ギーツ&龍騎IF   作:巽★敬

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次回は文章が長くなるので更新は話数を分けるか、もしくは2週間後になるかもしれません


龍騎 vs タイクーン 3「交わる刃」

 変身を終え、暫し無言で睨み合う2人のライダー。

タイクーンブジンソード - 以下BSと表記 - は腰に備えた日本刀型の武器「武刃」を抜き静かに構える。

 

《SWORD VENT》

 

 龍騎もまた無言でアドベントカードをドラグバイザーに装填し、柳葉刀を模したドラグセイバーを手に取る。

 やがて二人は同時に駆け出し一気に距離を詰め、斬りかかる。

互いの刃が何度もぶつかり合い派手に火花を散らす。

 最初に剣を交えた瞬間からタイクーンBSは龍騎の実力の高さを認識した。

幾ら斬りかかっても剣先がかすりもしない。向こうはただ剣を振るってるだけではない。所々拳や蹴りなども組み込んで此方の攻撃をはじいている。

 

 暫くして二本の刃は鍔迫り合い状態となり、一時的に両者の動きが止まる。

間近で龍騎の顔を睨みつけながらタイクーンBSが問い詰める。

 

「一体どう言うつもりだよアンタ!俺の邪魔をする気か!?」

 

 かなり声にドスを聞かせたつもりだったが、龍騎は臆する事無く答える。

 

「正確には、邪魔しようかどうかを決めに来た」

「はぁ? 何訳の分からない事を!」

 

 随分珍妙な返答で苛立ちを覚えるタイクーンBS。

 冗談じゃない。こっちは英寿との死闘が控えていると言うのに。

武刃を片手で抑えたまま殴りかかろうともう片方の腕を振るうが、龍騎はタイクーンBSの膝を蹴って後ろに飛び回避する。

 一度距離を置き向き直る。

 

「君は今、誰かを犠牲にしてでも願いを叶えようとしている。気になるんだよ、君が何処までその願いに突き進もうとしてるのか」

「俺はただ大事な家族を救いたいだけだ!」

 

 タイクーンBSは素早い動きで背後に回り込み再び斬りかかるが龍騎はこれもドラグセイバーで防いでしまう。

 

「英寿君やツムリって子を犠牲にしてでもか?」

「アンタには関係無いと言っただろ!」

 

タイクーンBSは左手で龍騎の胸部を殴りつけ引き離す。

胸を抑えなが訴えかける龍騎。

 

「創生の女神になったら、ツムリって子は二度と戻せないんだろ?英寿君だって...」

「!.......」

 

 二度と戻らない。その言葉でタイクーンBSは一瞬、ほんの一瞬だけ攻撃の手が緩んだ。

英寿を葬り、ツムリが完全に覚醒すれば創生の女神はデザグラ運営の所有物となる。

 運営が復活を望まない限りどれだけ世界を作り替えても英寿が戻る事無い。

 つまり正真正銘、英寿は死ぬ事になるのだ。ましてツムリなど死んだ方がマシと言える状態である。

 

 景和がこれまで行ってきた戦いはジャマトから人を守る為の物ばかり。

 

 

 そんな自分が進んで誰かの命を奪えるのか? 

 

 ................。

 

 しかしこの疑問を直ぐに打ち消し、再度武刃を振るう。

 

「仕方無いだろ。世界を作り直すには女神の力しかない」

「何でそう言い切れるんだよ? 少しでも他に方法が無いか探したのか?」

「うるさい! 今更出て来て、こっちの気も知らないで! もういい。これ以上は例えアンタでも容赦はしない!」

 

 龍騎の物言いにタイクーンBSは苛立ちがこみ上げてくる。この後は英寿との戦いが控えているのだから今直ぐにでも決着を付けたかった。

 しかし先ほどから戦いは平行線。どちらも目立った一撃を加えられていない。

 

(やっぱりこの人、強い。でも勝てない強さじゃない!)

 

 ある程度戦闘を続ける内にタイクーンBSは勝機を見出していた。

龍騎は兎に角攻撃を受けまいと動いている。避け続けると言う事は一度でも大技が当たれば致命傷だと言う事。当たり前だが戦いにおいては重要な活路だ。

 このブジンソードは景和がツムリに「誰にも負けない強い力」を願い、創生の力によって作り出された。並のライダーなら瞬殺できる程の力を保持している。

 幾ら自分より戦闘経験豊富とは言え簡単に負けるとは思えない。

 

 再び急接近して鍔迫り合い状態となった。

が、ここで龍騎に動きがあった。今龍騎は召喚機であるドラグバイザーが付いている左手でドラグセイバーを握っており片手だけで武刃を受け止めていた。

 そしてドラグバイザーは開いたままであり、いつの間にかカードスロットにセットされていたアドベントカードをもう片方の手で素早く装填した。

 

《ADVENT》

「グオオオォォォ!」

「何!?」

 

次の瞬間タイクーンBSの真横のビルの窓ガラスが揺らめき出し、そこからドラグレッダーが飛び出し

体当たりを仕掛けられる。想定外の乱入者に一瞬驚くも咄嗟に龍騎と距離を取り回避する。

 だが通り過ぎたドラグレッダーは直ぐに向き直り、口から数発の火球を放つ。

タイクーンBSは身を翻して回避するが火球は直ぐ側の地面に着弾し爆発。派手な熱風と黒煙に覆われる。

 

(目くらましのつもりか!)

 

 瞬時に黒煙を振り払うが、先ほどまで経っていた場所に龍騎は居ない。

何処へ行ったのか見回すタイクーンBS。

 ふと、武刃を見下ろした。

 刃には鏡の様に自分の顔と青空が映し出されるが、背後にもう一つの影が見えた。

 

 龍騎だ。

 彼は爆炎で目隠した隙に空高くジャンプしドラグセイバーを斬り下ろしながら此方へ急降下しているのだ。距離は2メートルも無い。

しかしタイクーンBSはあえて振り向かず気づかないフリをする。

 そしてドラグセイバーが此方に到達するギリギリの距離で武刃を頭上へ突き出した。

 

「っ!」

 

 咄嗟に龍騎はドラグセイバーの位置を変え剣先を防御するが、空中で人が出来る行動は限られている。防御すればその分動けなくなる。

 即座に振り返ったタイクーンBSによる回天切りにより、龍騎はついに最初の一撃を喰らうのだった。

 

「ぐあ!!」

 

 このチャンスをタイクーンBSは逃さない。瞬時に連続斬りを叩き込み、最後は龍騎を力強く蹴り飛ばす。

 地面を転がり痛みに耐えながらも直ぐに起き上がった龍騎は再度ドラグバイザーを開きカードをセットする。

 

《STRIKE VENT》

 

 右手にドラグクローが装着され龍騎は構えた。必殺技、「ドラグクローファイヤー」を放つ構えである。

 タイクーンBSは何か大技が来るかと瞬時に察知し自らも身構える。

 

「はぁぁぁぁ.....」

 

呼吸を整え気合を入れる龍騎を睨みつけながら、武刃を構える手に力がこもる。

やがて上空からドラグレッダーが直ぐ側まで飛来し、ドラグレッダーの口とドラグクローの口部分から火球「ドラグブレス」が同時に放たれた。

 

「だああああああああ!」

 

 二つのブレスはやがて一つに重なり人一人分は覆ってしまう程の巨大な火球となってタイクーンBSに迫り来る。

 だがタイクーンBSは一切怖気づく事無く、その場を動かない。

そして、火球が直ぐ目の前まで到達した途端...

 

 

 彼は「ふんっ!」と一振りで火球を一刀両断してしまうのだった。

 

 

「!!」

 

 二つに分かれた火球はタイクーンBSの背後で派手に爆散。

 そして龍騎が驚く暇も与えず、タイクーンBSも必殺技の準備に取り掛かる。ブジンソードバックルのバッケントリガーを納刀、抜刀の動作を瞬時に2回繰り返す。途端にタイクーンBSの全身から黒いオーラが放たれ武刃の刃が怪しく黄緑色に光り輝く。

 

 この光景を目にした龍騎は急いで別のカードを使用する。

 

《GUARD VENT》

 

 龍騎の両肩にドラグシールドが装備される。タイクーンBSの素早さを考えると如何なる必殺技も回避する事は不可能に思えた。気休め程度かもしれないがそれでも防御するに越したことはない。

 やがてタイクーンBSの刃が猛威を振るった。

 

《BUJIN SWORD VICTORY!》

 

 大きく振られた刃から黒い円形の斬撃が龍騎目掛けて繰り出される。

寸での所でドラグシールドで防いだが、シールドは斬撃が到達した途端粉々に粉砕し爆発。

 

「ぐあああぁっ!」

 

 大きく吹き飛ばされ地面を転がった龍騎の体はそのまま起き上がらず動かなくなった。

 

「終わりだ.....もう俺に構わないでくれ....」

 

 関係無い者の命まで奪う必要はない。自分が狙うのはあくまで英寿のみ。直ぐにでも本来の戦いの場へ向かわなければ。

 

 勝利を確認しその場を立ち去ろうとするタイクーンBSだったが....

 

 

 

 

「.....いってぇ~........強いな、景和君....」

「!」

 

 

 

 振り返り旋律するタイクーンBS。

 そこには痛みに堪えながらも、自分の足で立ち上がる龍騎の姿があった。

 

「.....でも...俺はまだまだ.....戦えるぜ...」

「..........」

 

 訳が分からず言葉を募らせる。

 先ほど放ったブジンソードビクトリーは自分より秀出な仮面ライダーであるバッファすら一撃で変身解除に追い込んだ程の必殺技だ。

 盾で辛うじて衝撃を緩和したとは言え直ぐに立ち上がれる程のダメージでは無い筈。

 にも拘らず龍騎は変身解除すらされず、闘志すら失った様子もない。

そもそも何故彼はここまで自分に戦いを挑んでくるのか、タイクーンBSは不思議でならなかった。

 

「どうしても戦わなくちゃならない時がある、確かに俺はそう言った.....」

 

 荒い息を何とか整えながら、龍騎は語り続ける。

 

「それは理不尽に起きる戦いってだけじゃない.....戦わないと解らない事も有るからだ。相手の熱意とか辛さとか、そう言う気持ちとか.....本当はさ、ちょっとだけ迷ってたんだ。 状況が状況だし、俺みたいな部外者が君と英寿君の戦いに横槍入れて良いのか?ってさ.....けど君がギャングライダーズのリーダーになったって報道見てから居ても経っても居られなくて。だからこうして、戦いの中で君の気持ちを知ろうとしたんだ.....

こうでもしないと真面に会話もしなかっただろうし....

んで、さっき思った....」

 

 そして大地を強く踏みめた龍騎は、デッキから一枚のカードを引き抜いた。

 

 

「やっぱり俺....君を止めたい、ってな...」

 

 燃え盛る炎を背景に、黄金に輝く片翼が描かれたカードを。

 

「君にはまだ迷いがある。止めるなら今しかない.....」

 

 途端に周囲がまるで夜の様に暗くなり、2人の周りが灼熱の炎の様に燃え盛る。

やがて龍騎が所持するドラグバイザーが銃剣を模した武器、ドラグバイザーツバイへと変化。

契約モンスターであるドラグランザーの頭を模したそれの口部分へカードをベントインする。

 

 

《 -SURVIVE- 》

 

 

 瞬間、灼熱の炎が龍騎の体を包み込み、彼を新たな姿へと変えていく。

 炎が晴れると、そこには真紅に輝く鎧を纏う戦士が立っていた。

 

 

 仮面ライダー龍騎サバイブである。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「俺が絶対に止める。君がこれ以上、後戻り出来なくなる前に」

 

 

 

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