていると言えよう。

 

「それでも俺達は....タイクーンを信じるしかない」

 

 ここで今まで黙っていた英寿が口を開く。

彼も創生の女神との関係が判明して以降、景和との関係は険悪になった。

 初代創生の女神の息子。それが彼の正体である。

嘗てとあるデザイアグランプリの1ゲームの中で、景和は両親を失った。

 一人を幸せにする度に誰かを不幸にする女神の力に、彼の家族は巻き込まれたのだ。

とは言え英寿の母自身、強制的に女神化された存在であり運営の道具にされた被害者なのだが、

自分の家族や大勢の人間を不幸にさせた女神の罪を景和は許す事が出来なかった。

 息子である英寿はその女神を庇った。同時に今まで不敗のデザ神として君臨していた事を考えれば、彼は知らぬ間に他人を不幸にし続けてた事になる。なので景和が英寿をまた信頼出来るのか、正直怪しい所である。

 それでも英寿の気持ちは揺るがなかった。

 

「俺達はアイツの優しさを知っている。例え信じてもらえなくても、俺達が寄り添うしかないんだ」

 

 家族を想う気持ち自体は、長年母を探し続けて来た英寿も理解しているつもりだ。

だからこそこの戦いは避けては通れない。

 

 そう、改めて覚悟を固めていたが....

 

「その話、もっと詳しく聞かせてくれないか?」

 

 後ろから聞こえてくる聞きなれない声。一同は一斉に振り返るとそこには40代程の男性が神妙な面持ちで此方を見ていた。

 

「アンタは...」

 

 

       ◆

 

 

 夜が明け、決戦日当日。

 

 組織のボスに相応しい黒い衣装を身に纏った景和は人手のな無い朝の街を歩いていた。ギャングライダーズが好き勝手暴れ回った故にこの辺りは街の大通りだと言うのに嘘かと思う程人通りが無かった。

 向かう先は英寿と一騎打ちを行う会場。本来ブジンソードバックルに搭載された瞬間移動機能が有るので歩く必要など皆無なのだが、彼はあえて自分の足で動いている。

 

 これから行う事はゲームなどと言う生易しい物ではない。己の願いをかけた正真正銘命の奪い合いである。精神統一の一環として兎に角一人になりたかった。

 会場には画面越しで大勢のオーディエンスの目が向けられ、アジトには自分を惑わすサポーターやギャングライダーズの騒がしい下っ端共で溢れている。とても落ち着ける場所ではない。

 ギーツとタイクーンの戦いをゲームマスターのジットは世紀末ゲームのトリとして扱いだした。

 家族の運命を掛けた真剣な戦いすら、運営やオーディエンスにとってはエンタメの一環に過ぎない。

協力したとは言えそんな連中と長時間過ごすのは御免だった。

 

「英寿を倒せば姉ちゃんは...家族は生き返る....英寿を倒せば...」

 

 自分に言い聞かせる様に景和は呟いた。

これは家族を救う為、英寿とツムリは必要な犠牲、正当な戦いなのだと。最早手段を選んでる暇は無い。

 今の彼の目には一切光が無かった。一度は復讐心に支配され今度は願いに取り憑かれた景和。デザグラに参加した初期頃の優しい雰囲気はすっかり消え失せ、只管虚ろでどす黒い雰囲気を醸し出している。

「見ないうちに大分雰囲気が変わったな。桜井景和君」

「!」

 

 そんな時、聞き覚えのある声が響き彼は足を止めた。

顔を上げるとそこには半年以上前に自分に激励を飛ばしてくれたあの男が立っていた。

 

「龍騎.....城戸真司....さん?」

 

 景和は一瞬同様の表情を見せる。予想外の再開に驚いたのも有るが、一番身構える気になったのは真司の表情だ。出会った頃の気さくな雰囲気は一切無く、悲みか怒りか、兎に角色々な感情が混じった様に酷く顔を顰めている。

 

「ニュース見たよ。色々、大変そうだな.....」

「................」

 

 景和は顔を伏せ無言で真司の側を通り過ぎた。会わせる顔が無いのだ。

今の自分は不本意ながらギャングライダーズのヘッドとなっている。

 家族の敵討ちとして前のヘッドを仕留めたら半ば強引な流れでこの地位に上り詰めてしまった。

 単純な暴君共を抑えこむメリットはあったが、反社会集団のボス化したとあればメディアが触れない筈も無く、景和の名はまた宅間に世間に知れ渡ってしまった。 

 真司にも情報が行き渡るのも当然だ。

 

 自分を見込んで忠告してくれたのに失望したに決まってる。ならいっそ何処までも嫌われた方がスッキリする。だから無視を決め込むつもりだったが.....

 

「浮世英寿くんを倒しに行くのか?」

 

 意外な発言で景和は再び足を止め、「何故それを?」と言いたげな表情で振り返る。

 

「君の知り合いから聞いた。本気なのか?」

「............放っておいてくれ....アンタには関係ない.......」

「前に俺が言った事、覚えるてかい?」

 

 食いつく真司。景和はあえて煙たい態度を示してその場を立ち去ろうとする。

 

「ええ。人と争う辛さを忘れるなって話でしょ? けどこうも言った。"世の中どうしても戦わないといけない時もある"って....今がその時だ。辛いなんて言ってられませんよ....」

「そうか....なら仕方ないな....」

 

 意外とあっさり引き下がったなと内心軽く驚きつつ、景和は瞬間移動機能を使おうとブジンソードバックルを取り出す。

 

その時。

 

 

 

 

 

「じゃあまず、俺を倒してから先に進むんだな」

 

 

 

 

 

「何?」

「変身!」

「!?」

 

 振り返ると真司は何時の間にか仮面ライダー龍騎に姿を変えており、変身が済むや否や景和に殴りかかった。直ぐに回避するが尚も拳が襲ってくる。 

 

「いきなり何を!?」

 

 攻撃を全て避け、距離をとる景和に龍騎はファイティングポーズをとったまま睨みつける。

 

「どうした、早く変身しろ。俺程度も倒せないんじゃ英寿君に勝つなんて思い上がりも良い所だぞ」

「っく...」

 

 景和は歯ぎしりしながらデザイアドライバーを腰に装着した。

挑発に乗る形になるが龍騎の言葉は一理ある。今の英寿は創生の力を手にした事で桁外れに強い。先輩ライダーとは言え普通の人間であろう龍騎にも勝てる実力がなければ話にならない。

それにここで攻撃をしかけたと言う事は、真司が英寿に加担してる可能性が高い。逃げ切れたとしても後々ギーツと共闘でもされたら面倒だ。

 仕方なく景和は腰に装着されたデザイアドライバーに分離したブジンソードバックルを装填する。

 

《SET AVENGE

 

「…変身」

 

人差し指を親指で折る様に音を鳴らす。小太刀型のパーツ「バッケントリガー」を引くと、背後に「BUJINSWORD」のロゴが出現し黒い霧が体を覆う。やがて禍々しい巨大な両手が現れ切り裂かれたロゴと景和を握りつぶす。霧が晴れるとそこには漆黒の鎧を身に纏ったタイクーン、仮面ライダータイクーンブジンソードが姿を現した。

 

《BLACK GENERAL, BUJIN SWORD!》

 

 

 龍騎とタイクーン。

 世代を超えた二人のライダーによる戦いが、今始まる。

 

 

《READY...FIGHT!》

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。